一枚のカードを見つめながら、イタリアは冷や汗をかいていた。
さすがに来るとは思っていなかったカードを引いてしまったから。
目の前の彼女は、気難しい顔で自分のカードを睨みつけている。
この様子だと、あまり良い手札が来なかったのだろう。
このまま勝負をしたら、確実に勝てる。だが。
「うーん、これはダメだな。俺、降りるよ。モナコちゃんの勝……」
「嘘だ。君の嘘はよくわかるよ。手札を見せたまえ」
慌てて手元にカードを引き寄せようとしたが、一瞬遅く、彼女の前に広げられてしまった。
色の揃ったカード。
「ふっ、やはり私の負けのようだな」
諦めきった彼女の顔を前に、冷や汗が流れ落ちたのを感じた。
ただのゲームだったら、勝ちを素直に喜んでいただろうが。


事の始まりは、ただの暇つぶし。
カードゲームが得意という彼女に付き合ってはじめたのだが。
得意という割には、何故だか妙に弱くて。
ムキになる彼女と、止めるタイミングをつかめず、続ける彼。
そろそろ終わりにしようと、口から出た冗談。
『これに勝ったら、今晩俺と一緒に遊んでよ。もちろんベッドの上でね』
ここで怒って退散されても、怒りに任せてゲームに勝ってくれても。そのどちらでも良かった。
しかし。


「約束は守る。今晩は君の家に行くから、用意しておきたまえ」
悔しそうな表情を浮かべ、席を立った。
彼は何も言えず、ぽかんとした顔で彼女を見送るしかできなかった。


「さすがにこないよね。あれは彼女なりの冗談だよね」
いつもの会議も身に入らず、うわの空で仕事を終えてきた。
ぶつぶつと呟きながら、家のドアをそっと開ける。
少し空いたドアの隙間から、部屋の中を確認する。
誰も居ない室内に安堵し、首もとのネクタイを緩め、ため息をついた。
「うん、わかってたよ。ちょっと期待しちゃったけどさ。もしかしたらどーてーを卒業できるかもって」
安心した途端、襲ってくる眠気。
大きな欠伸をしながら、ズボンを下ろし、寝室へと向かった。
寝室のドアを開ける頃にはほぼ全裸状態。唯一の装備はほどけかけのネクタイ。
重くなった瞼を擦りながら、ベッドへと倒れこみ。
生暖かい何かが腕に当たった。
家の中で勝手に生活している猫かと思い、抱き寄せようと腕を伸ばし。
「……勝手に触るな。馬鹿犬が」
冷たい誰かの声に、閉じかけていた瞳が完全に開ききった。
がばっと起き上がり、先ほど触ったものを確認する。
ベッドの中には、シーツに包まれたモナコの姿。
白い肌が所々露になっており、ほどけかけのリボンが髪の上でさらりと揺れる。
ごくりと生唾を飲み込み。
ふと、先ほどの冷たい声が頭をよぎり、もう一度彼女の姿を冷静に観察する。
「聞こえなかったのかい? この馬鹿犬が」
ベッドから起き上がり、髪をかきあげた。
露になった白い肌には何も身に着けず……と予想していたのだが。

実際は黒いボンテージを纏い、蔑んだ瞳で彼を見下していた。
「え? え? モナコちゃんやっぱり来てくれたんだ。その格好もセクシーで可愛いよ。
……ところで、何で」
「君に問う資格はないよ。ほら、跪いて」
立ち上がった彼女の脚が大きく持ち上がり、ヒールのついた靴が彼の股間めがけて振り下ろされた。
「わわっ、ちょっと」
間一髪、身体をよじり、彼女の靴を避けた。
不思議そうに首をかしげ、彼を見つめる。
「何で逃げるのかい? こういうのが好みなんだろう」
「嫌い……ではないけどさ。そういう格好は見てるのは好きだけど、痛いのは嫌だよ」
手にぶら下げた鞭と彼女の顔を交互に眺める。
眺めながら、あの鞭で叩かれたらという、妄想が頭をかけめぐり、反射的に股間が熱くなるのを感じた。
股間を隠し、もぞもぞしている姿に彼女も気がついたのだろう。
「痛いのは嫌いのはずなのに、何でここが硬くなっているんだい?」
靴先が硬くなったモノをなで上げる。
ぴくりと反応を見せる彼だったが、微かに彼女の頬が紅潮している事に気がついた。
顔は彼の股間に向けているのだが、明らかに視線を外している。
澄ました顔にも、若干余裕が無い。
「あーと……そんな無理しなくていいよ。
できればこんな結論に至ったかを説明してくれるとありがたいなーなんて」
できる限り冷静を装い、ベッドに腰掛けるよう促す。
彼女もかなり恥ずかしかったのだろう。視線を逸らし、素直に彼の指示に従った。
枕元に常備してるワインをグラスに注ぎ、彼女に手渡す。

ゆらりとゆれる紅い液体と、白い肌をあらわにした少女。
かなり美味しいシチュエーションだとは思う。
ワインを口にした彼女の唇を塞ぎ、そっとベッドに押し倒す。
それから自然に甘い雰囲気となり……
かなり自然な流れで行為に至れるだろう。
彼女はあんな格好さえしていなければ。

「で、なんでそういう結論に?」
ワインで喉の渇きを癒したあと、彼は首をかしげた。
「調査の結果、君はSMが好きだという結論に至ったのだが」
ワインを一気に飲み干し、彼女も同じ様に首をかしげた。
「周囲の者から、君の性癖を聞き出した。
ドイツ君からは君がドイツ君の性的に興奮させる映像媒体を持ち出しているという情報を得た。
ドイツ君の趣味はSMと動物との絡みらしいが、主にSMの映像媒体を持ち出しているらしいではないか」
そこまで淡々と述べ、もう一杯ワインを注ぐ。
「それにフランスにぃ……フランス君に言わせれば『女の子に何やられても悦ぶ』らしいじゃないか。
つまり、この情報から、君はSM好き。それもマゾヒストという事だ」
飲み干したグラスを置き、鞭をしならせる。
蔑んだ瞳で彼に鞭を持った腕を振り上げ。

「ちょっ! 俺はそんな趣味はないよぉぉっ」
退却は得意な彼は素早く移動し、鞭から逃げる。
対象の無くなった鞭は空しく床を叩くだけ。
だが、その音に彼は身を震わせた。大きくなった股間を隠しながら。
「逃げられると契約が履行できない。私は手っ取り早く契約を終わらせたいのだが」
「わかった。わかったよ。でも、できれば立場は逆の方が。痛いのは嫌だよぉっ」
泣きの入った彼の言葉に、彼女は大きくため息をついたのだった。


「で、君は私をどうしたいのかい? 鞭で叩いても縄で縛ってもいい。
そのような道具は用意してきたから、好きなの選ぶといい」
目の前に広げられた大人の玩具の数々に、彼の方が顔を赤らめていた。
多少は映像で見た事はあったが、見たことも無い道具も多々たった。
「んーと、女の子いじめるの好きじゃないし……」
道具を探っている時ですら、彼女は澄ました顔で彼の行動を眺めているだけ。
妙にくすぐったい。
「んーと、あっ、これならば痛くないよね」
そんな空気に耐え切れず、早く終わらせたいという欲求からか、彼は一つの道具を取り出した。
シンプルな皮でできた首輪。
使い方はもちろんわかっている。
彼女を呼び寄せると、彼の前に座らせて、首輪をまわす。
「よし、これで俺はモナコちゃんの飼い主だからね」
「ん……わかった。ご主人様」
上目遣いで見つめてくる彼女の瞳。彼の背中にぞくりと何かが走ったのを感じた。
気分が自然と高揚してくる。
首輪で押さえつけられた彼女の白い喉。
狼ならば食いちぎりたくなるような美しさ。
「よし。ソレならばお散歩いこうか」
彼の瞳に一瞬影が宿る。にこやかな笑顔のまま、付属品の鎖を手に取った。
「もちろん、裸でね。犬はお洋服着ちゃダメなんだよ」

――彼の未知のスイッチが入ってしまったことに、彼女は知る由もなく――


夜の空気が肌に痛い。
吸い付くような月の光に、白い裸体が照らし出される。
「いい月夜だね。お散歩日和だよ」
満面の笑みを浮かべ、手にしている鎖を揺らす。
冷たい金属の音に、彼女は小さく息を吐き。
周囲の視線に眉を潜める。
つれてこられた公園は異常な場所で。
いたるところで男女の営みが行われていた。
だから、全裸の少女が四足で首輪をつけられていても別に異常な光景ではない。
「ここの公園面白いでしょ。昼間は普通なんだけど、夜になるとこんな風に皆遊んでてさ」
白い背中を指でなぞると、彼女は小さく身震いをする。
「ふぁ……あっ」
「いい声で鳴いてくれるね。モナコちゃんは本当に可愛い犬……
……あれ?」
彼の視線が下半身に集中する。首をかしげ、足の合間を凝視し。
びりびりとした視線に、彼女は反射的に足を摺り寄せ。
「なんだろ。この液体は。もしかしてお漏らししちゃったのかな?」
腿を伝い、透明な液体が地面に流れ落ちている。
その液体を指で拭い、深い笑みを浮かべて見せた。
「ちがぅ! それは性的興奮によって引き起こされる現象で……あぅ……んっ」
「性的興奮って。えっちだな。お散歩だけでそんな感じちゃったの?」
背後に回り、尻をかき分ける。
ひくひくとうごめく淫唇を指でなぞり、とめどなく溢れる蜜をかきだす。
「あははっ、すごいね。本当にお漏らしみたいだ。
こんなんだと室内じゃなくてよかった。お掃除が大変だもんね」
尻に口付けを一つ。それから蜜壷を舌でこじ開け、音を立て、蜜をすすった。
「ふぁ……ん、やめたま……んっ、ダメ……ここじゃ」
「犬に拒否権は無いよ。それに身体は嫌だといってないし」
襲い来る快楽によって、上半身は地面に押し付けられ、形の良い胸が押しつぶされる。
腰は彼の手によって大きく持ち上げられ、足の合間からだらだらと蜜を零し続ける。
「くっ……ふぅ…んっ、ダメぇ、そんなすすったら壊れ……くぁっ」
草の合間から見え隠れする誰かの顔。確実に覗かれていた。
誰かに視姦されているという興奮が、彼女の身体を熱くする。
本来ならば、こんな醜態は見せられない。なのに、あのイタリア相手に醜態を晒している。
「んじゅ…美味しいよ。モナコちゃんのジュース。もっと飲みたいな」
舌先で豆をつつき、更なる刺激を与える。溢れる蜜を強く吸い上げ、奥に奥にと侵入してくる。
彼女の頭の中が段々と快楽に支配され、羞恥が薄れていく。
自分から足を開き、彼の舌を更に受け入れようとした時だった。
彼の動きがぴたりと止まる。何があったのかと後ろを振り向き。
「あ、フランス兄ちゃん、どうかしたの?」
絶望的な彼の言葉に、彼女の思考が停止する。
彼女が慕っている男の名前。昔からお世話になり、親愛を抱き、醜態を一番見せたくない男の名前に。
「やっ、見てはいけない! ダメだこれは私の意志なんかでは……あぁぁっ」
悲鳴に近い声があがり、彼女の身体に力が篭る。
薄い唇がかみ締められ、陰唇が激しく収縮し、蜜が脚を汚す。
痙攣のように小さく身体が震え、くたりと力が抜けた。

涙を浮かべ、肩で息をし、恨みがましいような瞳で彼を睨みつけていた。
だが、彼はけらけらと笑い、しっとりと汗をかいた尻をなで上げる。
「イっちゃったんだ。こんな所で。覗いている皆の前で。
……フランス兄ちゃんがいるのは嘘だったんだけどさ」
目を見開き、彼の顔を見つめてくる彼女腰を押さえつけ、首に軽く噛み付く。
「えっちなモナコちゃんには躾が必要だよね」
小さく悲鳴を上げる彼女の前に回り、にっこりと微笑んだ。
ズボンが下ろされ、彼女の目の前にいきり立った陰茎が晒される。
「雌犬ならば、ご主人様のしゃぶれるよね」
びくびくと血管が波打ち、更なる刺激を求め、先走る欲望がじんわりと零れ落ちていた。
視界一杯に広がった陰茎に、彼女は生唾を飲み込んだ。
高められた性欲。普段ならば目にするのすら拒否するはずなのだが。
舌を伸ばし、先端にふれる。
味蕾に感じる苦味。
頭の片隅はまだ冷静で、これが精液の味なのかと考えながら、もう少し強めに陰茎に触れた。
「んっ…じゅ…」
最初は先端だけ。
それから根元からねっとりと舐め揚げ、全体を口の中に収めた。
頭の中に事前資料として観賞した映像が流れ始める。
あの時は、演技としか思えていなかったのに。
「ふぁ…んじゅ…ちゅ……うぅ」
彼の陰茎に触れれば触れるほど、身体が熱くなる。
必死に食いついてしまう自らの貪欲さに、罪悪感と共に高まる快楽。
「あは、そんなに美味しい? 俺のちんちん。
あ、そうだ。犬らしく『ちんちん』してみよっか」
彼の指示に彼女は立て膝になり、脚をやや広げてみせる。
今度は抵抗も無く。
先ほどまで遊ばれた陰唇は絶え間なく蜜を溢れさせ、まだ来ぬ何かを求め続けていた。
膝をついたまま、陰茎を片手で押さえ、必死に舐め続ける。
「ちゅ…ぷふぁ……んっ、じゅぅ……ちゅ」
奉仕はしても、彼は身体に触れてくれない。
その寂しさから、もう一方の手で自らの慰め始める。
「あのゆーとーせいのモナコちゃんが俺のしゃぶりながらオナニーするんだ。
へぇ、モナコちゃんってやっぱりえっちな雌犬だったんだ」
「ふぁ、言わないでくれ……私はそんな……んっ、契約だからこうやってる……ふぁ」
蔑む瞳に、彼女は身体を大きく震わせた。
「こんな事ならばもっと早くから遊んでおけばよかった。
どうせいろんな男に尻ふって悦んでいたんでしょ」
「ちが! 私はそんな……やぁ、違うんだ……違う……んっ」
言葉で攻められるほど、彼女は快楽に侵食されていく。
見られているのに、蔑まれているのに。
蜜壷を弄る指は止まらない。
勃起した豆を指先で潰し、溢れ出す蜜で膣壁を強く擦り揚げる。
彼女の頭の中が段々と快楽に侵食されていき。
「ダメだよ。俺ももっと気持ちよくなりたいな」
息の荒くなった彼に、彼女の頭が掴まれた。
頭を股間に押し付け、前後させる。
女性を労わるはずの彼にとってはかなり乱暴な行動だ。
だが、彼女は多少苦しそうな顔をするだけで、必死に彼の陰茎を受け入れる。
「はっはっ……モナコちゃん! 俺の精液をたっぷり飲み込んで……!」
段々と動きが早まる。
喉の奥まで貫かれる感触すら、彼女は快楽へと変化していた。
荒い息の彼を見上げ、精を受け止める準備をし。
「くっ! ふぁ……」
口の中にどろっとした液体が注ぎ込まれる。
生臭い香りに眉を潜め、飲み込もうと喉を鳴らす。
だが、よほど貯めていたのだろう。飲みきれず、彼女の唇からあふれ出し、形の良い顎を伝い、地面を汚していく。

精を吐き出した彼は満足したのか、大きく息を吐き。
「よし、今度はモナコちゃんを気持ちよくしてあげるからね」
彼女を地面に押し倒した。鼻をくすぐる土の香り。
脚を大きく広げさせ、蜜を啜る。
桃色の陰唇を唇ではさみ、大きくなった豆を指でいじる。
鼻先を近づけ、蜜の香りを嗅ぎ。
「や、もう許してく……ふぁ」
「ダメ。モナコちゃんは俺の犬なの。だから俺が気が済むまでやるからね」
指を中に押し込み、中をかき回す。
今度は彼女の様子を身ながら。
指を動かすたび、彼女は可愛らしい声で身悶えてくれる。
「ああ、やっぱモナコちゃんって可愛いなぁ」
快楽におぼれる彼女を見ていたいから、執拗に彼女の蜜壷を弄り続け。


「モナコちゃん、ここ気持ちいい……あれ?」
いつの間にか反応の無くなった彼女の様子を見ようと、潮でべたべたになった顔を持ち上げ。
「あー……やりすぎたかなぁ」
頬を紅くし、失神している彼女を発見し、彼は深い後悔に襲われたのだった。

 

「本当にごめん。悪かったとおもっているよ。ね、だから今度は最後まで」
バスタオルに包まれた彼女の肩に手を回し、ゆるい笑みを浮かべて見せた。

――あの後、失神した彼女に混乱しながらも、家につれて帰り身体の汚れを落とした。
湯船に揺れる桃色の身体に、再び下半身が元気になり、邪な考えが浮かんだ所で彼女は目覚め。

それからずーっと謝り倒していたのだ。
汚れた眼鏡を拭きながら、彼女は怒りに満ちた表情を浮かべていた。
「契約と違うではないか。まさかあんな事まで」
「だってモナコちゃんが可愛すぎなんだもん。俺も我を忘れてさ」
肩に回った手で引き寄せ、耳元で呟く。
抵抗しないのを確認し、白い首筋に唇を近づけ。
「これ以上は契約違反だ」
肘が彼の顔面に叩き込まれる。
顔を抑え、涙目の彼を見下ろし、大きくため息をついた。
「……ベッドの上でといったのに、何で君は公園まで連れて行くかね」
「だって〜」
赤くなった顔をさすり、ちらりと彼女を見つめ。
「……可愛いすぎが悪いよぉ」
彼の言葉に、ぷいっと顔を逸らす。
「……不愉快だね。私は帰らせてもらう」
言葉のはじに照れが見え隠れしている事に気がついた彼は、にこやかに彼女を見送る。
それは彼女らしい行動だと知っている。
来る者は拒まず、去る者は追わずが彼の信条だから。
ドアの影で布ずれの音が聞こえる。
三つ編みの先がゆらりと揺れ。
「それでは失礼する」
「うん、じゃあね。またカードゲームしようよ」
手を振って見送る彼を振り返り、何かをいいかけ言葉が詰まった。
視線をしばしさ迷わせ、少し俯く。
やや上目遣いで彼を睨み。
「今度は君には負けないからね」
それだけ言い放つと、勢いよく扉が閉められた。

一人になった彼はソファーに座り込むと、顔を伏せる。
「ああもう、本当にモナコちゃん可愛いなぁ」
楽しそうにしばし笑い声をあげ続け、それから大きく息を吐く。
「さーてっと。俺は一回しか抜けなかったし、もう一度……」
ズボンのポケットに手を突っ込み、何かを探す動作を見せ。
動きがぴたりと止まり、深い笑みが浮かんだ。
ポケットから取り出されたのは一枚の布。
可愛らしいレースで縁取られた白い女性物の下着だった。
「こっそり隠しておいたけど、気がつかずに帰っちゃうだなんてね。
そんなモナコちゃんも可愛いけど」
下着の匂いを嗅ぎながら、下半身を露出し、片手で擦りあげる。
「ハァハァハァ、モナコちゃんのパンティいい香り。あのエッチな蜜の匂いが」
息を荒くし、自慰に勤しむ。
段々と手の動きが早くなり、先走り液で水音が響き渡り……
「ああもうダメモナコちゃ……」
「すまない。忘れ物を取りに……」
爆発寸前の所で、可愛らしい声が響き渡る。
停止する間もなく、彼女はドアを開け。
二人の視線が交差する。
言葉も出ない二人。
沈黙の中、彼の白い液体だけが飛び出し、床にぴしゃりと落ちた。
彼女の視線がその液体、それからその液体が出たところ。そして、手に握られた彼女の下着に移り。

「愚か者がぁぁっ!」
彼女の怒号と彼の泣き声、何かを叩く音。
それが家の中に響き渡ったのだった。

 

 

書き下ろし
4/1にリク下さった『×モナコでSМ』でした。随分とお待たせいたしました。
相手に散々悩み、出た結果がなぜかイタリアでした。
まあ、途中、『モナコ×』になりかけたのは秘密です。




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