※最終回後パラレルです


 きみがすきです。


   都合の好い触れられない君と理不尽な触れられる君

 定期的に母親が活け替える花を玄関まで抱えていった。なんとなく玄関扉を眺めながら今日はあの小父さんはこないのか、と幼心に思った。あの小父さんが来た時の母さんは機嫌がいい。母親は華美に飾り立てはしなかったが水回りと玄関は毎日念入りに掃除している。母さん今日も掃除するの。小父さんが来てくださるかもしれないわよ。こないかも。それでもいいの。こういう準備の時間が愉しいことってあるのよ。小父さんがいらしてくださるかしらって思うだけで気分が華やぐわ。ふぅん。葵は玄関に置いた花を矯めつ眇めつしながら母親との会話を思い出していた。待っているのが愉しいなんて、ほんとなのかな。願い事は叶った方が愉しいんじゃないかなぁ。静まり返った玄関先で葵は夕飯に呼ばれるまで座って待っていた。楽しくなんかないじゃないか。


 ぱち、と開いた目蓋に葵はそれまで己が眠っていたことに気付いた。あれ、いつの間に寝たんだろ。のそのそと起き上がれば自室の寝台ではなく応接の座り心地の好い長椅子だ。純和風の家屋だが洋室も設えられていて、そこには写真館で使っていた応接が一組持ち込まれていたのだ。その所為か転寝などするとまだ写真館を営んでいて来客でもなかったかと身構えてしまう。その後で、いやあそこから引き払ったんじゃないかと気がつく。私物はほとんど処分されたと思っていたが一箱程度に絞られたものが残っていた。葛が前もって葵に詫びを入れつつ持ち出してきた。保存が利かないものや市販品は処分してしまった、判断は俺がした。思い出の品を捨てていてしまったらすまないが。念のために点検したがもともと思い出の品などあまり持ちこんでいなかったから特に憤るようなこともなく点検が済んだ。写真立てやアルバムなどはちゃんと残しておいてくれているし気に入りの写真機まで揃っては文句の良いようもない。いや、特にないな、ありがとう。手間かけさせたかな?
 ぼりぼりと頭を掻いて意識を明瞭にしようとする。あれ今、なんの夢見てたんだろ。ぼんやりと漂う寂寥と懐かしさに葵は首をすくめた。長椅子に落ち付いたまま首を巡らせて隣室や続きの間を窺う。葛の気配がない。壁に留められた日捲りを見て、あぁ、と思い至る。今日は珍しく葛が出かける日程だった。家を空けるから出来れば留守番をしてほしいと言われて日雇いで身軽な葵が安請け合いしたのだ。いってらっしゃい、葛ちゃん。夕飯までには帰ってくる? お昼は? それに葛は昼ごはんは外で済ませるからお前も適当に済ませろと言い置いて出かけたのだった。ことん、と庭先で微音がして葵が顔を向けた。縁側まで這いずって行くと自転車のリムがからからと音を立てて遠ざかっていく。つっかけを履いて郵便受けまで行くと空き物件の不動産屋の広告だ。そう言えば葛はこの家をどうやって獲得したのだろう。葵は元々噂になっていた葛の独り暮らしへなだれ込むようにして同居を極め込んでいる。葛の体裁や意見を全く無視している。本当に一緒に暮らしていいの、と何度葛に確かめたかしれない。そのたびに葛は不器用にそっぽを向いて、お前がいなかったら実家へ戻ろうかと思っていた、と明かした。実家に戻ってくれてもいい旨を告げたところ平手打ちを喰らった。お前と暮らしたいと言っているのが判らんのか馬鹿者が。真っ赤になって言い捨てる葛を見て葵はやっぱり生きて帰れて良かったなと思った。そう言えば葵は同居を始めてから葛が家を空けるのは初めてだと言うことに気付いた。なんだかんだと言っても別の仕事を持つ以上、いつ相手を喪失するか判らない。あの飛行機以来、葛は葵が家を空ける際には帰宅が何時になるか必ず問うた。葵は平気な顔で適当に応えていたがこうして待つ身になると、なるほど不安である。問いたくもなる。このまま葛とサヨウナラなんて事にでもなろうものなら葵は寂寥で発狂しそうだ。
 外観は立派な純和風。長押や欄間まである畳敷きと、写真館を営んでいた時のような板張りの洋室とを備えている。葛は葵が洋風に馴染んでいると思っているが葵の実家は純和風であったから靴を脱ぐ習慣があった。留学先ではそのことで何度か諍いや揶揄の種になったこともある。今ではそんなこともないが慣れとは恐ろしいものである。この家には確り玄関があって靴が脱げるようになっている。庭先をぶらぶらする。葛が母親と同じように華道の心得があるとは知らなかった。玄関先と床の間。あとは水回りに小ぶりな筒状の花瓶が置かれていた。風呂を使うときや洗面、トイレの際などにはっとする。母親の茫洋とした記憶が葛の生け花でかなり補強されている。もうこれが葛の花か母の花かなど判らない。混合してしまっている。花材を何処で仕入れるのかと思ったら思いついたように購入しては植えている庭木であった。今も某かの山吹色が鮮やかに花開いている。どれが購入したものやら判らないので勝手に手折るわけにもいかない。あれは人にやるつもりであったなどとなれば一大事である。つんと花をつつくと花粉がふうわり香る。甘いようなそれはどこか人を魅せるものだ。
 「葛ちゃんの所為だな」
葛の生ける花を日常的に拝むようになってからふとした折に母親を思い出す。当時は判らなかった諸事情を了解してしまう己がいる。それでも、幼い葵にそういったことを悟らせなかった母親はひとかどの人であると葵は肉親の情を抜きにしても思えると思っている。隠し事は疲れる。葵も葛も本業の隠れ蓑として写真館を営んだ。その写真館を訪ってくれるお客や店屋物を取る贔屓の店の看板娘など、写真家として葵や葛を見てくれた人を裏切っている。葛はどこまで付き合いがあったか知れなかったから俺の知り合いにだけ挨拶はしてきた、と断りを入れた。一時期とはいえ生死の知れない身であったことを思えば文句を言う筋合いでもないから、葵はそう、とだけ応じた。案外淡白な付き合いを繰り返していた葵であったから葛と共通ではない友人は案外いない。顔見知りが多いが友人は少ない。葛は逆だな、と思う。葵はしゃがみこんで山吹の花を撫でた。
 それでも空き物件を歌い上げる不動産屋の広告は魅力的だった。今の暮らしに不自由がない分、葛に負担を強いている。一軒家を持てるとは思わないが仮屋くらい構えたいものだなと思う。葛のことである、この家屋を購入した可能性も否定できない。大家との付き合いが必要となる賃貸を避けた可能性もある。元々後ろ暗い経歴の葵と葛だ。まともにぶつかって契約が楽に結べるとは思えない。桜井機関はあくまでも事情通の中の裏事情であって、平たく見れば葵も葛もその日稼ぎのものにすぎない。ちゃんとした働き口でも見つけない限り仮屋は無理だろう。大陸の人はそういうところをあけすけに言ってくるから葛がこうして家を構えている忍耐を思うと不思議なくらいだ。
「夕飯くらいこさえておくか。帰ってきてご飯がないと不機嫌になるし」
台所へ入り込むと食料庫を当たる。食べちゃだめなものはどれだっけ。あれとそれと、と鼻歌交じりに食材を引き抜くと両手に抱えて台所へ立つ。一人暮らしの経験もあるから自炊経験者である。手軽い気分で調理を始める。そう言えば葛の好物って聞いてないな。何でも平らげるから食べるのが好きかと思えば何食も平気で抜く。空腹が顔に出ないから低血糖を起こしていきなり倒れる。慌てて担ぎ込んだ先の医師に何も食ってないから倒れただけだと言われた時は容赦なく打った。自己管理が出来ないにも程がある。葛はその時、怒り狂う葵にただ一言だけ、すまないと言った。
 「…終わっちゃったじゃんか」
煮付けまで済んでしまった料理を前に葵が途方にくれた。葛はまだ帰宅しない。暇つぶしと思って昼間の広告を眺めた。別に今現在の住まいに不満はないが一方的に用意された家に住んでいるだけである。稼ぎがあるからには少しくらい負担すべきであると言うただの見栄である。このまま葛に負んぶに抱っこと言うのは葵のプライドが許さない。そう言えば母親が家賃に困っているのは見てないな。やっぱあれか、小父さんに出してもらってたのかな。愛人だとか二号サンだとか揶揄されたが大陸の現地語では恋人のことを愛人と言うから葵はなんの齟齬も感じなかった。なんだ、おふくろは別に普通じゃないか、と思った。長じてからは違うことに気付いたが当時の気分をただす気はなかった。
「…別にだからって今の不毛な関係に行きつくわけじゃ」
同性同士の交歓など不毛なだけである。生み出すものなどそれこそ何もない。ただ互いに満足が得られているだけである。これで片方から情愛が薄まったら途端に厄介なだけの関係だ。そこまで思いいたってから、葵は自分達もけして例外ではないと気づいた。葛がこうして家を空けるようになったのだってどれだけの時が必要だったのだろうか。葵は葛を一人放っておいたのだ。愛想をつかされても文句は言えない。葛が出ていけと言ったら葵はすぐにでも出ていけるだろう。それだけの荷物しかないし、それだけの付き合いだと割り切るしかない。私物を処分されても怒らなかったのはそのあたりに起因する。つまり、葵は今、手探りでその日を暮らしているのだ。どうすれば家主の不快を買わないか、どうすれば円満に暮らしていけるのか。葛に嫌われないために葵は日銭を稼ぎ飯を作り、こうして帰宅を待っている。
 馬鹿みたいだ、と思う。だがそれが現実だ。好きなのに。葵は葛が好きだし抱くのも好きだ。だから葛がこうして大陸で家を構えて待っていてくれたことは本当に嬉しかったのだ。葛の実家へ行ってお嫁にもらいますって言いたいくらいだ、とひとりごちる。ただでさえ美貌の葛だ、衛生面を問わぬ大陸であれば商売のタネは尽きないだろう。それなのに葛は綺麗な体で葵を出迎えてくれたのだ。葵はそれに礼を言うためだけに真っ当に生きてきた。今では色仕掛けのような真似はしない。
「早く帰ってこないかな…」
うとうとと微睡む。このところ気を張っていた所為か体が疲れている。

かずら、はやくかえってきて。
いっしょにごはんたべよう。
お前の好物の話でもしよう、ね、葛――


 「あおい!」
鋭く叫ぶ声にはっと顔を上げる。その横っ面を張られた。ぐわんぐわんと揺れる視界と意識に酔ったように葵の脳裏には疑問符ばかり浮かんだ。

え、なに。なんでおれなぐられ――
なぐられた?

「それはどういう意味だッ!」
「それ?」
目の前には烈火のごとく怒り狂う葛がいて、わなわなと指さす先には昼間の不動産屋の広告だ。涎でもたらしたのか所々がしわになっている。
「この家に不満があるならばさっさと出ていけ! お前を無理に引きとめる気はない!」
「ちょ、ちょっと待ってよ。オレは出て行ったりなんかしない! 葛とせっかく暮らせてるのになんで出ていくんだよ!」
お互いに齟齬がある。葛もそれを感じ取ったのか不満げではあるが黙った。
「これは本当に昼間に勝手に入ってきた広告なの! それにこの家を作ったの葛ちゃん一人でしょ? だから、オレも少し負担したいなぁとか思ったの! そうじゃないと平等じゃないでしょ?」
葵の必死の説明に真偽を確かめるように間をおいてから葛は吐息と一緒に怒気まで吐き出した。深く深呼吸するあたりは体育会系だなと葵は余計なことを思った。
「ほんとうか」
「ほんとうだよ! ていうかそれしかない!」
誇れることでもないが葵は無駄に胸を張る。安請け合いなのは承知の上だ。だがもともとこういう性質である以上、表面を繕ってもいつかばれる。その時の損失の方が深刻であると考えての上だ。
「………すまない」
葛は素直に詫びた。こういう、事情が通じれば己の不利益さえ気にしない葛の真っ直ぐさが葵は好きだ。
「大丈夫! オレ結構丈夫だし! 一発やニ発食らうくらいなんともない!」
本当はかなりダメージがあったがこの際葛の詫びで相殺する。このあたりの見栄も葛と知り合ってから覚えたものだ。本質は母親が父親の訪いを待ちながら掃除することと通じている。要するに先も碌に見えないのに投資しているようなものだ。だが母親はそれを愉しいと言った。その意味がようやく今判りそうだった。
「…結構本気で打ったから後から腫れるぞ。歯も抜けているかもしれん。大丈夫か」
平手で歯が抜けるってどれだけ、と思ったが以前拳を喰らった際に食いしばれなかった奥歯が欠けたのを思い出す。案外現実的な意見なのかも、と思う。葵は張られた頬を中心に顔の半分に感覚がない。歯の一本くらい見過ごしそうでもある。恐怖しながら舌先で歯列をなぞる。大丈夫そうだ。
「たぶん、大丈夫…」
口の中でころころ転げる固いものもない。ただ切ったらしくむやみに鉄錆の味がしてあたりかまわず吐き捨てたかった。嚥下することもできずに口の中へ血が溜まっていく。たまらずに吐き捨てた血の紅さに葵より葛の方が怯んだ。
 「本当に大丈夫か」
「へ―きだって。今のだって口ン中に溜まってたの出しただけだし。肺や喉は大丈夫。ただ口ン中…切ったかも」
葛は黙って救急箱を探し当てた。脱脂綿の塊を押し付けてくる。ガーゼに包んだ綿の塊を口に含むのを見てから葛は必要な薬品を残して救急箱を片づけた。冷湿布など案外怪我の手当てに通じている。
「俺も子供の時はしょっちゅう打たれていたからな。手当てくらいは心得があるさ」
葵の窺うような視線に応えるように葛が言う。しばらく黙る時間が続いたが、葛の方が先に折れた。
「それで。本当に出ていく気はないと言うのか。お前が出ていくなら…今さらだが、俺は止めない。お前の好きにすればいい」
もごもご反論してもあほなだけだ。吐きだした脱脂綿は鮮血に濡れていた。血を吐きながら葵は再度弁解を繰り返した。
「だから! 不動産の広告は本当に偶然だってば! オレは葛と暮らしたいし葛のこともっと知りたい!」
刹那、泣きだすのかと思うほど強く葛の目が潤んだ。揺らめく湖面のような黒曜石は色っぽく濡れて揺らいだ。
「ありがとう」
葛は涙一つこぼさない。葵の服の裾を掴む指の関節が白くなっていることに葵は月明かりのあたり具合で気づいた。仄白いようなそれは蠱惑的に発光した。台所にいつの間にか月明かりが射している。
 「うわぁ葛、時間時間! 煮物も冷めちまってるよこれじゃあ」
慌てて鍋を火にかけようとしたりばたつく葵に葛が吹き出して笑いだす。
「笑ってる場合じゃないんだって! 火が通りかけて止まった煮物は芯が残るしお前だって嫌いだろ?」
「お前が作ってくれた料理ならいい」
「へ」
「お前が、俺を思って作ってくれたならどんなものでも美味いさ」
「…――…おっとこ前!」
べェッと舌を出して煮物を火にかける。汁も多いらしく葛は鍋に蓋をした。そのまま翻るように葵の方へきた葛は抱かれたがっているようで、葵は挑発に耐えきれずに葛を抱擁した。心地よい響き。葛の心臓の音がした。
「はは、かっこいいね葛ちゃんは」
「…全部お前から教わったものだ」
「言ってくれるね」
くすくすと葵は笑う。つられたように葛も微笑んだ。
「葛、あの不動産の広告は本当に偶然なんだよ。でも、今オレ達が暮らすこの家はお前が用意したものだから、オレはお前に負んぶに抱っこの状態をなんとかしたいなって思っただけなんだ」
お前と別居したいとかそういうことじゃないしむしろ一緒に暮らしたいくらいだ!
胸を張る葵に葛が一瞬ぽかんとした。葛のそういう無防備な顔は珍しいから葵はあえて指摘しなかった。そう言う顔をすればするほど葛の美貌が際立つように思えた。気の張りや見栄を取り払った葛の顔はただ純粋に美しい。濡れ羽色の黒髪や白く陶器のような額。通った鼻梁に化粧したような眉と睫毛。長い睫毛は特に密に目淵を彩る。ふっくらとした唇は血色もよく紅く熟れた。皮膚が仄白い葛はその唇の紅さが目についた。シャツの白さとは違う。蝋人形のような漂白ではなくどこまでも肉欲的な官能的な乳白色だ。亜細亜人だとは思えぬ白さである。軍属だと言うから日に焼けているかと思えば文官志願かと思うほどの白さだ。いや陸軍所属だがと当人から聞いて仰け反るように驚いた。
 「ねぇ葛、本当なんだよ。オレはお前に負担をかけたくなかったんだ。だってお前はオレを待っていてくれて家まで用意してくれていて、だからオレが出来る何もかもをお前に捧げてやりたいって思っただけなんだ」

だってオレは本当に本当にお前が好きなんだから!

ふゥッと葛が息をする音がした。目線を上げて笑う葛はどこか悲しげだ。潤みきった黒曜石の双眸は鉱石の煌めきを宿して潤む。その眼が、いたい。オレはオレの好きなことをしているだけなのにどうしてこんなに不安なんだろう。だって毎日お前がちゃんと寝床で寝てくれただろうかとか今は起きているだろうかとか気にしたりして。あぁ泣かないで、本当に、オレが辛いんだ。お前の辛い顔を見るのは辛いんだ。本当だよ。お休みって別れるたびに不安に泣いてお早うって出会いに喜ぶ毎日なんだ。

「はは…あは、ははははっはは」

からまわる笑い声は乾いた。葛も笑う。紅い唇が細まって口角が吊りあがる。眇めた目からは落涙しそうな潤みと揺らぎを感じ取る。せめてオレだけでも知らぬふりして笑っていなければ。

「あははははははっはは」

頬と頤をひたりと冷たい感触がする。葛の手が。
「無理をして、笑うな。俺の方が辛い」
息を吸うと同時に唇が戦慄いた。駄目だ笑え。わらえ!
「無理、なんか」
「目を潤ませて笑われても嬉しくない。お前が辛そうに、見えたから」
葵は葛をかきむしるように抱いた。

あぁだから。
だからおれはお前が好きなんだよ。
なかないで。
おまえだけはせめてわらっていてほしいから。

「葛ちゃん」
「俺をちゃんつけで呼ぶなどはお前くらいだ」
「だってすきなんだもん。幸せ。へへへ」
ぼろぼろと涙が溢れた。どうして泣いているか葵自身も判らない。ただ、母の言葉がこだました。

待っているのは辛いけどその分会えたら嬉しいの
だから待つのが苦にならないのよ

母の見栄かもしれない。葵はこうして好きな人の心が遠ざかっただけで悲鳴を上げるほどいたかった。待っているなんて己の性に合わない。オレは自分の人生の伴侶は自分で見つけ出して探し出す。葛こそそれであると疑いはない。オレが見つけた。オレの好きな人!
「泣くな、俺の方が泣きたいくらいだと言うのに」
「だって、葛ちゃんが」

そう、君の所為。
君が、好き。


《了》

無駄に長いwwww             2012年7月8日UP

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