薄桜鬼〜新選組奇譚

おすすめ度 8 満足度 9 オトメイトには常にこのレベルを維持していただきたい

イラスト
シナリオ
システム
配役
主題歌
音楽
萌え
切なさ
ときめき
好きキャラみんな好き

名前変換有り(固定でも呼んでもらえない)
イラスト回想有り
シーン回想あり
クイックセーブ、クイックロードつき
クリアした部分は好感度等初期値で章を選んではじめることが出来る機能つき
コンプリートまで既読スキップ使用で15時間前後
CERO区分C

イラスト

やはり綺麗だと思います。
個人的には土方さんの顔が一枚、長すぎる気がするものがありましたが。他のに比べて一枚だけ妙に長い……。差分を考えないと、枚数自体はそんなに多くないと思います。

シナリオ

トータル的に、まとまっていて面白いです。贔屓目でみると、キャラは皆魅力的に描かれていて、生き様死に様が非常に胸を打ち、熱くなります。
冷静に見ると、いい部分はだいたいが史実ベースに従来の新撰組ものの解釈に乗っかった、新撰組ものではお約束の名場面であるとは言えます。
そして、どうにも、その部分と、恋愛部分のかみ合いというか、接着の仕方が若干残念だとは思います。
それでも、売りの羅刹化は、個人的にはそれほどとっぴではなかったと思いました。

長さは、最近のオトメイトの中では長いほうです。長いだけにわりと心理描写もちゃんと書いてくれています。
しかし、だからといって、物凄く長く、超大作、ではないです。……これで他の会社の乙女ゲの長さとだいたい同じぐらいになったかな、というぐらいです……。

システム

セーブがもう少し増えたらいい。
スキップがもっと早くなればいい。
このスキップはほんとに選択肢ジャンプぐらいの勢いでもいいと思う。
この三つはオトメイトの作品をやるといつも同じ感想をもつんですけど。

今回実装された行軍録は結構便利です。しかし好感度調節は出来ないのでバッドを探すには便利ですが後から確認するには微妙に不向き。

配役

敬称略

土方歳三 三木眞一郎
沖田総司 森久保祥太郎
斉藤一 鳥海浩輔
藤堂平助 吉野裕行
原田佐之助 遊佐浩二
風間千景 津田健次郎

聞き分けはしやすかったです。しかし聞き取りにくい音量ではあった。

主題歌

初めはちょっと軽いかなあと思ったのですが、最終的にはフレーズが頭に残りました。

音楽

緋色シリーズと音楽作ってる会社同じですよね? フレーズが凄い似てるのでもうちょっとなんというか、もう少し……。
ただ、タイトル画面で流れる曲は、とても好きです。

萌え

個人的には萌えるというか、かっこいいなあ、と、そういう感じでした。シナリオとしては結構萌えを見越したシーンも入っていると思う。
ただ、新撰組の皆はどの人も非常に格好良くて、ほんとうに眩しかったです。
キャラ萌えという点だと、沖田斉藤あたりだと思いますし、萌えますけど、うーん、土方さんの格好良さはやはり群を抜いていた。しかしあれは萌え系ではないと思う。

切なさ

切ないだろう切ないだろうといいたいのはわかる。
でまあ、概ね切ない。しかし恋の切なさではなくて生き様の切なさなので「乙女ゲ」だと好き嫌い分かれるかなとは思う。

ときめき

四六時中恋しているわけではないので、まあ、甘い台詞? でぐだぐだに甘やかされてはいないかもしれません。しかしまあ、状況的にはありえないほど甘やかされてるとは思います。

総評

私はオトメイト作品は原作つきのものと、プティフール、星の降る刻、カヌチ以外は2008年11月現在だと全部やっているのですが、その中では一番できのよい作品だと思います。
土方、沖田、原田のルートは頑張っていたと思います。斉藤、藤堂のルートも頑張ってはいたんですけども、土方ルートほど頑張って作られてはいないなと。
このゲームを買うか買わないか、悩む部分はやっぱり、新撰組に羅刹とかいう部分をくっつけちゃった部分だと思うんですが、羅刹自体はやっていてそれほど一回一回現実に引き戻されはしませんでした。
新撰組ってものに対して、全体的に危うい印象を私は持っているので、そのためだとは思うんですけど。
ヒロインの性格は全体的に見ると男性の後をついてゆく、守ってもらう、そして家庭的な部分で支えるというタイプの子ですから、私は幕末の女性だしなということで好意的に読みましたが、ウーマンリブじゃないので嫌な人もいると思います。
思っていた以上に面白くて夢中になりました。これの前にやったオトメイト作品がエーデルだっただけに、限定版買わなかったのですが、限定版買えばよかったなあと、今非常に後悔しています。

というか、一ヵ月後もはまってたら、たぶん限定版買っちゃうな……。






以下、ネタばれ満載突っ込み日記






斉藤

真っ先に走ってしまった自分の趣味嗜好。

初回プレイなので作品全体に感じたこともだらだら流しつつ。
思ってたよりも面白い。
いや、エーデルやったばかりだったら、オトメイト、大丈夫かな大丈夫だよね? って気分になるよ普通に誰でも。
ただまあ、新選組に女の子が入るというパターンのもので、かつ人外になっちゃいますをやりたいから仕方ないんだろうとは思いますが、ヒロイン加入がええーと。
ヒロイン自体はなんというか、なんですが、それも、敗戦敗戦また敗戦、のところに足手まといの女の子を投入するが故のそもそものシナリオ構成上の問題だよなあとも思うんで……。小太刀使えるけど、人を斬ったことはないし、人も斬らないお綺麗な女の子のままで行くならやっぱり難しいよな、この展開……。
これ新選組にしなかったらもっと上手くまとまるんじゃないかとも思うんですが、新選組をベースにするから世界観語ったりつくりこまなくても成り立つという部分もあるんで難しい。

いや、そんなことぶーたれるなよといわれるでしょうけど、まだ京都にいる時分ならわかるんですよ? ヒロインの父親があの薬作ってて、流されるままにあれ使っていっちゃってる組織としては、解毒なり何なりの最後の切り札としてヒロインを確保しておきたいのは納得できます。
だけど、江戸に戻ってきてからはもう正直それどころじゃないわけで、その後転戦していく過程になると、はっきりいって無理だ。あの頃になると全く闘えず、たまに思い出したようにやってきては襲ってくる鬼のリスク背負ってまで連れてくのはなあ……。まあ、それをフォローするために、もう仲間なんだとか、あるいは恋慕がなんとなくあるという風には作ってくれてますが、……うーん、新選組ものにするからそういうところが気になっちゃいます。
異世界ファンタジーで姫守ってるんだったら気にならないんだけどなあ……。

そういうの置いておいたら、楽しいです。
私はもともと新選組の大ファンというわけでもないので彼らと恋愛という流れ自体は気になりませんし。
吸血鬼関係は今のところそんなにおかしくはないと思う。なんというか、あの状況下でそういうトンでもに手を出してもおかしくない、そもそもの歪みがこの話だとあると思うから。
吸血鬼になっちゃってもやっぱり敵わないというのもいい。しかし、吸血行為ってどうしてもセクシャルだから、PS2かなあと、思わないでもない。ただ、鬼の一族ってのが、どうしてもなんというか、うーんもうちょっとうまくなんとか……。

斉藤さんは非常においしかったです。展開も好きでした。甘くないとか話し聞いてましたけど、甘いと思いましたけどね……。甘いってどういうことをいうのか最近わからなくなってきました。

沖田

意地悪加減が好きです。ついで、だんだんデレっぱなしになってくところもたまりません。
お話自体も千鶴のやくたたずっぷりがよい意味で発揮されてていいと思いました。
土方さん追っかけるところもまあついていっても不自然感じませんし。

ただ兄ちゃんが……あんなにいっちゃってる兄ちゃんがどうして沖田専用なのかと。他の人のときは兄ちゃん妹が恋してても平気だったんですか?
あと嫁探してる風間さんは、嫁嫁言いながら結構放置ですよね……。
でもまあ、これは兄ちゃん専用ルートだったということではい。
ここまでやって、今までクリアした二つのルートを扱ってるサイト周りまくってきました。幸せです。萌えまくってます。

しかしこのゲーム、一番辛いのはたぶん、史実山南さんファンだと思うんですよね。他のメンバーは凄い格好良くかかれてますもん。山南さんファンは闇落ちしてないかな……。

今までクリアした二つのルートだけだと、何でお千ちゃんがあそこまで肩入れしてくれるのかわかりません。兄ちゃんはわかるんですよ、あそこまでおかしくても納得なんですけど。ええ。

土方

やべ……ないた。

オトメイトの作品で泣いたのは正直これが初めてだ。
源さんの死にざまから土方さんが落ち水飲むところの一連の台詞に泣いた。
そうなったのも全部ヒロインが足手まといのせいで、そんな彼女をおいておいた彼ら自身のせいでもあるんだけどさ……。

なんつうか、新撰組の、土方と言う人の史実の本物の魅力にのっかってるのと役者の演技力のせいってのはあるんだけど、それでもやっぱり必死に侍になるって言う夢を追いかけて走った姿ってのは胸を打つな……。
人が真剣に一生懸命なのはやっぱり尊いよ。

あとさ、もうほんとに土方さんと沖田さん近藤さん好きすぎだから
近藤さんも土方さんが羅刹になったときだけがびーんとしててとしさん好きすぎだから

うわあ、近藤さんの金子邸での台詞も泣ける

みんな失って、それでも近藤さんとはじめた最初の部分を貫き通そうとする姿は切ない。羅刹になった仲間もみんな死んで、たった一人残った羅刹として生き残るってのは切ない。
まあ、史実の土方さん自体が物凄く格好いい男の人だったから、ってのは大きいんだけど、こんな男の人を好きにならないではそりゃいられないだろう、千鶴ちゃんも。
話のいい部分は全部、正直なところ、新撰組の逸話部分とそれを基本にした彼らの生き様なんだけども、それでも、オトメイトにしちゃ頑張った。ああ、なんでこれ限定版買わなかったかな。まあ、エーデルやってあまりのあまりっぷりに、流石の私も限定版もう買えなかったんだけど、薄桜鬼はよかった……。オトメイトはいっつもこのぐらいのものをつくってきて欲しいんですが。最近正直オトメイト自分のところで売ってる商品、手を抜きすぎだと思ってた。
薄桜鬼のいい部分は、攻略対象だけでなくて、周りのサブキャラクターもとても魅力的だってところなんですよね。島田さんや山崎さんや源さん。伊東さんに山南さん。……まあ、史実の彼ら自体が魅力的で深みのある人たちだからなんですけど……その証拠に残念ながら、オリジナルキャラクターである鬼や双子の二人、鬼の姫様主従は新撰組の人たちや大鳥さんたちと比べてキャラが作りこまれてないし、浮いてる……。
それでもまあ、今まで私がやってきたオトメイト作品の中では一番だと思う。

土方さんはメインだったよ……沖田さんもかなりルート面白かったけど、やっぱりメインだったな土方さん……。土方さんは格好良すぎる。

藤堂

乙女ゲーだとしたら面白いし、いいルートだと思う。道を見失いかけている恋人を一生懸命支えて、自分も支えてもらって、頑張っていこうっていうのは、恋愛ものならとても好きだし楽しかった。

でも、藤堂さんという人の解釈だともうちょっと、彼はこういう意味では揺らがないんじゃないかと思うんでした。

原田

このルートが必要な理由はわかります。ここだけ、羅刹化しない。
ある意味、もっともしっかりしていて出来上がった男なんだな、原田さん。
羅刹化しない相手と、鬼という人じゃないものの恋愛はルートとして一つ入れるだろうと思う。

恋愛過程も丁寧に書かれていて、鬼の彼女を人として、人の女と変わりなく守ってくれるうえ、供血とかしなくても、存在そのものを愛してくれるというのは、恋愛ストーリーとして凄いいいと思うし萌えた。
女は戦わせてはいけないもので、守ってやらなくちゃいけないものという、正直今の世じゃ味わえないとても嬉しく素敵な萌え萌えルートで、お話は好きだし、キャラクターも好き。
女の子っぽい悩みや嫉妬でぐるぐるできて甘えたちゃん度が高いんですが、それだけ彼女をかまってくれてて包容力があるんだということで、性格変化も納得。
大事な人のため、夢のため、託されたもののため、とまあ、ひたすら今の時代、その辺りにはいないだろうなという格好良すぎる男性たちのなか、彼女を選んでくれるというのは非常に萌える。自身にも夢があって道があって、選べない一つがとても大きいのに、お前を選ぶってのは、萌えます。はい、全く。

……ストーリーは好きですし、キャラも好きですし、カプも萌えました。けども解釈はちょっと、藤堂さんと同じく、ちょっと……。

このルートは永倉さんとの別れがきつい。永倉さん好きだからこそなんだけど。
あと高杉マニアというか、高杉晋作大好きすぎる青鬼が可愛い。何であいつあそこまで人間好きなんだろ……。高杉晋作と青鬼の物語に非常に興味ある。
桂君じゃだめだったんだね、青鬼。
鬼の中では今のところ青鬼が好きだ。高杉の残したものを彼なりに必死に形にしようとしてて、鬼の中で唯一維新志士なんだな。というか、あのゲームに出てきた人の中で唯一の維新志士なんだ、青鬼。長州のやつらだって必死なんだという彼は、視野と物言いは幼いんだけど、それだけに高杉大好きすぎるのがよく伝わってきた。

ただまあ、どうなんだろ、ここまでやって、もうちょっと頑張って幕末ものの精度を上げて欲しかった気もしないではない。
千鶴が小太刀使える設定がいまいち生きてないのがな、兄と妹ってわかる設定にもう一配役。彼女が闘えないこと自体はいいと思うんです。原田の性格設定だと、彼女が強くて庇ったら、フラグ折れますもん。原田に限らず、オナゴに守られたら、全員士道不覚悟で切腹すると思うしな……。
だから戦えないのはいいんだけど、なら戦場に引っ張っていく理由がどうしてもなあー、千鶴を連れて行くときのシナリオ回しに、ライターたちの苦悩が滲んでましたが、これもうなあ……。そもそもの設定上の問題だからなあ……。

風間とかノーマルその他

土方さんと近藤さんの絆に泣いた後、ノーマルエンディングでも泣きました。あの最後の皆の背中が本当にしみじみ来ます。
あー、ここまで来ると新撰組に思い入れが出来てるから、なんとも切ないです。というか、大河の新撰組!をレンタルで借りてきて見直したいです。あと、史跡めぐりします。
こう、夢のために走った姿が胸を打ちます。

えーと、風間さんは、なんなんですかね、千鶴ちゃんと同じ、新撰組の大ファンだったと言うことで、OKでしょうか。でも、なんかその方が納得と言うか、すっきりしました。

こうなると、お千ちゃんがなんであそこまで千鶴によくしてくれるのかが謎になってきます。守られなれているお姫さまだから、颯爽と庇ってもらったぐらいで、あそこまで好意的になるかなあと。なんであんなに親切にしてくれるんでしょうか……。

最終的にやっぱり、オリジナルキャラクターがつくりこみの点で、永倉さん、源さんや島田さんに比べて甘いというのが目に付いてしまいました。藤堂、原田の二人の解釈は、ちょっと私とはあわないのですが、キャラとしては生き生きしていてすきです。
千景は土方やノーマルルート近辺だと結構描きこまれていていいとは思うのですが、他のルートでの彼や真っ直ぐな武人や鬼の姫主従、双子の兄あたりが、他のキャラクターたちと比べて軽くて浮いてしまっています。
山南さんはなあ……もう少し、おかしくなる前の彼を書き込んで欲しかったなと、思ってしまいますが、土方ルートでの彼は非常に格好良かったし、藤堂ルートでもだいぶがんばってたなあとは思います。
ただまあ、藤堂ルートは羅刹同士によるお片づけが主題ですから仕方ないんですけど、ちょっと彼らの解釈が悲しいなとは思います。お話自体は好きなんですけどね……。
上のオリジナルキャラクターが若干残念というのと同じなんですが、羅刹以前に鬼という種族もゲーム中浮いているというか。
鬼と薩長の接触部分もかみ合ってないというか。

でも、私は大好きです。このゲーム。

2008/11/24
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