熱気のある会場。
人々はそれぞの舞台で喜怒哀楽し、それを見つめる者たちも手に汗を握り、選手達と一体感を得る。
その舞台一つで、世界が一つになったかのような錯覚さえ覚える。
歓喜する観客の中、白熊を抱えた青年が穏やかに微笑んでいた。
「やっぱりオリンピックっていいね。皆楽しそう」
「ソウダナ」
売っていたポップコーンを頬張りながら、白熊が答えた。
どこか異質な光景。でも、熱狂する人々のそんな違和感には気がつかない。
青年はただ楽しそうにその光景を一日中眺めていた。

「ふぅ、思わず皆を見てるのが楽しくて会場に一日いちゃったよ」
抱えた白熊の顔を見て、再び満面の笑みが浮かぶ。
ふわりとした毛皮に顔を突っ込み、感触をたっぷりと味わい。
青年は自室へとやってきた。
この時期だけは、会場の近くの質素なホテルに泊まっている。
みんなの顔をできるかぎり見ていたいから。
楽しそうに微笑む皆の顔を思い出し、彼の頬も緩み。

扉を開ける。
誰もいない一室……のはずが、ソコにいたのは何故かよく知った顔。
虫の知らせか、嫌な予感がしてとっさに逃げ出そうとしたのだがあっさりと捕まってしまった。
「すまん。これも競技の一つなんだ」
「ごめんね。カナダ。でも、きっと楽しめるよ。ヴェ〜羨ましいな」
羽交い絞めしてきたムキムキな男がすまなそうに呟き、
手から零れ落ちた白熊をぎゅっと抱きとめる青年が毛皮に顔を埋める。
ゆっくりと彼に近づいてきた二人の男はにやにやとした笑みを浮かべ、
「さーて、夜のオリンピック、始めるとするか」
「お兄さん、頑張って解説しちゃうからね」
男達の意味ありげな言葉に、彼の顔から血が引いていく。
「えっ、ちょっとぉ、あの、止めておねがい〜」
涙のお願いも、悪乗りした男達に届く事は無かった。

 

「夜のバンクーバーオリンピック、今宵開催だ。
司会は世界の愛のおにーさん、フランスと」
「……オリンピックの起源、ギリシャ…」
妙なテンションの高さのフランスと、いつものマイペースなギリシャの声が会場に響き渡った。
そして会場を見つめているのは、世界各国の男達だ。
会場の真ん中には……何故か全裸にむかれたカナダの姿。
……会場といっても、スポーツリンクではない。大きい舞台の上でカナダは恐怖に怯えていた。
まるでその舞台はストリップ劇場のようにも思える。

司会は男女問わず愛の人なフランス。
この舞台にフランスというと、嫌な予感しか生まれない。
「あのごめんなさい。僕が悪かったです。だからお願いします」
「何か今宵の犠牲者……じゃなくて、名誉ある選手が何かいってるが、
心の広いおにーさんは気にしないよ。
さぁ、選手の皆さんの入場だぁぁっ!!」
スポットライトが花道を照らし出し、ある人物達がゆっくりと現れた。
「まーずは、天下無敵のヤンデレ妹! 白い肌が魅力的なベラルーシちゃん♪
次は人妻という響きは最響なり。スタイル抜群のハンガリーちゃん。
続いては……小さい事は正義! ちっぱいすらも魅力の一つ! リヒテンシュタインちゃん」

テンションの上がりきったフランスが肩で息をしながら、ちらりと横に座っていたギリシャを見た。
『お前も参加しろ』という事だろう。
ギリシャは膝の上に乗っている猫の背中を軽くなで、眠そうな瞳を舞台に向けた。
「……日焼けした肌には……白いものが…良く似合う……南国の華……セーシェル。
大きな胸には……夢が詰まっている…? 愛と希望と……何かの象徴……ウクライナ」
出場国5人が舞台の上に勢ぞろいした。彼女達は晴れ晴れとした表情で観客達に笑顔を向けている。

「さーて、今宵最初の競技は、『フィギュア』ルールは簡単。美しさが重要だ。
カナダ相手に口や手でもいいし、中に入れてもいい。手段は問わない。
どれだけ美しく乱れるか。それが審査基準だ」
フランスの説明に、カナダは青ざめた顔色で彼女達を眺める。
潤んだ瞳はまるで小熊のようで。
きっと彼女達ならば助けてくれると思ったのだろう。

しかし、彼女達は頬を少し赤らめているだけ。
「最初は……と思ったが、順番が後になると不利になるという意見があった為、5人同時にはじめてもらう」
「……開始」
残酷な開会宣言がくだる。

最初に動いたのはベラルーシだった。
戸惑いも無く、カナダの下半身に手を伸ばし、口に含む。
恐怖のせいか、まだ元気の無いペニスを口の中で弄ぶと、不可解そうに眉を潜めた。
「おおっと、ベラルーシちゃんの先制攻撃!!」
「…妙に手馴れている……相手は…?」
意味ありげに観客席……ロシアを見た。ロシアはにこにこと笑うだけで特に動揺を見せない。
その間にも片手で胸元のリボンを解きながら、根元に軽くキスをする。

「ベラルーシちゃんずるい。お姉ちゃんにも半分……ね」
いつの間にかベラルーシの横にウクライナが座り込んでいた。すでに全裸で。
「おおーっと、これは姉妹丼フラグか! おっぱいをすり寄せ、カナダを刺激してる」
「巨大なおっぱいは…ある意味凶器」
スタートから興奮しきっているフランスが机に身を乗り出す。
その横で机に乗って寝ていた猫をそっと膝の上に引き寄せ、安住の地をつくってやるギリシャ。
「んっじゅ…ねーさん邪魔しないで」
「んぁっ、ずるいよぉ。お姉ちゃんも楽しみたいの。ほら、こうすれば半分こ」
二人の舌の刺激でやや元気になってきたのか、柔らかかったペニスに堅さが出てきた。
手で根元を押さえてあげれば、どうにか立っていられるほど。
片方が先端をすすれば、片方は玉を口に含む。
ウクライナは審査員に見えるよう、少し腰を高くし、足を開く。
てかてかと光るヴァギナからは、すでに液体が溢れていた。

「さすがは世界のお姉さま! もう準備万端というわ……ををっ!!」
フランスが更に興奮した声を上げた。
涙目のカナダの胸に手を伸ばす者がいたから。
「へへっ、カナダさんは胸弱いんですかね?」
妙に淫靡な手つきで横から彼の胸を指でなぞり揚げる。
「ひゃっ……」
乳首に走る刺激に、カナダはびくりと身体を震わせる。
それをしっかりと確認した少女……セーシェルが胸の突起を指で弾いた。
「ね、もっと気持ちよくなりたいですよね」
ワンピースの胸をはだける。日焼けした形の良い胸がぽろりと溢れ落ちる。
「まさかのセーシェル乱入! にしても、日焼けの境目がなく全体的に焼けているという事は」
「…水着無しで泳いでる? …それも……普段もノーブラで」
「えへっ、それじだけじゃないっすよ」
楽しそうに微笑むセーシェルは、そっとスカートをたくし上げる。
そこには魅惑の白い三角地帯……はなかった。つるりとした幼い丘に割れ目が一つ。
「…ノーパン、ノーブラ……点数高い……」
淡々と手元の紙にペンを走らせるギリシャ。
フランスは興奮しきって、もう審査員どころではないが。
「じゃ、私も楽しませてもらうです」
乳首にキスを一つすると、露になった胸を押し付ける。乳首同士がこすれあうよう身体を動かし。

「も、もうごめんなさい。お願いだから皆、もうやめ……んっ」
泣き言を言いかけたカナダの言葉がさえぎられた。
彼の唇を塞いだのは、頬を赤く染めたリヒテンシュタイン。
最初は軽く。戸惑い気味に唇を重ね。それから舌で唇を割ってはいりこむ。
柔らかな舌が入り込み、口内を荒らす。
快楽に目をつぶれば、鼻に甘い香りが漂い、奇妙な気持ちにさせる。
目を開ければ、必死に口内を味わおうとする少女の姿。

「ちんこは姉妹、乳首はセーシェル。口はリヒテンシュタインちゃん。
まるで天国のような光景だが……最後の一人が中々動きませんね」
フランスの言うとおり、最後の一人であるハンガリーはまだ動いていなかった。
しばらく女性達に弄ばれる光景を眺めていたが。
「おっ、やっとハンガリーちゃんが動き始めました。彼女は……何やら他の女の子と話しています!
何故か姉妹が少し横にずれ、再びちんこを刺激し始め……ををををっ!!」
カナダの足を広げさせ、その間にもぐりこみ……アナルを舌で刺激し始めた。
指でいじりながらも、小さな穴に舌を突っ込み、じっくりとその周辺を舐め。
「…さすがはゲイビデオのメッカ……男を責める方法は手馴れたもの」
その実験台になったであろう貴族に軽く視線を向け。
下半身を押さえ、もぞもぞしている姿があった。顔はもうすでに真っ赤だ。
きっとその時の事を思い出したのだろう。
まあ、今は特に追及する気はなかったが。

「さーて、全選手揃いました。各選手、かなり積極的に攻めてはいますが……
ギリシャ、お前はどれが好み……じゃなくて、誰が有利だと思うんだ?」
「しいて言えば……この黒猫……肉球がぷにぷに」
膝の上で完全に油断し、寝ている猫の肉球を触りつつ付けるギリシャ。
回数が多い分、女の裸は見慣れてしまったのかと呆れた笑いを浮かべ。
(そういえば、一番最初に夜のオリンピックをやった時、女の子が先にばててしまって競技にならなかったな)
あの時のアテネの悪夢を思い出し、大きなため息をついた。
「さてさて、先の夜のオリンピックでは、中国は不参加表明をだしたり、
日本が腰痛で再起不能に陥ったりハプニングがありましたけれど」


改めて、舞台の方を見る。すでにハンガリーが押し倒し、交わってあえぎ声を上げていたりもしたが。
「……意外に遅い…カナディアンタイム?」
開始から結構な時間がたっていても、カナダは一回も射精する事は無かった。
「ん、あっ、もうダメぇっ」
大きな胸を揺らし、大きく息を吐き出して彼の上で果てるハンガリー。
酷く疲れた様子で、彼の胸板に赤いキスマークを落とし、身体を離す。
すぐ後に、スカートをたくし上げたリヒテンシュタインが彼の上に馬乗りになり、熱くなったペニスを受け入れた。
「お願いします……んっ」
もう身体も火照っていたのだろう。滑らかに身体を動かし、刺激を求める。
腰を上下に動かし、時折、前後にゆする。
それでもカナダは唇をかみ締め、快楽に耐え。
「ああなんで僕がこんな目に……これならば『誰?』といわれていた方がよかっ……あああっ」
悲痛なカナダの声が会場に響きわたり。


「……いい加減にしとけ。カナディアンタイム」
もう何時間たったのだろうか。フランスは不機嫌そうにぽつりと呟いた。
女の子達ももう何度もイきまくり、それでも彼は一度も射精する事は無い。
堅くはなっているのだから、不能ではないはずなのだが。
「…もう出した女の子が勝ち…問題ない……」
ギリシャが急遽、ルールの変更を指示するが……それでもまだ決着はつきそうにない。
観客席には、一人で処理しすぎて果てた兵たちの山。
それでも、彼女達は健気に競技を続ける。

汗と涙が輝く麗しい夜のオリンピック。

「…明日も競技あるけれど…夜のオリンピックは…今年は中止……かな?」
競技内容のプログラムを見ながら、一人ギリシャが呟き。
「にゃ〜ん」
機嫌よく答えてくれたのは、膝の上の黒猫だけだった。



初出 2010/02/19
オリンピックの際にかいたもの。
こういう馬鹿なのりは非常に書きやすいです。
ついでに、カナダは滅多に書かないキャラかもしれん。



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