「………私に言えるのは、本当は何も無いのでしょう
でも、私は彼女に誓ったのです、あの時……」
横島はそう言い、目を閉じる女性を
ただ、見つめることしかできなかった……
記憶と思いの果てに……第6話
セフィリアは、目を開け、横島をどこか決意を秘めた瞳で見つめた
「私が、ルシオラさんから伝えるよう言われたこと……
それを今から、彼女の話したとおりに伝えます……」
そう言い、目を閉じ、ポツリポツリと語り始めた
いや、伝えだした……
「……横島、あなたって、本当に馬鹿よ、馬鹿で、
馬鹿で、どうしようもないほどに、お人よしの馬鹿……
馬鹿だから、傷ついて……
馬鹿だから、なんでも自分で背負おうとして……
でもね、横島、私はそんな、そんな馬鹿な横島
だからこそ、いえ、そんな馬鹿な横島も
全て……全て好きだった……
でもね、でも……」
そこまで言い追え、セフィリアは不意に
目を開け、横島を見た……
そこには、真剣な表情で
セフィリアを見る、横島がいた
ドキッ
不意に聞こえた心音……
更に、心音は強くなり鼓動は早くなっていく……
(これ、は……)
そう思い、戸惑っていると……
「あの……セフィリアさん、それで、もう終わり、なんすか?」
そう、戸惑いながら聞いてくる横島がいた……
「え!?あ!はい、あ!いえ、ち、違います!?」
自分で言いながらセフィリアは顔が熱くなるのを
自分でも感じた
(こ、これは……一体!?わ、私はどうかしたのでしょうか
い、いえ大丈夫、思考は平常、心音は……
だ、大丈夫のはずです……そ、そう、まずは、
ルシオラさんから伝えられた話をしなくては……)
自分が混乱していることに気づいているようで気づいていない
セフィリアは、何より落ち着かねばと思い、
目を閉じた………
ドクンッドクンッドクンッ……
精神を研ぎ澄ませ………
ドクンッドクンットクン……
冷静に、集中を……
トクントクン……
心を無にし、冷静さを取り戻した……
(……大丈夫みたいですね……)
そう思い、目を開けると……
そこには眼前まで迫り、セフィリアを心配そうに見る
横島の顔があった……
ドクンッ
ばっという音が聞こえると同時に、
セフィリアは、横島から離れた……
顔を赤く染めて……
「な、なんでもありません!そ、それよりも
話の続きをしますので……」
セフィリアがそう言うと、横島も心配そうにしながらも
「あ、すんません、よろしくお願いします……」
と、真剣な表情で答えた……
それを見て、更に顔が熱くなるのを
感じたが、そういうことは初体験(?)
だったセフィリアはもうなにがなんだか
解らないと、混乱しまくってたりした……
(と、とにかく……は、話を……
そ、そうです、さっきみたいに目を閉じていれば……)
そう思い、目を閉じ……
なんとか心を落ち着かせて、やっと話の続きを
語り始めた……
「でもね、よこ「あの……」……はい!?」
セフィリアは、やっと冷静に話そうとした
出鼻をくじかれ、裏返った間抜けた声で
叫んでいた……
(わ、私としたことが……
と、とにかく、こんなことじゃいけないですね……)
そう、自分に言い聞かせ
「どうか、なさいましたか?」
と、なんとか自然に答えた……はずだと
セフィリアは思った……
「いえ、その、無理に……あいつが話したとおりに、
言わなくても、いいっすよ……その、話してもらえるだけでも
うれしいんで……」
そう、少し恥ずかしげに頬をかきながら横島は言った
キュンッ
という、音があったなら、間違いなく横島に聞こえただろう
(か、かわいい……!そ、そうじゃないです……
わわ私ったら、一体なにを……)
もう、オーバーヒート寸前の頭……
いや顔は真っ赤になり、頭の中は混乱?
渦……いや、嵐だった……
……初めての体験(初○)とでも言うのだろうか……
それは、セフィリアにあまりにも強い衝撃を
与えていた……
30分後……
なんとか、混乱の嵐から抜け出したセフィリアは
顔が赤いのは変わらないが、なんとか冷静さを取り戻し
(冷静に、冷静に……)
と、心の中で言いながら、話を続けた……
いや、この場合、再開した……のほうが正しいだろう……
「お、お待たせしました、では、話を続けますね?」
と、30分も待たせたことに気づかず
(セフィリアの頭の中では、数十秒程度という
認識だった……)
真剣に、どこかまぬけというか……なにはともあれ
話しを再開した……
それに対し横島は……
(……ルシオラ……お前が伝えたこと……
全部話して……もらえるのかな?)
と、柄にも無く考えていたりした……
「で、では、続きを……
あ、あと、話は、このままでいきます、
できれば、そうして欲しいとルシオラさんからも、
頼まれていたので………では……いきます…」
そこで一区切り付け
「でも、でもね……横島、あなたはあなたなのよ?
あなたは、誰かのためのあなたじゃないの……
ううん、もしあなたが、それを望むなら……それは、
とてもすばらしい事だと、そう思うわ……
でも、でも、あなたが、ずべてに対してそう思い、
その全てを背負おうとするのは……違う……
それは、違うわ………
それは、つらく悲しい事……そして、傲慢よ……」
そこまで一気に言い終え、一区切りをつけ
目を開けようとしたが、セフィリアは思いとどまった
なぜなら……
(い、今ここであけたら……また、混乱してしまうかも)
と言う考えが頭に浮かんだからだ……
そう思い、目を閉じたまま、一息つくと、
話の続きを、話し始めた……
「あなたが、あなた一人が例え、百人いえ、
千人救えたとしても、それはあなたの傲慢よ……
だって、そうでしょう?それで一番傷つくのは誰?
考えた事、ある?私は、中からあなたを見ていた
私には解るわ……一番傷つくのはあなた……
横島なのよ!?
あなたは、あなたは自分の事を犠牲にして救おうとする!
自分の、自分のことも大事にできないで
人を救う?世界を救う?そんな馬鹿な事していいと思ってるの!?
違うでしょう!そんなのは、そんなのは間違ってる!
そう思ったのはあなたでしょう!?
私が、あなたの中に眠った時、誰かを犠牲にして
成り立つものの悲しさを一番知ったのはあなたでしょう!?
それなのに、あなたは自分を犠牲にするの!?
それが、本当に正しいと思うの!?」
そこまでを聞き、横島はショックを隠せなかった……
自分のことを、ルシオラが中から見ていた
と言う事もだが……
なによりも、ルシオラが伝えようとした言葉に……
「私は……本当はね?
横島が……私が消えて悲しんでくれた時
うれしかった……でも、でもね、それ以上に
つらかった……残してしまった、あなたのつらさを、
あなたの中で、感じる事ができたから……
あなたの悲しみを、感じる事ができたから……
だから、あなたには解るでしょう!
残されたものの悲しみが……」
そう、セフィリアが言い終えた時……
横島がポツリと呟いた……
「でも、でもな、ルシオラ
俺が消えても、悲しむ奴なんているのかな?
だって、俺は……」
そこまでいい、自分が、話を中断させている事に気づいた……
「あ、すんません……その、続きを
お願いします……」
そう、呟いた……
セフィリアは、何も答えず
ただ、口を開き、話の続きを語りだした……
「……あなたは、この話をセフィリアさんから聞いた時
きっと、あのときのことを思い出すんでしょうね……」
そう、セフィリアが言うと、横島はっはっとしたように
顔をあげてセフィリアを見た……
「あなたは、人一倍優しい馬鹿だから……
どんなことも、自分で背負おうとして、
きっと、私を助けに来てくれた、あの時起こった事も
自分の責任だとか思ってるんじゃないの?
でも、それは違うって、さっき言ったわよね?
それに……あなたには、ほかにも、大切な人たちが
いるでしょう?……その人たちをあなたが大切に思っているように
きっと、その人たちも、あなたを大切に思っているわ……
だから、だから横島……
お願いよ……
何かを犠牲に成り立つ事は悲しみでしかない……
だから、自分を犠牲にしないで……
そして、あなたは、自由に……
あなたの思うままに……生きてね……
私は、そんな横島が好きだから……
大好きだから……」
一気に言い終え……セフィリアは……
深く息を吐き……
言った………
「……以上が彼女からあなたに伝えるよう
言われたことです……」
横島はそれを黙って聞き……
やがて、口を開き……
「……ルシオラ……
お前、嘘つき過ぎだろう?
だって……だってさ……
犠牲をださないようにって………
じゃあ、俺は、今俺がこうしていられるのは……
誰のおかげなんだよ……
お前の、魂を俺が感じる事ができないのは……
なんでなんだよ………
ちくしょう、ちくしょう、ちくしょおぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」
その叫びに答えるはずの本人は……
もう、この世界には存在していない……
続く……
どうも、狼虎です
今回は、ルシオラが横島に伝えた事を
書いてみましたが……
なにぶん、自分が文章力ないので、
うまく洗わせられない部分もちらほらと……
あと、セフィリアがルシオラになりきって
熱弁していますが……
そこも、まあ、話的に……
こう書きたかったんです!
お願いします……orz
では、ご意見、ご感想、よろしくお願いします!!
BACK<