「フランスにぃ……フランス君、膝を触るのはやめてくれないかい?」
頬を赤らめ、ずれた眼鏡を直すモナコ。
彼女を膝の上に乗せ、ご満悦なフランスはさりげなく、膝を触っていた手をスカートの中に差し入れ……手を叩かれた。
睨みつける彼女だが、どこか幼い表情のため、迫力は全く無い。
大きく溜め息をつくと、もう一度彼の顔を見上げる。
「新年早々セクハラというのは、君の家の伝統かい?」
「是非、伝統にしたいとこだね。
まあ、モナコが可愛い過ぎるのが悪いという事にしておこう」
楽しそうに笑い、頬をスリ寄せてくる。

ちくちくと無精髭が痛いが、あまり不快感はない。
それは幼い頃からされてきたせいなのか。
逆に少しだけ心が安らぐ。
最近忙しかったから、彼と触れ合う時間が無かったからだろう。
頭を撫でられ、目を細める。
だが、更に侵入してくる手に眉を潜め。

「フランスにぃ……フランス君、いい加減にしないと、私にも考えが……」
「考えって何だ?」
にこやかに尋ねてくるフランス。
ちなみに懐からネコ耳を取り出し、更にセクハラする気は満々らしい。
小さく溜め息をつき、睨みつけ。
「フランスにぃ……フランス君を嫌いになるぞ」
そうはいっても、やや幼い顔、上を見上げてにらんでいる為、上目使いで見上げているようにしか見えない。
ふるふると震える彼の肩。
「うわぁ、それは恐ろしいなぁ」
と棒読みで叫び声をあげると、両手で彼女の小柄な身体を抱きしめた。
「あ、こら!嫌いになるっていったばかりだろう」
「上目使いで拗ねたように『フランスにぃ、嫌い……』って言って欲しいな。ハァァハァ」
楽しそうにじゃれつくフランスに、モナコは何度目かの溜め息をついた。
すり寄ってくるフランスを押しのけ、膝の上から脱出を試みるが、フランスの包囲網はそんなに甘くなく。
「フランスにぃ!やめてくれないかい」
「やーだ。可愛いモナコは俺のものだも〜ん」
二人のじゃれあいは、しばらく続いたのだった。




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