「・・だれ?」
少年は少女に出会った。
その少女は泣いていた。
少年は理由を聞いた、少女は引っ越したくないと少年に頼んだ。
少年はそれは無理と言い代わりに雪を降らせ少女に感謝された。
「・・・やくそくだよ、・・・・・さん」
「何だ、今の夢は?」
ベットから少年が起き上がる。未だに眠そうにしているがなかなかの美少年だ。降ろした黒い髪に中性的な童顔、かなり美形の部類に入る。
「八時半、・・・遅刻だな」
遅刻と言いながらも彼の顔はどこか誇らしい。
「翡翠がいないのにこんなに早く起きれるのは奇跡に近いな」
それでいいのか?
「さてと学校に行くか」
彼は枕元に置いた眼鏡をかけ仕度をする。
此処で彼の説明をしよう。彼の名は式森志貴、旧姓遠野志貴。現在葵学園に通う二年生、一人暮らしである。
何故彼が此処に居るかというとそれには理由がある。
ロアの事件からしばらく経ったある日(もちろんオールクリアのハーレム)突然彼の母親の親族が尋ねてきた。
話を聞くと志貴の母親の旧姓は『式森』といい『七夜』が滅んだあの日からずっと行方不明になっていた、志貴を探していたらしく是非式森の家に来てくれと言われたのだが、遠野家当主、ナイチチブラコン娘が大反対。
いろいろあったがせめて葵学園に入ってくれと頼まれた。
何でも志貴の母の夢だったらしい。ちなみに秋葉は、
「式森志貴になれば、何があっても問題はありませんよ。式森秋葉さん」
という悪魔のささやきに陥落。
さすが実の兄より、義理の兄との危ない関係を選んだ女である。
それでも長い休みには必ず遠野家に戻ることが条件だが、志貴は今の生活に満足している。
決して、毎朝窓から入ってくるあ〜ぱ〜吸血鬼やその様子を見てがっかりするメイドと自分の楽しみのために更なる修羅場を作る割烹着の悪魔や、毎朝小言を言うナイチチ妹、屋敷の中で吸血鬼と妹と人外大戦をする、カレー先輩に嫌気がさしたわけではない・・・・たぶん。
「志貴さん、おはようございます」
彩雲寮の入り口で、喪服を着た眼鏡の似合う美人に声をかけられる。
「おはようございます、尋崎さん」
「よくできました、えらい、えらい」
彩雲寮の管理人、尋崎華怜は志貴の頭を撫でながらほめる。
「は、はあ」
志貴はどこか困ったような返事を返す。
(前だったら、秋葉達に見つかってえらい目にあったけど今もそんな心配無いしなあ)
志貴君、かなり前の生活で命の危機にさらされたようだ。
もっともこの平和も今日で終わりだということを志貴君はまだ知らない。
あとがき
初めまして。呼んで見て思ったんですが月姫とまぶらほのクロスは意外とないみたいなので書いて見ました。
まだまだ未熟ですがどうかよろしくお願いします。