ぼんやりと空を眺める。
いつも眺める空は雨雲に包まれた光景ばかりだから、良く晴れた空が気持ちよい。
「……眉毛」
さわやかな風の中に混ざる潮の香り。
耳をくすぐるさざ波の声。
「変態紳士」
瞳を閉じれば、心地よい眠りにつけることだろう。
気持ちのよいまどろみに身を委ね。
「現実逃避するんじゃないです。この変態眉毛紳士ブリ天が」
「うっせぇ! 全部つなげるんじゃねぇ!!」
我慢しきれずに思わず怒鳴り声を上げてしまい、すぐに瞳を閉じる。
目の前で起こっている事は悪夢だと無理やり納得させるために。
そう、手足を縄で縛られ、衣服をはがされ、何故か海辺で寝かされているのは夢のはずなのだから。
鼻をくすぐる甘い香りも、胸をかすめる指の感触も、下半身に触れる柔らかい物体も全部夢で。
「いい加減、観念したらどうですか?」
褐色の肌をした少女が魅惑的な唇で胸板に口付けをする。
ぴくりと身体を震わし、一瞬だけ瞳を開けた。
彼の瞳に映るのは、淫靡な舌先が自らの肌をなぞる姿。
尖らした舌が焦らすかのように這い回り、時折、唇で吸い上げ、赤い跡がぽつりと残る。
「全く、平然な顔している割にはここは元気なんですよね。この味音痴は」
彼女の言葉通り、大きく反り返ったモノが主張をするかのようにびくりと震える。
浮き上がった血管はすでにソレが限界に近い状態を表しており、あと少しの刺激で暴発してしまうだろう。
それは仕方が無いことだと思う。
何時間も嬲るかのように身体を弄られ、限界を迎えそうになると動きを止められる。
出せなかった精がじわりと溢れ、自らの陰茎を汚していく。
「何で私が怒っているのかわかってますよね」
にこりと微笑む少女。だが、瞳の奥には静かな怒りの炎が宿っている。
男はぼんやりとした意識の中でその原因を探り……傍らに置いてあったスプレー缶でやっと思い出した。
「も、もしかしてあの研究の事……」
「やっと思い出しましたか。この万年酔っ払いが」
彼女の足が暴走しそうな下半身を踏みつけた。
痛みに眉を潜める。
――そう、原因となったのはあのスプレーの研究に関してなのだろう。
イギリス、チェコ、ポーランド、ハンガリーの4国合同である薬の研究をしていた。
射精を抑える局所用噴射剤。
最初は早漏がどうのという冗談だったのだが、ノリの良いポーランドと、意外にそっち方面に積極的だったハンガリーによって研究は始められた。
チェコは時折、研究結果を送ってくるだけだったのだが。
4国の合同研究の結果、そのスプレーは完成した。
完成したからにはその効果を検証しないといけないわけで。
流れというか、その場の雰囲気というか、ポーランドと一緒にハンガリーを襲い。
何度も何度もそのスプレーの効果を身をもって検証したのだ。
その後、我に返ったイギリスは謝り倒し……ハンガリーの個人的な趣味で彼の裸体の写真を取らせるという事で不問となったのだが。
それが思い人となっている彼女……セーシェルの耳に入ったのだろう。
にこやかに微笑む少女に背筋に冷たいものが走る。
「思い出したならば……お仕置きの時間といきますか。
で、死ぬまで出さないのと、死ぬくらい出しまくるのどちらがいいですか?」
悪魔のような選択肢に、彼は大きくため息をつき……
覚悟を決めて彼なりの答えを口にした。
彼女は彼の言葉に、更に笑みを深くして、そそり立つ下半身を自らの中へと沈め……
「ふぁっ、んっ、やぁっ、もっと深くっ」
楽しそうに自らの上で腰を振る少女の姿をぼんやりと見つめる。
これから訪れる天国に紙一重の地獄のような長い時が来ることを覚悟し……大きく息を吸い込み。
「……畜生、後で覚えていろ」
淫らに踊る彼女には気がつかれないよう、小さく呟いた。
拍手コメ返しとしてのSSです。
http://gigazine.net/index.php?/news/comments/20090407_premature_ejaculation_cureネタを
某所で頂いた方に捧げます。元ネタを教えてもらって感謝しております。
ちなみにこのスプレーはムキペタシリーズの女王様編に使われているスプレーの元ネタです。
ちょっとセーちゃんがSになってしまいました。
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