「だめねっ!せめてこれくらいね。」
『そんなことはなかろうっ!』
「・・・。」
なにやら事務所で心眼と美神が争っているようだ。
「ちょっと横島クンも何とか言いなさいよ!」
「おっ俺っすか!?」
『コヤツに任しておけんからワレが言っておるのだろが!』
まぁ早い話・・・
「横島クンの時給でしょ!アンタには関係ないでしょ!」
『おおいに関係ある。コヤツにはしっかりした衣食住が必要だ!
それなくしては修行にも身が入らん!』
法律違反上等、時給問題についてである
心眼をつけている横島はたまったもんじゃなかったが
――心眼は眠らない その4――
今日は本来、バイトの日ではなかったが心眼が美神に話があるといったのがきっかけであった。
事務所につく早々、心眼は美神に対して横島の時給の値上げを要求した。
美神自身、横島のここ最近の頑張りを知っているし、値上げ自体は問題ではなかった。
ここで心眼が最初に提示した金額は2550円
皮肉のつもりか、あえて現在の10倍の値段をふっかけた。
まぁそれほど月末の横島が不憫に見えたのだろう
心眼自身、この値段があっさり受けいれらるつもりはなかったようだし
そして我等が所長、美神令子は・・・
「300円。」
まぁ、大人気なく言ったようだ。(それでも45円、上げていてくれるが
ここで黙っちゃいないのがもちのろんこと心眼である。(いつもの冷静さはどうした?
何か吼えている横島を無視りつつ、美神と白熱の攻防を開始する。
当初はお金に関しては鉄壁の美神なので美神の圧勝を予想されたが、
それがなかなか心眼の交渉術も見事であった。
交渉は横島を完璧に無視しつつ、続けられ平行線になっていき
10円単位での削り合いが展開され、話は冒頭に戻る。
「あっあのじゃあ美神さん。その間の値段で何とかお願いします。」
その一言きっかけで、なんとか事は治まっていった。
これにて、第一回 心眼×美神の時給大決戦は幕を閉じた。
「いやはや、俺が時給920円とはな!いや〜持つべきものは心眼様だ!」
『ワレとしてもう少し引き上げたかったのだがな。』
交渉も終わり、二人はいつも特訓を行っている森に向かっていた。
「しかし、よっぽどあのときの事、根に持ってんのか?」
『たわけ、ワレはそんな事おもっとらん!』
先日、珍事件が発生した。
いつものごとく家に帰ってテレビを見ていたときそれは起こった。
『うぬ、いかん、あぁそうではない!』
「・・・(コヤツは黙ってみれんのか。)」
放映されている時代劇に熱中する心眼
心眼の喋りが移ったか?の横島である。
『おお、囲まれているぞ!まずは右の敵を中段で(以下略)』
「・・・(だいたい俺は時代劇に興味ないっちゅうねん!)」
横島も本来見たい番組があったが心眼がこれだけは譲れぬという気迫に負け
一緒にみる事になった。
そして―――
『よし!残すは大将首のみ、いけ、よしいま”ピ”な!!!』
「ん?停電か?」
突然、テレビだけではなく部屋の電気を消える
そして響く心眼の悲鳴
『どうしたのだ!横島!』
「ん、あ〜多分。電気止められたな、金なかったから払ってないし」
給料や親からの仕送りは最低限しかないので
それも家賃、食費、水道代に費やしていたため、
電気代にまで回っていなかったようだ。
しつこく聞いてくる心眼、何故電気代も払えぬやら、
給料はどうなってるやら、実家に帰らせていただきますやら(実家?)
まぁ理由はわからないままではあったが横島の時給は上がった、それだけは事実である
(聞かぬが花といいますし
森に着いた横島は心眼の元、修行を開始する
ある程度の時間が過ぎ、
『横島よ、ハーピー戦の時に放ったサイキックソーサーだが、
今でも自分の思ったとおりに曲げられるか?』
「あれか、曲げれる事は曲げれるけど、あの時みたいにあそこまで曲げるのは
なんか無理だな。あの時は曲がるというより折れるといったぐらいだったじゃねぇか。
今はせいぜい弧を描くぐらいだな。」
『(まぁ、当然だな。アレはワレでさえ驚いたのだから)
いっておくがアレはサイキックモードだから出来たわけではない。
おぬしの強い思いがそうさせたのだ、まぁ火事場の馬鹿力といったところか。
今はとにかく最大霊力の増加と霊気のコントロールをやしなうことだ!』
横島は修行を開始するが――
『それと、いつになったら出てくるのだ。そこのおぬし』
「えっ!」
「!!!」
心眼は誰もいないように見えるところに声を放つ
「いや、気付いてたんか。覗き見してたんはあやまりますわ。
えらいすんまへん。」
林の向こうからはいまからお見合いにでも行くのか、正装した和服姿の男が出てきた。
「さっきから独り言でも呟いてるんかなと思っとたけど、あんさんのその目は式神なんか?」
『否、ワレは使い魔の類だ。』
男は心眼に注目しつつ横島に近づいていく
「んでアンタだれなんだよ。(美形はキライじゃ!来るんじゃねぇよ!)」
『その通りだ、コヤツに何のようだ!』
男は美形のようだ
「ん、ボクは鬼道政樹といいます。よろしゅう、あんさんは?」
「あぁ、俺は横島忠夫、んでコイツが心眼」
『心眼だ』
互いに自己紹介した後、鬼道は突然、己の影から人型の式神をだす。
「『!!!』」
「コイツ、夜叉丸いいますねん。目的やけど、実はボク、これから
果し合いがあるんや。それで悪いけど準備運動に付き合ってもらえへんやろうか?
理由か?あんさん等の修行風景を見てると戦いたくなったじゃあかんか?」
鬼道が横島たちを見つけたのは偶然だった。
最初は果し合いまでの時間まで猶予があったので同伴していた父と別れ、
一人で準備運動をしようと人気のつかない森に入っていった。
森の中を進むと先客がいたので見物をしていた。
しかし見ている途中に必死に修行している横島に自分を見たのか
近づかずにいられなかった。
そして見学していくうちにぜひとも一手合わせてみたいと思ったのだ。
「おい、心眼どうすんだ」
『ちょうどよい、受けて立とうぞ!』
「おおきに!じゃさっそく」
距離をとる鬼道、そして神経を研ぎ澄ましていく
『接近戦タイプの式神だな、
横島よ、ハーピーほどではないが、なかなかの者だ、
サイキックソーサーで牽制しつつ、術者に近づけ!
基本と霊視を忘れるな!』
「基本か・・・」
迫り来る夜叉丸に対してサイキックソーサーを放つ
「そんなもんあたらんでぇ!」
回避する夜叉丸、あさってに向かうサイキックソーサーであったが
急に楕円を描き始める。
「!っ狙いはボクか!!っ夜叉丸!」
「っち、くそ!」
『当然だ、いくぞ追撃だ』
鬼道はその場から離れるが、
その間横島は鬼道に向けて2発目のサイキックソーサーを放ちながら距離を詰める
だが鬼道は夜叉丸を自分との間に入り込ませる
「夜叉丸!いったれ!」
『基本とはいかに霊波の流れをコントロールするかだ、わかっておるな! 』
「多分・・・」
横島の自信なさげな回答も鬼道には関係なく
夜叉丸が接近し跳躍する
(基本・・・)
夜叉丸はそのまま蹴りを繰り出す
(流れ・・・)
横島は上半身に霊気を集めその蹴りに耐える
そしてそのまま夜叉丸を弾き飛ばす
「っく、夜叉丸!」
(霊視・・・)
横島はすかさず霊視に集中する
よく見てみると夜叉丸も胸の中央部が異常に霊圧が高い
(コントロール・・・)
横島はサイキックソーサーを夜叉丸の心臓の右に投げつける
「かわせ!夜叉丸!!」
(まだっ、集中っ!!)
サイキックソーサーは胸をそれたが右腕に直撃する
横島は投げた瞬間に脚に霊気を集め加速する
「っぐ!まだやで!」
(流れをスムーズに・・・)
接近する横島に夜叉丸は拳を放つ
それを左手でガードする
「どうやっ!」
「っぐ!(耐えろよ、俺!)」
夜叉丸は反撃を開始する
「とどめや!」
(霊波の流れを・・・今だ!!)
夜叉丸はとどめの上段蹴りを放つが横島はそれを
掻い潜り
「おらっ!!!」
夜叉丸のエネルギー源にサイキックスマッシュ(拳に霊力、集めただけ)
を叩き込む
「っぐぁ!!」
鬼道は苦痛の悲鳴を上げ、倒れこむ。
夜叉丸は鬼道の影に入りこむ。
「いや〜まいったわ。やるとはわかってたけどここまでとはな。」
「いや、悪かったな。これから果し合いなんだろ?」
『ふむ、なかなか見ごたえがあったぞ、お互いな』
鬼道が目を覚ました後、先の戦いについて述べた。
「果し合い?・・・あぁそういえばそやったな。
途中から忘れとっとたわ。なんや久しぶりに楽しかったわ」
「そうか?、俺は疲れたぐらいやけどな。」
しばらく談話した後
「そ〜いや鬼道って誰と決闘するんだ?」
「ん、あ〜言うてなかったか、六道冥子って女や」
「なっ!」
鬼道はそこから語りだした、
何故果し合いをするのか
鬼道家の生い立ち、
自分の修行だらけの人生
冥子との因縁、(初恋?+失恋?
ちなみに途中で横島や心眼のキレのいいツッコミで
父親が自分を復讐の道具にしていた事を悟ったりしていた。
「でっでもボクは、冥子はんに勝ってあの十二神将を手に入れるしかないんや!」
『意気込むのは結構だが、今のおぬしにはそれは無理だな、
せいぜい4,5つが限界だろ』
そう、普段お子様な感じの冥子ではあるが霊力の保有量は美神をはるかに超えている。
現に美神は一度、式神を扱ったことがあったが集中を切らせばすぐに暴走させた。
「っな!ボクには無理やいうんか!」
『勘違いするな、今のおぬしには無理だといったのだ。
いい事を教えてやる、人は諦めなければ無限の可能性をもつ、
そこに天才も秀才も関係ない。
歴史上、天才に打ち勝った凡才などいくらでもおる』
鬼道は黙る
『スタートが違うだけだ。
ワレが保障しよう、おぬしは強くなる
・・・そして横島お前もな』
「グ〜」
「ボクは・・・」
心眼は疲労と長話で眠りついていた横島にささやく。
鬼道は俯きながらもその場を後にした。
「鬼道政樹です。よろしゅうお願いします。」
「あっ、いえ、ここは若い人に任せて、私は退散を〜」
「へ〜結構いい男じゃない。」
鬼道は果し合いを相手、六道冥子と相対していた。
冥子は動揺しまくっていたが、
なぜ美神とオキヌちゃんがいるのかというと、
冥子は横島が事務所を去った後、果し合いから逃げるため美神の事務所に逃げたのだ
そのため見学者として美神たちは招かれた。
鬼道の父はえらく威勢よく吼えたが、立会人の冥子の母に手痛く反撃される。
「始めよか、夜叉丸。」
「アンチラ!」
ウサギの姿をしたアンチラが夜叉丸と対決するが
鬼道は夜叉丸を巧みに操り撃退する。
アンチラは冥子の元に逃げ帰るが
「いてこませ、政樹!」
「言われんでも、わかってる!まずはそいつや!」
夜叉丸はアンチラに止めをさし、吸収する。
「力を失った式神が影に戻る瞬間、その式神を奪う事が出来るんや!」
「ア、アンチラ!!」
アンチラは姿を変え、夜叉丸の刀に変形する
「死んだわけやないよ、もうボクと夜叉丸のもんやけどな。(まずは一つ)」
「わははは、この調子やで政樹!」
「ふぇ、ひどいわーーーーーー!!」
高笑いをあげる鬼道父と、暴走を開始する冥子だが、
「得意の暴走もボクには通用せえへんよ(まだ4つなんか・・・)」
「バカラ!マコラ!ハイラ〜〜!」
暴走に際して飛びだした式神を全て吸収する。
次に飛び出たのは、馬の形をしたインダラであったが、
夜叉丸はそれも切り伏せる。逃げ帰るインダラであったが
「もうええ、ボクの負けや・・・」
「まっ政樹!?」
「「「えっ!」」」
インダラを奪おうとせず敗北宣言をする鬼道
(なるほど、あの人(心眼)の言ったとおりやったわけやな)
鬼道は自嘲しながら吸収した式神を解放する
呆然する一同
「ボクでは十二神将を操る事はできひん、すくなくとも今は」
「政樹、なんでや。勝ってやないか!」
「まぁ、賢明な判断ね。」
興奮する鬼道父に鬼道は告げる
「父さん!もういいかげん復讐なんてやめようや。
こないなことしたって意味ないで!
そして、六道さん。もう少し冥子はんの事しっかりした方がええですわ。
ボクに負けてるようじゃ駄目でっせ。」
「そうなんだけどね〜」
今だ興奮気味の父を連れつつ鬼道はこの場から去った。
「(横島はん、心眼はん・・・・今度会う時は・・・)
なんかやる気でてきたで!!」
鬼道は明日に歩みだした
――心眼は眠らない その4・完――
あとがき
横島、自力で鬼道を下す。
基本に立ち返る横島でした。
っつーか鬼道主役?
誤字脱字のご指摘皆様ありがとうございました。
修正の方は、とりあえず新規投稿の勢いが止まったらしようと思います。
今作前半のですが、えぇと、こんな心眼は好きですか?
前回の統計を取ったところ(どっちかというのは0.5ずつ)
火 1
水 0.5
風 2
土 1
光 0.5
闇 4
になりましたので属性は闇ということにします。
投票してくれた皆様ありがとうございました。(闇以外の方は本当にごめんなさい
命名”皆で創ろう、心眼計画・第2弾”も近いうちにしたいと思います。<――他力本願
では今作を最後までお読みくださってありがとうございました。
次は香港編っす!
>皇 翠輝さん
なるほど、私は無属性だと思ってたので一番近いかもしれないですね
>法師陰陽師さん
この鬼道はどうでした?
>ファリスさん
ご指摘、ありがとうございます。今作からは注意して書きますので、
またなにかあったらよろしくお願いします。
>九尾さん
美神&横島除霊事務所か〜、なんとかきっかけさえあれば(本編ではきびしいか・・
>ツッコミさん
なんたる不覚!これからもどんどんツッコミのほうお願いします
>T城さん
今作から一応、説明を入れたんですがどうでした?(まだ足りないかな?
あ〜照れを忘れていた。
>wataさん
確かに、横島の目ってそれ考えるとすげ〜
>通りすがりさん
テストですか・・・・・・・・言わぬが花というヤツですよ(赤点だけはなんとか・・
>感想人さん
できるかぎり過剰な強さを持たせないようにしてます
>.さん
大隆起、もとい大竜姫か〜ほんと迷います
>...さん
文珠を複数同時ですか、確かに、協力コンボができるな〜
>草薙京弥さん
猫親子の正体を知った時は「欲情して損した」っていってたようなので、
もちろん、近いうちに人間魔族神族、お構いなし状態に・・・
>柳野雫さん
あんな短い行で、美神の感情を読み取ってくれて感謝です!
>・・・エクトプラズムさん
成長していき次の香港でいよいよ・・・!
>破れ傘さん
燃える展開っていってもらえると本当にやる気がでます
>aさん
モテモテ計画(死語)ですか・・・がんばりまっせ!