●月×日
気がつくと、一室に閉じ込められていた。いや、一室というよりは、一軒家に近い。
一部屋に大きなベッドが一つ、浴室にトイレ、台所。
脱出を試みるが、不可能。生活に必要なものは揃っていたので、中々の待遇ではある。
……彼女と一緒でなければ。彼女の名はリヒテンシュタイン。
まだ安らかに寝息を立てている。もし2人きりだという事が、
彼女の兄に知られたら命はないだろう。
まあ、この少女にどうこうする気はないが。
●月△日
閉じ込められて数日がたった。
毎日、どこからか必要物品が現れるので、不便はしていない。
最初は俺の顔を見るたびに、身構えていた彼女も、多少は懐いた……
ではなく、落ち着いたようだ。
定期的にどこからか運ばれてくる食材を交代で調理をする。
小柄な体格で必死に俺を見上げる姿は、何かを思い出させる。
……犬達の世話は兄さんがしてくれていればいいんだが。
いや、逆に犬達に世話されていなければいいのだが。
●月○日
緊張が取れ、やっと本当の笑顔を見れた気がする。
可憐だ。
●月□日
そろそろやばい。
彼女と一緒にいるので、処理をする際、かなり気を使っている。
シャワーにはいり、息を殺してするのが多いが、終わった後出てくると、
彼女の顔がほんのりと赤いように思える。
シャワー室の壁がかなり薄いから、声が漏れてしまっているのか。
そんな顔を見てしまうと、一緒のベッドに寝るのが少々心苦しい。
……時折、彼女の香りにズボンのある部分まできつくなる時もある。
おかしい。俺の好みはこういう少女は好みではないはずだ。
もう少し凹凸のある女が……いや、俺は何を考えているんだ!!
●月▽日
処理の回数が日に日に増えている。
処理する時に、まぶたの裏に浮かぶ者が彼女になってきた。
前にちらと見えてしまった白い首筋。柔らかそうな唇。潤んだ瞳。長いまつげ。
理性が壊れそうになる時がある。
ダメだダメだ。俺はこんな柔な男ではない。
くっ、もう一度冷水を浴びてくるとする。
●月■日
自分を見上げ、微笑む笑顔。必死に料理をする姿。俺の肩によりかかり、転寝する姿。
それを壊してしまいたくなる。
泣き顔が見たくなる。泣かせたい。鳴かせたい。
泣きながらも求めてくる姿が見てみたくなる。
髪を振り乱し、大きな瞳から涙をこぼし、白い身体に征服した証を残したい。
それをしてしまったらどうなるかわかっている。
だが、そうしたくなる。欲求が強まる。壊れそうだ。
誰でもいい。誰か助けてくれ!!
壊れてしまう。
このままでは壊れて。
壊れ
●月◎日
――そうだ、壊れてしまえばいいのか
●月☆日
嗚呼嗚呼ああああああああああああああああああ
あああああああああっ!!!
俺は俺は……なんて事を……
●月Ф日
扉が開かれた。開放された。
この部屋を出たときに、俺はナイフを彼女に渡すつもりだ。
もちろん、殺されてもいい。それだけの事を俺はしてしまったのだ。
すまない……