どんどこどこどこどんどこど
　どんどこどこどこどどんがどん
「はっ！はっ！はっ！はっ！」
「アイヤイヤイヤイヤイヤイアイア！！」

　どことも知れぬ怪しげな洞窟ってーか空洞の中、松明の明かりに照らされて、太鼓を叩いて踊り狂う怪しい集団。
　その集団の顔は例外なくマスクで隠され、彼らの中心には生贄付きの祭壇が。

「って何だコレわぁぁぁぁ！！！」

　最もかつ、オーソドックスなツッコミを入れる生贄くん。
　彼の名は式森和樹。魔法をあと５～６回使ったら灰になっちゃう、どこぞの主人公だ。

「ふ、気付いたか。我らが敵、式森和樹よ」

　何者かに背後から気絶させられ、気付いたらこんな状況だったとゆー叫ばずにはいられなかった式森くんのツッコミに、やたらえらそーに答える怪しい集団のボスらしき人。
　被っているマスクも他の連中とは違い、目の周りの炎のような模様が本当に燃えています。

「誰だっ！てゆーか、この状況はホントに何だぁぁあ！！！」

　叫ぶ式森くん。ま、気持ちはわかりますが。
　そんな生贄くんに、腕を組んでやっぱりえらそーに説明するリーダー。

「知りたいなら教えてやろう！式森和樹！！貴様はエリート学園の落ちこぼれというポジションにあるな？」
「そ、そーだけど……それがどうした！！」
「どうしただと！？だというのに、何だ最近の貴様は！次から次へと女をモノにしおって！！けしからんにも程があるわ！！」

　詳しくはまぶらほ、もしくはＳＳ群参照ｗ

「な！？ぼ、僕だって好きで…」
「好きでそーなったわけでもないだとぅ！？貴様そこまで我らの嫉妬心を燃えさせたいかぁっ！！？」

　ごごごごごごご…

　リーダーの言葉どおり、嫉妬の心が燃え上がったのかマスクの炎がより一層激しくなりました。他の連中も何人かは炎が生まれています。
　というか、嫉妬の炎だったんですねぇ。マスクの炎。

「嫉妬って…み、見てたなら知ってるだろ！？僕の日常がどんなに大変かっ…！！」

　涙ながらに訴える式森くん。
　具体的に言うと長くなるので、やっぱり参照で（オイ）
　そしてそんな心から、いや魂からの訴えをさくっとスルーして話をすすめるリーダー。

「嫉妬の心は母心！押せば嫉妬の泉湧く！！同志諸君！我々はついに！我らの母たる存在を発見したっ！！」
「おうっ！」「オウッ！」「応っ！」「王っ！」

　うわ、聞いてねぇ。
　そう思いつつも、頭の中をよぎる嫌な予感に身震いする生贄式森くん。

「彼女を今宵、式森和樹をここに生贄に召喚する！！祈れ皆の衆っ！？」
「えろいむえっさいむ…」「うんばらどろどろ…」「ぎゃーてーぎゃーてー…」「オン！マユキラ…」「てくまくまや…」
「何の儀式だぁぁぁ！！！」

　思い思いに勝手な呪文を唱え出す一同にツッコむ式森くん。
　しかしやっぱりスルーされ、召喚の儀式は何故か成功しちゃいます。

　ピカッ！

「おおっ！あのドス黒い光は！！」
「間違いない！あれこそ我らが魔神…デビルキシャーこと夕菜さまの光だ！！」
「………………」

　ツッコみたいが、流石にどーツッコんでいいのか解らずに黙り込む式森くん。
　てゆーか、もーどーにでもしてくれとゆー心境かも知れません。
　そして空間を渡り、かの嫉妬魔神が降臨します。

「キシャァァァ！！和樹さんをいじめているのは誰ですかぁぁぁ！！」

　アンタだ、アンタ。
　つい、心の中でそう思ってしまった何人かがピンポイントで襲ってきた衝撃に吹き飛びます。

「おおっ！我らが母よ！私は嫉妬マスク一号！そしてこちらが２ご…」
「私と和樹さんの仲を引き裂く人は、誰であろうと許しませーん！！」

　嬉々として自己紹介をしようとしていたリーダー達を、問答無用で攻撃する夕菜さま。
　精霊界から直接召喚したかのような炎が、彼らをあっという間に灰にしていきます。

「あわわわわわわわ…」
「さぁ和樹さん、帰りましょう私たちの愛の巣に」

　ギャグとは言え、人が死ぬ様を見せられて引く式森くん。
　そんな事は些細なこと、と全身で語りつつにじり寄る夕菜さま。

「ふふふ…愛の巣、ですか」
「誰ですっ！？」

　一人残らず駆逐したはずなのに、声をかけられ驚く夕菜さま。
　振り返ったその目の前では、灰になった彼らが一人一人復活を果たして行く所でした。

「な…！？」

　流石に驚く夕菜さまに、ゆったりと諭す嫉妬団リーダー。

「その愛の巣で、あなた方はどれだけラブラブをしましたかな？」
「バカにしないで下さい！私と和樹さんは誰よりも…」
「誰よりも？本当に？……世間にはあなた方よりもっと、もっとラブラブしているカップルがいるかもしれませんよ？」
「そんなはずは…」
「本当に？」
「本当に？」
「本当に？」
「本当に？」

　ひるんだ夕菜さまを、ここぞとばかりに取り囲んで洗脳する嫉妬団一同。
　そしてリーダーが、最後の一押し。

「もし、そんなカップルがいたら………………許せませんよ、ねぇ？」







　そして、後日――





「キシャァァァァ！！私たちより幸せになりそうなカップルは許せませーん！！」
「ふははははぁー！！無敵！嫉妬魔神きしゃーさまがおられる限り我らは無敵だぁー！！」
「オラオラオラァ！！カップルはどこだぁーー！！」


　時に西暦２００Ｘ年。
　世界は、嫉妬の炎に包まれた――


　＜完＞



　＜オマケ☆＞


「で、僕はどーなるのさ…」

　どことも知れぬ洞窟ってーか空洞でそんな事をボヤいた生贄くんが、いたとかいなかったとか。