ポチはレイヴンである。
レイヴンとは、アーマード・コア…ACと呼ばれるロボット兵器を駆る傭兵の事だ。
レイヴン達はこの世界に存在する様々な企業から、様々な依頼を受けてそれを解決することで日々の糧を得ている。
その中には世の中に胸を張れないような後暗い依頼も数多く混ざっていたりする。
だが、この世界を牛耳っているのはその企業連中なのでその事はさほど問題ではない。
かくして、今日も今日とてポチは愛機『栄光Ver.2』を駆って戦っているのだ。
「…っと3機目っ!おーいペス!あと何機だ!?」
『ペスじゃないのね〜』
「いいから答えろって」
『しくしく。え〜と、あとMTが3機、自律兵器4機なのね〜』
ポチの専属オペレータであるペスが戦術情報をポチへ送ってくる。
彼女はレイヴン支援組織『レイヴンズ・アーク』の所属オペレータだ。
レイヴンズ・アークはレイヴンに対し、各企業や組織からの依頼を仲介、斡旋したり、このように戦術支援したりなど、様々な有形無形の支援を行っているのである。
ちなみに『ポチ』も『ペス』も本名ではない。
レイヴンは傭兵であるため、様々な恨みを買っている事が多い。
それ故、レイヴンは大抵の場合、仕事に関わる事柄では本名を名乗らずにレイヴン・ネームという偽名を使っているのだ。
ちなみにオペレータはそういう事はないので、『ペス』は単にポチが勝手に付けたあだ名であったりする。
「…っくしょっ!5つ目っ!」
『その調子なのね〜』
ちなみに今日のミッションはナービスという新進企業の依頼で、物資集積所の防衛任務である。
何処とも知れぬ敵対勢力…大方は最近ナービスと関係が悪化している業界No.1ミラージュ社の息がかかっている中小企業か犯罪組織あたりだと思われる…が戦闘部隊を送り込んで来たのだ。
ナービス社では即時展開できる戦力の手持ちが無い事、問題の物資集積所の警備部隊ではとうてい持ち堪えられない事を鑑み、レイヴン支援組織『レイヴンズ・アーク』に緊急の依頼を行ったのである。
そしてその依頼を受けたのが、ポチだったのだ。
なお、敵の内訳はMT…マッスルトレーサーと言う簡易型ACのような戦闘兵器と、簡単なAIによる自律型兵器の混成部隊である。
正確に言えばACの方がMTの一種なのだが、兵器としての格があまりにも違いすぎるため、ほとんど別物として扱われているのだ。
もっともACは、パイロットにかかるGや要求される操縦技量も相応に大きい。
ACのパイロットであるレイヴンは、まさしく戦場のエリートと言えよう。
たとえそいつがレイヴンの中でどれだけ下っ端でどれだけへっぽこだったとしても、ACを扱えるというだけで戦力としては一級品なのである。
「余計なお世話じゃーーー!」
『…?…どうしたのね〜?』
「あ、いや今なんか悪口を言われたような気が…」
ポチは栄光Ver.2を左右に小刻みにジャンプさせ、自律兵器のオート射撃をかわしていく。
そして右腕に装備されたバーストライフルを3連射して、最後のMTを沈める。
残るは無人の自律兵器が2台のみだ。
「ふっ、後は楽勝だな。…弾代もったいねぇな。ブレードで斬るか」
『ポチはブレード使いあまり巧くないのね〜。斬りにいく途中で被弾して修理代が高くなるのがオチなのね〜』
「うるさいっ!」
ペスに怒鳴ったポチだったが、それでも彼女の言い分の正しさを認めたのだろう、ライフルで自律兵器を破壊した。
彼はせまいコクピットの中で、大きく溜息をつく。
「ふひゅ〜〜〜っ、こんでオワリだっ!は〜、どうやら黒字っぽいな〜」
『よかったのね〜。それじゃ輸送機回してもらうのね〜』
「おお、頼ま…!?」
そのとき、ポチはあわてて栄光Ver.2を跳躍させた。
次の瞬間、彼の機体があった場所を凄まじいエネルギー波が通り過ぎる。
彼はメインカメラをそのエネルギー波が来た方向へと向けた。
彼は驚愕する。
「なっ!?」
そこには1機のACが立っていた。
見た目にも軽量級とわかる細身のその機体の周囲には、大量の放熱によりゆらゆらと陽炎が立ち昇っている。
あきらかにオーバーブースト…OBと呼ばれる超機動を行ったためである。
なお、ポチのACにはその機能は組み込まれていない。
「…っくしょ、レーダーの範囲外から一気にOBで突っ込んできやがったのか…?」
『父の…父の…』
「…あ?」
その謎のACが、外部音声をオンにしてボソボソと呟いた。
ポチは眉を顰める。
『…ポチいいいぃぃぃっ!!父の仇いいいいぃぃぃぃっ!!覚悟おおおぉぉぉっ!!』
「のわああああっ!ちょっと待てえええぇぇぇっ!!」
両腕からレーザーブレードを伸ばして斬りかかって来るそのACをポチはなんとかぎりぎりでかわす。
そんな中、ペスから通信が入った。
『あ〜レイヴン…もしも〜し?』
「なんだよっ!今突然変なACに攻撃されてて忙しいんだっ!」
『あ〜、その、ね?え、えへへ…』
ポチは嫌な予感がした。
「をい…まさか…」
『その、そのね?敵増援…なのね〜。そのAC…。こっちのレーダー…見忘れてて。…ゴメンナサイ!』
「こんの…役立たず〜〜〜!!!」
栄光Ver.2のコクピットに、ポチの絶叫が響き渡った。
本日のレイヴン情報:
レイヴン名:ポチ(♂)
本名:横島忠夫
AC名:栄光 Ver.2:633400C
頭部:CR−H69S(初期パーツ):29900C
コア:CR−C69U(初期パーツ):61000C
腕部:CR−A71S2:39500C
脚部:CR−LH69S(初期パーツ):49600C
ブースター:CR−B81(出力100%):75800C
ジェネレータ:CR−G91(出力100%):59800C
ラジエーター:CR−R76(冷却100%):16800C
FCS:MF03−VOLUTE2:58000C
インサイド:I05D−MEDUSA:32000C
エクステンション:CR−E69SS:22000C
右肩武装:CR−WB72M2:29500C
左肩武装:CR−WB69RA:19700C
右手武装:CR−WR88RB:45800C
左手武装:CR−WL79LB2:38000C
右手格納:CR−WH73H2:28000C
左手格納:CR−WH73H2:28000C
機体解説:ポチが現在使用している機体。
色は都市迷彩。
砂漠のミッションでも都市迷彩。
屋内ミッションでも森林ミッションでも、アリーナでも都市迷彩である。
何故かと言うと…塗り替えめんどいから。
かなりの部分、未だにレイヴンズ・アークから支給された中古パーツを使用している。
その理由を当人は『まだ充分使えるから』と言っているが、本当はビンボーなため。
ちなみにVer.1はその初期機体の事。
Ver.2になったのはジェネレータとラジエーター、ブースターを交換した時点である。
コアを換える予定はしばらく無い模様だが、コア交換時にVer.3になるらしい。
備考:そろそろ新人を卒業して中堅になりつつあるレイヴン。
ミッション達成率はさほど悪くは無いのだが、ACクラスの敵が出ると途端に逃げ腰になる。
弱い敵にはめっぽう強いが強敵にはまったく無力とご近所の奥様方にも大評判。
ランキング(上位30名)にも残念ながら入っていない。
素質はあるのだが…。
(あとがき)
えー、とりあえず思いつきのリハビリ兼習作です(笑)
思いつくままだらだら書く予定。
アーマードコア・ネクサスの設定下でGSキャラ使って遊ぼうってだけのシロモノです。
あははー、あまり深い考え無しに書いたもんですので、あまり突っ込まないでくださいね(笑)