「えーと……リヒちゃんって、結構天然ですね」
「結構どころじゃないだろ」
日記を読み終わった組織の者がぽつりともらしたのはその一言だった。
ここはどこの世界にも一つは存在している怪しい黒の組織が借りている会議室。
壁には『閉じ込めてみました。ムキムキマッチョと可憐な美少女編作戦会議〜身長差萌〜』と
でかでかと書かれていた。
そう、ドイツとリヒテンシュタインが閉じ込められたのは、もちろんこの組織の仕業である。
基本、様々な手を使い、エロエロなネタを仕入れ、それを活動資金として運用し、更なるエロエロを追求する
微妙に地味な組織だったりするのだが。
最初は普通に媚薬を使おうと考えていたのだが、予算の少なさと、ドイツの頑丈さにあきらめた。
で、思いついたのは『缶詰大作戦』だった。
健康な男女が数日閉じ込められれば、嫌がおうにもそういう流れになると踏んでいたからだ。
予想通り、数日後にはそのような雰囲気になり、つい最近そういう行為が行われた。
ドイツの性格から言って、SMになるだろうと予想し、そういう道具も差し入れた。
予想通りは予想通りだったのだが。
「スイスの訓練って一体……すごく気になるんだが」
「確かに。絶対処女だと思っていたリヒちゃんが実は違っていたという事に驚いたものな。
もしかしたらスイスが……」
「それよりも、解放された後、リヒちゃんが呟いていた言葉も気になる」
「ああ、アレか。『ドイツ様の好きなSMをマスターしなければいけませんね。
やはりああいう行為が得意なのはイギリスさんでしょうか
ドイツ様、今度はリヒテンシュタインが華麗に攻めて差し上げます』とかって奴か」
『………………』
「……聞かなかった事にするか」
「……そうだな。じゃ、とっととこの映像を編集するとしよう」
皆の頭に浮かぶは、変態紳士から嬉々として大人のおもちゃを買い付けるリヒテンシュタインの姿だ。
『ドイツ、ご愁傷様』
その言葉を同時に呟くと再び組織の者は仕事を始めたのだった。
後日談。
黒の組織が月の無い夜にセダーンされたのはいうまでもない。
誘拐容疑のみで済んだのは幸いだったというべきか。
2009/04/09初出
はじめて書いたドイツ×リヒ。
ここからなんかこの二人が妙に気に入りました。
ちなみにおまけの女王様編へと続きます。
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