こんにちわ。花たまごです。
クリスマスです。
一応、サンタクロースの飼い犬ということで、自分も皆さんにプレゼントを届けようと想います。
この事を話したら、フィンランドさんは快く空飛ぶトナカイさんの見習いを貸してくださいました。
……何で自分の話が通じたのかは不思議ですけど。
きっとクリスマスの奇跡とかで話は終わるのでしょうね。
そういう事ですから、自分もサンタクロース犬として頑張ります。
まずは同じ犬仲間のぽちさんのとこに行こうと思います。
北国の夜空は濡れた鼻に少し痛いですけど……
あまり見られない満天の星空は見事なもので、自分には最高のクリスマスプレゼントだと思いました。
大きなドアの前で一鳴き。
流石にドアをノックする事はできないですから。
しばらくして、ぽちさんが出てきてくれました。
日本さんは律儀な方で、ぽちさん用の小さなドアを用意してくださっていたので、そこからお邪魔します。
ぽちさんのお話によると、日本さんは只今修羅場らしいです。
どうやら、その良いタイミングでフィンランドさんのプレゼントが渡されたみたいですけれど。
……なんで、リヒテンシュタインさんがタコみたいな変な物体に襲われているんでしょうか。
だいぶスリムな胸が露わになり、タコの足みたいなものが無理矢理、胸を強調するかのように
巻き付いています。
その胸でちょんと主張するさくらんぼのような乳首を足が吸い付くようにいじり回してます。
可愛らしいワンピースが大きくめくられ、パンツの隙間から大事な所に進入しようとしていて。
「やっ、そこはダメ……やめてくださ……あぁ」
「恥じらいの表情、無い胸の美少女が触手責め。
ああ、最高です」
妙にハイテンションで、血走った瞳を彼女に向けて、日本さんはペンを走らせていました。
その横で、困り顔のフィンランドさんもいました。
なにやら、紙とペンを握りしめたまま。
「あ、あの……そろそろ僕は」
「あ、そこベタでお願いします。そこにはこのモザイクトーンで。
素晴らしいモデルを頂いて創作意欲がわきましたよ!
これで今年の冬コミは頂きです!ああ、人手が足りません。
そこの余ってる触手さんも手伝ってください」
タコの足……触手さんですかね。
日本さんはその触手さんにもペンと紙を渡しました。
リヒテンシュタインはその間にも触手さんに全身を撫でられ、甘ったるい声を上げ続けています。
その横で……紙にペンを走らせる日本さんとフィンランドさんと触手さん。
とても異様な光景ですが、きっと日本さんは喜んでいらっしゃるんでしょう。
さすがはサンタクロースです。
よし、自分も頑張らないと。
首にぶら下げている小さなサンタクロースの袋から、前足で中身を取り出し。
やっぱりぽちさんは骨ガムですか。
ぱたぱたと尻尾を振って喜んでくれました。
さて、次の所にいかないといけませんね。
フィンランドさんに一言伝えたかったですが、あまりに必死な雰囲気に声をかけるのを止めました。
「それでは今度はアナル責めお願いします。
しっかりとこちらに見えるように向けてくださいね」
「やぁん……お尻はいゃ…で…ふぁ……入ってきます……!」
「えっと、僕はいつ帰れるんでしょうか」
三者三様。喜怒哀楽。
いろんな感情があふれる日本さん宅を後にして、次へと向かいました。
んーと、次はっと……オランダさんとこのうさぎさんですね。
あの飼い主のオランダさんはちょっと怖いですが、うさぎさんは中々社交的な方です。
だからお会いするのが非常に楽しみです。
まだ灯りのついているおうちにお邪魔すると……なぜかワイ公国さんがいました。
本当に何故か全裸のオランダさんが土下座している状態で。
「ワイ、頼む。中にいれさせてくれ。
ほんな魅力的な身体を見てちゅーのは、もう我慢でけんんでの」
「うーん、そんな事言われてもなぁ。あたしおじさん好みじゃないんだけど」
困った顔でオランダさんを見下ろしているワイ公国さん。
そういえば、オランダさんちではお子さん好きな人たちがいるって話でしたよね。
確かにワイ公国さんはおちびさんですし、オランダさんにとっては非常に魅力的に見えるんでしょう。
しばらく悩んでから、オランダさんの前まで歩み寄り、しゃがみ込みました。
頭をぽんと叩くと、満面の笑みを浮かべます。
「そんじゃあさ、国王様たちを君んちで特別待遇で旅行させてあげてよ。
風車とかチューリップとか筆心くすぐる場所みたいだし」
「それくらいならばいくらでもやってやるちゅうでの。
だからの、はよ」
我慢できなかったのか、腕を荒々しく掴み、ワイ公国さんを押し倒しました。
大きな身体に圧し掛かれると、元々小さな体が更に小さくみえますね。
ワイ公国さんのおへそをぺろぺろとしつこく舐め、あいてる手でズボンの中に入っていきました。
どこかが切れてしまったオランダさんを眺め、ワイ公国さんは大きくため息をつき。
「うさちゃん、あたしはこういう状態だから、オランダ君とこのうさぎさんと遊んでてね」
興奮しているオランダさんとは対照的に、妙に冷静なワイ公国さん。
横でちょこちょこ遊んでいるワイ公国さんとこの大きなうさぎさんにご挨拶すると、
軽くオランダさんのお腹にけりをいれました。
「いい加減にしなよ。おへそばかり舐めても、あたし全然気持ちよくないし」
「ハァハァハァ……こども特特有のぽっこりとした腹、生えてえん割れ目。
やっぱりこどもは最高だ」
だけれども全然聞こえていないらしく、
息を荒くして更におへそをぺろぺろし続けています。
おおきなオランダさんの棒はもっと大きくなって、ワイ公国さんの足にぽたぽたとお水をたらしていました。
このままだとしばらくこの状態が続きそうですね。
ですから、自分はサンタのお仕事を終わらそうと思います。
ちょうどワイ公国さんのウサギさんもいましたし、二つのプレゼントを……
袋から出てきたのは、何故かウサギの餌でした。
あ、いえ、この状態を見ていると、それも納得できます。
体格の良いオランダさんですから、そう簡単には果てないでしょうし、今夜一晩で終わればよいほうでしょう。
だからでしょうね。このプレゼントは。
……ウサギさんたちも苦労してますね。
一応、二・三日分のお食事と、たっぷりのお水と、ふわふわの寝床も用意しておきます。
早く終わる事を願っていますね。
ウサギさんたちにご挨拶してから、自分はオランダさんのおうちを出て。
「くっ、キツイ。やけど、それがええ。こども最高やざ」
「んっ! もうそんな押し込めるだけじゃ気持ちよくないって!」
荒いあえぎ声と、オランダさんを罵倒する声が聞こえた気がしましたけれど。
……深くは気にしない事にしましょう。
「ケセセセセセセ……独り楽しすぎだぜ」
今度はドイツさんところのアスターさん、ベルリッツさん、ブラッキーさんの所へプレゼントを届けにきましたが……
何故か三匹は涙にくれるプロイセンに抱きつかれていました。
何故かと思い、理由を聞いてみると……どうやら、隣から聞こえる声が原因みたいでした。
さっき聞いたような甘い女性の声と、何かを叩く音。
興味がわいてお隣の部屋を覗いてみました。
すると、何故かハンガリーさんが四つんばで鞭打たれていました。
おかしいですね。
馬でないのに、乗馬用の鞭でお尻を叩かれて。
それも鞭打ってるのはあのドイツさん。
それもとても楽しそうな顔で。
ハンガリーさんの白いお尻が赤く染まり、じんわりと汗をかいています。
ふとももから流れる何かの液体が床をぬらし、光悦した表情でドイツさんを見上げていました。
豊かな胸は出しっぱなし、首には犬のような首輪がはまっていて。
「ふぁ……ドイツ様ぁ……淫らな雌犬にお仕置きをもっと……」
違います。ハンガリーさんは人間ですよ。
「こんなに涎たらしやがって。余程俺の肉棒が欲しいんだろ」
口から涎なんてたれてませんよ。
それに肉棒ってヴルストの事ですよね?持ってないじゃないですか。
ドイツさんの鞭が飛ぶ度に、ハンガリーさんは悲鳴のような声をあげ……
でも、顔はすっごく幸せそうなんです。
人間って不思議です。鞭で打たれて嬉しいだなんて。
「いつもこうやって貰うのを望んでいたのだろ。オーストリアにだって」
「ふぁっ! やぁ……ん、オーストリアさんの名前は出さない……くっ」
オーストリアさんの名前に反応して、大きく身体を震わせました。
そこを狙って、ドイツさんは大きく鞭を振り下ろし。
……そういえば、オーストリアさんの姿が見えませんね。
部屋の中を見回して……部屋の片隅で丸まっている何かの物体を見つけました。
匂いは確かにオーストリアさんです。
でも何でか縄でぐるぐる巻きですし、体中にたくさんの紅い痕があるし。
うっとりとした瞳でハンガリーさんがいじめられるのを見ていました。
その視線に気がついたのでしょうか。
鞭で打たれていたハンガリーさんが、オーストリアさんの方を見ました。
とても蔑んだ瞳で。
「変態マゾ貴族は黙ってみていなさい。そうしたらお仕置きしてあげますから」
「は、はい。おったてながら、待ってます。女王様」
冷たく言われたのに、嬉しそうな声で返事をしました。
不思議と露になっていた股間がむくむくと大きくなっています。
見せ付けるようにドイツさんと唇を重ね、甘い吐息を漏らしました。
あれ、不意にドイツさんの怖い瞳が、同情的な瞳へと変化しましたね。
「全く……オーストリアは。ハンガリーが攻められている姿を見ながら攻められたいというから……」
ハンガリーさんは小さく笑い、ドイツさんの頬に軽くキスをしました。途端に彼の顔が真っ赤になりました。
慌てた様子でハンガリーさんの顔を見て。
「ごめんなさい。オーストリアさんの要望にはできる限り答えてあげたくて。
終わったら、取って置きのビール用意しますから。各国のビール取り寄せたんです」
ビールという言葉にごくりと喉を鳴らし、『依頼だから』と口の中で呟くと、
再び冷たい瞳になってしまいました。
赤くなった顔もあっという間に普段の表情に戻っていて。
「床を汚しやがって。こんなスケベな穴には栓をしないとな」
派手なピンクの玩具をどこからか取り出して、ハンガリーさんの大事な所にねじ込みました。
びくりと大きく身体を動かし、また甘い声が出て……
……やっぱり不思議です。いじめて、いじめられて、いじめられているのを見ながらいじめられて。
何が楽しいんでしょうか。
ここで眺めていても仕方が無いですから、三匹の元に帰ります。
結構な時間がたったはずなんですけど、まだプロイセンさんは三匹に抱きついて泣いていました。
自分の姿を見つけると、三匹は同時にため息をつきまして。
……苦労しているんですね。
そんな大変な三匹には、グルーミングセットをプレゼントです。
ドイツさんのお仕事が終わったら、思う存分やってもらうといいです。
それではこれで……と思いましたが、そういえばまだ残っていましたね。
プロイセンさんの頭の上にのっている小鳥さんに視線を向けました。
ああ、大丈夫です。とって食べたりはしませんから。
少しだけ戸惑った表情を見せてから、寄ってきました。
欲しいものは……っと。
袋の中を探索し……出てきたのは何故かフライパンでした。
よくこの小さな袋から出てきたなとも思いましたが、ま、サンタの袋ですから不思議ではないですね。
不思議なのは、何でフライパンかという事。
首をかしげて、そのフライパンを見ていたら、小鳥さんはそれを泣き濡れているプロイセンさんの
元まで持っていきまして。
プロイセンさんもそのフライパンに気がついたのでしょう。
見つけた途端に顔を輝かせました。
「おおっ、何故かこんな所にフライパンが! つまりハンガリーにこのフライパンで殴ってもらえということで!」
妙なテンションになってしまったプロイセンさんは、息を荒くして隣の部屋に乗り込み。
――あ、軽快な殴られる音。
……本当にこれでよかったのでしょうか。
不安げな表情をしていたのでしょう。小鳥さんは首を横に振り、
隣の部屋から聞こえるプロイセンさんの笑い声やら悲鳴を切なそうに……
……あ、もしかして……小鳥さんはプロイセンさんの事を……
フィンランドさんならばどうにかしてくれるかもしれませんけれど……いいんですか?
いいんですか。健気な人……じゃなくて小鳥さんです。
側にいられるだけで……あの時、消えなかっただけで幸せだなんて。
ああもう、何か寂しくなってきました。
特別プレゼントです! 袋に前足を突っ込み、一つの瓶を取り出しました。
カナダさんち特製の幸せになれるメイプルシロップです!
これで飼い主共々幸せになってください。
ちょっとしんみりしてしまいましたが、
次は……メイプルシロップをくださったカナダさんちのクマ二郎さんとこですね。
カナダさん所ならば、きっと穏やかなクリスマスを過ごしているはず。
少しだけ安らげるはず。
……そう期待した自分が馬鹿でした。
何故かカナダさんは裸のウクライナさんに組み敷かれていました。
そしてその楽しそうに指示をするアメリカさん。
だから、カナダさんちにトニーさんまでいるんですね。
自分達は隣の部屋――ドアが誰も閉められなかったから丸見えですが――に移動して、座り込みました。
『マ、食エ。カナダ特製ノメイプルケーキダ』
「コレハアメリカノ家カラ持ッテキタ」
非常においしそうなケーキと……サルミアッキに似た危険さを感じさせるグミ(らしきもの)を
おふたりは並べてくださいました。
グミの方は丁寧に辞退してから、ケーキを一口。
口の中に広がるメイプルの甘さがすっごく幸せです。
今まで忙しかったですけれど、少しだけ和めた気がします。
……背後から聞こえる声さえなければですが。
ちらりと彼らの方を見ます。
涙にくれるカナダさんの股間の棒を大きな胸ではさみ、舌でぺろぺろしているウクライナさん。
その後ろで、ウクライナさんの腰を掴み、交尾しているアメリカさん。
「んっ…カナダちゃん可愛い。ほら出していいのよ……ふぁっ」
「そうだぞ。カナダは遅漏だな。ヒーローならば女の子に恥をかかせちゃ……ぐっ」
小刻みに動かしていた腰が一瞬とまり、大きく息を吐き出しました。
腰を引き抜くと、股の割れ目からとろりと溢れ出す白い液体。
まだひくつく割れ目から、次々と液体が溢れ落ちています。
「アメリカちゃんはもう少し遅くてもいいのに……」
小さく呟いたウクライナさんの言葉は、アメリカさんには聞こえなかったのでしょうね。
大きなお尻に棒を数回擦り付けると、再び元気になってきました。
そしてもう一度貫き。
「え、またぁ? アメリカちゃんは元気ねぇ……んんっ」
愚痴を零しながらも、アメリカさんの棒の感触に素直に酔いしれ。
「ウクライナさぁ〜ん、お願いですから止めてください。ほ、ほら、クマ衛門さんも見てますし」
涙を流すカナダさんの言葉に、ウクライナさんは自分達の方を見て。
にこやかに手をふってくれたので、尻尾を振りかえしてみました。
「和む光景ね。いつの間にか花たまごちゃんまで遊びに来てくれたみたいだし。
皆良い子だから、もう少し遊べるわね」
そういって、ウクライナさんは棒を口全体で包み込み、音を立て吸い上げました。
「うわぁぁっ! や、やめて」
抵抗はしてみるものの、カナダさんの優しい性格では彼女を本気で振り払う事もできず……
『アイツラハホットケ。口デハアア言ッテルガ、楽シンデイルンダカラ』
メイプルシロップ入りコーヒーを差し出してくれたので、一口。
……この後、結構運動しないと太りそうですね。
そういえば、何であんな状況になっているんでしょうか。
自分の疑問に、トニーさんが銀色の瞳を輝かせて、
楽しそうに(多分。彼の表情は読みにくいです)話してくださいました。
あれはアメリカさんの提案で、夜のお友達(意味はわからないですが)のウクライナさんを連れて、
カナダさんを襲ったそうです。
その理由は『クリスマス』だからだそうです。
来た時は、ウクライナさんがサンタクロースの格好をしていたみたいですが、
胸のせいでお洋服が壊れてしまったみたいです。
だからいっその事裸で……って事になったらしいんですが。
「アメリカ、スデニ3回目。カナダハマダゼロ」
『カナダハノンビリ屋ダカラショウガナイ』
何の回数だかわからないですが……聞くのは野暮だとおもったので聞きませんでした。
少しだけこのメンバーでお茶をした後、サンタの仕事をするためにカナダさんのおうちを後にしました。
……クマ二郎さんの大きな蜜壷はともかく、トニーさんが希望したプレゼントは予想外で……
……忘れることにします。カナダさんの悲鳴と、アメリカさんの笑い声と、ウクライナさんの甘い声と共に。
しっかり忘れますからね。
次は……フランスさんちのピエールさんにプレゼントです。
あのフランスさんのことですから、変な事に巻き込まれると覚悟していたのですが。
……度肝を抜かれました。
あのフランスさんが泣きながら綺麗な女性と裸で抱き合っていたんです。
女性なのに短い髪、背中は傷だらけ。肩には大きな傷跡。
そんな女性の胸に抱かれて、子供のように泣きじゃくってました。
「すまない……助けられなくて。俺が……あの時……」
「泣かないでください。私は私がやりたい事やったんです。
私はフランスさんを守りたかった。それだけですから」
女性はフランスさんの頬に口付けをして、優しく頭を撫でてあげました。
それに刺激されたのか、フランスさんは更に涙を溢れさせ。
……あのフランスさんですよ。あのフランスさんが女性の前であんなに泣いて。
美を愛するフランスさんが、なりふり構わず泣きじゃくって。
初めて見ました。こんな光景を。
「痛かっただろ。熱かっただろ。お前の綺麗な肌が髪が、炎に抱かれ……それでも俺は何もできずに」
「だから泣かないでください」
ぎゅっと強くフランスさんを抱きしめました。
豊かな胸がフランスさんの胸板に潰され、奇妙に姿を変えています。
子供のように泣きじゃくるフランスさんを強く抱きしめ、女性は『大丈夫』と耳元で優しく呟いています。
いつも『お兄さんに任せなさい』と笑っているような人が、こんな表情を見せるだなんて。
……あまり声をかけられる雰囲気ではないので、そっと家を後にしようとしましたが。
窓辺にそっと置かれた柊の飾りを見つけました。
これはサンタがきた証。つまり、あの女性はフィンランドさんからのプレゼントというわけで。
そうですね。自分もサンタクロース犬として頑張らないといけません。
部屋の中を見回し……片隅にあった巣の中で眠っているピエールさんを見つけました。
起こさないようそっと袋の中からプレゼントを取り出し……
あれ? ピエールさん起きていたんですか?
世界のお兄さんは大変だって? たまには泣きたい時もって……
ええそうですね。今日ぐらいはそれがいいかもしれません。
さて、人の恋路を邪魔するものは……ってものです。この辺で失礼しますね。
ピエールさんのプレゼントを巣の側に置き、そっとフランスさんのおうちを後にしました。
さ、次はっと……ちょっと、いえ、かなり不安ですが、イギリスさんちの妖精さんたちに渡しにいきますか。
妖精さん達は他の方々に見えないみたいですが、いろんな愉快な方々がいて、結構楽しいんですよ。
……そういえば妖精さんたちよりも愉快な方がいました。
そう、飼い主……というか、マスターのイギリスさんです。
イギリスさんのおうちでは、もう愉快な宴が繰り広げられていました。
甘いチョコレートの香り(自分は食べられませんが)、甘い声、何かがぶつかる音。
ええ。酔っ払って暴走しているか、一人寂しく魔法使っているかと思いましたが、両方とも違いました。
何故か台所でベルギーさんとじゃれあっていました。
ベルギーさんはスカートを大きくめくられ、下着をおろされたままで足を大きく開いています。
胸元のボタンは外され、可愛いエプロンの間からちらちらと胸が見えてたりします。
その後ろからズボンを下ろし、腰を押し付けているのはイギリスさん。
イギリスさんが腰を動かすたび、水音とベルギーさんの甘い声があふれ出していました。
隣の部屋では何事も無かったかのよう、妖精さんたちが円を描き、座っていましたから、
そこにお邪魔することにします。
きらきらと虹色の羽を輝かせ、妖精さんが花びらでできたカップを差し出してくれました。
そのカップの中はゆらゆらと揺れる琥珀色の液体。少しだけ舌で舐めてみて。
……美味しいです。すっごく甘くて。
花の蜜を夜露でわったものなんですか。それじゃあ美味しいに決まってますね。
しばらくはその花の蜜のジュースの話題や、月夜のダンスの話で盛り上がっていたのですけれど。
「ふぁ……もうやぁ……止めてな……イギリス君」
「ダメだ。美味しいケーキの作り方を教えてくれるんだろ。まずはよくかき混ぜないと」
「かき混ぜるのは……んっぅ…生クリームでぇ」
「よし、わかった。クリームだな。……ぐっ」
ベルギーさんの中が白い液体で満たされていくのがわかりました。
中に入りきらなかった液体が、すらっとした足を伝い流れ落ち。
「これでかき混ぜれば」
先ほどより激しく腰を打ちつけるイギリスさん。
ベルギーさんがこらえようと机の上に手を伸ばし……
そこにあった溶かしたチョコレートをひっくり返してしまいました。
茶色い液体がベルギーさんの白い肌をコーティングしていき。
「ん、次はチョコで飾り付けか。少しつけすぎたようだから」
一度引き抜いて、台所の床に押し倒しました。
チョコで固まってしまった胸を指でいじり、口に含み、じんわりと舐めとっていきます。
「いやゃ…イギリス君、そんなとこ舐めちゃ……ふぁっ」
「おっ、チェリーが出てきたな。もっと出さないと飾りつけは完成しないし」
……非常に楽しそうなお二人が少し気になりました。
ユニコーンさんのお話によると、いつも馬鹿にされている料理の腕をあげるため、
ベルギーさんにお料理を教わっていたみたいなんですが。
ケット・シーさん曰く、『エプロン姿にむらむらした』そうなんです。
彼らにはイギリスさんの暴走はいつもの事らしくて、全く気にもしていないのが凄いことです。
お酒飲んでも暴走しますが、素面でも暴走できるなんて凄いですね。
そういえばと、レプラホーンさんがずれた眼鏡を直しながら話し始めました。
へぇ、イギリスさんの酒乱って、フランスさんがお酒をたくさん飲ました事から始まったんですか。
それで……あまりの酷さにしばらくは止めようとしていたけれど……へぇ〜♪ 初めて聞きました。
それから? イギリスさんってば、やっぱり……
イギリスさんの暴露話は夜が更けるまで続きました。
ついでに、イギリスさんとベルギーさんのじゃれあいも夜遅くまで続き……
ブラウニーさんに正座で説教を食らうぐらい、台所を汚してしまっていたのは、
自分の心の中だけにとどめておきます。
ついつい妖精さんたちとのお茶会が楽しかったので長居してしまいましたが、仕事は忘れていませんよ。
次いきます。
アイスランドさんちのパフィンさんに会いに行くことにしました。
アイスランドさんならば、今度こそ大丈夫でしょう。
「今度は私が上です」
「何言ってんの? 今度は僕が上」
ぎゃーぎゃーと言い合っている二人の声がおうちの外まで聞こえてきました。
楽しそうですね。自分もしっぽがぱたぱたしてしまいます。
丁度、パフィンさんが窓をあけてくれたので、アイスランドさんちにお邪魔しま……
……お邪魔しました。
回れ右をしようとしましたが、1歩遅く、パフィンさんの大きなくちばしで尻尾を捕まれては
どうしようもありませんでした。
アマタイトのような瞳を輝かせて、助けを求めるかのような表情。
ええ、わかります。原因は。
何も身に纏わない状況でぎゃあぎゃあ言い合ってる南国娘と氷男。
彼女の身体にはすでに紅い跡や白い液体が流れ落ちた跡が残っていました。
つまり、皆さんと同じようにお楽しみだったというわけですよね。
「あんたは馬鹿か?
のしかかられて嬉しい男がいるとでも」
「気持ちよさそうに三回もいった奴がここにいやがりますよ。
鏡に自分の姿を写しやがれです」
「あ、あれは……のしかかられたからじゃなくて、あんたがぎゅぎゅ締め付けてくるから……」
彼女の言葉に、バツが悪そうに言いどもる。
それをチャンスだと思ったんでしょう。
セーシェルさんは大きく息を吸うと、言葉が津波のように出てきました。
「そりゃ、中に入れられるの気持ちよいですもん。
誰かさんのせいで、その感覚を覚えさせられたからしょうがないじゃないですか
それに……」
ここでしゅんとなり、彼を上目遣いで見つめ、
「初めての時、『優しくするから』って言ったの誰でしたっけ」
可愛らしい仕草に、アイスランドさんは反応してしまいましたよ。
上も下も。
何か反論しようと口を動かしますが、なかなかでてきません。
その間にも彼女はじりじりと間を詰めてきて。
「……ということで、私が上です」
「え、意味わかんな……ぐぅ」
彼女の腕が首の後ろにまわり、彼の顔を引き寄せ。
情熱的な口づけが交わされます。
最初は抵抗していましたが、すぐに口の中を楽しむ事に意識を集中し始めました。
そして、ベッドの上に押し倒され。
「ふぁ……あぅ、熱いよぉ」
「そんな……締め付けるな……」
甘い声をあげるセーシェルさんと、声は冷静ながらも額にじんわりと汗をかいてるアイスランドさん。
……パフィンさん同情しますよ。
えっと、話を聞いていると結構長い間じゃれあっていたみたいですけれど、いつから?
……23日の朝からですか?
タフというか、若いって良いですね……って、この台詞は日本さんあたりが似合いそうです。
喧嘩したりじゃれあったりと元気ですよね。
パフィンさんとしみじみ話している間にも喧嘩→じゃれあいのやりとりが数回続きました。
そういえば、パフィンさんのプレゼントは何がいいんでしょうか。
え?非常食にならなければ幸せだって。それは冗談ですよねぇ?
……少し目が真剣だったのが気になりましたが、あえて気がつかない振りをしました。
それじゃ、プレゼントは……非常食セットが袋から出てきました。
切実な願いなんでしょうね。
「あぁっ、そんなじらしちゃイヤです」
「お前こそ、そんな締め付けて……うっ」
二人の何回戦かわからないじゃれあいの声をBGMにして、再びサンタの仕事にもどりました。
最後はスイスさんちのヤギさん達です。
今度こそ。今度こそスイスさんですから、普通にクリスマスを楽しんでいる事でしょう。
スイスさんのおうちを覗き込んで……暖炉の前で寝ていた三匹のヤギさんが出迎えてくれました。
でも、飼い主であるスイスさんの姿は見えませんね。
きっと無意識に首をかしげていたのかもしれません。
三匹のヤギさん……アイガーさん、ユングフラウさん、メンヒさんはお互いに顔を見合わせ、
困ったような瞳を浮かべています。
もしかして、スイスさんに何かあったんですか!
わわっ、それならば助けに行かないと。スイスさんが困るぐらいなんですから、きっと強敵でしょうけれど。
……死ぬ気で頑張ります。クリスマスを守るのはサンタクロースのお仕事ですから。
まずは武器装備です。スイスさんのおうちならば、小さいライフルぐらいあるはず。
倉庫を探しに廊下に出て。
「くっ、いい加減にしないと鉄槌を……」
「いい加減にするのはそっち。そろそろ諦めて」
廊下で格闘中のスイスさんとベラルーシさんにばったり遭遇しました。
スイスさんだけならばともかく、何でここにベラルーシさんがいるのかが不思議です。
それも洋服が乱れた状態で。
ベラルーシさんの可愛らしいスカートは大きくめくられ、スイスさんに馬乗りになっていました。
あれ? もしかして下着つけてませんか? それにスイスさんのズボンも脱げかけで。
更にスイスさんの手足は縄で縛られて。
彼女を鋭い瞳で睨みつけていますが、全然気にしないみたいです。
思わず立ち止まっていた自分の後ろから三匹がついてきていました。
アイガーさんがため息を一つつき、この原因を教えてくれました。
何故かベラルーシさんがスイスさんのおうちにやってきて、何故か突如襲い始めて。この状況らしいです。
……あれ? あまりわかりませんでした。
その間にも二人の攻防は続いていて。
「我輩を誰だと思っているのである? 永久中立国の我輩に攻撃をしかけてただでは……」
「攻撃ではなく、男女の情事だから問題ない。
男女の情事が引き金となって、いろいろほつれさせて……スイスを兄さんの足元に」
……そういう悪巧みは口に出さないほうがいいと思います。
ベラルーシさんは黒い笑みを浮かべると、腰の辺りに移動し、
自ら大事な所を指で開いて中にいれようとしましたが。
まだ元気の無い棒だから、中に入るわけないですよね。
彼女は小さく舌打ちをすると、むんずと棒を握り締めました。
「役立たず」
「放すである! 我輩はそんな事! くはっ」
滑らかに手を上下に動かし、刺激を与え始めました。
柔らかい女の子の手のひらの感触に、彼の眉間に皺が深く刻まれます。
棒の先端から透明な液体があふれ出し、濡れた音が辺りに響き渡ってきました。
段々と元気になってきた棒は、彼女の手の中でびくびくと動き始めています。
「やっとか。じゃ、入れる」
照れもなく、淡々とこなす彼女。何となく男らしいです。
棒を手で支え、とろりと蜜を零す大事な所へと導いて。
「やめ……ぐぅ」
小さく呻くスイスさんと、声すら漏らさないベラルーシさん。
少しだけ頬を赤らめた姿は非常に可愛らしいですが。
腰を動かすたびにスイスさんの荒い息が聞こえます。
どれくらいその動きが続いたでしょうか。
ベラルーシさんの鼻から抜ける甘い声が聞こえ、動きが一瞬止まりました。
大きく身体を震わせ……スイスさんの上にしだれかかります。
肩で息をするスイスさんを冷たい眼差しで見下ろし。
「変態」
「な、貴様が襲ってき……!! ……っ!」
スイスさんの言葉が途切れました。ある一点を睨みつけ。
自分もスイスさんの視線を追ってみたら……納得できました。
廊下にしっかりとセットされたカメラが一台。
その前で床に座り込み、汚れた服で肌を隠すように身を縮めて。
いつもの彼女とは違う涙を浮かべた瞳を手で覆い隠し。
フラッシュがたかれました。
この姿だけをみれば、ベラルーシさんが襲ったようには見えませんね。逆に襲われたかのように見えます。
すぐに何事も無かったかのように立ち上がり、カメラの映像を確認すると、深い笑みを浮かべました。
「……まさか」
「そうそのまさか。しっかりと撮らせてもらった。
これを世界会議で流されたくなければ……」
悪魔のような言葉に、スイスさんの肩はがっくりと落ち。
「用はコレだけ。それじゃ」
じゃれあった余韻もなく、ベラルーシさんは手際よく身支度を整え、家から出て行きました。
着替える際、あふれ出した白い液体が彼女から流れ落ち、床を汚していましたが、
彼女は特に気にしていないようです。
家の中に漂う異様な匂いと、途方にくれるスイスさん。
「メェ〜」
慰めようと三匹のヤギさんたちはスイスさんに擦り寄っていき。
もふもふの毛皮に囲まれ、スイスさんはただいつまでもぼんやりとしていました。
きっとしばらくは立ち直れないでしょうから……ヤギさんたちのプレゼントとは別に特別においていきます。
袋の中から出てきたのは、コンパクトな掃除用具。
これでリヒテンシュタインさんが帰ってくるまでにお掃除してくださいね。
よし、皆に配り終わりました。
一部の方々(特に飼い主の皆さん)は中々大変なクリスマスだったみたいですけれど、
大凡楽しいクリスマスを過ごせていたようでよかったです。
さすがに少し疲れました。瞼がどんどん重くなってきました。
まだこの時間だとフィンランドさんは帰ってこないでしょうし、暖炉の前でひと寝入りするとしますか。
ソリの上で大きく背をのばし、あくびを一つ。
やっとおうちが見えてきました。
まだ灯りがついているということは、スウェーデンさんが起きて待っていてくれているという事ですかね。
「ひゃん♪」
犬用の出入り口から入って、元気にご挨拶。
でも、そこにはスーさんの姿はありませんでした。
サンタさんのような赤い服……セーラー服っていうんでしたっけ?
それを着た赤いリボンの似合う可愛い女の子が……
ん? 違います。女の子じゃなくて……
それは置いといて、それよりもまず不法侵入者なんですから、自分が頑張らないと。
鼻に皺をよせ、とびっきり怖い顔でその人を睨みつけ。
「あ、可愛い。犬おいで」
あっさりと抱っこされてしまいました。
ええ。わかってます。自分に迫力が無いことを。わかってはいますが。
そんな耳の後ろこしょこしょしないでください。気持ちよくてふにゃっとしてしまいますから。
「へぇ、ここがいもちいいんかい。うりゃうりゃうりゃ」
いや、やめてくださいやめてください。
「やめろといわれてやめるような人間じゃないよ。僕はね」
ああ、そんな所まで……く、悔しいけど感じちゃう。びくびく。
……って、思わず乗っちゃいましたけれど、何でこの人には自分の言葉が通じているんでしょうか。
「さあ。クリスマスだからじゃない? それよりも、僕もプレゼントを貰いにきたんだ。
あ、この袋だね。どれどれ」
ダメです! サンタ以外が手をつっこんだら何が起こるか……ああああっ!
「え? 何この煙? ちょっと!」
袋から出てきた煙が自分達を包み込み……
目がしぱしぱします。お鼻もぐしゅぐしゅで。
「いやです! ふぇっぷっしゅ! 目痛いです」
手で顔を脱ぐいとり……あれ、さっきの人間さんが顔ぬぐってくれているんですか?
自分の視界に入ったのは、白い人間の手。でも、何か自分の意思で動きますよ。
「もう、つまんなーい。こんな防犯機能がついているんだな……
……君、誰?」
「君って、自分は花たまごですよ。それよりもあなたこそ……
……あれ?」
鈴を転がしたような澄んだ声が辺りに響き渡りました。
これは人間さんの声ではないし。
まさか……鏡がたしかそこに。
慌てて確認すると、そこには一人の少女が映っていました。
人間の白い手。すらっと伸びた足に、まっすぐに伸びた背筋。まだ幼さの残る顔立ち。
何も身に着けていないからだには、二つの可愛らしい胸がついています。
自分が舌を出してみると、その鏡の少女も舌をだして。
「えええっ、なんで自分が人間に!」
ぺたぺたと頬を触って確認しても、やっぱりそれは人間のもので。
「もしかして、あの袋の作用で……サンタクロースの袋GJ!」
胸元にかかっている袋に向かって、親指を立てる人間さん。
こんな状況になっても楽しそうなのはさすがです。
「よし、こんな美味しい場面だ。一緒にサンタさんを襲うとしよっか」
「サンタさんって……フィンランドさんの事ですよね……ダメです。
フィンランドさんいじめるのは自分が自分が許しません」
「いやだなぁ。いじめるだなんて。僕は人間風の楽しみ方をね」
耳元でぼそぼそとその作戦を教えてくださいました。
ああ、そうですね。フランスさんとかイギリスさんはそれを実行すると楽しそうですし。
この人間さんはそんな悪い人ではなさそうですし……
フィンランドさんには自分からもプレゼントをあげたいですし。
よし、それだったらお手伝いしますよ。
「それじゃあ、何をすればいいですか?」
「えーとね、サンタさんが帰ってきたら……っと、まずはその格好をどうにかしないとね」
ちらちらと自分の身体を見てきました。
そうですね。人間は何かお洋服を着るのが当たり前で。
「んー、まっいいか。このリボンで身体を巻きつけてっと」
真っ赤なリボンで身体をぐるぐるされてしまいました。
大事な所とか、胸とかがあまり隠れていませんがいいんでしょうか。
「うんうん。とても可愛いよ。よし、それじゃ、サンタさんが帰ってくるまで待機。
そんで帰ってきたら作戦通り……」
「わかりました。あ、帰ってきましたね。鈴の音が聞こえます」
「よっしゃ。じゃ、サンタさんの寝床で待機!」
楽しそうな人間さんに釣られて、僕もなんか楽しくなってきました。
窓の外からはフィンランドさんの声。きっとトナカイさんに労いの言葉をかけているのでしょう。
ドアをあけ、眠そうなフィンランドさんが寝室へと入ってきて。
「よし、今だよ」
人間さんの小さな声が合図となって、自分達はフィンランドさんの前に飛び出しました。
本当に楽しそうな笑みを浮かべる人間さんの隣で、自分もじりじりとフィンランドさんに近づき。
「よし、じゃれろ♪」
「はい♪」
自分達二人が、フィンランドさんに襲い掛かり。
「おひゃぁぁぁぁぁっ!!」
クリスマスも終わった静かな夜空に、フィンランドさんの楽しそうな声が響きわたりました。
2010/01/25
初出
クリスマス第三弾。某所のお祭りネタの残りネタ。
花たまごのクリスマスでした。
追記としてオランダさん追加してみましたが……ロリコンになってしまったのはなぜでしょうか?