好きだから、きっと
ごめん、言わなくても僕には判るんだよ
エリオットは大きな通りで馬車を帰した。街へ出かけると言えば送りますと言われ、その申し出はエリオットの地位を支える実家の影響力に比例する。寄宿生活が続いてもエリオットの姿に人々が見るのはナイトレイという名門貴族だ。貴族の実力が明確であり治安さえ左右する。それでも市井へ紛れてしまえば貴族の子息の顔が知れているわけもなく、エリオットはすんなりと目的地へ着いた。単身者を想定していても少しばかり家賃の上限が高そうな住宅であるのは、ナイトレイという名門から義兄が逃げ損ねたからだ。外観を眺めて鼻を鳴らし、エリオットは誇るべき一族から逃げた義兄を思った。
「ギルバート…」
「エリオット?」
少し低いくせに潤んだような声にエリオットが弾かれたように振り返った。大きめの紙袋を抱えた黒髪の青年が驚いたようにその金色の双眸を瞬かせた。ギルバートはすぐに恥じるように目を背ける。その怯えたような態度はいつもエリオットを苛立たせた。
ギルバートがエリオットの実兄たちに嫌われていたことも知っているから、ギルバートがエリオットを苦手にするのも頷ける。それでもエリオットは己を見て怯むギルバートに理不尽な憤りを感じ、抑えきれない。
「しゃきっとしろッ! 貴様の方が年上だろうがッ!」
カヅンと強く石畳を踏みつけて靴音を鳴らす。それにさえギルバートは困ったような怯んだような間をおいた。怒りで逆立つようなエリオットの腕を引いてギルバートが扉の中へ駆け込んだ。不甲斐ない頼りない態度でありながら時折見せるギルバートの強引さに、エリオットは離れられないと思い知る。ギルバートは手短に屋内の説明を加えて、どの部屋にいても構わないと断りを入れて台所らしい方向へ引っ込んだ。紙袋から覗いていたのは生鮮食品であったから保存庫へしまうのだろうと見当をつけて、エリオットはソファへ腰を下ろした。知らずに握りしめていた剣を置く。紛れ込むためとはいえ護身の手段もなく市井を出歩くほどエリオットは楽観的ではない。ギルバートも属する仕事がら武器を身につけている。それらの警戒はナイトレイという名門がどういう位置にいるかを暗示した。
屋内は小奇麗だ。専門のものを雇うほど潤沢な仕送りをギルバートは受けていない。ナイトレイという家柄は困窮していないが、ギルバートがナイトレイの世話になるのを拒んだ。どうしても必要な金額は経費として計上し領収書まで付けてくる徹底ぶりだ。エリオットにとっては同じ義兄であるヴィンセントとは実の兄弟であると聞いたことがあるが、そのヴィンセントにも頼っていないようだ。ヴィンセントの方から頻繁に接触を図ろうとするがうまくいかないと不機嫌だったのを何度か見かけた。ヴィンセントは片目だがギルバートと同じ金色の瞳だ。ヴィンセントの金色と紅色の瞳である方が珍しいと思うのだがエリオットの気を惹いたのはギルバートの金色だった。ギルバートの金色は疲れた時や堪える際に潤んで、程度がひどくなれば蜂蜜のようにとろけた艶を帯びた。感触さえありそうなその双眸を幼い時のエリオットは何度も触りたいと思った。
「…コーヒーしか、ないが」
かちゃりと陶器の触れる音がして大きめのカップが置かれた。ギルバートも同じようにカップを持っているが座る様子はなく壁へ背を預けるようにして立った。エリオットは紅茶を好むほうであるから好まぬと言ってしまえばいいのに、なんだかそれは子供っぽいような気がして口をつぐんだ。口をつけないのをギルバートは黙して見つめたまま、自分のカップを傾けた。
「……従者を持つようにという話が、出た」
ギルバートは口を挟まずに続きを促す。エリオットが身の上相談に来るような性質ではないことやそんなことをギルバートを相手にしないと知っていて、続きを待っているのだ。ギルバートは事態を中断させない。その堪えが何によるものであるかエリオットは知らない。互いに黙り込んでややあってから、ギルバートが響く声で口を開いた。
「…当然の流れだな。もうそろそろ、具体的な話も出ているだろう」
「違う、違うんだ。確かに従者の話はオレなんだ、だけど」
遮るエリオットをギルバートは不思議そうに眺める。本題に入れないエリオットの躊躇を察しながら理由までは知らない。エリオットの前に置かれたカップからふぅわりと白い湯気が揺れた。目の前のそれを睨みつけるように凝視する浅葱色の双眸をギルバートは少し警戒したように体を引く。
「エリオット、従者は必要だ。ナイトレイのものとして護身の役目も含めて」
「だからオレじゃないと言っているだろうッ! 確かにオレの従者の話なんだ、だけどオレが言いたいのはそんなことじゃなくって!」
指をきつく握り込んだ手が小卓を殴りつけた。カップが固い音を立てて黒い液体が湖面のように揺らいだ。
冷静に考えれば正当であるのはギルバートの方で、エリオットはただわがままを通しているだけだ。家を避けるギルバートの態度は一貫していて矛盾もない。重圧から逃げるために影響力という助力もギルバートは拒否した。金銭的な要求にも理由がついた。名前の蔦を絡ませているのはナイトレイの方でギルバートはそれを少なからず嫌っているとエリオットには見受けられた。代々継いできた鴉をギルバートに継がせた際、兄と父は揉めた。兄達は日頃からギルバートとヴィンセントを血統のものとしては扱わなかった。ギルバートは鴉を継ぎこそしたものの間をおかずに家を出た。すぐ後に起こった出来事さえもエリオットがギルバートに対する感情をゆがませただけだった。エリオットはギルバートの行動をただの逃亡であるとしか判じられず、周りに対してもそうであることを知らしめた。冷静になって考えてギルバートに対する感情に気付いてしまった。
「なんで、おまえは…――…」
眇める双眸に顔の筋肉が引き攣るように軋んだ。泣きたいのか怒りたいのかすがりたいのか判らない。エリオットの教育には両親より兄達の方が熱心で、兄達にエリオットは誇りと尊厳を教わった。貴族としての在り様や身の守り方、他家への接し方などそれは考え方にさえ及ぶ。兄達が嫌うからエリオットもギルバートやヴィンセントを避けた。もとよりエリオットは勝気であるからすぐに避けることに倦んで突っかかるようになった。ヴィンセントは後になって何倍もの仕返しをしてきたのにギルバートは仕方ないように困った顔で笑うだけだった。貶められて笑うなどと何という軟弱と兄弟であるのを恥じたが、その表情の深みはすぐにエリオットを惹きつけた。殴られることに耐えるのは何倍も堪えが必要であると長じてから知った。
「エリオット?」
ギルバートが兄達から嫌われ、それが明確に通常の態度として表れた。殴られているのを見たのも少なくない。それでもギルバートは兄達を一つも悪く言わなかった。しょうがないんだと言う金色がとろりと艶めくのをエリオットは黙って眺めた。耐えて震えるギルバートの表情はひどく魅力的だった。
「……その、用がないなら帰った方がいい。ここは安全とは言えないし、貴族であっても特別扱いが出来ないから」
そう言ってからギルバートは思いついたように微笑んで、お前も行動範囲が広がるだろうから従者は必要だと思うよ、と付け足した。緩く癖のついた黒髪が差し込む光に艶をうねらせる。項や目元でひらひら揺れる髪をギルバートは払い除けもしない。衣服も単調な白や黒を好み、目立つような柄や色は着ない。デザインも有名どころなどには頼まない。それでもナイトレイが見栄として衣服は多少拵えた。ギルバートの完全な拒絶をナイトレイは拒んだ。
「ギルバート」
エリオットの声はまだ少年期の高さだ。この声が低くなる頃にはオレもギルバートのことが多少は判るようになっているのだろうか。気持ちが推し量れるようになっているだろうか、怯えられることもなくなっているだろうか。
「お前は、なぜ、鴉を――」
刹那、ギルバートの表情が痛むように歪んだ。伏せられた目蓋が蒼白い。皮膚が白くなって黒髪との対比が鮮やかになっていく。エリオットは黙って息を呑んだ。ギルバートの明確な変化がひどく嬉しかった。何をされても儚く笑って構わないと言ったギルバートの変化がひどく新鮮だった。それでもそれは一瞬で、ギルバートはすぐに目を伏せて肩を落とした。
「お前が本来継ぐべきものだったことは判ってた。すまないと思う。でも、俺は」
ぎらりと。ギルバートの双眸が強い光を帯びた。切れ長の双眸であることを改めて感じさせる睥睨は虚空を睨んでいてエリオットを見据えてなどいないのに、酷く恐ろしい。そしてひどく、美しい。見惚れるエリオットに気付かぬようにギルバートは憤りも不満ももっともである、責は負うとだけ言った。
「それでも俺は。お前を踏みつけると判っていても俺は――俺には力が必要だ」
あぁそれだけで。その瞳の美しさにオレは死んでもいい。ギルバートが鴉を継いだ日に謝られたように、ギルバートはエリオットに謝罪した。それでも力は渡せぬと言う。鴉などかまわぬと思うくらいにギルバートの顔や瞳が美しくてそれを保つために己が少しでも影響しているなんて、貴い。なんて、嬉しい。
「…力、はチェインだけじゃないな。従者だって立派な戦力になる。だから、お前も従者を持った方がいい。…きっと周りもそう思っている」
ギルバートの強さはすぐになりを潜めてギルバートは何でもない会話を再開した。それでもその余韻に痺れていたエリオットはただ、うん、と生返事をした。
「具体的な話はまだで…ただ、従者はそろそろ持てと、話題に上るから…」
「従者はずっとそばにいるものだから、気心も知れる。きっと素敵な、友人になるよ」
遠くを見るようにそよぐ金色を灼きつけようとエリオットは凝視した。何かを思い出すようにそれでいて耐えるようにギルバートは、従者も友人になれるんだよ、と繰り返した。
「判っている。従者くらいオレが選んでみせる」
エリオットなら安心だな、とギルバートが微笑んだ。
「お前は確りしているし」
俺とは、違う。
「しっかりした従者を選べよ。……俺のようなものは、選ぶなよ」
エリオットの目が緩やかに見開かれた。それはどういう意味だ。お前のようなとは、どういう意味だ。エリオットは問い正したくて果たせずにただギルバートを見つめた。茫然とするエリオットにギルバートは念を押した。出自も大事だけどそれ以上につながりが大切だ。お前を好いてくれるものを選べ。同時にお前も相手を好きになれ。嫌いが一欠片でもあれば一緒にいるのが辛くなるから。
「でもお前にはナイトレイがついているし、変なものは」
「何故だ」
エリオットの口をほとばしる想いが突いて出た。
「何故お前は従者を持たない。アーネストたちが不服でも父上はお前が従者を持つのを反対しなかったはずだ」
ギルバートはナイトレイの実力の象徴である鴉を継いだものだ。日頃から息子達の意向にかまわぬ父親であれば、養子であってもギルバートの力を切り捨てるとは思えない。
同じ養子であるヴィンセントなどは早くから部下を持っている。ヴィンセントは立場を素早く理解しどの程度力が得られるかを知り、またそれを最大限利用している。利用できるものは利用する。社交界でも複数の女性と付き合いがあると聞く。
「いらないんだ」
エリオットの言葉をギルバートは穏やかに抑えた。黒く細い眉は黛のように澄んで。穏やかにエリオットを眺めている。けれどその穏やかさは親愛とは無関係だ。エリオットはギルバートと、仲良くなりたかった。兄達が嫌ってもエリオットはその理由が理解できなかった。ギルバートはすぐに暴力をふるったりしないし体を気遣ってもくれる。優しかった。甘やかすほど親密でこそないが、ある程度の実力を見込んで相手をしてくれた初めての人だった。
「俺に従者なんて、要らないんだよ」
「だからそれは何故だと訊いているんだ話を聞けッ! オレは」
ギルバートはカップをおいてエリオットの口元を手で覆った。ざわりと空気が揺らめく。骨の奥から忍び寄る恐怖は鴉だ。チェインという存在は少なからずエリオットには新鮮だった。同時に経験のない恐怖が襲う。
「俺は力が欲しかった。けどそれは、俺を守るためなんかじゃない」
音を立てて恐怖が小波のように退いていく。エリオットの体から力が抜けた。額ににじんだ汗がこめかみや頤を伝う。吐息さえも震えて四肢にいたってはまったく動かせない。荒く速い呼気が溢れて肩さえも揺れた。
「…――すまない」
ギルバートは黙って体を起こした。ソファの背へ当てた手を放す。エリオットの上に覆いかぶさる体勢がすぐに崩れた。ギルバートの気配に今はもう何も感じない。それでも恐怖の余韻はエリオットの稚気のようだった。
「――友達は必要だ。俺の大事な人はみんな、そう言っていた」
こんな時世や家柄だ、友人は必要だろう、とギルバートは笑んだ。
「選べるなら選べ。それだけの、実力だと思えばいい」
ギルバートの拒絶だった。ギルバートは安易な同調も同情も拒否した。エリオットなんかの賛同など初めから必要としていない。エリオットは己の力の無さを見せつけられたような気がした。ナイトレイだと粋がっても、その後ろ盾をなくしたエリオットに従うものなどいない。庇護してくれた兄達さえなくせばエリオットを守るものはいない。
「大丈夫だ、お前は」
絶望に震えたエリオットにギルバートは微笑む。眇められた金色が蜂蜜のように艶めいた。
「お前は独りじゃないんだから」
ギルバートは眩しそうにエリオットを見る。光が差すわけでもないそれは何かを重ねているようで、それでいてギルバートはそれがなんであるかを誰にも話さない。ただギルバートには目映いほどに光を放つ知り合いがいて、それを思い出しているのだ。鮮烈で明瞭であるほど強いように、ギルバートは双眸を眇めた。
「お前は強い。強さは、力だよ」
誰かを重ねる金色が潤んでもエリオットは問わない。それでもただ、いつかその金色がオレを映す日が来てくれたなら嬉しいと思う。それまでオレは周囲を説得し助力を得て、力を持ちたいと思う。盤上の遊戯のように。ただ一つ強力な駒があっても仕方ない。周りという協力者や環境があってこそ強力な駒は生きる。だからオレはせめて、ギルバートが見てくれる日までに、力をつけたいと思う。
頼りにしてくれたならしょうがないなと言って協力したい。乞われたなら助力する。困っていたら助けたい。
「ギル、バート!」
離れようとする体にエリオットは抱きついた。造りは確りしているはずなのにギルバートの体は細くて肉もない。成人男性に華奢なんて言ったら怒られそうだと思いながら、そのか細いような体をエリオットは抱擁した。まだオレは家の力を借りなければ何もないほど弱いけれど。いつかお前が頼れるくらいに強くなるから。
だからせめて今だけはこのままで。これから頑張る、だから力を頂戴。
「…ッひ、一人で、さびしくない、のかッ」
抱きしめる時間の長さにギルバートが疑問を出さぬようにエリオットから言葉を発しようと必死て、内容まで心配りが出来ていない。ギルバートはふふっと笑う。ヴィンセントのように馬鹿にしたような笑いではなく、吐息に混じってしまうようなものだ。
「さびしいかもしれない。でも、知っているから。受け入れてくれる温かさを俺は知っているから、耐えられる」
差し出してくれる手は、暖かくて優しくて、俺はそれがとても嬉しかったんだよ。謳うようにつぶやくギルバートの声から逃げるようにエリオットは頬を寄せた。それはオレじゃないんだ、だからオレは嬉しくないんだ。でもお前がそんなに喜ぶならと思う。それでもそれがいつかオレの事であるようにオレは頑張るからせめて今だけは。抱きしめる体がオレのものであると、信じさせて。閉じた目蓋の奥に身勝手だと判りながらエリオットは思いをはせた。ギルバートが寂しくないと言って思い出す体温がオレのものであればいいのに。
「オレは強くなる。ずっとずっと、何よりも誰よりも。だから、だからギルバート、その」
オレを好きになって?
身勝手であると知っている。だから言えない。けれどそんな逡巡さえ見透かしたようにギルバートは微笑んでありがとうなんて言うんだ。同情じゃない。追従でもない。やり過ごしでもない。単純にギルバートが礼を言っているだけで、それだけのことがひどく嬉しかった。いつかお前を迎えに行くから待っていてほしいなんて、恋愛小説みたいだと嘲りたくなる。それでもそれだけが真実だ。
逡巡に俯くエリオットの亜麻色の髪をギルバートの白い指先が梳いた。撫でるように指を滑らせながら髪を梳く。ギルバートの態度に刺々しさがあることはまれである。それでもこうして触れてくれることが喜びだった。エリオットは目蓋を閉じながら体を預けた。ギルバートは余計なことを言わない。耳障りな追従も意見もない。ただありのままを受け入れてくれているようで、ギルバートといるのはひどく気持ちを浮き立たせた。
「大丈夫だよ」
穏やかな声だ。耳朶を打つ優しさにエリオットは緊張の弛みとそれに伴う眠気さえ感じるような気がした。人前で眠るなど厳しいしつけを受けているエリオットにはありえないのに、ギルバートの前でなら眠ってしまっても構わないように思えた。ギルバートもまたそれを拒否しない雰囲気を感じさせてくる。
「お前なら、強くなれる。お前は…――強い、から」
人を好きになれるのは強さだと、俺は思うよ
ギルバートの声がエリオットの耳朶に消えて眠気がエリオットをとらえた。とろける意識の中で潤みきった金色が輝いた。見たことのない輝きはギルバートが落涙を堪えるほどに双眸を潤ませているからであるとどこかで感じた。
「ありがとう、エリオット」
ぽたりとエリオットの頬に垂れた雫は温く皮膚に馴染んで消えていく。エリオットの意識さえも融けていく。
「馬鹿、お前、目が。泣きそう…なんだよ………潤んでる、んだ、判るんだよ…」
とろとろとした意識の融解に抗うようにエリオットが忙しなく言葉を紡いだ。
「お前のことで判らない、事、なんて――……」
エリオットの意識が眠気に融けた。抱きしめてくれた腕の熱さも泣きだしそうに歪んだギルバートの顔も、ただ己が見た錯覚であるとエリオットは感じた。
エリオットが目覚めたとき、体はソファに寝かされ、ギルバートは書類を眺めていた。エリオットは詫びと礼を言ってギルバートの家を辞した。迎えの馬車を要請するような気分でもなく、エリオットは徒歩で戻った。それでもエリオットはギルバートの家に抗いがたい魅力を感じた。あんなに安らいだ気持ちで休めたのは、初めてだった。それがギルバートの家であることがひどく、嬉しかった。かつかつと石畳を踏みながら道順を覚える。眠れないときは訪おう。逃げ込む場所があると言うことはエリオットの気の張りを弛める。安心した。従者を持つということを具体的に考えたいと、改めて思った。
《了》