料理も君も


   いただきます

 作業を終えて机の上を整え、帰宅準備をする。次に来たときにすぐ作業に移れるように下準備も整えておく。ギルフォードはそういった面では几帳面な性質だ。念入りな調査と結果、下準備。データをもとに作戦を練り、指揮する。戦場に出向く際にもそれは変わらない。戦闘機の整備は怠らず繰り返しチェックもする。こういった日々の積み重ねこそが肝要だというのがギルフォードの持論だ。行き当たりばったりばかりではスムーズに進まないこともある。それでいて戦闘が始まればギルフォードは割合大胆に戦闘を展開するのだから面白いと自身を省みて苦笑した。仕えると誓った皇女のコーネリアなどはそんなギルフォードの様子を見て、車を運転するときに性格の変わる性質の人間がいるというのは本当だと思えると華奢な肩を震わせて笑いながら言ったものだった。
 少ない手荷物を持ち、抽斗や貴重品を入れる棚の鍵を確かめて部屋を出た。ギルフォードくらいの地位になれば情報や所持品の管理も自己責任になる。大雑把より几帳面な方がマシだろうと呟きながら扉の鍵を閉めて廊下を歩く。高級な装飾品の品々も見慣れてしまえばどうということもない。手脚の存在を意識しないのと同じだ。失くして初めて違和感を覚える。
 うつむきかげんの視界に人影が揺らいだ。目線を上げるに従ってそれが誰か明確になる。丸く立てられた襟の中華服にも似た白衣。薄く色づいた藤色の髪は毛先で緩く巻いている。天藍の瞳が穏やかさを象徴するようなフレームの眼鏡の奥で煌めいている。
「ロイド伯爵?」
不思議そうなギルフォードにロイドはそのひょろりとした体躯そのままの長い手脚で大仰な身振りで話しだした。
「待ってたんだよぅ、君の仕事が終わるの。今夜、あけてもらえませんかねぇ、うちに来ませんか? 親睦を深めましょうよぅ」
立て板に水とばかりにロイドは持論を展開する。戦闘機の面倒を間接的とはいえ見ているのだからその操縦者であるギルフォードとの親睦も深めておかないと肝心な時にほころびが出る、だから仲良くしよう、ついては今夜ご一緒しませんか? ということらしい。案に寝床の共有すらも強制している。
「殿下は仕事でいないし。鬼の居ぬ間の洗濯ですよ」
天藍の瞳を煌めかせながらロイドはケタケタ笑った。
 「…判りました」
ギルフォードは了承した。断れば後が怖い。ロイドは皇子であるシュナイゼルともつながっているしむやみに逆らえばそのしっぺ返しは必ず寝床の中で行われた。そこにおいて彼らの中に良心だとか倫理だとかいうものは存在し得なかった。ただ純粋なる剥きだしの欲望があるだけだ。シュナイゼルは欲望に忠実で交渉にロイドを平然と呼びつける。ギルフォードの相手はシュナイゼル一人であるだけでなく複数になる場合もあった。そしてそういうことを平然と行う人間性を持ちながら隠し通せるだけの美貌の主だ。彼の行いは何一つとしてその美貌を損なうことなどできなかった。
「殿下がいなくてさびしいですか? 僕一人じゃあ満足できないとか言ったら嫌ですよぅ」
「言いません」
明らかな揶揄にギルフォードは顔をしかめて応じた。
 ロイドの案内でロイドの家へ向かう。伯爵位を持つだけあって送迎は車も運転手も質がいい。ギルフォードは携帯で自宅へ連絡し、帰宅しない旨を伝えた。幸か不幸か、ギルフォードは妻帯者ではないし養うべき子供もいない。ギルフォードの不在は使用人の息抜きになるだろう。ギルフォードは嘆息してロイドの方へ顔を向けた。
「なぁに? ホームシックはまだ早いですよ」
ロイドの口の端は両端が常に上を向いている。その所為か微笑を常に浮かべているように見えた。それは彼が穏やかな人柄であると思わせるに十分な要因だ。眼鏡のフレームも穏やかさを表しているし、ひょろりとした痩身からは威圧や威嚇は感じ取れない。ただその飄然とした真意を悟らせない用心深さをギルフォードは敏感に感じ取っていた。風変わりな人物としての風評が先立つロイドだがその実油断のならない人物であることをギルフォードは体の交渉を持つうちに感じ始めていた。
 車は静かに停止して到着を告げた。ロイドは慣れた風に車から降りる。ギルフォードも丁寧に扉を開けてもらって車を降りた。滑るように消え去る車を無視してロイドはギルフォードを自宅へ招き入れた。
「実はぁ、給仕してくれる人がみんな暇を取っちゃって。だから僕らだけ。うふ、好都合かな? あぁでもご飯、どうしましょうかねぇ、店屋物にします?」
調度類は意外なほど淡白だ。高価なのだろうことは判るがごてごてした貴族趣味はなく意外なほどあっさりとしている。貴族趣味の豪華さを見慣れたギルフォードは物珍しそうにあたりを見回していたがロイドの言葉に気軽に応じた。
「私でよければ何か作りましょうか? 台所を貸していただければ何か作りますよ。簡単な惣菜くらいですけど」
ロイドの天藍の瞳が意外性に瞬いた。そのあとですぐににやあと笑う。
 「そうしてもらえると嬉しいなぁ。うふふ、殿下も知らない味を僕がいただけるんですね」
意味深な言葉にギルフォードは眉を寄せたがロイドはその手を強引に取って台所へ案内した。給仕連中が暇を取っているというのは事実らしく誰かしらが控えているのだろう台所には誰もいなかった。そこそこ広く、少人数ならばそこで食事も摂れるだろう。設えられた椅子にロイドは座って手を差し伸べた。
「さぁ、どうぞ! 手料理、期待してますよォ」
ギルフォードはテーブルの端へ手荷物を置くと、放置されていたエプロンをとった。フリルがついていたりする明確な女性ものではないことに安堵する。エプロンをしながら大きな冷蔵庫の扉を開いて中身を検分する。他人の家の冷蔵庫を覗くなど無作法の極みだが、何があるのか判らなければ料理などできない。給仕たちは不在でも簡単な惣菜が作れるだけの材料は冷蔵庫の中へ残しておいてくれていたらしい。いくつかの惣菜と材料を考えながらギルフォードは忙しく立ち回った。
 手慣れた動作で材料を調理していくのをロイドは面白そうに眺めている。
「人の料理を食べるなんて初めてじゃないのに、なんだかわくわくしますねぇ。君、料理できたんですねぇ」
「たしなむ程度ですよ。凝った料理は作れませんし、菓子の類もできない。自分が食べるのに困らない程度です。だから、期待はしないでくださいね」
ギルフォードは微苦笑を浮かべてロイドを一瞬振り向いた。その美貌に呆然とするロイドに気づかず作業へ戻る。手際よく材料を刻んだり炒めたりする。鍋の火加減を忙しく見たり包丁を扱う音を静かに響かせる。何事にも几帳面で真面目なギルフォードは不本意でも、始めてしまえばその結果にはとことんこだわる。そんな人の好さは執着のポイントがごく限られるロイドには物珍しく愛しかった。シュナイゼルではないが、簡単に手に入るものなどいつか飽きる。ギルフォードの目はいたいけなほどまっすぐにコーネリアを見ている。その純真さは手にしたことがないほど真っ白で穢れないものだ。だからこそ欲する。崩してみたくなる。穢してみたくなる。その感情の起こりはキャンバスを前にした画家のそれに似ているとロイドは分析していた。その隅々までをも支配したくなるのだ。
 「…できましたけど、どこで食べますか」
いつのまにか食器棚まで探り当てていたらしいギルフォードが困ったようにロイドに指示を仰いだ。皿の柄や形まで料理と合うように盛られている。その感覚の繊細さはイレヴンを思い出させた。ギルフォードやロイドに殊更イレヴンと呼び名を変えた日本人を排斥する気はない。それゆえに彼らから吸収した事柄も多い。
「ここで食べましょ。その方が楽だし」
心得たように頷いたギルフォードは作った惣菜をロイドの前へ並べる。確かに軽食には違いないが夕飯なのだし、単調で画一化された出来合いの惣菜よりずっといい。
 「うわー、なんだか愛妻料理って感じですねぇ、嬉しいな」
「勝手に妻にしないでください」
ロイドの軽口をギルフォードがたしなめるがエプロン姿では様にならない。むしろ通じ合った者同士のような気やすさが垣間見えた。一人身の男性が作るにしては品数も豊富だし見た目も悪くない惣菜が並んでいた。ロイドは嬉しげにひょいと指先でつまんで食した。味付けも濃すぎもせず薄すぎもせずちょうどいい。何よりギルフォードの手料理なのだと思えば旨味も増すというものだ。
「行儀が悪いですよ、ロイド伯爵…今、フォークやナイフを。…箸まである。揃えがいいですね」
食器棚の前で感嘆しているギルフォードをよそにロイドはエプロン姿の鑑賞に余念がない。そういえばイレヴンの寝床での技巧のひとつに裸エプロンとかいうのがあるのだと言っていた。裸身にエプロンを身にまとうのだという。そうすれば肝心なところは隠されて興味を余計にそそるというわけだ。さらに背後から見れば無防備に裸身をさらしているのと変わりない興奮が得られる。まったくもって感心するなと思いながらロイドはギルフォードの裸身を想った。
 「ねぇ、今日は裸エプロンでしませんかぁ?」
「裸エプロン? なんですかそれ」
ギルフォードが無邪気に小首を傾げた。エプロンを外して食卓へつく。ロイドはそれでも食い下がる。
「ねぇ、だめですか? たまには違うプレイもしたいなぁ。せっかく二人きりなんですよぅ」
「食事時に寝床の話をしないでください。礼儀として慎んでください」
にべもないギルフォードにロイドはぷぅっと子供っぽく頬を膨らませた。むぅーと唸りながらギルフォードの手料理に手をつける。ギルフォードは鋭角的なフォルムの眼鏡をしている。それに合わせてまた几帳面でお堅い態度をとるものだから軽薄な一般兵から密かに倦厭されている。もっともギルフォード自身、それを盾に無茶を言い出す輩を退けてきているのだからその程度の不利益は納得ずくだろう。
 「いただきます」
食事の前に祈りを唱えるほど熱心な宗教家ではないにしろ、しつけは行き届いている。ロイドもそれに倣って食事を始めた。二人ともナイフやフォークを使う仕草は洗練されている。むやみに擦れる音を立てることもないし、皿を揺らしたりグラスを倒したりすることもない。惣菜は一口大に分割されて行儀よくそれぞれの口へおさまる。ロイドはギルフォードの食事の仕方をこっそり窺った。
 食事の仕方はそれぞれの家庭の方針やしつけが意外と如実に現れる。ギルフォードは無粋な陶器がこすれあう音もさせず、皿も動かない。一口大の惣菜を品よく開いた口腔へ運ぶ。咀嚼も怠らない。よく噛んでから嚥下する。その際にも唇はキチンと閉じている。普段からそうしているのだろう、筋肉の動きにそれが感じられた。仕草に不自然さもなく手慣れた動作としてそれらを行っているのが判る。典型的な上流階級の様相を呈している。それでいて時折ぺろりと紅い舌先が覗く。癖なのだろう、それは無意識下で行われているらしくギルフォードに気づいた気配はない。面白い発見をしたとばかりにロイドは口元が緩むのを止められなかった。ギルフォードは掃除をさせれば部屋の隅まで四角く掃く性質だろう。そんな彼のちょっとしたほころびは無粋というより愛おしい。
 「…なんですか」
「いーえぇ、べつにぃ。美味しいですねぇ。今日は泊まっていってくれますよねぇ?」
ぎくりとギルフォードの手が止まる。ロイドはそれを無視して言いつのった。
「君のエプロン姿可愛かったですよぅ、欲情しちゃった。後始末してくれますよね? それに君の裸エプロンも見たいし。知らないなら教えてあげますよ、だから、ねぇ?」
向かい合わせに座ったギルフォードが頭の中で何とか事態の打破を図っているのが目に見えるようだ。それでも状況はことごとくギルフォードには不利で言い訳の余地を与えない。
「機体は予想通りの反応するから気が楽だし面白いんですけど、人体っていうのは予想外ばっかりで。だからこそ愉しみなんですよねぇ」
心情と体の事情は必ずしも一致しないことをギルフォードは経験済みだ。心情は忠誠を誓ったコーネリアに向いているのに体は手続きやコツを心得たロイドやシュナイゼルの意のままに拓かれる。その差異はギルフォードをひどく苛んだ。コーネリアに対する背信行為だと悩んで深夜に寝台の上で握りしめたナイフの刃に映った自身の顔を見つめたこともある。そしてその懸念や悩みは現在進行形で続いているのだ。
 「…私は、姫様の騎士であって」
「意識と体は感覚的に絡み合っているし影響もし合いますけど同一視したらダメですよ、影響しあうことと同じものだということは違うんですからぁ。体が反応するのは純粋に刺激に対してですよ、感情が作用するのは+αだけ」
ロイドはクックッと笑ってからフォークの先に刺したものを口へ運んで咀嚼した。満足げな表情そのままに料理を賛美する。
「君は意外と器用なんですねぇ、料理も美味しいし。いつでもお嫁にいけますよぅ」
「あの、私は男なんですけど」
ロイドの言葉じりを捕らえてギルフォードが控えめに訂正した。ロイドは気にしたふうもなく嬉々として食事をしている。ロイド自身も伯爵位の家庭に生まれただけあって作法は綺麗だ。風変わりの異端児扱いされても基本的な動作はよくしつけられている。
「概念なんてはかないものですよね」
ロイドはしれっと言い放つとグラスの水を飲んだ。そのあとでくふんと意味ありげな笑みを浮かべて見せた。
 「殿下がいないなんて滅多にないからいろいろしたいなぁ。裸エプロンもそうですし、それに君の手料理が食べられるなんて! 最高の贅沢ですね、ご飯も寝床も一緒なんて。うふふ、楽しみにしてますよ」
ロイドが身を乗り出す分だけギルフォードが仰け反った。主導権はロイドにあり、それはゆるぎないものなのだ。ギルフォードはどうしたらいいか判らないといった表情をして視線を泳がせた。何もかもを放って立ち去れば危機は回避できるだろうが後始末が大変だ。そしてそれだけ思いきった反逆の意志がないことをギルフォード自身承知してもいた。現状回避は可能でも根本に変化がないのだから無意味だ。
 ぐるぐると渦を巻く思考に目を白黒させているギルフォードの目の前へ、一口大の惣菜が突き出された。フォークを持ったロイドはにゃあと笑って明瞭に言葉を発した。
「はい、あーん」
「ロイド伯爵! 私は」
「ほらほら、お礼ですよー、あーんして」
幼子に教えるかのようにロイドは薄い唇を開いてみせる。退く気はないらしい。惣菜がフォークの先に刺さったまま宙空に浮いている。含んだ汁気が雫となって落ちそうなことに気づいてしまってギルフォードは何とも言えない気分になった。簡易セットとはいえ、それなりの家柄らしくリネン類は高価そうだし、テーブルクロスも同様だ。染みをつける後ろめたさがギルフォードを動かした。おずおずと開いた唇がはくん、とフォークの先に食いつく。渋い顔で咀嚼するギルフォードの様子にロイドは満足げに肩を揺らして笑った。その目が試すようにギルフォードを見た。
「じゃあ今度は僕の番。あーん」
ロイドが無防備に口を開けて待っている。つまり先ほどと立場が逆転している。ギルフォードは惣菜を一口大に切るとフォークの先へ刺し、躊躇しながらロイドの口の中へ差し出した。ロイドは躊躇など微塵も感じさせずに食いつく。それで初めてお互い間接キスをしているのだと気づいてギルフォードはげんなりした。できれば気づきたくない事柄だった。
 ロイドがフォークを置くと席を立ってギルフォードのもとへ体を傾けた。指先がきちんととめられた留め具を解いていく。目的の窺えるその動きにギルフォードが狼狽する。
「ちょっ、と」
「なんですかぁ、痛くはしないから。ほら…すべすべの肌。肌理細かいですねぇ、綺麗ですよぅ」
上を向いたギルフォードとロイドは自然に唇を重ねた。慣れた味が絡んだ舌先からした。料理の味付けの好みは意外と絶対的だ。気に食わないものはとことん物足りないだけだ。
「…食事が、冷めます」
「君のご飯なら冷めても美味しいよ。裸エプロン見たいなぁ。想像しただけでほら」
ロイドの手がギルフォードの手を取り導く。意外なほどの熱と意志をもった器官にギルフォードの方が平静を失った。ロイドの指先が結い紐を解いた。黒褐色の長髪がはらりと広がる。肩甲骨あたりまでの髪は白いうなじを隠す。ロイドはわざとらしく粗野に髪をかき分けうなじへ吸いついた。慌てて席を立って逃れようとするギルフォードをロイドの思いのほか強い力が拘束する。襟の緩みをきっかけとしてギルフォードの服装がロイドによって乱されていく。
 「こんな、ところで…私は…」
「気分転換、たまには違う場所もイイでしょ? うふふ、僕たちだけだもの、邪魔なんて入らないよ、安心して啼いてみせてよ」
ギルフォードの体躯はいつの間にかずるずると椅子から滑り落ちて床へ仰臥していた。そこへロイドが圧し掛かってくる。ギルフォードに逃れるすべも余裕もなかった。
「食事が」
ギルフォードは子供のように目の前の些事にこだわった。そうすることで逃れようとでもするかのように喉を反らせる。
「君のそういうところ、僕は大好きですけどねぇ。あぁ、綺麗な喉首してますね、手入れのしようがないからここが綺麗な人って意外と少ないんですよねぇ。もっとも、君の体はどこも綺麗ですよ、僕を魅了する。同時に破壊衝動も呼び起こすんですよ。子供相手じゃないから手加減はいらないかなぁ」
ロイドの指先の及ぶ範囲が次第に広がっていく。ギルフォードが喉をそらせば黒髪がうねって部屋の明かりで艶めいた。ロイドは愛でるように髪を梳く。
 薄氷色の瞳が潤んで部屋の天井を見た。打ち込まれた鋲の数を無為に数える。十まで数えたところでその無意味さに飽いて止めた。ロイドの指先が優しく眼鏡をはずす。同時に広がる天藍の瞳に触れるやわい感触。それが何かは意識するまでもない。
「うふふ、エプロン姿見たら我慢できなくなっちゃった。料理する姿に惚れる気持ちが判るよ」
「…その料理を放っておくんですか」
「君の料理なら賞味期限が過ぎても食べる自信があるよー。君の手料理なら冷めたって美味しくいただける」
「言いますね…」
ロイドの手が抜き差しならないところに伸びた時、ギルフォードはあきらめた。四肢から力を抜く。ロイドは椅子の背にひっかけられたエプロンをとった。
「裸エプロンしてくださいねぇ、うふふ、興奮してくる」
ロイドはひどく愉しげに笑った。つり上がった口の端が平素よりさらに吊り上っている。薄い唇はほんのり色づいて桃色をしている。
 「唇が…桃色をしているんですね、色素が薄い…」
「君のは紅いよ。血みたいだ。興奮する」
ロイドはさらに深く口付けた。心と体の別離。そんなことにももう慣れてしまった自身がいることにギルフォードは諦めにも似た思いを抱いた。
「えへへ、いただきまーす!」
言葉ののちにロイドが口にしたのは食べ物ではなく末端器官だった。ギルフォードはその背をしなやかにしならせて喘いだ。


《了》

なンかくどくどしい話ですね…すいません。
でも書いてるときはノリノリで超楽しかったです(お前…!)
しかし終わらなくて困った困った(微苦笑)
チェックしているのに誤字脱字があるのは何故だ☆           07/14/2008UP

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