「で、お前さん方の童貞喪失は誰とだ?」
世界会議中、いつしか下ネタへと話が移行していき、にやついたフランスが話を降ったのだった。
その瞬間、目を逸らすイタリアとドイツ。
それだけで、彼らのそっち方向はわびしいものだと誰もが理解できた。
「あー俺は……まあ、処女をもらった奴と一緒……だと思う」
イギリスの不思議な発言に首を傾げる一同。
だが、オーストリアだけは大きく首を縦にふっていた。
「僕はねぇ、姉さんだったな」
「ちょっ、それ近親相姦?」
思いがけないロシアの言葉。思わず、アメリカがつっこみをいれる。
彼のつっこみに、笑みを浮かべ、
「うん。姉さん好きだったから良かったんだけど」
意味深な言葉と少し寂しげな笑みに、一同はそれ以上聞く事はなかった。
いや、できなかったと言う方が正しいだろう。
「で、ずっと黙り込んでる日本はどうなんだ?
もしかしてまだチェリーボーイか?」
空気を変えようと、フランスが今まで沈黙を保っていた日本に話を振った。
日本は一つ大きなため息をつく。
その行動で、きっとまだだと思い、によによ顔になったフランス。
慰めようとぽんと背中を叩き、
「勘違いされてるようですが、一応経験はあります」
「え、日本の裏切り者〜ずるいよ」
「お前だけは戦友になれると信じていたのに」
ほぼ童貞宣言に近いイタリアとドイツに、日本はすまなそうな笑みを浮かべた。
「で、この奥手な日本の童貞を奪ったのはどこの物好きあるか?」
「えっと……黒髪の美しい……元気な少女でしたね」
「少女って事は、日本も結構早い時期に……ずるいよ〜」
イタリアのぽかぽかと叩いてくる攻撃をよける事なく、日本は笑みを浮かべた。
……しかし、その笑みの中に、寂しげなものが混ざっていた事に気がついた者は誰もいなかった。
 
 


女性達の賑やかな声が響きわたる。
艶やかな着物を着た者たちが円陣を組むように集まっていた。
くすくすと笑い声が広がる。
「もう、日本ちゃん可愛い。ね、こっちも」
「これもいいんじゃない?あ、やっぱり似合う」
「ふふっ、逃げちゃダメよ」
女性達の輪の中から、ぼろぼろになった少年が足取りも怪しく出てきた。
黒い髪には、鮮やかなかんざしやら髪飾りがつけられている。
「もうよろしいですよね。私はこれで……」
「あーもう少し遊びたかったけれどしょうがないか。
紫式部姉様の話の続きが読みたければ、また遊びにきてね」
輪から少し離れた所で優雅に手をふる女性に一礼すると、少年は足早にその場を去った。
立ち止まったら、あの元気な女性達に身も心も遊ばれてしまいそうだから。
やはり女性は強い者だと、実感し、ため息を一つ。
だが、待ち望んでいた話の続きが読めるのだ。
両手に抱いた紙の束を改めて見つめると、頬を緩めた。

「あ、それ『紫の物語』の続き?
ボクにも読ませてね」
後ろから聞こえた声に、びくっと反応する。
が、予想通りの顔があったので、笑顔をむけた。
「座敷童子さん、迎えに来てくださったんですか?」
少年の言葉に、座敷童と呼ばれた少女は満面の笑みを浮かべた。
年頃は少年と同じぐらいか。
可愛らしい着物を身にまとい、黒髪に大きなリボンををつけている。
妙に大人びた少年とは違い、年相応の無邪気さを見せた。
「日本ちゃん大丈夫だった?お姉さん達に何かされなかった?」
心配そうに少年の全身を確認する。
髪や服に多少の乱れはあるものの、特に何かされた様子が無いことに安堵のため息をついた。
と、そこで少女がイタズラな笑みを浮かべた。
くすくすと笑い声をあげ、少年の頭に手をやる。
「あはは、日本ちゃん、桃色の髪飾りも似合うね。髪飾り、ボクとお揃いだ」
女性達のイタズラによって付けられた女性物の髪飾り。
全部外したつもりだったのだが、はずし損ねたものがあったらしい。
頬を赤らめ、髪飾りを外そうとする少年だったが、少女によって手を掴まれてしまった。
「このまま帰ろうよ。よく似合うんだもん。
ぽちちゃんにも見せてあげようよ」
手を握ったまま、駆け出す少女に、引きずられるように走り出す少年。
困ったような嬉しそうな笑みを浮かべながら、少し強引な少女のなすがままに従い足を動かす。

……いつ頃から一緒にいたかはもう覚えていない。
一緒にいるのが当たり前で。
お姉さんぶる少女が大好きで。
少し冷めた少年も、少女といると、年相応になれる。
だから、少年は少女と一緒にいる事が幸せだと感じていた。


本だらけの一室。
そこで背中合わせで二人とも本を読む。
そんな小さな幸せ。
静寂の中、紙をめくる音が響き、
「ね、このお話に出てくる逢瀬ってなーに?」
「恋人達が人目を忍んで出会うことです。
この話では、男女の性交渉の事をさす場合が多いですね。
一般的には、子作りの為なんですが、人によっては性的快楽を求めるだけの場合もあります。
そちらに偃息図があるでしょう。男女がそのような行為をしているんです」
知識だけはある。
が、そのような行為したこともなく、その行為に恥じらいというものを持ち合わせていない少年は、淡々と答えた。
少女は首を傾げ、指さされた方にある偃息図を手に取った。
全裸の男女が様々な体位で濃厚に絡み合う。
多少知識があるものだったら、赤面物の本だが、少女は真顔でその本を見つめ、
「これ、楽しいの?」
「さあ? 中毒になる方もいるみたいですし、きっと楽しいのではありませんか?」
問われ、初めて好奇心が湧いてでた。
紫の物語でも、光源氏が毎晩のように様々な女性の元へと通うのだから、きっと楽しい事なのだろう。
子供ならではの好奇心。
「……試してみる?」
「百聞は一見にしかずっていいますからね」
無邪気な提案に、少年は首を縦にふった。


お互い向かい合い、衣類を脱いでいく。
羞恥心はない。ただの好奇心だけで。
自分の体と違う事に知的好奇心がかきたてられる。
まだ膨らみもしない平坦な胸。
しかし、膨らんでいなくても柔らかそうな胸。自分の体と見比べてみる。
筋肉はまだあまりついておらず、どちらかというとガリガリな方。
同じ胸なのに、女の子の方がなんでこんなにも魅力的なのだろうか。
すらりとした足が露になっていく。白い生地が中心部分を隠しており。

「ほら、日本ちゃん手止まってるよ。早く早く」
はらりと白い布が床に落ちた。滑らかな丘に一筋の割れ目。
自らの股間のように、異物はない。それが絵画のように美しくて。
「あれ? ボクのとこ、その棒ないよ」
「これは男根といいまして、男性にしか生えていないものなんですよ。その代わりに」
少女を座らせると、割れ目に指を差し入れた。
しっかりと閉じた割れ目。指という異物に少女は少しだけ眉を潜める。
痛みがでないよう、そっと指先で開いてみせた。
「こにある微かな突起が、男根と似たような役目に」
「やだ……くすぐったいよぉ」
くすくすと笑う少女。痛みは感じられないらしいので、もう少し秘めた場所を探ってみた。
本で見たものとはずいぶんと違う。やはり子供だからなのか。

ぴったりと閉じる花びらを指で開き、微かに見える穴をじっくりと観察する。
指ですらきつそうな穴。淡い桃色の花弁が周りを彩り、男根代わりの突起の下に小さな穴を発見した。
その穴を指先でつついてみる。
「この穴は……ああ、尿が出る穴なんですね。男性と違って、性器とは別になっているんですか」
「んっ……やーだぁ〜くすぐったいって。んふふっ、あはは」
触るたびに笑い続ける少女に、少年は指の動きを止めた。
本では触れば甘い声でないてくれると記されているのに。実際は楽しそうに身をよじらせるだけ。
まあ、実際泣かれてしまっても困るし、楽しんでくれているのは嬉しいのだが、
本の通りに行かないもどかしさにため息をついた。

「はぁ〜面白かった。それじゃ、今度はボクの番だよ」
少女の柔らかな手が、男根をわしづかみした。
力加減を知らないため、少々痛みが走り、小さく呻き声をあげる。
「あ、ごめん。今度は優しく触るから」
両手で包み込むように男根に触れる。本と実物を交互に眺め、
「本と随分違うね。こっちのは大きいし、先っぽが見えてるよ」
「くっ……それは本では誇張して描かれている時が多いですし、ほーけーというもので」
性器に走るくすぐったさに唇をかみ締める。
ぴくりと反応を見せる性器から指を離し、周りからじっくりと眺めた。
少女にとっては非常に滑稽な形。
「こっからおしっこでるの? ふーん変なの」
片手で根元を支えながら、亀頭の穴を指先でいじりまわす。
指先でつつくたび、透明な液体がくっついてきて糸を引く。
それが楽しかったのか、何度も何度も先端を弄り回し。
手の中で堅くなっていく性器に少し首をかしげもしたが、指先に感じる透明な液体にすぐに興味が移った。
やがてふるふると震える少年に気がつき、手を離す。
「ね、大丈夫? 日本ちゃ……わっ」
指が離れた途端、白い液体が勢い良くあふれ出し、少女の手や顔を白く染めた。
頬から垂れる液体が口の中に入り、眉を潜める。
「……まずいよぉ……これなーに?」
「はぁ……こ、これは精液というものでして……私も初めて見ました。こういう風に出るんですね」
本では何度も読んだ知識。これが射精というもので、大人の反応のひとつ。
ぼんやりとした頭の中で、文献に載っていた事を思い出そうとする。
勃起の仕組み、射精の仕組み、そして精液の役目。

そして、自分は妊娠させることができるのかという疑問に襲われた。
そもそも性行為は可能なのだろうか。
身体の仕組みは人間のそれと変わりがない。

「それでは逢瀬を続けるとしましょう」
少女を抱き寄せ、頬に口付け。膝に抱きかかえ、本をぺらぺらとめくってみせる。
「どんな風にやりますか? この形だったら楽そうですし、こっちだったら……想像がつきませんね」
様々な体位が描かれている絵を指差しながら、二人で頬を寄せ合って相談する。
少女はしばらく考え込むと、一つの絵に指を止めた。
「これがいいな。これだったら日本ちゃんの顔見ながらできるもん」
女性上位で抱き合っている図を指差した。
その絵を見ながら、彼女は向かい合わせに膝の上に座り込み、彼は性器を指で支えてみせる。
何度か亀頭を花びらに摺り寄せる。
くすぐったさのせいか、少女は可愛らしい声を上げ、笑い転げる。
しかし、徐々に甘い声が混じり始めていたのを彼は聞きわけていた。
未熟な胸に口付け、先端を舌で転がす。
ゆっくりとゆっくりと少女の中へと侵入を始める。
痛みに眉をひそめる少女の唇を奪い、強く抱き寄せる。
滑らかな背中を優しく抱きしめてやり、漆黒の髪に口付けを一つ。
「やっ、痛いよぉ、やだぁ……んっ」
涙を浮かべる少女に、少し罪悪感を抱きもしたが、それよりも性器を襲う感触に意識が集中してしまう。
奥に入り込むたび、抵抗を見せる砦の感触が直に頭に叩きつけられる。
はじめて味わう感覚に、彼は大きく息を吐き。
「こ……これが逢瀬…くっ、確かに夢中になりますね」
「やぁっ、ボクは全然気持ちよくないよぉっ……ふぁっ」
痛みに腰を浮かせ、逃げようとする少女の腰を掴み、自らの腰を持ち上げる。

――まだ足りない――

心の奥底で眠っていた熱い欲望が蘇る。
少女の中をもっともっと味わいたい。
最初は学術的興味であったが、今はただの男として。
頭の芯が蕩けてくる。少女の中はこんなにも熱いから。
短く吐息を放ち、少女を抱き寄せる。
首筋に口付けをし、耳たぶを舌で舐める。
「ふぁっ、やだぁ、日本ちゃんの意地悪ぅっ」
漆黒の髪を揺らし、首を横に振る少女の頬を優しく手で包み込んでやり、もう一度口付け。
ほんのりとただよう桜のような香り。脳を刺激する香り。

真っ直ぐに瞳を見つめ。

「……んっ、そんな顔で見つめちゃ……やだよ」
いつの間にか打ち捨てられた子犬のような表情をしていたのか、
少女は小さくため息をつくと、今度は彼女から唇を重ねた。
「日本ちゃんは本当にお勉強好きだね。
しょうがないから、もう少しお手伝いしてあげる」
きゅっと目をつぶり、膝の力を抜いた。
自重で胎内に性器がゆっくりと奥まで突き刺さっていく。
とうとう少女の中に全体が納まる状態となった。
痛みに耐えているのか、少女は震える肩を少年に押し付けてくる。
膨らむ前の胸が彼の胸に重なる。突起が肌で擦れた途端、少女は小さく声を上げた。
「やぁ……んっ、変なの。やだぁ、もう変だよぉ。ボク、ボク……」
明らかに熱の篭った声。こんなに幼いのに性に関する感覚はあるのかと、彼は感嘆の声を漏らし。
更なる奥を、更なる快楽を求め、再び彼は腰を動かす。
濡れた音が書庫に響き渡る。
溢れた蜜が彼の腿を伝い、床を汚していく。

――湿気は書物の大敵なんですよね――

どこか冷静な自分が頭の中でつまらない事を呟く。
でも、身体は熱く、少女の奥まで貫き続け。
「くっ……ああっ」
感情が高まる。全身の感覚が性器に集まったような錯覚に陥り。
精液を中へと吐き出してしまった。

そっと引き抜くと、少女の幼い割れ目から、精液があふれ出してきた。
少女は大きく肩で息をしながら、腿を伝う精液に首をかしげる。
指で割れ目を開き、精液を指で拭う。ほんのりと赤の混じった精液を。
「これ、さっきの……えっと精液ってやつだよね。
これ、ボクの中で出しちゃったの? ……ボク、どうなっちゃうの?」
不安げに彼を見つめてくる。
当たり前だろう。男の身体を……いや、女の身体の事もろくに知らない少女なのだから。
「すみません。もっと事前に説明が必要でしたね。
精液は子供の種で……もしかしたら座敷童子さんに子供が……」
「ボクに子供? ボクと日本ちゃんの子供? 何で? 何で精液で子供になるの?」
納得いかなそうな少女が首をかしげ、彼に疑問の雨を降らしてきた。

彼は一つ一つ丁寧にその疑問を答えてやり……結局、その日は明け方まで二人で話し合っていて――




 

「結局は妊娠なんてできなかったんですけれどね」
いつの間にか馬鹿騒ぎになっていた会議室で、日本はぼそっと呟いた。
記憶の中の少女。顔ははっきりと思い出せるのに、名前も少女が消えた日を思い出せない。
あんなに好きだった少女なのに。
これが年を取ることなのかと、周りに気づかれないようため息を一つつき。
会議室を見回す。暴走し始めた一同と、額に青筋を立て始めたドイツ。
そろそろ彼の一声で会議が終了するなと思い、手元の荷物をまとめ。

――鼻をかすめた桜の香り――

こんな時期にと周りを見回すが、桜の花など見当たらない。
幻覚だろうと、再び荷物をまとめだす。
フランスが半裸で暴走し、イタリア兄弟が何故かパスタを机に並べており、アメリカはドーナッツを頬張っている。
その脇からつまみ食いする中国に、背後の異様な空気に震えるロシア。
背後霊のように後ろにいつの間にか待機しているベラルーシ。
イギリスは何故かノルウェーと一緒にしゃがみこみ、何かを見つめていた。
「また来やがったのか。全く、あいつの家でおとなしく待ってろって。犬もいるんだろ」
何も無い空間に向かって手を動かし……丁度小さな子供の頭ぐらいだろうか。
「みんなに会えるはんできたって……お前はあいつの家ば守っていればえのに。
まあ、俺もお前にあえて嬉しいばって」
ノルウェーもイギリスと同じく、何も無い空間を撫で始め。
いつもの謎の行動だから、深くは気にしない。
小さくあくびを一つ。窓の外をぼんやりと眺め……
今年は花見はいつにできるか、何を作るかといろんな事を思い描き。

「お前らいい加減にしろぉぉっ!!」

いつものドイツの怒声に、一同は動きを止めた。
いつもの会議。いつものお約束。
毎回繰り返される日常は結構楽しいのだけれども。
昔の感傷に浸ってしまったせいか、少しだけ寂しさが募る。
騒ぎの中なのに、一人ぼっちのような感覚に陥り。

――日本ちゃん、大好きだよ――

懐かしい誰かの声。頬に当たった温かい感触に、日本は周りを見回して。
賑やかな皆の騒ぎ声と、たくさんの笑顔。
「ああ、一人ではないんですよね。今も昔も」
ぽつりと呟くと、もう一度外を眺める。
この騒ぎが終わったら、今度は会議ではなく、花見の誘いでもしてみようかと思いつつ。





座敷童子ちゃん、初の18禁作。
外見年齢としては、少々誤差があるかもしれないけれど……気にしないでください。
ちなみに『紫の物語』とは、『源氏物語』のことです。


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