「シー君を認知するですよ!」
「いいからとっとと帰るぞ!」
ぎゃーぎゃーと賑やかに兄弟げんかする二人。いつも光景、いつもの出来事。
だから誰ももう止める者はいない。
机にしがみつくシーランドを無理やりに引き離そうとし……服の裾をひっぱる感触に力を緩めた。
「何だ? 今俺は忙し……」
「いいじゃないですか。今日はその……二人きりでいたいですし」
頬を赤らめたセーシェルにつられ、少しだけ頬を赤らめ、すぐにそっぽを向き、手の力を抜いた。
「疲れた! いいか、今日は勘弁してやるが、次こそは俺んちに戻ってもらうからな!」
「イヤですよ!」
ぷいっと横を向き、ふくれっつらをするシーランド。その前に座り、セーシェルは頭を優しく撫でる。
「シー君ごめんね。イギリスはああ見えて意外と」
「とっとと来い。置いてくぞ」
急き立てるイギリスの声に、姿を探せばもうすでに部屋の中にはいなかった。
シーランドの頭に置かれている手に力が入る。
「……意外と性格悪いんです。全く、置いてくなです!!」
頬を膨らまし、慌てて追いかける。しかし、どこか嬉しそうな顔で。
一人残されたシーランド。
「ふーん……じゃ、セーシェルおねーちゃんにするですよ」
その時、彼の瞳に黒い光が宿った事に気がつくものはいなかった。
愛おしい者の甘い声で目が覚める。
身体が重い。
確か、昨晩はいつものように愛し合ったまま、深い眠りについてしまい……
ぼんやりとした意識の中、手元で眠っているはずの彼女に手を伸ばし……手が動かないことに気がついた。
前にもこのような事はあった。
あの時はいつも意地悪していたから、怒って手足縛って逆に攻められて。
「セーシェル、怒ってるのか?」
「まだ寝てるですか。イギリスの野郎は」
機嫌のよいシーランドの声とともに冷たい水が浴びせられた。
滴る水を首を左右に動かし、振り払う。状況を確認しようと周りを見回し……
最初に目に入った光景に言葉を失った。
虚ろな瞳で、男二人に犯されているセーシェルの姿があったから。
可愛い唇には男根が押し込まれており、口の端から唾液とともにとろりとした白濁液が流れ落ち、地面に跡を残していた。
座り込んだ男は、彼女の髪をつかみ、上下に揺さぶる。
抵抗はせず、男の手の動きに合わせ、唇が上下した。
何度かの動きの跡、男が小さく呻き、身体を震わせる。
ごぷっと音を立て、彼女の口の中に精液が注ぎこまれた。
飲み込むこともしないので、口から溢れる精液が首を伝い、胸の上へと落ちる。
日に焼けた肌に白い精液が流れる姿は、ひどく淫靡で。
「もう動かなくなっちまったよ。なあ、いい加減代われよ」
「もう少し……くぅっ! 何度やっても締め付けが良くていいねぇ。きゅっと締め付けてくるのが最高」
男根を口に差し入れている男は不機嫌そうに、背後から挿入している男に声をかけた。
腰を押さえ、強く腰を打ちつける。その度に彼女の身体は揺さぶられるが、反応はない。
生理的な反応のみで、男根をしめつける。それだけで男は十分。
締め付けられた男根を動かすだけで、性的快楽は得られるから。
まるで玩具のような扱いのセーシェルを助けようと、手を伸ばし……手首に絡みつく鎖によって阻まれた。
「セーシェル! セーシェル! セーシェル!!」
「うっさいですよ。セーシェルおねーちゃんの醜態をじっくり目に焼き付けるがいいですよ」
無垢な悪魔の声。手の届かない距離に、シーランドはちょこんと座り込んでいた。
笑顔ではあるが、目には闇が宿っている。
殺意のこもった瞳で睨みつけてみるが、シーランドは笑みを深くするだけ。
「知ってるですか? イギリスの野郎が気を失っている間、セーシェルおねーちゃんがどんなんだったか。
薬で意識飛ばしていたから、最初は僕んちの兵たちが遊んであげていたんですけれど、幸せそうな顔で兵のチンポをしゃぶってですね」
「……黙れ」
「兵のチンポをお口とマンコでくわえ込んで、自分から腰を振るんですよ。
どんな調教したんですか。イギリスの野郎は」
「黙れといってるだろ!!」
手が届けば、確実に殴っていた。いや、殴る程度で済むとは思っていない。
しかし、シーランドは気にせずに、犯され続けているセーシェルの元に歩み寄り、揺さぶられ揺れる胸をわしづかみにした。
「で、意識が戻った途端、眉毛の名前叫びまくりですよ。
でも、あっという間に声聞こえなくなったけれど。ね」
「そうっすね。ま、マンコはまだぎゅーぎゅー締め付けてくれてるし、遊ぶにはいいんだけど……っと」
男はぶるりと身体を震わせ、腰を深く押し付けた。結合部分からとろりと溢れ出す精液。
大きく息を吐くと、男根を引き抜く。中に入りきらなかった精液が地面に水溜りを作り上げる。
「ほら、見えるですか? 眉毛の大切な玩具は精液まみれです。
こんなにたくさん飲み込んだのに、まだひくひくと求めているんですよ」
男達から引き離し、仰向けに転がす。股を広げさせ、イギリスに秘所が見えるよう指で広げた。
指で触れられると、秘所は刺激を求め、ぱくぱくと呼吸するようにうごめく。
その度に精液が溢れ、シーランドの指を汚す。
「んじゃ、イギリスの野郎も起きた事だし、セーシェルおねーちゃんにも起きてもらうですよ」
残酷な言葉に、イギリスは言葉を一瞬失い、彼女を求め、手を伸ばし……
正気を失っている彼女に、冷たい水が浴びせられた。
一度二度、まばたきをし、あたりを見回す。
愛おしい者の姿を見つけ、頬を赤らめ彼の名前を呼ぼうとし、自らが置かれている状況に気がついた。
「いや! なんで私こんな…夢のはずでしょ! あれは夢の……助けて! イギリ…んぐぅ」
「煩いですよ。これからシー君が遊んであげるのに、何でそんなに泣くんですか」
手足を動かし、必死に抵抗するセーシェルの手足を男が押さえつける。
「えへへ。それじゃ、イギリスにたっぷり見てもらうですよ。セーシェルおねーちゃんのえっちな姿を」
にっこりと微笑むと、自らのズボンを下ろす。すでに硬直した男根が顔を出す。
小さな身体に見合わぬ巨大な男根。
身体を捩じらし、逃げようとするが、男にがっしりと手足を押さえつけられているため、それは叶わない。
シーランドの男根はセーシェルの性器に狙いを定め、
「ひぃっ! やぁっ! イギリ!!」
イギリスは目を逸らす。濡れた音。中に残った精液が潤滑油の代わりをし、奥深くに挿入される音。
セーシェルの悲鳴。腰を打ち付ける音。
目を背けていてもはっきりとわかる悲惨な光景。
「眉毛、こっち見ろですよ。ほら、セーシェルおねーちゃんのマンコにシー君のチンポが入ってるですよ。
ぐぢゅぐぢゅと音立てて、飲み込んでるです。
乳首もこんなに硬くなって、すっごく気持ち良いんですよねぇ〜」
「ほら、シーランド様が見ろといっているんだから、あっち見ろ」
にやにやと下卑た笑みを浮かべ、男がイギリスの顔をつかむ。
目を閉じてみるが、それも無理やりにこじ開けさせられ、目の前で繰り広げられる悪魔のような行為を目の当たりにさせらた。
昨夜は愛し合っていた少女が。何度も身体をあわせても、未だに照れの消えない少女が。
腰をつかまれ、激しく挿入されている。
涙をこぼし、身体を震わせ、必死に抵抗しているが、確実に快楽を感じており、シーランドの男根を強く締め付ける。
「やだ! 見ないで! や、はぁぅ! あっあああぁ」
「せーしぇる……」
目の前で泣いているのに、助けられない無力さ。
「あ、そうだ。イギリスの野郎にも楽しんでもらうですよ。ほら、僕の玩具つれてこいですよ」
シーランドが男に命令をする。男は室内へと戻ると、ある人物を引き連れてきた。
その人物は、服は身に着けず、豊かな胸を露にしている。首には何故か首輪が一つ。
見覚えのある女性。
「シーランド様、お呼びで……あれ? イギリスちゃん」
「お前は……ウクライナ! 何でこんな所に!」
そう、目の前に現れたのはウクライナだ。
腰の動きを止め、シーランドが顔を向けた。
物足りなそうな声がセーシェルの口から上がる。
彼女の反応に、にやつきながら胸をもてあそぶ。
「イギリスの野郎を見習って、ウクライナおねーちゃんをシー君の植民地……いや、シー君の玩具にしたですよ。
首輪つければ、玩具になるんだって、眉毛から教えてもらったですから。
ねぇ、ウクライナおねーちゃん、眉毛を楽しませてあげてよ」
『楽しませる』この状況で、その言葉が意味するもの。それに気がつき、イギリスは抵抗しようとするが。
「ゴメンね。シー君……シーランド様の命令は絶対なの。本当にゴメンナサイ」
ウクライナはイギリスの前に座り込んだ。しなやかな指が彼の股間をなぞり、布の上から舌を這わした。
ぞわりと背中を駆け巡った快楽。抵抗はしてみるが、彼女の動きに下半身は正直に反応を見せる。
「あはっ。おっきくなったね。じゃ、直接触るよ? いいよね」
唇でチャックを下ろし、下着の中で大きく反応している男根に口付けを落とす。
下着を少しずらした途端、ぴょこんと顔を出した男根に微かに頬を赤らめ、
「ちょっと待て! お前はこのままでいいのか?! 今、俺に手を貸せばシーランドから解放してやる!」
男根に唇を落とすウクライナに交渉を試みる。
お互いに有利な交渉だと思う。これを飲まないわけないと彼は思っていたのだが。
唇を離し、少しだけ首をかしげ……寂しそうに微笑んだ。
「ごめんなさい。私、もうシーランド様がいないとダメなの。
ほら、見える? 私のおまんこはシーランド様が傍にいるだけでもうぐちょぐちょで」
立ち上がり、秘所を指で広げる。てらてらと光る愛液が腿を伝い、床に垂れていく。
「本当に……ごめんなさい」
指で広げたまま、彼の上に腰を落としていき……男根を飲み込んでいった。
顔に当たる柔らかで弾力のある胸。下半身を包み込む性器。
腰を動かせば、きゅっと詰めつけ、彼の男根を押さえつける。
「くっ! や、やめ!」
刺激から逃れようと動いてみたが、それは逆効果でしかない。
甘い声をあげ、自分の上で身体をゆするウクライナ。
「あははっ、セーシェルおねーちゃん、見えるですか。
イギリスの野郎、ウクライナおねーちゃんと交尾してるですよ。あんなにチンポおったてて、腰振って気持ちよさそうです」
繋がったまま、セーシェルの顔を無理に二人の行為が見えるようにむかせる。
愛する者が違う女性とセックスしている姿。そして自らも違う男性と繋がっていて。
「やだやだやだやだ! イギリス!イギリスいぎりす……ぁん……」
「セーシェルセーシェルセーシェル!!」
お互いに手を伸ばす。もう少しで手を取れそうなのに。そのもう少しが遠すぎて。
「あーもう煩いですね。いい加減、諦めてしまえばいいのに。
ウクライナおねーちゃん、イギリスの野郎のチンポ、しっかり咥えてやるですよ」
「はい……んっあっあっ! シーランドさまぁ……」
シーランドとウクライナ、二人の動きが徐々に早まり
「イギリス!」
「セーシェルぅぅっ!!」
お互いの名を叫び、二人は果てた。
違う誰かに抱かれたままで。
愛おしい者の甘い声で目が覚める。
身体が重い。
確か、昨晩はいつものように愛し合ったまま、深い眠りについてしまい……
ぼんやりとした意識の中、手元で眠っているはずの彼女に手を伸ばし……
頭をよぎる既視感。
勢い良く身体を起こし、
「うぅ〜眉毛、せーえきなんて美味しくないです〜」
傍らに眉をひそめ、枕を抱きしめているセーシェルの姿。
身体には何も身につけていない。昨晩愛し合ったままの姿だ。
眠る彼女の髪を指で梳いてやると、力の入っていた眉が少しだけ和らぎ、手に擦り寄ってくる。
いつもは喧嘩ばかりしていたけれど、ベッドの上では素直に甘えてくれて。
愛しているのに……なんであんな夢を見てしまったのだろうか。
妙にはっきりと心身に残っている悪夢。頭を振り、意識を変えようとするが、不安な気持ちは拭いきれない。
幸せそうに眠る少女の頬を指でつつき、優しい笑みを浮かべる。
「俺が愛してるのはお前だけなんだぞ。わかってるのか。ばーか」
「ふにゅ〜私だって眉毛だーいすきです〜」
寝言でも愛の言葉を返してくれる彼女に、下半身が反応した。
時計を確認する。まだ起きるには早い時間。それならば……と。
「畜生! 可愛い過ぎるお前が悪いんだからな!」
彼女の上にのしかかり、唇を奪う。
……再び甘い声が部屋に響き渡ったのは言うまでもない。
――そして――
「……そう、あれは夢……にしておくがいいです。
これは最終手段として取っておくですよ。せいぜい、楽しむがいいですよ」
黒い笑みを浮かべた少年が、寝室のドアを静かに閉める。
何やら映像記憶媒体を手にし、にこやかに部屋を後にした。
2009/07/03
初出
鬼畜シー君第二段でした。
個人的に鬼畜物は書きにくいとかんじましたです。はい。
やっぱりギャグがとてもかきやすいです。
↓拍手はこちら