……怒ってますか?

『怒ってません』って、怒ってるじゃないですか。
ね、こっち向いてくださいよ。背中だけじゃ寂しいです。
うー、あの時の事は悪いと思っています。
ただの愚痴の言い合いがあんな事になるだなんて、予想できませんでしたし。
……お酒の事は本当にごめんなさい。
限度を超えたら、タガがはずれる事もわかってます。

そのせいで、ドイツ君や仕事に来てたスイスさんを二人同時に襲って泣かした事もあります。
……二人とも泣き顔や鳴き声は可愛いなと思ったりもして、思わず酔いが醒めてもかまわず襲い続けたのも悪かったと思ってますよ。
だって、あの強気な瞳に涙って、萌えると思いません?
屈辱に耐える姿って素晴らしいと思いません?
思わず、ドイツ君の私物を使ってしまったほどですもん。
……結構、SMって楽しいんですね。
今度、一緒にやりましょうね。
でも、その時、二人同時に『俺・我輩にはリヒテンシュタインが』と口から出た時は、さすがに言葉を失いましたよ。
それから気まずくなって、私は寝た振りをしたんで、その後どうなったかは知りませんけれど。

それだけじゃないですって……
はい、確かにスウェーデンさんも襲いかけましたよ。
でも、あの時は逆に襲われたんです。
怖い顔のわりには、女性の扱い方が上手で……初めてでした。あんなに潮ふかされたのは。
その声で興奮して、オーストリアさんだって一緒になって、私を鳴かしたじゃないですか。
あの日、私お尻しばらく痛かったんですから。
それに、お尻もいいなと変な考えても浮かんできて、大変だったんですよ。
……ちょっとだけ、私じゃなく二人が絡んだらおいしそうだなと思ったり、
ムキムキと細めなんて絶対売れる!だなんて考えてませんってば。

……プロイセンの事は思い出させないでください。
あれは悪夢なんですから。
そうですよ。いろいろ疲れてて、それでやけ酒したもんだから、あの馬鹿をオーストリアさんと思い込んで……
だって、あのバカ、酔ってぐだぐたになってる私に『大丈夫か』って優しい声かけてきたんですよ。
酒のせいです。酒が悪いんです。
だから、あんなに気持ちよくて、何度もいかされて。
私は絶対、オーストリアさんとばかり思ってました。
あのバカ、優しいエッチなんてできないんですよ。
さすがドイツ君の兄だけあって、どSなんです。鞭とか蝋燭とか縄は常備してますもん。
でも、ドイツ君とは逆で、どこか子供っぽいから、手加減ってもの知らないんですよ。
本当に痛いのか、快楽なのかわかってないんですもの。
……だから、あんな優しく抱いてくれるとは思わなくて……
あーもう、あのバカの話はこれでおしまいです!

オーストリアさぁん……ん…ふぅ……ぁ
……ずるいですよぉ。女の子から舌入れるのって、凄く恥ずかしいんですよ。
それなのに、それなのに、顔色一つ変えないで。
嫉妬してくれるのは嬉しいんです。でも、かまってくれないと寂しいです……

……本当にごめんなさい。許してくださいとは言いません。せめてこっち見てくださいよぉ。

……あの後、さすがに反省してたのに……急にポーランドさんが乱入してくるんですもん。
マイペース過ぎるポーランドさんのペースを崩せる人はいませんって。
のりのりで私の胸にしゃぶりついてくるんですよ。
性感帯を適切に攻めてくるなんて、意外に手馴れているんです。
青ざめた顔でリトアニアさんは止めてくれたんですけれど……
その、私の声に再び熱くなってしまったのか、二人で攻められて……

あまりの声で、きっと心配してくれたんでしょうね。
愚痴大会が始まる前に一緒に飲んでいたラトビアさんとエストニアさんが、様子を見にきてくれたんです。
……もうその時には、二人に攻められて何がなんだかわからなくなってましたけど。
ああ、これでやっと終われる……と思った私がバカでした。
あのラトビアさんの表情が陰ったんです。いつもの可愛らしい姿から……
そう、いまはやりのヤンデレにでもなったかのように。
ぴょこんと性器を取り出して、私の手に握らせたんですよ。怖い顔で『僕も気持ちよくしてよ』って……
ちょっとゾクってきましたよ。
そして、恥ずかしいですけど、子宮がきゅっとなったのもはっきりとわかりました。
私ってギャップに弱いみたいなんですよ。
手にはラトビアさん、前にはポーランドさん、後ろにはリトアニアさん。

さすがにこの状況だと、もうエストニアさんは参加できないと思っていましたけど。
知ってますか? エストニアさんも、結構Sなんです。
冷めた瞳で、椅子に腰掛け『見事な光景ですね。さすがは淫乱なハンガリーさんだ』って。
この状況下で、興奮もせず、そんな台詞はけるんですよ。
いわゆる言葉攻めってやつです。
もう口に出すのがはばかれるぐらい、凄い言葉攻めをしてくるんです。
さすがは優等生だけあって、どこでどういう言葉をぶつければ、
私が悶えるだろうということを計算しつくしていたんですね。
もうそれからは地獄……というか、ある意味天国でしたけれど、
何度もイかされ、意識なくなるまでヤられて、精液まみれになって……


だから、あの日の朝は帰れなかったんです。
オーストリアさんがお出かけしたのはわかっていましたから、本当ならば私が迎えに行く予定でしたよね。
後でドイツさんから、オーストリアさんが遭難しかけていたと聞いた時は、すっごく泣きたくなって……

……今もとても泣きたいんですよ。
大好きなオーストリアさんが…見てくれないから。
……あ、ごめんなさい。泣いていませんって。
これはその……うっ…ふぇ…泣いてません。泣いてなんか……
泣いて……うっく…許してもらおうだなんて…う…そんなずるい女には……うっぐ……なりたくないんですぅ。
あーもう、涙…とまってよぉ! 私は強い……ふぇっ……だからっ!

ふぁ? んっ……んんんっん…ん
……やっと、こっち見てくれましたね。
本当にゴメンナサイ。お迎えにいけなくて。
それと、やっぱりオーストリアさんの唇が一番好きです。
ふふっ、『今泣いた烏がもう笑う』って、なんですか。私カラスなんですか?
んもう、もっと綺麗な鳥がいい……いえ、カラスでもいいです。
オーストリアさんが愛してくれるならば、どんな鳥でもいいです。

大好きです。大好きです。愛してます。
この綺麗な背中が好きです。
この優しい手が好きです。
私をみてくれるこの瞳が好きです。
ねぇ、いっぱいしてください。私の中いっぱいにオーストリアさんください。
明日の事なんか忘れられるぐらい、気持ちよくしてください。
私も頑張りますから。たっくさん、気持ちよくします。

それと……たっくさんお酒飲むのは、もう辞めます。
たくさん飲むのは……オーストリアさんの前だけにしますから。

オーストリアさん、世界で一番愛してます。




2009/05/15初出
酒は飲んでも飲まれるな の続編です。
前作でわざわざ『ゲルマン』といいかえた意味はこういう事でした。





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