朝から高まる胸。
何故かというと本日は私の生まれた日。
所謂誕生日というわけです。
誕生日といえば、皆に祝福していただける日です。多少のわがままも聞いてくださるでしょうから……
皆さんに祝って貰いましょう。
この鞭やら縄で思いっきり私を虐めぬいて……ハァハァ。
いつもはどうにか抑えてきましたが、この時ばかりは自分の心に正直になってみせますよ。
何たって、誕生日ですから。
まずは近場のリヒテンシュタインの家から。
もちろん、スイスが仕事で留守にしている時を狙って。
ドアをノックし、中から可愛らしい返事が聞こえました。
軽い足音が響き、ドアが開きます。
顔を覗かせた彼女は首を傾げ、無垢な瞳を私に向けてくれました。
この瞳に蔑む光が灯ったりしたら……そのギャップに興奮してしまいそうです。
「エスターライヒお兄様、何かご用事ですか?」
ああ、二人きりになると、昔の愛称で呼んでくださるのですね。
本当に可愛らしい少女です。
緩みそうになる頬をどうにか抑えて、優雅に微笑んでみせました。
「いえ、特に重要な用事というほどではありませんが……
今日が何の日か知っていますか?」
私の言葉に、しばし首を傾げ、両手をポンと叩いた。
「あ、そうです。エスターライヒお兄様の誕生日でしたね。
おめでとうございます。
あ、でも……」
きらきらとした瞳が、途端に曇りました。
「すみません。突然でしたから、プレゼントをご用意できなくて」
しゅんとする彼女。
ああ、こんなにも私の事を考えてくださっていたのですね。
「それならば、この私を鞭でぶって下さればハァハァハァ」
ここぞとばかりに、私は愛用の鞭を取り出しました。
「……え?」
理解できなかったのか、私と鞭を交互に見据え、首を傾げました。
「えっとその……き、汚い豚……さんですね。この鞭がお似合いです……」
それから数時間後、各国の誕生日の風習から始まり、鞭の素晴らしさ、女王様の心得などを説き、
どうにかここまでやってきました。
用意していたボンテージは生憎、サイズが合わなかったので無理でしたが、
鞭はぎこちないながらも振り下ろしてくれるようになりました。
しなる鞭、肌に走る甘美な痛み。
ああ、やはり鞭は素晴らしいですね。
本来ならば、全裸が良かったのですが、彼女が恥ずかしがるので、
用意していたボンテージを私がきる事になりました。
股間を危うく隠す衣装から目を逸らしつつも、しっかりと鞭を肌にくださいます。
「その……おち……ち……をおったてて、感じてるんですか?
本当に変態……さんですね」
私が用意した女王様メモを読みながら、絶妙のタイミングで鞭を振り下ろされた時にはもう……
恥ずかしいですけれど、ボンテージの中に射精してしまいましたよ。
くたりとした私を見下ろしながら、肩で息をする彼女。
「……意外に楽しいかもしれません」
ああ、私は罪な男ですね。ここに新たな女王様を生んでしまったみたいです。
次はベルギーの所に遊びにいきました。
やはり驚くベルギーを強引に説き伏せ、私は全裸になり……
「えっと、止めんか?叩かれるん、痛いんよ。よく尻叩かれたから知っとるん」
大きく手を振りかざした所で、弱気な瞳で私を見つめてきたベルギー。
「叩くのがイヤでしたら、このハイヒールで踏みにじってくださってもいいんですよ。
特に陰茎とか、肛門とかを狙って……ハァハァハァ」
あからさまにイヤそうな表情を見せ、覚悟を決めたのか、振りかざした手を私の尻向けて振り下ろし、
「はぅ!」
乾いた音とともに、体に走る痛み。
……叩かれ慣れているせいですかね。
痛みを広範囲に与えるよう、無意識に手を移動させているみたいです。
更に早く終わらせたいのでしょう。
尻を叩くスピードが段々と早くなってきました。
乾いた音が室内に響き渡ります。
……そういえば、彼女の叩きの師匠は誰なんでしょうねぇ。
この絶妙な叩き方、やはりスパンキングが得意といわれているスペインですかね。
それとも、幼女趣味な兄であるオランダ?
彼ならば、幼女の尻を叩いて喜んでいそうですから、中々の腕でしょうし。
「あの、そろそろ止めん?
オーストリアはん、お尻が赤くなってきて……」
疲れたのか、叩く力が弱まってきましたね。
素質は十分なのに体力がないのが惜しい所です。
こういう時は……
手が振りかざされた瞬間を狙い、体を彼女と対面させるように向けました。
丁度、股間が手に当たるように。
「ちょっ!オーストリアはん!」
慌てて手の動きを止めようとしたみたいですが、すでに遅し。
――ぺちーん!
「いややぁぁぁ!」
「あぅ〜」
股間を叩く音、彼女の悲鳴、私の快楽の声。
それらがコントラストとなり、美しい音楽が辺りに響きわたりました。
ハァハァハァ、乗ってきましたよ。
次は巨乳美女ウクライナと、天然Sなベラルーシの所です。
もちろん、ロシアがいない時間帯に襲撃をかけまして……
「……殺す」
ナイフで素晴らしい歓迎ののち、かけてくださったのはそんなお言葉でした。
まあ、私も興奮してしまって全裸で押しかけてしまったのが原因でしょうが。
紳士らしく、縄の服に首輪で訪れればよかったのですけれども。
びっくりしたのか、涙を零すウクライナをさりげなく庇いながら、
ベラルーシは私からじりじりと遠ざかっていきます。ああ、その蔑んだ瞳が最高です。
その汚いものをみる目つき、美し過ぎですよ。
「私の前から消えろ」
ナイフを手に睨みつけてくるのもさすがですが……
できればナイフよりは鞭の方が嬉しいんですけれど。
さすがにナイフでは、快楽を通り過ぎてしま……いえ、何事も実体験が大切です。
「さあ、思う存分、私を罵ってください!」
わざとウクライナを狙い、駆け出します。
あまりの事に反応するのが遅れたのでしょうか。
駆け出す私に小さく舌打ちをし、すぐさま姉を庇うように私とウクライナの合間に入ってこようとしましたが。
私の方が早かったみたいです。
ウクライナの豊かな胸の感触が……
となる予定でしたが……意外な伏兵でした。
なんとウクライナの足が私の股間にヒットし……
「お゛お゛お……お゛お゛お」
頭の中を駆け巡る快楽物質に、私は体を震わせ、あっと言う間にいってしまいました。
「……なにこれ」
「ふぇ〜ベラルーシちゃん怖かったよぉ」
悶える私を見下しながら、二人はただいつまでも立ち尽くしていました。
さて、次は……セーシェルさんちにでも行くとしますか。
彼女はあの変態で有名なフランスと、変態紳士なイギリスに調教……ではなく、育てられたわけですから、
かなり期待してもいいでしょうね。
「と、いうことで、お仕置きお願いします」
「なに言ってやがりますか。すっとこどっこい」
思わずフランスやイギリスにいうように、中々の良い言葉を返してくださいました。
しかし、彼女自身も驚いたのでしょう。
私の顔を長いこと見つめ……
おでこに手を当ててきました。
「えっと、熱はないですよね?オーストリアさん、何……へっ」
ここで私の格好に気がついたのでしょう。
先ほどの失敗を省みまして、ちゃんと縄に首輪という紳士的な正装でやってきましたよ。
彼女の視線が上から下へと移動していき……股間まで来たところで動きがとまりました。
夕日のように顔を赤く染め、肩が大きく動き、
「いやぁぁぁぁぁ!」
いつの間にか取り出したカジキマグロを振りかざし、私めがけて振り下ろしてきました。
心地よい痛みが後頭部を駆けめぐり、私は地面に横たわりました。
……それからの攻めが最高でした。
彼女の可愛らしい足が私の背中を何度も何度も何度も踏みつけ、そのたびに私は甘い声を出してしまい……
床を白い液体で汚してしまったのは秘密ですよ。
さすがは変態二国に構われ続けた少女。
涙目になりながらも、私を攻める足は動きをゆるめませんでした。
本来はこれでおしまいにしようと考えていましたが、あまりの気持ちよさにテンションが上がってしまい、
アジアの方まで手をだしてしまいましたよ。
台湾の家にお邪魔した際、タイミング良く、ベトナムが滞在していました。
二人とも最初はにこやかに出迎えてくださっていたのですけれども……
「あの、ベトナム姐さん……」
「しっ、見るな。ああいう輩は知らん顔が一番答えるんだから」
こそこそと話し合う二人。
だけれども、無視ぐらいでどうにかしようだなんて甘いんです。
所謂放置プレイだと思えば……ハァハァハア
自ら縄で動けなくなった状態で、私は二人を見つめていました。
一応レディの前ですから、フランス流に股間に花をあしらって。もちろん、花は国花のエーデルワイスです。
それにしても、お二人とも中々良い反応をしてくださいました。
私にお茶を差し出して、最近の噂話に華を咲かせていましたが、優雅に『なじってください』と伝えると、
二人とも同時にお茶を噴出して……ああ、あの時、もう少し側にいれば、お茶を吹きかけてもらえていたのに。
その事がとても残念でたまりません。
でも、このベトナムの蔑んだ視線と、台湾の哀れみの視線は中々の刺激です。
「えっと……ハンガリーさんにでも連絡して引き取ってもらいますか?」
「いえ、ドイツの方がいいだろ。ハンガリーにこんな姿見せられん」
もう一度、蔑んだ瞳で私の醜態を見下し……
ハァハァハァハァ……いい。すっごくいいです。
高められた快楽は、すでに限界を超えていて、白い花の下から、私の亀頭が顔を出し始め、更に白い液体が……
「……ああああっ!」
「いやぁぁっ! 何か出しましたよ! きゃぁぁっ!」
「……変態」
家に響き渡る黄色い悲鳴。
にしても、ベトナムは失礼ですね。私は変態なんかではありません。正真正銘のマゾですよ。
いつの間にか日は沈み、少しだけ空気が冷えてきました。
女性陣の家を回っていたら、もうこんな時間みたいですね。
今夜はハンガリーがお祝いをしてくださるといっていましたし、そろそろ帰宅するとしましょうか。
本当ならばハンガリーにも攻めて欲しい所なんですが……
さすがにこんな情けないお願いはできそうもありません。
ハンガリーは私の事を尊敬してくださっているので……彼女をがっかりさせるわけにもいかないんです。
……まぁ、今回の騒ぎでばれてしまうでしょうけれど。
いっその事、自らの性癖を暴露してしまった方が楽になれるかもしれませんね。
そうしたら、彼女も攻めてくださるでしょうか。
彼女ならば、きっと黒い革のボンテージが似合うことでしょう。
鞭はもちろん乗馬用鞭です。それで、私の背中にのって、お尻を鞭で叩いて……
そんな妄想が頭の中を駆け巡っていましたが、ぼんやりと歩いているうち、いつの間にか我が家についていました。
軽く咳払いをし、緩んだ頬を引き締め、ドアを開け……
――目の前には、ボンテージを着たハンガリーの姿がありました。何故か手には乗馬用の鞭。
「あ……寝ぼけて家間違えたみたいです。すみません」
一礼し、ドアを急いで閉めようとしましたが……彼女の手によって止められてしまいました。
にっこりと微笑む彼女。やはり目の錯覚ではないみたいですね。
そうすると……ああ、ハロウィンですね……って、ハロウィンはあと一週間先のはずですし……そうすると。
「オーストリア……」
冷たい声が私の名前を呼び、黒い手袋に包まれた指で顔を撫でられました。
いつも暖かな瞳には、蔑んだ光が宿っており……
あああ、なんていう女王様でしょうか。完璧です。
まだ鞭もふるってもらっていないのに、身体の奥底から熱いものがこみ上げてきましたよ。
「私に内緒でよそで遊んでもらっていたみたいですね……そんなにお仕置きをして欲しかったんですか」
すっと鞭を振り上げ、躊躇なく私へ振り下ろされました。
「くっ……」
服越しなのに肌にぴりぴりとくる感触。
この痛みが徐々に甘い刺激へと変化していき、口から吐息がこぼれてしまいました。
それを察したハンガリーは、更に鞭を振り下ろし。
背中、足、胸と、様々なところを絶妙な鞭裁きで攻め立てます。
自然と息が荒くなり、彼女は膝をついた私を見下しました。
「犬には服なんて要りませんよね。さっさと脱いでください」
冷めた声が私を責め立て……ああ、なんでこんな完璧な女王様なんでしょうか。
もう少し早く頼んでみるべきでしたね。そうすればもっと……
「……聞こえませんでしたか? 服を脱いでっていったんです」
鞭を床に叩きつける姿に、体中が熱くなりながら、私は潔くブラウスのボタンを外し……
身体のあちこに残る鞭や縄の痕。散々お仕置きしてもらいましたから、この痕は中々消えないでしょうね。
おや?
一瞬だけ寂しそうな瞳になった気がしたんですけれど、目の錯覚でしょうか。
「……もうこんなに勃起させて。感じているんですか?」
素肌に鞭の一撃。衝撃に前のめりになって手を突くと、すかさず私の背中の上に乗ってきました。
勢い良く乗られたため、みしりと背骨が音を立てている気がします。
「この貴族は、女に乗られて感じてしまうマゾなんですね。
本当にがっかりですよ。オースト『ラ』リアさん」
「『ラ』はいりません! ぐっ」
反射的に訂正した途端、私の尻に鞭が飛んできました。
一度、二度、しなる鞭が私を襲い……可愛らしい笑い声と私の痛みと快楽に耐える声がハーモニーになり。
「最低です。犬なのに。私のなのに。犬なのに。私に秘密ごとを持つだなんて。本当に……最低」
段々と鞭の力が弱まっていき……おかしいですね、彼女は体力はあるはずなんですが。
彼女の状態を確認しようと、顔を見上げ……背中に温かい何かが落ちてきました。
うつむいた顔、微かに震える身体。もしかして……
「……泣いているんですか」
「泣いてなんかいないんです! オーストリアさんは責められるのが好きなんだから、
何で女王様の私が泣くだなんて……完璧な女王様を私が!」
また温かいモノが背中を濡らし。
……参りましたね。責められるのは好きですけれど、泣かれるのは苦手です。
「……ハンガリー、私の背中から降りてくださいますか」
できる限り優しい声で話しかけました。
しゃくりあげる声がしばらく続き、背中の圧迫がなくなりました。
大きく息をつきき、床に座り込んでいるハンガリーの髪にキスを一つ。
そして、唇にもキスをしようと頬に手を沿え……その手は彼女に振り払われました。
「嫌です! 何で犬なんかに唇を! ん……んんっ」
抵抗する彼女を少し強引に押さえつけ、唇を重ねました。
最初は唇を離そうと、私の胸をどんどんと叩いてきましたが、徐々にとろりとした瞳になり、やがて瞳を閉じ。
温かい口内を舌でかき回すと、必死に答えてくれる。
舌先を重ね、それから舌全体で絡み合う。水音と彼女の吐息と。それに興奮して更に唇を味わい。
どれくらい唇を合わせていたのか忘れました。顔を離すと、翠玉の潤んだ瞳に私の顔が映るのを確認できました。
なんて情けない顔をしているんでしょうね。愛する者を泣かせてしまった本当に情けない男の顔。
首に胸元に腕に唇を落とし、赤い華を咲かせ。
「すみません。隠し事をしていて。愛していたから、こんな情けない性癖を見せたくなかったんです」
ボンテージのファスナーを下ろし、豊かな胸を解放させる。
ああ、きつめのものを着ていたせいですかね、白い肌に赤い痕がついてしまいましたよ。
私を求めて硬くなった胸の突起を口に含み、唇で転がし。
「ふぁ…どんな姿でも、どんな性癖でも……オーストリアさんだから……
オーストリアさんが好きですから、見せて欲しかった」
大きな瞳に涙が溢れ、頬を濡らし。
……辛いです。いつもの快楽の涙ではなく、悲しみの涙なのですから。
目元にあふれ出した涙を舌で掬い、
「すみません。どんなに謝っても許してくれないでしょうが……」
耳元に唇を近づけ、
「ですから、どうして欲しいですか? 今夜は私は貴方の奴隷です。何時間でもリクエストに答えます」
私の息に背筋を震わせ、ぎゅっとしがみついてきました。
背中に腕を回し、私も強く抱き返し。
「愛してください。強く強く」
肌を打ち付ける音。濡れた音が響き、ベッドを濡らしていく。
私の上で淫らに踊るハンガリー。大きな胸が痛々しいぐらい揺れているのに、動きを止めない。
すぐ側にある接合部が摩擦し、私の陰茎を強く締め付ける。
彼女の髪の色と一緒の茂みが淫液に濡れ、その合間からぷっくりと膨らんだ豆が顔を出していた。
手を伸ばし、豆を指の腹で転がす。
「やっ! クリが気持ちいいです! ひゃ、もっと強く強く!」
望み通り、少し強めに指で挟むと、大きく身体をふるわせた。その瞬間、私の陰茎を更に強く締め付け。
「出してください! 私の中にたくさん出して! ふうぅん!」
陰茎に意識を集中すると、あっという間に精液を放出してしまう。
何度、精液を彼女の中へと注ぎ込んだのか。
何度、彼女は絶頂を迎えたのか。
考えるのもだるい。だけれども、彼女は求め続けるから、私も快楽を与え続ける。
彼女の腕が肩に回る。抱き起こされて対面になる。
深い口付け。
「今度は……ぎゅっとしながら愛してください」
身体に触れるたびに、締め付けてくる胎内。油断していると全て吸い取られてしまう気がして。
「愛してます。ハンガリー」
彼女の要求に答え、重くなった腰をもう一度動かし……
「……反省してくださいね。あの後、みんなにお酒飲ませて、前後不覚にして……
夢だと思わせるようにしたんですから」
私の腕の中で可愛らしい頬を膨らませ、呟いてきました。
「いっその事、性癖を暴露しても良いと思ったんで……ん」
唇を封じられ、言葉が途中で途切れた。彼女から舌を入れてきて。
「……ダメです。あんな姿を見れるのは私だけなんですから。
週に一回程度ならば、女王様に挑戦しますから」
「……週に3回では……」
「嫌です」
きっぱりと言い切られてしまいましたよ。
私の上に胸を押し付け、微笑み、
「私の命令は絶対ですよね。オーストリアさん」
少しだけ鋭い光が宿った瞳に見据えられ。
――正直、再び勃起してしまったのは秘密ですよ――
「それではこれから世界会議を始めるぞ」
いつものアメリカの宣言後、各国はそれぞれ課題について話し合い……いつものように暴走が始まり。
そして、相変わらず会議にならない会議は白熱し……私はその騒動の中、優雅にコーヒーを口にしました。
賑やかな部屋の中、ちくちくと刺さる視線があったのは気がついていましたが、
あえて気がつかない振りをして様子を観察してみますか。
その視線の正体は、先日遊んでくださった女性陣。
「アレは夢……でしたのでしょうか」
「夢にしては生々しいんよ」
手に残った私の陰茎の感触を思い出したのでしょうか、ベルギーは顔を赤らめ、
「でも、オーストリアちゃんってば、何事もなかったかのように会議に参加してるし」
「……夢? でも、あれはあの貴族の……」
「夢? 何のことだし」
「いや、オーストリアさんが、変態さんな格好で女の子の家に遊びに来た……」
「変態の格好? マジうける。よし、俺が聞いてきてやるし」
いつの間にか女の子の間に混ざっていたポーランドが私の方に駆け寄ってきました。
慌てて静止しようとする女性陣でしたが、少しの好奇心がかったのでしょう。息を呑み、私の言葉を待っているようです。
「私が変態ですか? フランスやイギリスではあるまいし、そんな事するわけないじゃないですか」
「失礼だなぁ。お兄さんは節度ある変態さんだよ。ほら」
いつものように薔薇を装備したフランスが女性陣の前に躍り出て……悲鳴が会議室に響き渡りました。
そこからがまた混沌としてきました。
スイスがリヒテンシュタインの悲鳴を駆けつけ、ライフルでフランスを追い掛け回し、
その後ろからロシアが追いかけ、更にベラルーシが兄を追いかけ。
夢であったという事実にほっとした様子の台湾は、ベトナムと共にお茶を用意し始め。
「全く不協和音ですね」
ぽつりと呟きました。身体に走る快楽を見せぬよう。
隣で微笑むハンガリーの手には何かのリモコンが握られており……
――やはり、ハンガリーは最高の女性です――
2009/10/26オーストリア誕生日初出
変態オーストリアは書いててかなり楽しい。
カッコいいのも好きだけど、こういうタガが外れたのも良し。
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