六道学園中等部に通うパピリオ、ケイ、タマモ、シロの四人は無事に高等部に進学することができた。
まあ約一名進学テストがやばそうなものもいたが、他三名の協力もあり何とかパスした。
協力者の面々から「日ごろからきちんと勉強するように!」ときつ〜いお灸つきだったが…。
そしていよいよ高等部の入学式の日となった。
ほとんどの生徒が中等部からの持ち上がりであり、見知った者ばかりだが中には高等部からの六道学園に入学するものもそれなりにおり、知らない顔もちらほらある。
そんな中、タマモはその高等部からの入学者の中に見知った顔を見つけることになる。
「もしかして…真友くん?」
「タマモちゃん!?」
それは予期せぬ再会であった。
GS美神if外伝 レアカップリングを目指して…
入学式、クラス分けも無事に終わり、タマモは他の三人と別れ真友と会っていた。
「それにしてもどうして六道学園に? しかも霊能力科に? 私と会ったときは霊能力なんてなったよね?」
タマモの矢継ぎ早の質問に苦笑しながらも真友は答える。
「あの事件の後、僕もだんだんと霊能力に目覚めたんだ。それでだよ」
そういうと真友は顔を赤くした。タマモも同様である。
それには彼らが初めて会った、ある事件が関係している。
横島が独立してから約一年後、美神事務所はデジャヴィーランドでとある仕事を引き受けた。
その仕事は色々大変だったが、おキヌの機転により無事に解決した。
その仕事の間、シロとタマモはデジャヴィーランドで遊んでいたのだが、シロとタマモははぐれてしまい、そのときに会ったのが真友である。
二人は一緒になって遊んでいたのだが、オープン前のアトラクションに入り込んだときに色々あって真友がおぼれてしまったのだ。
呼吸をしていない真友を助ける為にタマモは緊急蘇生術を行い、その結果真友は息を吹き返した。
簡単にぶっちゃけると人工呼吸を行ったのだ。
その為ちょっとだけ気まずくなったが二人ではあったが
「また遊ぼう」
と風船を交換して約束し、分かれたのであった。
「そ、そっか〜、三年ぶりになるかな? 元気にしてた」
「ま、まあそれなりにね。タマモちゃんは?」
「私もそれなりに」
まだちょっとぎこちない挨拶をする二人。
とにもかくにも、こうして二人は再会を果たしたのであった。
それから色々な事があった。
タマモは真友をパピリオ、ケイ、シロに紹介した。
あの事件のことはぼかして説明したのにもかかわらず、三人とも
「へえ〜」
と思いっきり何かを含んだ口調と表情で言い、それにカチンときたタマモ。
しばらくは言葉の応酬が続いていたのだが、いつしかすれは狐火と霊波に代わっていった。
そしてそれに巻き込まれた真友とそれを見て青くなるタマモ。
それ以後パピリオ達四人組は五人組になった。
真友に
「タマモちゃんてあの美神さんと同居してるんでしょ。会わせてくれない?」
頼まれ、美神事務所に真友を連れてくると皆が暖かくむかい入れてくれた。
美神親娘(ひのめは除く)がタマモをからかう為かやたらと真友にくっついた。
下手をすれば(しなくても)セクハラのように。
その結果、真友は今現在タマモにはない女性の魅力、やわらかき感触、つまるところ体にあたる美神親娘の巨乳を堪能した(正確にはさせられた)。
世の男性には至極の、天国にも上るような一時であろう。
しかし天国の後に待ち受けるのはいつの世も地獄である。
美神親娘から開放された真友を待っていたのは嫉妬の炎を具現化しているタマモであった。
また、すっかり機嫌を損ねたタマモは横島・ルシオラのところに始めての家出をした。
横島事務所に行けば男達だけで何やら会話に花が咲き、ないがしろにされているようで面白くなかった。
その様子があまりにもあからさまだったので、横島事務所の面々に真友共々からかわれてしまった。
そんな、今思い出してしまえば苦笑するばかりの出来事をタマモは思い出していた。
彼女は今、思い出の出発点にいた。
隣にはもちろん真友もいる。
今日はタマモと真友が出会ったときと同じ月、同じ日である。
どちらが言い出すわけでもなく、自然とデジャヴィーランドに来ていた。
そしてあの時と同じに、いや、あの時以上に楽しく様々なアトラクションで遊ぶ。
あの時遊べなかった令子監修の『マジカル・ミステリー・ツアー』はその後も手を加えられ続け、思いのほか面白かった。
楽しい時間はあっという間に過ぎていく。
あたりはすっかり暗くなり、最後にして最大のアトラクションである花火ショーが上がり始めてようとしていた。
真友はあの時の様に風船を買い求めた。
あの時は再会の印となった。
では今回は?
「タマモちゃん」
心なしか緊張した様子で真友はタマモに話しかける。
「何?」
真友の緊張した表情、雰囲気から何が言いたいか想像がつくが、あえてそれを押しとどめる。
自分の勘違いだったら悲しすぎるから…。
タマモが表情にこそ出さないが期待と不安の入り混じった気持ちで真友の次の言葉を待つ。
一瞬とも永遠とも思える時間が過ぎ去る。
深呼吸をした真友は今までの彼らの関係を打ち壊し、新たな関係になる為の言葉を紡ぎ出す。
「ボクと、ボクと付き合って欲しい!」
それはタマモも望んでいた言葉だった。
最初は別に今の友達みたいな関係でも不満はなかった。
でも段々とそれだけでは我慢できない気持ちが自分の中で生まれていった。
それが彼も一緒だったことが嬉しい。
新しい一歩を踏み出せるのが嬉しい!
そんな内心を表さないようにタマモは真友に返答する。
「良いけどひとつだけ条件があるわ」
「何?」
「私を抱きしめキスをして」
二つだったシルエットは段々と一つに重なっていった。
二人の後ろでは彼らのを祝福するかのように花火が上がり続けていた。
あとがき
本文中のデジャヴィーランドの一件とは、本編での事件が横島抜きで起こったと思ってください。
この二人、カップリング自体はレアではないと思いますが、SS自体はあまり見かけない(私が知らないだけかも知れませんが)ので書いてみました。
また、最後のタマモの台詞は元ネタがあります。
さてこれは第一弾です。
今後もレアカップルを書いていきたいと思います。
基本的には『GS美神if』『GS美神if外伝』で登場させた男女で書こうと思っています。