ろうそくによって照らされている、少し薄暗い部屋に二人の若い女性が座っている。
一人はどこか気が強そうではあるが、整っている顔立ちをしている。もう一人は少し幼さを感じさせる柔らかな顔立ちをしている。二人ともまだ20には届いていない年齢であるようにみえるが、その大きな胸が十分に女性であることを感じさせる。
二人とも顔立ちはだいぶ違うが美人であることは異論がる人はほとんどいないであろう。二人は乳姉妹であり、名前を伊万里と上乃という。
「伊万里、だめじゃない。久しぶりに九峪様に会えたんだから二人きりになれるチャンスだったのに」
枇杷島での戦闘の後、九峪が久しぶりに伊万里を誘いに来てくれたところ、伊万里が上乃を一緒に連れ出したのだ。
九峪は違う世界から神器である天魔境の精であるキョウによって、つれてこられてきたもので、元の世界に戻るために神の使いを名乗り、火魅子を即位させるために邪麻台国を復興させようとしている男である。
「いいのよ、上乃。九峪様も何も言わなかったでしょ。そんなに気にしなくていいのよ」
「だめよ、伊万里。ただでさえライバルが多いのにそんなこと言ったら九峪様誰かほかの人にとられちゃうよ」
「何度も行っていると思うが、私は私らしくそれでいいんだ。それに無理にそんなことして、私がうまくいかせられるとも思えないしな。九峪様も楽しそうにしてたじゃないか」
「もう、伊万里はあいかわらずに堅いんだから。それが伊万里のいいところでもあるんだけど、星華様や藤名様とか押しが強い人が多いんだから、もっと伊万里も積極的にならなきゃだめよ」
伊万里は毎回とも言われるそのやり取りを繰り返しているところ、ひとつ違和感に気づいていた。
「ねえ、上乃。あなたがこんなに積極的に応援してくれるのは、あなたが九峪様をあきらめたから、私に九峪様とくっついてほしいの」
前から気になっていたその言葉を伊万里がつむぐと、明らかに上乃の表情が変わった。
以前から続けられたやり取りだあったが、上乃がからかいの方向にいつも変わっていくのに対して、最近はからかうことがすくなくなってきたためである。そして九峪様を見る時の目が変わってきていることに気づいていた。
伊万里はどう切り出そうかとなやんだが、結局真正面から話すことにした。これが上乃ならばもっとうまく話すことができたかもしれないが、伊万里は変に話し方を考えるよりはそのほうがうまくいくと考えたからだ。
「な、なにを言ってるの、伊万里。私が九峪様のことが好きだなんてそんなことあるわけないでしょ」
「上乃、私が気づかないとでも思ってたの。私たちはずっと一緒だったんだからそれぐらいはわかるのよ」
「伊万里の勘違いよ」
「上乃!!!」
さらに上乃が否定の言葉を続けようとするのを、伊万里は一声で制した。
「なによ、私は九峪様が好き。でも伊万里と違って王族でもないしただの山人である私が、九峪様と付き合えるわけないじゃない。だから伊万里に幸せになってほしいと思ってなにがいけないのよ」
ばしーん。
上乃が言葉をつむぎ終える少し前に、小気味の良い音が響き渡った。
「馬鹿ね、九峪様がそんなこと気にするわけないじゃない。人には素直になれと言っている割にはずいぶんと意気地がないのね」
上乃はほほに手を当て、しばらく呆然としていた。
そして上乃は目に光が戻ってくると、ゆっくりと立ち上がった。
「ねえ伊万里、ずいぶん好き勝手言ってくれたわね」
「ええ、ずいぶんと聞き分けない妹を持ってしまったからね」
「いってくれるわね。覚悟なさい、九峪様は私がもらっちゃうんだから」
「望むところよ。負けはしないわよ」
しばらくの間、そういってにらみ合っていたが、どちらとも泣く二人は笑い始めた。
「ねえ、上乃。九峪様をどうして好きになったの」
「私は九峪様はいい人だとおもうけどはじめはまったくそんな気持ちはなかったのよ。優しいけど、九峪様だらしないし、助平だし。顔も好みと違うしね」
「でも好きになったと」
「そうね、一緒にいて伊万里を応援したりしてたら、いつの間にかに好きになってたわ。だから、伊万里のせいね」
「なによ、それは」
「でも九峪様も不思議な人よね。けしってこんなにもてるほどいい男とも思えないんだけどな。ねえ、伊万里久しぶりに狩に行かない」
「そうね、いいわね。だいぶ狩をする時間なんてなかったものね」
「そうだ。九峪様も誘っていきましょ」
「いいわね。でも上乃も参戦するのだから、私は遠慮して二人きりにしなきゃいけないのかしら」
「いいのよ。どうせなら二人で迫っちゃいましょ。それなら優柔不断な九峪様でもいちころよ」
「そうかしら?」
「そうよ。こんな美女二人に迫られて断れる男なんていないわよ。じゃ早速計画立てましょ」
こうして深夜遅くまで二人の楽しそうな話し合いは続いていった。
(あとがき)
GSと違いこちらは知らない人もいると思うので、ほんの少し人物を説明をつけさせていただきました。しかし、小説ではなくゲーム版の設定です。
連載を二つもつことはしないようにしますが、たまにこのように短編はまた書くかもしれません。続きを期待してる人がもしいたらご了承お願いします。
レス返し
九尾さん、毎回のレスありがとうございます。
そうですね、鬼道のように強制されてやっているのではないので、学校生活に影響や友達と遊べないといったことはないです。
合気道では一緒に学んでくれる友人もいることですし。
黒刻さん、レスありがとうございます。
一応横島が強くなれないというのは、主に霊力の量や、体力が備わっていないからです。実戦がないというのもありますが、やはり一番の問題は小さくなった体です。
ちょっと説明不足でしたね。すいません。
MAGIふぁさん、レスありがとうございます。
夜華のころから作品を読ませていただいてるのでうれしかったです。
”これに味しめて、大人になっても文珠で子供なり透明なりなって入り込まんだろーな”
さあ、どうでしょうか。ただ、横島がそれに気づくかどうかは怪しいところですね。本編で少し考えれば分かるような使い方をしないのだから。まあ、逆に覗きやナンパはそれ自体を楽しんでるようなきもします。