眞魔国にも夏がやってきた。
しかしこう暑いとどうもやる気がおきない。
何でこの世界にはクーラーがないの!?
誰か、誰かギブミークーラー!
と、物乞いしてみてもクーラーが出てくる訳ないし。
最近見つけた城内で一番涼しい場所を陣取って午後のティータイム。
コンラッドを誘ったのに、少ししたら行くって消えてからもうすでに30分は経過している。
ティーポットに入っていたお茶もぬるくなりはじめていた。
「あついあついー」
「そんなに連呼しなくてもわかってますよ」
声に振り返ればコンラッドが涼しい顔をして立っていた。
やっぱり鍛え方が違うのか、向こうは汗ひとつかいていない。
「遅い!何してたのよ」
「これをのために取りに」
差し出されたガラスの器の中を覗けば2種類のシャーベットがちょこんとのっていた。
「好きですよね、こういうの」
「うん!」
受け取ると器はひんやりとしていて火照った掌にとても気持ちよかった。
私が受け取ったのを確認すると、コンラッドは私の向かいに座った。
可愛らしい細工のはいったスプーンでシャーベットをすくう。
口の中に運ぶとフルーツの味とヒヤッとした食感が口の中いっぱいに広がった。
「はうー。おいしいよー」
「それはよかった」
「ありがとうね、コンラッド」
言いながらもうひとつの方を食べる。
さっきのと少し違った味。それでも二つの味がマッチしていて美味しい。
コンラッドってば私の好物をわかってるんだなぁ。
ぱくぱくと手を止めることなく食べていると、すぐになくなってしまった。
「あ。コンラッド、自分の分持ってきてないよね」
全部食べちゃったけど良かったのだろうか。
もしかしたら二つのどちらか一方がコンラッドの分だったのかもしれない。
心配になって聞けばいつもの如く、笑顔だった。
「が喜んでくれれば」
「うん…でも悪いなぁ」
コンラッドってばいつも「のために」とか「がと喜んでくれれば」とか。
私ばっかり何かしてもらってる。
たまには私から何かしてあげたい。
いろいろ考えをめぐらせるがいい案はこれといって浮かばなかった。
やっぱりこういうのは本人に聞くのが一番だろう。
「ねぇコンラッド。何かしてほしい事とかない?」
「してほしい事…ですか?」
「そう。いつも私がしてもらってるから、コンラッドに何かしてあげたい」
音を立てて席を立つと、コンラッドはしばらく何かを考えてからいつもの笑顔を見せてくれた。
「では今から俺に付き合ってください」
それからコンラッドに腕を引かれ馬に乗せられた。
コンラッドの前で馬に揺られること数十分。
お尻が痛くなりだしたころに、小さな丘に到着した。
太陽も真上を過ぎ、先ほどまでの暑さは感じられない。
むしろ風が良く通って、涼しいくらいだ。
「きれいなところ」
「もう少し行けばもっと綺麗なものがありますよ」
コンラッドが指をさしたほうに目を向ければ、淡い青を宿した花が笑っていた。
「うわぁ…」
「気に入りましたか?」
「うん!…ってこれじゃ私が何かしたことにならないよ」
「そんなことないですよ」
屈んで花を見ていた私の隣にコンラッドも腰を落とす。
その目は目の前の花を捉えていて、茶色の瞳にはコンラッドの見ている景色が映っていた。
「俺はと一緒にいられればそれ以上は望まない」
コンラッドの瞳が今度は私を見据える。
ちりばめられた銀の虹彩の中に何かが見えた気がする。
コンラッドの袖を軽く握ると、自然とお互いの顔が近づいていった。
「ありがと」
唇が触れあう直前に呟くと、コンラッドが微かに笑った。
唇に感じる甘い感触と、鼻をくすぐるコンラッドの匂い。
2人の時間が止まった様に感じる長いようで短い時間。
こんな時間が永遠に続けばいいのにと
私のこれからの一生にコンラッドが隣にいてくれればと
何度も心で強く願った。
永遠のひと時
(私はあなたを支えたいから)
まとまってない様な気がする…
ゆたか様46100ヒットリクエスト
「コンラッド夢夏ネタ」でした
夏ってシャーベットでしかわからない;;
あえて永遠をとわとよませてみたり
苦情はゆたか様のみ受け付け
どうもありがとうございました (20050904)
素敵な夢をありがとうございます、月島さん!
まとまってないだなんてとんでもない!
もう嬉しくて嬉しくて。ニヤニヤしながら読ませていただきました(近ヅクト危険)
いいじゃないですかシャーベット。甘い夢には甘いものが似合うんですよきっと♪
これからもいい夢を書いてくださいね〜。陰ながら応援しています!
ゆたか 2005/09/13