かけがえのない
私立永富高等学校生徒会
私立永富高等学校の生徒会は、もはや崩壊寸前。
その理由は生徒会長にあった。
「さーて、今日の生徒会がやる事は…『先生を脅しまくろう大会』だ!」
「…騎羅。何だ、それは」
生徒会長 埜口騎羅は、生徒会の仕事もせず、毎日いろんなイベントを開催する。
最初の頃は先生も注意していたが、いくら言ってもいう事を聞かない生徒会(正しくは、会長ただ1人)に、今では傍観を決め込んでしまっている。
そしてその会長がまた、意味不明な企画を持ち出したのだった。
それに疑問を持ったのは、副会長の清水孝介だった。
「言葉通りの意味だぜ、孝介。毎日、毎日、生徒を馬鹿にしている先生を脅して楽しむ。ってイベントだ。面白そうだろ!」
「…何処がだ。大体、生徒を馬鹿にしている先生など、この学校にはいないだろう」
孝介の言う通り、この学校の先生は生徒の事をちゃんと考えている。
生徒を馬鹿にしている先生など、誰1人としていないのだ。
だが、騎羅は孝介の言葉を聞いた瞬間、いいや!っと、力強く否定した。
「いいか、孝介。お前は騙されているんだ!表ではいい人を演じていても、裏では何を考えているかわからない。それが先生という者だ!」
「…俺は、お前の頭の方がわからん」
孝介は頭を押えながらもきっぱりと言い切った。
「な、酷いぞ孝介!俺とお前は唯一無二の親友だろうが!」
「酷くはない。…『唯一無二』という点には賛同しかねるが、親友である事は認めよう。……何だ、騎羅」
嫌そうな顔をして言う孝介だが、騎羅はにんまりとしていた。
それに気付いた孝介が尋ねると、綺羅は―
「照れちゃって、照れちゃって!嬉しいんだろう?俺にはわかっているぞ!」
―と言うと、孝介に飛び付いた。
「だから、何がだ。俺は照れてなど……」
「俺はそんなお前が大好きだぞ、孝介!」
「………そうか」
飛びつかれた事には何も言わなかった孝介だったが、『照れる』という部分には反応し、否定しようとした。
が、孝介の言葉を遮り、綺羅は太陽のような笑顔でそう言った。
その言葉に照れたのか、孝介は小さい声でそう言うだけだった。
一応説明しておくと、今此処にいるのは綺羅と孝介だけでなく、他の生徒会メンバーもいるのであった。
そんなやり取りを見せられている生徒会メンバーは、すでに慣れきっている様で、会長・副会長を無視して仕事を片付けている。
「でな、孝介。さっきの企画」
「却下だ」
綺羅が言い終わる前に、孝介は即答した。
「………あ?何でだよ。面白いだろうが。許可しろや」
綺羅は不良モードになり、孝介の胸倉を掴みながら言う。
「……てめぇ、調子づいてんじゃねぇぞ、綺羅。…俺が却下っつったら、却下なんだよ。わぁーったか、馬鹿会長」
孝介も不良モードになり、綺羅の胸倉を掴み、ドスの効いた声で言った。
「…は、はい。すみません、ごめんなさい。別の企画を考えます」
「馬鹿な企画考えるより、仕事しやがれ。…てめぇが仕事しないせいで、書類が溜まってんだよ」
実は清水孝介は、今では副会長という立場にいるが、昔は名の知れた不良だった。
その話はまた、おいおいするとして。
孝介の言う通り、溜まりに溜まった書類の殆どが、実は明日までに提出しなければならないのである。
そんなこんなで今の生徒会は大忙し。
なのにも関わらず、会長がふざけた企画を持ち出してきたものだから、副会長である孝介が切れたのだった。
「わ、わかりました!今すぐ溜まった書類の整理をします!」
「わかればいい。…仕事するぞ」
「は、はい!」
孝介の言い付け通り、慌てながらも書類整理をする綺羅だった。
《あとがきと次回予告》
大変長らくおませ致しました!
なんか、相変わらずの駄文ですが、こんなもので宜しければどうぞお持ち帰りください!
次は、綺羅と孝介の出会い編です。
それではまた、次の作品でお会いしましょう。
管理人 K