「兄さん……」
薄暗い部屋の中、ベッドに腰掛け、枕をぎゅっと抱きしめる一人の少女。
俯いた表情で、枕に顔を埋める。
「こんなに思っているのに……なんで私の思いを受け取ってくれないの? 兄さん兄さん兄さん兄さん」
肩が微かに震え、腕の力が強まり……枕の形がどんどん変化していく。
「兄さん……兄さん兄さん……」
ぷちりと何かが切れる音が部屋に響き渡った。その音とほぼ同時に羽根が舞い上がり。
「……そうね。兄さんを取るあいつが悪い。最近仲の良いアイツが悪い」
枕……いや、枕の残骸を握り締めながら、彼女は静かな笑みを浮かべたのだった。

ドアが勢いよく開かれた。
暖炉の前で寝こけていた男は反射的に起き上がり、現状を把握しようと辺りを見回す。
平和な日々に慣れてしまったせいなのか、ドアに鍵をかけなかった事に後悔する。
しかし、ドアの惨状を見て、鍵の意味の無さに空しさを感じながら、その騒動の原因を探ろうと目を凝らした。
破壊されたドアの前に佇むのは見たことのある少女。
大きなリボンが印象的で非常に美人だが、妙な威圧感が玉に傷なベラルーシだ。
ロシアの妹君だけあって一筋縄でいかない。

だが、こちらの男も一筋縄でいかない。
今は居候に近い状況だが、昔は世界に名を轟かした男、プロイセンなのだから。

大きく欠伸を一つし、ドア破壊した彼女を睨みつけた。
「たく、いきなりドア破壊しやがって。ヴェストにどう説明すればいいんだ」
「煩い。ドイツはどこだ」
話を聞く事もなく、一喝してくる彼女に、彼は大きくため息をついた。
彼自身も話をしっかり聞くタイプではない。
だけれども彼女よりは聞いてやれる自信はあった。
それなりに現状を把握し、打破する方法も知っている。
寝癖のついた髪を手で撫で、彼女を睨みつけた。
「ヴェストは仕事で出てる。で、お前はどういう用件なんだ?」
もう一度彼女に問いかける。今度は少しだけ冷静な声で。
彼女は彼の声に反応する事もなく、ただ俯いたまま佇んでいた。
どれくらいの時間がたっただろうか。彼女は少しだけ震える手を握り締め。
「……兄さんと仲の良いドイツが悪いんだ。
あの男がいるから兄さんは私の元にきてくれない。だからあいつが悪い」
「あ〜仲が良いって……なぁ」
記憶を掘り起こす。確かに最近は仲が良いようにも見えるのだが、それはきっと経済の為。
あの二人がそう簡単に仲良くなれるとは思えない。

「で、仲が良いからって何でここに来る必要があったん……ぐっ」
鼻先に甘い香り。頬をくすぐる柔らかな感触と、唇に触れる何か。
目を見開き、それの正体を探る。目の前に広がるのは澄ました顔の彼女。
唇を割って入り込み、乾いた口内を舌で荒らす。
「……何しやがる」
「お前に魅力がないのが悪い。お前がドイツを捕まえておけば、兄さんと仲良くなる事もなかったのに」
只ならぬ空気を感じ、目の据わっている彼女から1歩後ずさる。

しかし、それは無駄な行動だった。
いつの間にか足を縄にかけられ、バランス崩す。
背中を丸くし頭をあげ、衝撃をなるべく減らしたのだが、あまり効果は無い。
荒々しく彼女がのしかかってきたから。
「ドイツを襲わないという事は不能なのか?」
「不能じゃねぇ! ってか、何で俺がヴェストを襲わないといけな……うっ」
ズボンを下ろされ、まだ元気の無い下半身が露になった。
蔑んだ瞳でソレを見つめ、嘲笑を浮かべる彼女に、彼は少しだけ涙目になった。
だが、ここで意気消沈していては彼女の意のままだ。
「だから、どうして俺が不能なのと、ヴェストを襲うのが関係し……ああ」
そこまで言っておいてやっと疑問が解消した。
ハンガリーが持っている本の中でよくそのような単語が出てきた。
つまり、彼女にとっては、彼とドイツがそういう関係なのにドイツがロシアにちょっかいをかけている……
と思っているのだろう。

一瞬、彼女もそっち方面の人間かと思ったが、すぐに思いなおした。




彼女が興味あるのは兄であるロシアだけ。ロシア以外の男……いや、ロシア以外はただの雑音にしかすぎない。
深々とため息をつき、彼女の瞳をまっすぐに見つめた。
「あーもう馬鹿馬鹿しい。今ならば黙っておいてやるから、とっとと降りろ」
これ以上の事があれば実力行使にも出るという意味を込めて。
しかし、そんな静かな威しは彼女に通じる事はなかった。
蔑んだ瞳で彼を見下ろし、下半身を鷲づかみにしてきた。
「兄さん、この野郎の尻穴を開発して、ドイツをこいつの元に縛り付けてあげます。
だから私の元に返ってきて」
暗い瞳で笑みを浮かべ、握りしめられた怪しい玩具に舌を這わす。
もし、彼がМだったら、息が荒くなる光景だっただろう。
だけれども彼はゲルマン人で。ドイツと同じく誰かを縛ったり鞭で叩いたりするのが好きな人種で。

彼の瞳に鋭い光が宿った。
「……そうか。宣戦布告受け取ってやる。よーし、それじゃあ戦るか!! 泣いて叫んでもしらねえぞ」
怒りに任せ、逆に彼女の身体を押し倒す。
あまりの出来事に、彼女は何が起こったのか理解できなかったのだろう。
目をぱちくりとさせ、彼の顔をただ見つめ。
「どけろ。チンカスが」
「泣き叫んでも止めねぇよ」
手首を押さえつけたまま、首筋に唇を落とした。白い肌に吸い付き、ぽつりと紅い痕を残す。
滑らかな首をなぞり、耳たぶを軽く唇ではさみ。
「どけ」
下半身に激しい衝撃が走った。呼吸が止まる。嫌な汗が額に溢れ出す。
「て、てめぇ! 何しやが……」
罵倒すらもまともに声に出せず、下半身を押さえ、うずくまる。
その間にも彼女は乱れた髪を手で整え、嘲笑を浮かべ、見下していた。
「自分から尻を出すという事は、ケツの穴を開発して欲しいという事ね」
いまだ痛みにのた打ち回ってる彼の尻に手を伸ばし、手にしていた凶悪な玩具を押し付け。
最大のピンチに更に冷汗が背中を伝い。

「約束通り遊びにきたで〜」
お気楽な声が家の中に響き渡った。
その声の持ち主は、暖炉前で繰り広げられている惨劇に言葉を失い、気まずそうに頬をかき。
「あ〜取り込み中やったか。ほんますまん。そんじゃ……」
「スペイン!! ベラルーシ捕獲!」
悲鳴に近いプロイセンの声に、反射的にスペインは動き、彼女を背後から羽交い絞めし、動きを止める。
じたじたと抵抗するが、スペインは特に気にも留めず、痛みに耐えるプロイセンに目を向けていた。
「何やってるんだ? ん?」
きっと外でスペインを待つ気だったのだろう。ロマーノが中の様子を確認し、言葉を失った。
怪しい玩具を持つベラルーシを羽交い絞めするスペインと、下半身丸出しで身体を丸めるプロイセン。
この状況で判断しろという方が無茶だろう。

「あー、んで、何がどうなってるん? ベラルーシちゃんもおもろい玩具もってるみたいやし」
呆れた声のスペインに、痛みに震えるプロイセンはどうにか顔を上げ。
「宣戦布告をうけた。攻撃に転じた所、不意打ちを食らった。以上……いや」
黒い笑みをうかべ、行動を封じられたベラルーシを睨みつける。
「ルール無用。思う存分鳴かせてやれ」
「ん〜女の子をいじめるんのは趣味やないけど、宣戦布告を受けたならしゃーないか」
スペインも意地悪な笑みを浮かべ、身体をおさえつけたまま彼女の胸元に触れた。
しっかりとした手ごたえ。彼女の姉ほどではないが、さわり応えのある大きさ。
「ちょっ、待て! そんな事したらこいつは怖がって……」
「痛くも痒くも感じたりもしない」
見かねたロマーノが静止をしようとしたのだが、当の本人はぴくりとも表情を動かすこともなく、
めんどくさそうに言い放った。
女の子の涙は見たくは無かったから止めようとしたのに、全く反応を見せない彼女。
ロマーノは深々とため息をつき、ソファーの上に横たわった。
「あー、まあ勝手にやってろ。終わったら起こせ」
これ以上、馬鹿馬鹿しい戦いに首を突っ込む気は起きなかったのだろう。
つまらなそうに大きく欠伸をすると、クッションに顔を埋めた。
「男なら、ここで食わんと。意気地なしやな〜」
スペインはさり気無く、服の隙間から手を差し入れながら、苦笑を浮かべる。
「ま、気にすんな。さてっと、俺に攻撃してくれたお礼してやんないとな」
どうにか復活したプロイセンが、彼女の前に立ちはだかる。
じっくりと全身を視姦し、スカートをめくり上げ。
「ちんこもげろ」
鋭い蹴りが彼の下半身に再び迫ったが、今度はどうにか避ける。
不敵な笑みを浮かべるプロイセンを前に、彼女は小さく舌打ちをした。
「このアマ! もう手加減なんぞしてやんねぇ!」
腕を荷造り用の紐で机の足に縛りつけ、床に転がす。
その際、スカートが舞い、滑らかな足や、可愛らしい下着が露になったが、彼女は特に気にしていないようだ。
少しだけ哀れんだ眼差しでスペインは眺めていたが、スカートから見え隠れする白い肌に頬を緩めた。
「やっぱ寒いとこの女の子はええな。肌が滑らかで」
プロイセンとは違い、優しい手つきで腿をなぞり上げる。
ぴくりと身体を震わし、唇をかみ締める彼女に、プロイセンは小さく舌打ちした。
「ちっ、しっかり感じてるじゃねーか。こんならば遊ばないで突っ込んでも問題ねぇな」
足を大きく開かせ、下着を剥ぎ取る。薄い水色の下着はすでにしっとりと濡れており、彼の言うとおり感じてはいるのだろうが……
「爪楊枝程度のお前のモノが役に立つの?」
強姦状態だというのに、彼女は動揺もせず、罵るのみ。
美しい身体を持っているのに、どうも萎えてしまいそうになる。
「役に立つかどうかは、実際にヤってから考えろ」
足を押さえ込み、荒々しく腰を押し付ける。ぬるりとした生暖かい感触に彼自身が包まれ、小さく快楽の声を揚げた。
彼女の方はまだ入れる準備はできていないためか、少し眉をひそめた。
だが泣くことも激しい抵抗もせず、身体を押さえつけるプロイセンを睨みつけるだけ。
「はっはっは、恐ろしくて声もでないか。その割には強く締め付けてくるじゃねーか」
三流な悪役の台詞を吐いてみたが、彼女はしばし目をつぶり、何かを考えるかのような表情を浮かべ。
「短小。こんなもんで満足させられるとでも?」
相変わらずな台詞にがくりと肩を落とした。
気の抜けた顔で彼女から引き抜くと、床に座り込む。

「たくっ、萎えちまったぞ。後は任せた」
「任せられてもなぁ……」
プロイセンの代わりに彼女の前にちょこんと座り込むスペイン。
人当たりの良い笑みを向け、首をかしげた。
「んじゃ、遊ぼっか。ベラルーシちゃん」
形の良い顎を指先でなぞりあげ、頬に口付けを一つ。
「ほんまは唇欲しかったんやけど、これで我慢しとく」
ウインクを彼女に捧げ、胸の膨らみを手で包み込んだ。
マシュマロのような柔らかな胸。もっと触れてみたいという欲求に襲われる。
「やっぱかわええ。もっと白い肌みせてな」
首元のリボンを解き、ブラウスのボタンを外していった。白い肌が空気にさらされる。
胸に唇を落とし、紅い痕を点々と残していった。
ボタンを外すたびに広がる白い肌。そしてとうとう二つの雪山が露になった。
つんと尖った先端には淡い華が咲いており、それを口に含んでみた。
「……っ!」
小さな喘ぎ声とともに、彼女の頬が微かに染まった。
声を出してしまった事に後悔をしているのだろう。顔を逸らし、眉をひそめた。
「ええ。むちゃええな。この恥じらいの表情」
もう一度、先端を口に含み、硬くなった蕾を舌先で転がし。
「もっと声を聞かせ……せぎゃぁぁっ!」
甘い声の代わりに、スペインの悲鳴が部屋の中に響き渡った。
股間を押さえ、うずくまるスペインと、細くて短いたくさんの毛を握り締めたベラルーシの姿。
傍らで眺めていたプロイセンは、本日何度目かのため息をついた。
「毟られたか。にしても、あの紐をよく解けたな」
「私を縛れるのは兄さんの愛のみ。こんな紐、私達の愛の前では無力」
乱れた胸元を隠す気もないのか、実に堂々とした態度で立ち上がり、髪をかきあげた。
「で、ソレどうすんだ」
呆れた声で問うと、彼女は手の中の毛……陰毛を見つめ、手荒にスカートのポケットの中にそれを押し込める。
「呪いにでも使う」
ぽつりと呟く彼女と、半泣き状態で今だ痛みに耐えているスペイン。
二人がかりでも攻略できなかった強敵なベラルーシに、プロイセンはただ肩を落とし。
視界の端に眠りこけている男の姿を確認した。
このまま彼女を放って置いといたら、確実に更なる被害がくるのは理解できる。
きっと二人を調教し、変な方向に目覚めさせられるだろう。
そうならない為には……

「よし、ベラルーシ、勝負をしよう。
そこに寝てるロマーノを朝までに10回抜いたら俺の負けだ。ロシアとの二人だけの時間を作れるよう、色々作戦練ってやる。
だが、10回抜けなかったら俺らの勝ちだ。とっとと帰れ」
我ながらかなり無茶だとは思った。しかし、こうでも言っておかないと彼女の刃が彼らに襲い掛かるだろう。
きらりと光る鋭い瞳。彼女は大きく頷くと、寝こけているロマーノの上に圧し掛かり。

「ちぎぃぃぃっ! やめろぉぉぉっ!」
「うっさい。黙れ。このほーけー童貞が」

泣き叫ぶロマーノの上で腰を振り、魅惑的なダンスを見せるベラルーシ。
本来ならば目を奪われる光景なのだろうが。

「あー、お前は助けねぇのか?」
「ロマーノは女の子好きやから。童貞卒業もできるしいいやろ」
眠そうな声のプロイセンがぼんやりと二人の絡みを眺め、すでに半分寝ているスペインは微笑ましそうに見つめていた。
もうプロイセンも考える力すらない。
襲い来る睡魔には勝てそうに無い。
「ま、決着がつくまで寝れるだろ。あーねみぃ〜」
だるそうに呟くと、プロイセンは抱き枕になっているクヌートのぬいぐるみを抱え、心地よい眠りについたのだった。

――ロマーノの悲鳴とベラルーシの微かな喘ぎ声をBGMにして――

 

 

 


書き下ろし
11/23・11/27の拍手リクにお答えしまして、ベラルーシ受けを。
……うん、反省してます。ベラルーシじゃ素直に受けになってくれませんでした。
ちなみにプロイセン、スペイン、ロマーノなど相手にというリクだったので、皆出してみました。
そうしたら、何故か三人とも悲惨な目に……
おかしいなぁ……




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