かけがえのない 05

     文化祭


 今日は文化祭。
生徒会は大忙しで、皆バタバタしている。
特に会長である綺羅…ではなく、副会長である孝介は会長である綺羅の分まで働いているので、
休む暇がない。
そして、会長はというと…――
「今日は年に一度の文化祭だ!ド派手に楽しもうぜ!」
と、さして必要もない校内放送をかけているだけである。
「…綺羅の奴、絶対殺す!」
そんな校内放送を聞いていた孝介は、超にこやか笑顔でそう言った。
そんな孝介を直視してしまった数人の生徒が倒れ、保健室へと運ばれた。
「…っ?!………悪寒が………」
綺羅も綺羅で、急な悪寒がしてきたので体をさすった。
 「おい!演劇部の準備は出来てるのか?」
「はい、出来てます!」
「演奏学部は?」
「出来てます!」
孝介と会長以外の生徒会メンバーは仕事をこなし、文化祭開始時刻までに、何とか準備を終わらせた。
本来なら、昨日で終わる筈だった準備が今日までかかってしまったのは、綺羅のせいである。
「じゃあ、5分だけだが休憩してくれ」
「あ、いえ、わたし達より副会長の方が休憩してください」
「そうですよ!せめて水分補給だけでもしてください!」
生徒会のメンバーは慌てて孝介に言った。
孝介は休憩する暇がなかったので、ろくに飲み物も飲んでいない。
それを知っている生徒会メンバーは、孝介の心配をした。
「…じゃあ、全員5分間休憩する。…これならいいだろう?」
「「「はい!」」」
孝介の言葉に満足した生徒会メンバーは、休憩し始めた。
 それから5分後、再び校内放送が流れる。
「ただ今より、文化祭を始めます。全員、体育館にお集まりください」
その放送に従い、ぞくぞくと体育館に生徒が集まる。
「孝介〜♪準備出来たか?」
体育館に殆どの生徒が集まってきた頃、綺羅も体育館にやってきた。
「綺羅?……あぁ、出来ているぞ?」
バキッ!
「………あ、あの、孝介?」
「何だ?」
「……拳が、壁に減り込んでいるんですが?」
綺羅の言葉通り先程の音は孝介が綺羅を殴ろうとして、綺羅が咄嗟に避け、孝介の拳が壁に減り込んだ音である。
因みに孝介は普段と変わらず綺羅と話しているが、怒りは最高潮である。
「そうだな。お前が避けなければ俺の予想通り、お前の顔面に減り込んでる筈だったんだがな」
「……俺、何かしましたか?」
「ん?…俺を怒らせるような事は確実にしたな」
綺羅も孝介の怒りが最高潮に達している事を感じとり、何とか原因を突き止めようとするが、さっぱりわからない。
「……あの?」
「時間が無い、準備しろ」
「あ、おぅ」
孝介はすぐに仕事の事を思い出して、綺羅にそう言うと、他の生徒会メンバーを連れて再び仕事に戻った。
暫く呆けていた綺羅だったが、これ以上孝介を怒らせるのも嫌だったので、仕事をする事にした。
そして、文化祭は無事に始まり、問題が起こる事のもなく、最高の盛り上がりの中、無事に終了した。


→後書き
綺羅を暴走させる筈が、思い浮かばなくて、断念。
サボらせる事に予定を変更しました。

読んでくださり、有り難うございます。

ようやくアップすることができました!(本当に)
文化祭っていいですよね、学生ならでは。
綺羅を孝介がコントロールしているのが可愛くって大好きですvv

神那様、どうもありがとうございました!             10/12/2008UP

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