ベッドの中、寝返りを一つ。
隣で眠る男の顔を頬杖をつき、満足げに見つめる。
「相変わらずだな。君は」
ぽつりと呟くと、おでこを指でつつき。
「相変わらず格好いいって?
おにいさん照れちゃうなぁ」 
眠っていたはずの男の腕が、彼女の細い腰をつかみ、身体に引き寄せた。
「ダメだ。契約では一度と言っただろう。
これ以上は私の仕事に差し支え……んっ」
胸元に走る感覚に、彼女は可愛らしい声を上げ、頬を赤らめた。
「可愛いなぁ。モナコは。
口調はまるでおじさんなのに、甘い声は子猫のようで」
次々と胸元に口づけし、紅い痕を残していく。
襲い来る快楽に身をよじり、彼の頬を押しのけようとするが、そう簡単には許してくれそうにない。
快楽に飲まれまいと、必死に明日の仕事の事を思い描き、
ある事を思い出して眉をひそめた。

まだ胸を貪る彼の頭を軽く小突き、指を一本立てる。
「そうだ。一つ言っておきたい事がある」
「一発抜いてからじゃダメ?」
「ダメだ」
真面目な彼女の顔に、これ以上はふざけても怒られるだけだと感じ、苦笑を浮かべた。
「はいはい。おにいさんにお願い事かしら?」
ベッドから身体を起こし、彼女の身体を抱き寄せる。
丁度膝の上に乗せるように。
「真面目に聞く気がないのかい?」
「聞く気があるから、お膝に乗せたんだよ。
どんなお話かな?」
頭を撫でられ、頬を緩めそうになったが、すぐに顔を引き締め、彼を少しだけ睨みつけた。
「その……薔薇一輪を股間に飾るだけの姿で街を闊歩するのはやめてくれないか?」 
「ん〜? どうして? みんながお兄さんに注目するのに嫉妬しちゃう?」 
けらけらと笑う彼に、彼女は大きく溜め息をついた。
「いや、そうではない。そのサイズの薔薇に収まりきる程度のモノで 
 私が満足していると思われては困るからだ」 
「いやん、あれは収納用サイズだってお前だけは知ってるはずだろ。戦闘時はあれの三倍は」
「知ってはいるが……
他の者はしらないだろう。
フランスにぃ……フランス君の勃起時の大きさだなんて」
恥ずかし気もなく言い放つ彼女の頭を優しく撫で、今度は彼が溜め息をついた。
「女の子はもう少し恥じらいを持つべきだと思うんだ。
こんな可愛い唇から勃起だなんて」
「それは男女差別ではないかい?
それに生物学的に正しい発言……ぅんっ」
唇を塞がれ、彼女の言葉は途切れた。
唇を合わせたまま、彼女の腰を持ち上げ、まだ余韻の残る蜜壷を指でこじ開ける。
「そんなへりくついう可愛い娘はお仕置きしちゃうぞ」
「やぁ……だから、仕事に差し支え……ふにゃ……」
そうは言うが、大きな抵抗はしない彼女を見つめ、彼はにこやかな笑みを浮かべたのだった。

もう一度唇を重ねる。かつんと眉間に当たる眼鏡の感触に、彼は少し苦笑いをし。
「す、すまない。このような時は眼鏡を外すのがマナーで……ふぁ」
離れた唇を首元に移動させ、強く吸い付く。
びくりと身体を震わせ、潤んだ瞳で彼に許しを請うが、そのような行為は逆効果にしかならない。
「本当に可愛いなぁ。ずっと俺のとこいればよかったのに」
硬くなった胸の突起を濡らした指先でいじりつつ、シルクのような髪に触れてみた。
ゆるく編まれた三つ編みを指で解き、長い髪にキスを一つ。
「昔は三つ編みしてなかったな。あの女性が来てから、髪を伸ばしたり、リボンつけたり」
快楽に耐えるよう顔を俯ければ、柔らかな髪が赤くなった頬を隠す。
「ま、今も昔も可愛いには間違いないけど」
赤くなった頬にキス。それからまっすぐに彼女の瞳を見つめる。
「可愛いモナコ。自分から腰を上げてごらん」
彼の言葉に、彼女は視線を逸らし、小さく頷いた。

小さい頃から自分を知っている男。
背中のホクロの数まで自分を知りすぎている男に逆らえるはずもない。

少しだけ腰を浮かす。
期待に満ちた蜜壷から、溢れ出す蜜が彼女の腿を伝っていく。
液体が伝う感覚は、舌を這わすような感覚によく似ており、思わず小さく声をあげる。
「自分の蜜で可愛い声あげちゃって。うん、期待しているんだよね」
「期待なんて……くっ、してない」
言葉だけは抵抗してみる。
だが、腿に当たる硬い物体に段々と息が荒くなっていく。
熱い吐息が唇から零れるたび、彼は笑みを深くする。
「入れて欲しいんだろ。お願いしてごらん」
先端で蜜壷の入り口を弄び、耳元で甘い誘惑をしてみる。
幾度か唇が開き、何かを口にしようとするのだが、まだ理性が残っていたのだろう。
声にならず、小さく首を横に振り、抵抗してみせた。
「あらいやだ。こんなに濡れてるのに欲しくないだなんて。照れているのかな?
素直な娘が好きよ。おにーさんは」
ふざけた口調で笑い、先端だけを侵入させた。
すでに準備のできていた蜜壷は、先端をしっかりと包み込み、さらに奥深くに引きずり込もうとする。
だが、彼はすました顔で彼女の顔を真っ直ぐに見つめるだけ。
腰を落とそうにも、彼の腕はしっかりと彼女の腰を押さえつけており、それ以上入れることはできない。
身体を動かし、快楽を求めようとしてみたが、それすらも許さず。
震える手で彼の頭を抱き寄せる。
羞恥で紅くなる顔を隠すために。
「お願いだ……んっ、欲しいんだよ。君が」
「『フランスにぃ』ってよんで欲しいな。昔みたいに」
手を振り払い、彼女の顔を真っ直ぐに見つめ、にこやかに笑う彼に、小さく吐息をはき。
「……フランスにぃ……お願いだ。ここに入れてくれ」
「了解。これは契約だよな。朝までたっぷり可愛がってあげるよ」
強く突き上げられる感覚に、彼女は髪を振り乱し、声を上げ、大きく乱れ踊り。


「……ま、可愛らしい嫉妬だと思って、もう少し大きなのつけてやるか」
快楽に耐え切れず自ら腰を振る彼女を抱きしめながら、彼は呟いたのだった。


その後、フランスの股間には足もとまで届く蔦のオプションが追加された。 

「これでいいかな?」 
「うむ。とりあえずは」
裸蔦薔薇という姿を前に、彼女は満足げに頷き。
「あ、ダメだ。モナコの可愛い姿をみたら、これでも収納できそうにないや」
蔦を押しのけ、むくむくと顔を出すモノを見つけ、逃げようと後ろを向いたのだが。
「今日はバックか。それもいいね」
背後から押さえつけられ、いつものように剥かれ。
「ん、縛るなんて卑怯じゃないか」
「蔦ってこういう風にも使えて便利だな」
やはりヤられてしまったのは言うまでもない。



2011/01/16初出
追記しました。
03/05に拍手くださった碧様に贈ってみます。



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