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「横島くんちのお兄ちゃん 授業参観編(GS)」桜華 (2004.11.08 23:55/2004.11.09 08:21)


 横島くんちのお兄ちゃん
 授業参観編





 〜登校前〜


 空は快晴、視界は良好。見るものすべてにうきうき感を隠せない。
 そんな感じで尻尾を振りながらの犬塚シロは、現在学校へと登校中であった。右にはいつも通り、タマモもいる。さらに右にはケイが。
 今日は授業参観日。シロのはしゃぐ理由はそれだ。
 今朝、登校途中でケイと合流してから、タマモより知らされた事実。
 横島忠夫、参観にくると確約。
 シロとケイは欣喜雀躍、狂喜乱舞した。
 その余韻を、学校が近くなった現在までも引きずっているのだ。

「ほら、シロ。いいかげん落ち着きなさい。ほんと、ガキくさい」

 言うタマモもまた、顔が笑みを作っていることを止められない。

「いいじゃない、タマモ姉ちゃん。シロ姉ちゃんも楽しみなんだし」

 その向こうでは、ケイが微苦笑している。彼女もまた、さっきからずっと尻尾が揺れているのだから、その心情など察するは容易だ。 

「それに、僕も楽しみだよ。兄ちゃんたら、そんなこと一言も言ってくれなかったもの」

 頬を膨らませ、ちょっとぶーたれるケイに、今度はタマモが苦笑。

「そりゃ、私が秘密だって言っといたから」
「え〜。なんで〜?」
「そっちのほうがびっくりするでしょ? なのにこのバカ犬が、私が楽しみに笑ってると『気味悪い笑顔でござる』なんていうから、言っちゃったわけよ」

 一つ、溜息。

「おかげで、あんたたちの呆然とした顔を見そこなったわ」
「そんな楽しみ、タマモ一人に一人占めさせておくわけにはいかんでござるからな」
「ほんと、ほんと」

 同調する二人の文句に、タマモはまたもや苦笑した。

「ところで、ケイ。午後の特別授業だけど、ちゃんと登録した?」

 タマモの質問に、ケイが頷く。
 六道女学院の授業参観は、他の高校と比べていささか特異だ。
 そもそも、高校にもなって授業参観がある学校というので、まず珍しい。加えて霊能科があるというので珍しい。
 だから、霊能科の授業参観など、きわめて珍しいといえるだろう。
 話を戻そう。
 六道女学院は、初等部から高等部まであるマンモス校だ。しかし、霊能科は高等部にしかない。
 これは、初等・中等部は、霊能以前に人としての教育を受けさせるべきという理事長の考えゆえである。
 なお、理事長というのは学校創立当時の人を指しており、現理事長のことではない。……どちらも似たようなものかもしれないが。
 つまり、初等・中等部には普通科しか存在せず、授業参観もいたって普通だ。
 これが、高等部になると違う。
 霊能科の授業参観。それは、生徒の特別霊的格闘訓練である。
 クラス対抗バトルと同様、三人一組で行われる試合。違うのは、相手は現役GS一人と言うこと。
 生徒とプロのレベル差を感じさせ、更なる発展を目指す。それが狙いである。
 毎年、生徒の父母などから数名が選ばれるのだが、今回のプロGSのなかには美神令子もいた。
 ちなみに、これはボランティアで、報酬は一切ない。なのになぜ、あの守銭奴美神が依頼を受けたかというと―――

 1.シロ、タマモという生徒の保護者であること
 2.プロの中でも第一線で活躍し、その実力も高い
 3.全校生徒からの熱烈なおねーさま希望
 4.六道理事長からの力のこもった「お願い」
 5.六道冥子からの涙まじりな「お願い」

 以上により、美神は断腸の思いで承知したのだった。
 この授業は高等部だが、相応の実力を有していれば、中等部からの参加も可能である。
 ゆえに、ケイもこの授業には参加する。英数はまだまだだが、霊的格闘では彼女は中等部で群を抜いているのだ。
 最大の目的はプロの力を肌で感じてもらうことで、一種お祭りのような雰囲気もあるため、それほど緊張もない。
 だが、しかし。
 今回は、彼女がいる。
 タダ働きの美神。それは悪鬼羅刹と同義。

「当たる娘たち、かわいそうにね」
「うん……」
「葬式には出るでござるよ……」
「そだね」
「身内の、せめてもの義務よね……」

 ぼろくそだ。

「まぁ、それはさておき! あんたたち、わかってるわね!」

 声を張り上げてのタマモの確認に、二人は頷く。
 自然、三人は円陣を組んでいた。場所は校門前。嫌でも目立つが、他人の視線など三人は眼中ない。

「たとえ三人がかりとはいえ」
「まがりなりにもプロを倒せば」
「兄ちゃんの好感度大幅アップ!」

 そして三人は、右手を重ねる。

「獣っ娘組! 株大幅アップのため!」
「必ずや、敵を倒すでござる!」
「そんで、兄ちゃんのご褒美だ!」
「「「エイ! エイ!! オ〜〜〜〜〜〜!!!」

 叫ぶ獣っ娘組。
 その隣で、ガラガラと音がした。
 それは、重き格子が引きずられる音。

「「「あ……」」」

 三人の目の前で、校門が閉められた。

「ほい、遅刻な、お前ら。まったく、余裕で間に合うとったのに、門前で変なことするからや。参観日に遅刻なんて、間抜けもいいとこやで。ほら、生徒手帳出しぃ」
「「「あうう……」」」

 獣っ娘組、いきなりの株大暴落であった。



――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


 〜昼休み〜


 横島忠夫は身構えていた。
 現在、AM10:25 。一限目が終わろうとする五分前だった。
 ゆえに、横島忠夫は身構えていた。
 講師が口を閉じる。間もなく終わる合図。総勢、テキストを片付け出す。
 横島は、腿に力をためた。テキストなどはなから出してはいない。ゆえに、片付ける必要もない。
 今日は、かわいい妹たちの参観日。兄として行くことを約束したのだから、反故にするわけにはいかない。
 ここから六道までは、結構距離がある。昼に入ってからでは間に合わない。抜け出るには、今しかないのだ。
 すでに友人に代返は頼んである。残る問題は、いかにして奴が来る前に逃げ出すか。

「よ〜し、それじゃぁ、今日の講義は――」

 来た!
 横島は全身に満遍なく力をこめた。自分のばねが十二分に活きる力み具合。
 終了、起立、礼。そしてダッシュ。
 残り二分。若干早く終わってくれそうで余裕が――

「あ、そうだ。プリント配り忘れてた。前の奴、後ろに回してくれ」
(そりゃねぇだろおっちゃんんんんんんんんんん!!!!)

 横島忠夫、心の叫び。
 結局、一分遅れでの終了となった。
 その一分が、致命的。それでも幾ばくかの望みを持って、横島は全速力で逃げ出した。
 半ば体当たり気味に扉を開け放ち、

「殺(と)った〜〜〜〜〜〜〜〜!!」
「しつけ〜〜〜〜〜〜〜!!!」


 霊刀で斬りかかる九能市氷雅(21才一年生)が、そこに居た。

「今日という今日こそは!」
「うお!」
「年貢の納め時です!!」
「くおら!」
「おとなしく!!!」
「なんと!」
「このヒトサキマルの!!!!」
「たわば!」
「錆になりなさい〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!」
「断る〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!」

 九能市氷雅。三年がかりで父親を説得し大学へ進学。忍者研究会へ入る予定だったが、クラブ棟で横島を発見、復讐のために横島と同じ文芸部へ入部。
 以後、何度となく同じ光景が繰り広げられている。周りももはや慣れたもので、遠巻きに見物して野次を飛ばしている。飲み物を売ってる奴まで居た。

「さぁさぁ、張った張った! 横島が何分で逃げ切るか!? プラマイ30秒で倍! ピタリ当たれば10倍だよ〜〜〜!」
「5分に千円!」
「3分に五百円!」
「12分に千五百円!」
「32分52秒に六百八十円!!」

 もはや大学名物と化していたりする。

「待て待て氷雅さん! 今回は本当に余裕ないんだって俺!」
「ならばおとなしく斬られなさい! そうすればすぐに解放して差し上げます!!」
「あの世に逝っちまうわボケェ〜〜〜!!」
「ならば斬られるまで逃がしません!!」

 結局、逃げ切るまでに11分20秒。
 三千円を手にした生徒は、ほくほく顔でパチンコ店へと駆け出した。





 *





「……ふぅ、やれやれ。まったく、氷雅さんにも参るよなぁ」

 大学の駐輪場にて、横島はぼやいた。
 なんとかサイキック猫だましで切りぬけたものの、場所が突き止められるのは時間の問題。早々におさらばせねばならない。
 心持ち急ぎながら、横島はヘルメットをかぶった。
 車体にまたがり、キーをまわす。エンジンに火が入り、バイクは小気味よくゆれ始めた。
 クラッチを繋ぎ、発進。出口へと走る。
 横島にとって、バイクは欠かせない代物だ。大学に通うのもそうだが、なによりシロの散歩についていくのに絶対必要。明日の朝日を拝みたければ。
 そんな理由で獲得した免許。休みの日には、仲間とよくツーリングに出かけている。

「そういや、この前ケイを乗せたときはすごかったなぁ」

 ヘルメットの中で苦笑。
 初めて乗ったバイクに、ケイは大混乱して鳴きまくったのだ。
 以来、ケイはバイクに近づこうとしない。スピード感とかが、化け猫にはずいぶんと怖かったらしい。
 横島としては、休みの日に一緒に遠出してみたいのだが。

「……車の免許、とるかなぁ」

 バイクを駆りながら、横島はポツリと呟いた。






 *





 六道女学院高等部二年C組。
 昼食風景広がるその教室の中、その片隅の光景。

「シロはどう考えても前衛でしょ? で、私は狐火や幻術だから、当然後衛」

 弁当箱の三割を占める油揚げを食べながら言うのは、タマモ。

「ってことは、ケイは?」

 弁当箱の八割を占める肉類を食らいながら尋ねるのは、シロ。

「前衛と後衛と来たから、ひょっとして中盤?」

 弁当箱の五割を占める小魚をぱくつきながら呟くのは、ケイだ。
 三人輪になって、午後に向けての作戦会議なのであった。

「中盤か、あるいはガードかな。シロ一人じゃ攻撃面もきついかもしれないし、私も集中する時間がほしかったりしたら、相手に目ぇ向けられないし。
 で、陣形についてなんだけど、いくつか決めておこうと思うのよ。逐一指示できなくなる状態もあるだろうから」
「たしかに」
「タマモ姉ちゃんが指示を出すの?」
「一番後ろの私が、一番状況を把握しやすいわ。ケイもシロも、それでいいでしょ?
 で、陣形だけど、簡単に三つほど提案。
 シロとケイが前衛にあがって直接攻撃、私が援護攻撃する。これがフォーメーションA。
 シロが前衛で攻撃、ケイが中盤で距離をとりつつ援護、私は後衛でシロに防御的援護。フォーメーションB。
 シロは中盤に下がって攻撃。ケイはガード。私は後衛で防御。フォーメーションC。
 とりあえず、攻撃、ノーマル、防御の三つだけど、どんなもんかしら?」
「いいと思うよ」
「細かいことはその場その場で決めなければ、柔軟な対応はできないでござるからな。拙者も賛成でござる」
「OK。じゃ、これでいくわ。シロの言うとおり、細かいことは逐一指示するから。
 ……いい、二人とも。今日は横島が来るの。
 横島が、私たちを、観に、来るの。
 横島の前で、無様な姿は見せられないわ」
「うん」
「百も承知でござる」
「そう。そうね。そうよね。
 じゃ、二人とも。手を出して」

 三人は、無言で、中央でコブシを合わせた。

「絶対勝ぁつ!!」
「「おおおおおおお!!!」

 体育会系がそこに居た。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


 〜授業参観〜





 六道女学院高等部参観特別授業の会場である体育館の中心には、闘技場が設置されている。結界を施し、GS資格試験同様、霊的攻撃以外を無効化するようになっていた。
 その結界の中で。

「……俺、なんでこんなことになってるんだろう?」

 横島忠夫は、自分の不幸を呪っていた。
 彼の身に何が起こったかを説明してみよう。
 まず、九能市のおかげで時間ぎりぎりにバイクで到着。そのまま会場入り。理事長に見つかって、エキジビジョンとして試合することを12の式神とともにお願いされる。
 そして現在、というわけだ。
 しかし、そこは美神除霊事務所所員の横島、その程度の理不尽さはいつものことである。
 彼が頭を抱えているのは、

「横島ー! 負けたら給料半分だからねー!」

 解説席で檄を飛ばす美神令子でもなく、

「横島ー、がんばれー!」
「先生、期待しているでござる!」
「兄ちゃん、ファイトー!」

 応援してくれるタマモ、シロ、ケイでもなくて、

「さて、そろそろいいか?」

 目の前で屈伸運動をしている、弓雪之丞(旧姓:伊達)の存在だった。

「お前、なんでここにいるんだ?」
「……婿養子には、いろいろと苦労があってな」

 遠い目をする雪之丞に、こいつは俺の知らない世界を垣間見たのだと知る横島。

「しかし、相手がお前だったとはな。いい機会だ、今日こそ決着つけてやるぜ!」
「相変わらず熱血してるなー」

 ライバルに闘志燃やす雪之丞に対し、横島は呆れ気味に苦笑した。
 そして、エキジビジョンと呼ぶには豪華過ぎる試合、その幕が切って落とされた。
 最初に動くは雪之丞。一足飛びで間合いを詰め、右腕を振るう。下にかわす横島。前蹴りが放たれる。腕を十字に組み防御。衝撃を後ろに飛んで逃がす。
 間合いが広がる。雪之丞は詰める。横島は開ける。
 文珠が『爆』発する。その影響範囲に、しかし雪之丞はすでにいない。
 目前、雪之丞、左のジャブ。顔面にくらい、一瞬、視界が閉じる。右のストレートを避けれたのは、奇跡に近い偶然だ。『栄光の手』で牽制。再び間合いを開く。

『おおっと、横島選手、再び間合いを大きくとったー! 試合展開は雪之丞選手に傾いております!
 なお、実況は私、GS協会記録部広報課の枚方亮、解説は美神玲子さんでお送りいたします!』
『よろしく』

 体育館に、実況と解説の声が響く。 

『どうでしょう、美神さん。この展開は? 長年互角といわれた両者、意外にも雪之丞選手が一方的ですが?』
『試合という特性上、それは予想されたことよ。雪之丞は魔装術を極めた、近接戦闘のエキスパート。素手の間合いで戦って、彼に勝てるGSはちょっといないわね。
 対して横島くんは、遠・中・近距離ともに扱える能力を有した、いわば万能型。それは言い換えれば器用貧乏。
 一つに特化した雪之丞に、その領域でかなうはずも無い。だからこの戦いは、必然、間合いの取り合いになるの』
『なるほど。しかし横島選手には、あの文珠という切り札おおっとぉ! 雪之丞選手、渾身の右ぃ!!』
『今の、いい右ねぇ。立ってられるだけでもすごいわ、横島くん』
『しかしながら横島選手、足に来ております! 立ち尽くしている!
 美神さん、この状況、どうなんでしょうかねぇ?』
『まずいわねぇ。横島くんには文珠があるけど、雪之丞も承知の上だろうし。効かないでしょうねぇ』
『といいますと?』
『横島くんの得意分野は、霊力の収束なの。そういう意味で、雪之丞の魔装術と似てなくも無いわ。実際、『栄光の手』は魔装術に酷似した様相を呈しているし。
 ただ、全身に纏う雪之丞と違って、横島くんのそれは一点集中。一部は強くなるけれど、一部はその分弱くなる。そこを雪之丞が見逃すとは思えないわ』
『では、横島選手に勝ち目は無いと?』
『……今、なんて?』
『ですから、横島選手の勝ちは』
『ざっけんじゃないわよ!』
『ひぃ!』
『美神除霊事務所の人間がそう簡単にやられるはず無いでしょ!
 こらぁ、横島ぁ! あんたこのまま負けたら給料全面カットよ死にたくなければ勝ちなさい!!』






  *





 さて、美神の檄が飛ぶ中、獣っ娘組はというと。

「タマモ姉ちゃん、シロ姉ちゃん、今の聞いた?」
「うん。横島に負けてほしくないのは当然だけど」
「負けたら給料全面カットの上にお仕置き……美神殿のお仕置き……」
「地獄ね……」
「兄ちゃん……」
「まぁ、横島が負けるとは思ってないけど、確かに旗色悪いわねぇ」
「どうするでござるか?」
「―――フ。
 任せなさい。ちゃぁんと策は考えてあるわ!」





  *





(強ぇなぁ、雪之丞は。相変わらず)

 やられながら、横島は思う。
 雪之丞と自分の決定的差。それは経験と技術だ。
 自分の戦闘は、妙神山で修行したとはいえ、あくまで我流。しかし、雪之丞は白竜会にて下地を積み、それ以降も修行の日々を送っていた。両者の戦闘技術には、雲泥の差がある。
 横島は策を用いて相手をはめ、力を出させず勝つタイプだ。正々堂々の試合上の中では、その持ち味は半減する。
 加えて、雪之丞は横島を知っている。それゆえ奇策にははまらない。
 しかし、横島も雪之丞を知っている。それゆえに打てる策もある。

(やっぱ、カウンターかな。文珠で高めた一撃をぶち込む、それしかないな)

 文珠を投げては当たらない。無駄な隙を生むだけだ。
 サイキック・ソーサーも同様。他の霊的防御が弱くなるだけに、致命傷となる。
 『栄光の手』も効果は弱い。剣の形をとっても、雪之丞は容易にその内側へと入ってくるだろう。それを凌ぐ技術は、自分には無い。
 最初から、できることは一つだけ。
 同じ間合いでの、一撃必殺。これだ。
 相手が止めをさしに来たその瞬間。渾身を込めて返す。それにのみ見出せる勝機。
 右を食らう。効いた。今のはやばい。そしてチャンス。止めを刺しに来る。
 吹き飛んだ横島。追う雪之丞。間合いが詰まる。右と右。最期の一撃。互いに最高の霊力を拳に乗せて―――

「横島くーん!! 勝ったらキスしてあげるーーーーー!!!」

 ランジェリー姿の美神令子が、二人の視界に入った。

「ぶふっ!」

 鼻血を噴出す雪之丞、集中が解けて、霊力が霧散する。
 対する横島は―――衆知のとおり、彼の霊能力は煩悩である。その脳内を、さまざまな妄想が駆け巡った!

 美神さんが下着姿勝ったらキスしてつまり俺を愛して誘ってる誘ってる妄想違う現実そこにいるシルクだ白アナタ色に染めてこんな人の多いところじゃヤダみんなが見てる続きはベッドでゆっくりと

「みっかみさは〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ん!!!!!」

「ぐはぁ!?」

 一撃で雪之丞を吹き飛ばし疾走する横島! そのまま結界をも突き破り、美神にルパンダイブをかます!
 そのとき! 美神の姿がぶれた! 一瞬の光とともに、そこにいた人物は――

「た、タマモぉ!?」
「はぁい! 勝ってよかったわね、横島!」

 下着姿の美神は、タマモの変化だったのだ。無論、横島の煩悩を刺激するためである。
 しかしながら、横島のこととなると後先考えない彼女。一つ、重要な事実を忘れていた。

「あああああ。タマモに欲情? そんなはずはない! 俺はロリコンじゃない! あれは美神さんだと思っただけで、断じてタマモに対してじゃない〜〜〜〜〜!!」
「ほら、そんなこといいじゃない。別に私はかまわないわよ。それよりも勝ったんだから、ちょっとは嬉しがったらどう?」

 己の在り方に苦悩する横島と、それを慰めるタマモ。
 彼女はまだ、己の運命を知らない。

『……………………』

 そう、この女の存在を、彼女はすっかり忘れてしまっていたのである。







  *






 特別授業は、ついに獣っ娘組まで回ってきた。
 さて、彼女らの相手をするGSは―――

「さっきは世話になったわねぇ、タマモ」
「あ……」
「いや、感謝してるわよ。おかげで横島くんが勝って、うちの顔に泥塗らずにすんだ。いや、よかったと思ってるわよ、実際。これ、本心からね」
「あうあうあうあうあう」
「でも、それとこれとは話が別ってーか、肖像権の侵害ってーか、いろいろと、ねぇ?」
「あわわわわわわわ」
「さて―――覚悟はいい?」
「―――――ふぉ」
「ふぉ?」
「フォーメーション! Cィ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!」

 結果は、言わずもがなであろう。






  *





 その夜。
 横島宅に、二人の来訪者があった。タマモとシロである。

「美神が、美神が〜」
「先生、匿ってくだされ! 拙者、まだ死にたくはござらん!」
「美神が〜〜〜〜〜!」
「後生でござる先生〜〜〜〜〜〜〜!!」

 こうして、横島の同居人が二人増えたのだった。


△記事頭
  1. >獣っ娘組
    他の人間には無い長所を前面に出してくるとは策士なり!タマモw
    令子の折檻から逃げ出すという大義名分を得るために幻術を?(爆
    そして横島のマンションに転がり込むのまで計算していたのかな?
    そしたら末恐ろしいの〜
    TF(2004.11.09 00:14)】
  2. よっしゃあ(グッ!)。これで一緒に暮らせますな!
    九尾(2004.11.09 00:44)】
  3. >プラマイ30秒で倍!
    >逃げ切るまでに11分20秒
    当たった奴って誰?

    機体にまたがり? エンジンが入り? クラッチを回し?
    おかしな表現ですね。修正された方が良いのでは?
    RC211V(2004.11.09 02:59)】
  4. タマモ…後先考えようね^^;

    機体に〜⇒車体にまたがり
    エンジン〜⇒エンジンに火が入り
    クラッチ〜⇒クラッチを繋ぎ
    ですかね。
    通りすわり(2004.11.09 05:18)】
  5. ↑ですね(^^;)
    合体マシーンじゃないんですし・・・・・・

    霊的マシーンかも・・・・・・ってコトで手を打ったら・・・・・・だめかなw?
    片やマン(2004.11.09 08:56)】
  6.  修正しました。RC211Vさん、通りすわりさん、片やマンさん、ご指摘ありがとうございます。乗り物には詳しくないもんで……^^;

     >TFさん
     う〜む。例え予測が成り立っても、美神の折檻は生物の本能から避けるでしょうw

     >九尾さん
     これで蛇ノ妹に繋ぐことができました。
     さぁて、次は狐ノ妹だ。
    桜華(2004.11.10 19:24)】

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