・・・私が目を覚ますといつもと違う天上が見えた。理由は・・・えーと、何だっけ?
寝惚けた頭に昨日の晩の映像が浮かび、身体中の血液が顔に集まって来た。
「あっ・・・。」
思い出すのは、いわゆる「初」何とやら。どんどんどんどん目が冴えてきた。
視線を右に移すと当然・・・彼がいた。素っ裸で。いや布団被ってるから見えないけど・・・わかる。
勿論私も何も着てない。
「ああ・・・そうだ。・・・何だか、変な感じ。胸がドキドキして。」
昨日の事はどこまで覚えているのか覚えていないのか。とにかく緊張して緊張して・・・。
ただ最初にお酒を一口飲んで、それでその後唇が触れた事だけははっきり覚えてる。その後は・・・。
飛び交う映像。コマギレの18禁。気が付いたら寝てた。
完全にお酒のせいだなあ・・・私弱いし。ああっもう。
「・・・・・・勿体無い・・・って何言ってるんだろ私。」
自分で口走っておきながらまた照れる。折角の思い出が。初めてなのに・・・。
後悔の念が込み上げる。でもそれと同時に・・・幸せという感情が少しづつ胸に込み上げて来ていた。
再び彼に視線を移すと、彼は大口を開けて、よだれを垂らしながら完全に寝ている。
ここで私に対する寝言とか言ってくれたらもっと嬉しいのになあ・・・とか馬鹿な事を思いついた。
それでも、見つめている間も幸せ。ほんとにほんとに。もう顔の緩みが止まらないぐらい。
そして・・・これから彼が起きた後で、何て喋りかけよう?
「おはようございます。」・・・普通過ぎるかな。
「もう朝ですよ。」カーテンから光りが差して私の顔を照らす。・・・演出まで考えてしまった。
いきなり抱きつく。・・・いやいやそんな事。お酒飲んでたら出来るかも知れないけど。
「大好き。」・・・いきなりじゃ訳わかんないかも。でも意外と・・・や、やっぱ出来ないよ。
しつこいけど幸せ。自分でもこんなに楽しくていいのかなと言いたいぐらい。
馬鹿でも何でも良いんだ。だってだって・・・ねえ?
私は少し彼の方にすり寄って、彼の顔をまじまじと覗きこんだ。
別段カッコイイ訳じゃないけど、他の女性に目を向ける事が多くても・・・いやこれは許せないか。
それでも・・・私は彼の耳元で、ぼそぼそっと、一言呟いた。
「・・・でも好き。」
頬に軽く唇を触れさせた。私はにんまりと満足気に笑って、また元の位置に戻ろうとする。
ところが、彼の腕が私を掴んだ。ぐいっと側まで抱き寄せて。
「きゃあ!」
私はびっくりして声を上げる。眼の先に彼の笑顔があった。
「お、起きてたんですか?」
「えっ、いや、その・・・今ので気付いた。」
顔が真っ赤に染まっているのがわかる。でも私も一緒だ。
無理して平静を装ってるように見えるのも何となくわかる。バクバクと心臓の音が響き渡る。
もう一度、はっきりと。記憶に残る。お酒に頼ったものじゃ無くて。
私は自分から彼に顔を寄せて・・・唇を触れ合わせた。カーテンから光りが差しこんで。二人の顔を照らす。
あいにく白いカーテンでもなく、波の音も聞こえたりしないけど。そこは二人にとって思い出の場所になる。
「つってもいつものボロアパートなんだけどなあ・・・。」
「夢を壊す事は言わないで下さい・・・。」
幸せはどこまでも。
おしまい。
えーと初めましてです。cymbalと言います。
ちょこちょことまた書いていきたいと思いますので宜しくお願い致します。