赤い地獄の中
少年は彷徨っていた
一人の幼児を抱きかかえて
「はあっ、この子だけは、俺が護らなきゃ…!」
名前も知らぬ子供だった
何の縁もなかった
ただ炎の中で何も知らずに泣きじゃくっていたのを偶然見つけただけだった
でも、この子だけは、死なせたくないと思ってしまった
だから必死で足を動かした
力尽きて倒れたとき、この子が助かればいいなと祈った
その願いは、“魔法使い”を名乗った魔術使いによって叶えられた
『あの子は!?』
目覚めたとき、真っ先に浮かんだのはあの子のことで
『大丈夫、君が護ったから無事だよ』
その言葉を聞いたとき、涙が出るほど嬉しかった
護るということの喜びを、俺はこのとき初めて知った
『あの子の服に名前が書いてあったんだ。あの子の名前はね』
思えば、この瞬間に決定はなされたのだ
一つの名前を宝物のように抱いて、生きていくことを
時は過ぎ10年後
「おい、さくら。そっちの食器とってくれ」
「はーい」
今日もさくらが手伝ってくれているので、食事の準備がさくさく進む
さくらの料理の腕前も最近上がってきているので、和食についてはともかく洋食についてはそろそろ追い越されるかもしれない
「うーん、美味しい!やっぱり士郎とさくらちゃんのご飯は最高だよう!お姉ちゃん、幸せ!」
「えへへ」
さくらが嬉しそうに笑う
自分の料理を誉められるのは、俺も悪い気はしない
「さくら、そろそろ行く時間じゃないのか?」
「あっ、本当だ。それじゃあ、いってきま〜す」
ぱたぱたと駆けていく足音
このときまで、俺達は平穏な日常に浸かっていた
あんな出来事が起こるとも知らずに
蒼と紅の狂宴
目まぐるしく移り変わる槍と双剣の戦いに、我を忘れて見惚れる
逃げ出したときにはすでに遅く、気がつけば赤い槍に心臓を貫かれていた
(まだ、死ねない…!)
俺の帰りを待っていてくれるさくらを残しては、死ぬわけにはいかない
あいつには悲しい顔をさせないって誓ったのだから
遠くなる意識の中、それだけを思った
目が覚めても、俺は生きていた
誰かが、助けてくれたらしい
そばには赤い宝石が転がっていた
家に帰ると、泣きそうな顔のさくらに出迎えられた
「血が…!」
「大丈夫だ、傷は治ってる」
それでも泣きじゃくるさくらを宥めようとすると、警鐘が鳴った
なんて迂闊・・・!
「さくら」
「うん、大丈夫だよ。だって私達は、魔術使いエミヤなんだから!」
同時に、魔術回路を起動する
撃鉄が落ちた
「投影・開始(トレース・オン)!」
「封印解除(レリーズ)!」
気丈に笑う妹を見る
「戦いの始まりだな、さくら」
「お兄ちゃんと二人なら、絶対大丈夫だよ」
Fin
電波の神様(悪魔?)が降りてきました
今朝、さくらちゃんのノートを見つけてしまったところから、唐突になぜかこげな話が。勿論、某後輩と名前が一緒だったことも大きいのですが
凛がみたら、士郎以上に反則だと言うはず。だって、“時”とか明らかに時間に干渉してるし
カードの効果って、とても反則なのが混じってるし
続きませんよ?サーヴァントはキャスターか小次郎さんかどっちがいいだろうとか真剣に考えてみたりとかした気はなくもないですが
キャスターさん救済の意味なら、キャスターさんだし、戦力的には小次郎さんのが近接型だからいいし
むしろやろうと思えばバーサーカーもいけるかとか
切嗣さんが教えてなくても、ケロちゃん辺りが士郎に魔術教えててもおかしくないんじゃないかとか
……いや、だから続かせる気はないんですってば多分