レストラン『魔法料理 魔鈴』。
給料日10日前にして残金が50円を切ってしまい、今や絶食3日目に入った横島は、ここで久方振りに栄養を補給していた。
お手頃価格なコースメニューを頼み、ライスだけを何度もお代わりして摂取カロリーを懸命に増やしている。
あまりといえばあまりの食べっぷりに、流石にめぐみも苦笑する。
「はがっ!はごごっ!んががががががががっ!!」
「…ふふ、そこまで喜んで召し上がってくださるなんて、なんだか光栄ですね。
事前に来る事を知らせてもらえれば、もっと精力のつく料理をお出ししたのだけれど…」
「ふぉんがごごがいっぐぎょ!ごげごぐうぐんぐがぎっぐ!」
(日本語訳)『そんなことないっすよ!これも充分うまいっす!』
食べ物を口に含ませながら喋ったため、テーブル中に横島の食べカスが散らばる。
めぐみは『あらあら』と微笑んでいるだけだったが、流石にこれには黒猫が閉口した。
「あーもー汚ねぇニャあ!これだからテーブルマナーも碌に知らない糞餓鬼は困るニャ!
ここは本来、てめぇみたいなド貧民が来るような所じゃないのニャ!
貧乏人は貧乏人らしく、どこぞの貧民街で定食屋の裏でも漁って大将にしこたま殴られてろニャ!」
「あらあら、口汚い黒猫さんね♪小鳥さんの檻の中でいい夢見たいのかしら?」
「ニ゛ャ〜!」
ひょいっと使い魔の黒猫の首筋を掴み、どこかに連行していくめぐみ。
横島は特に気に留めず、ただただ目の前のエサを貪るのに余念がなかった。
…ちなみに、めぐみの言う『小鳥さん』とは、小鳥どころか鳥類の部類に括っていいのか定かでない生物だ。名をスカベリンジャーと言う。
彼のエサは主に腐肉なのだが…実は生肉も好物だったりする。
「ま、魔鈴ちゃん!後生ニャ!勘弁してニャー!
あそこは嫌なのニャ!今は亡き同胞たちの怨嗟の悲鳴が耳をつんざくのニャ!
な、なんでもするのニャっ!なんでもするから、あそこだけは嫌なのニャー!」
「んー……でも、ネコってお料理に使えないのよねぇ」
サラリと残酷表現。
ホントにマズイらしいですよ?
「しかも、三味線屋に知り合いもいないし…」
「ご、極悪ニャっ!黒魔鈴降臨ッ!?
…か、かくなる上は、動物虐待で訴えるニャよ!?こりゃもう勝利は確定ニャー!」
「あら、困ったわ。……でも、被害者を口封じすれば済む話よね♪」
「ぼ、墓穴掘ったーッ!」
最早、キャラを捨て去るまでに追い詰められた黒猫。
対するめぐみは、にこりと笑って黒猫を掴んでいた手を離した。
助かったニャ!?と一瞬思った黒猫であったが、めぐみが胸で十字を切っているのを見て思いとどまる。
スローモーションのように感じられる時間の中、黒猫は反射的に下を振り向いた。
『ぐけけけけけけーーーっっ!!!』
「やっぱりっすかーーーッッ!?」
ぱっくん。
「…さて、と。また新しい猫探さなきゃ……」
不穏当な発言をしつつ、めぐみは横島が待つレストランへと戻った。
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めぐみが帰って来ると、横島は出された料理を完食して腹を撫でさすっている所だった。
非常に満足気な横島の様子に目を細める。
「はーっ!食った食ったぁ!」
横島にとって、実に3日振りの固形物。
めぐみの厚意に頼りきりなのは男としてアレだが、背に腹は代えられない。
なんせ、事実上一文無しだったのだ。給料日まであと1週間、いくら横島でも死ねる。
頼れる知り合いはもう頼った後だったので、残る頼みの綱はめぐみだけだったのだ。
…しかし、いくらレストランを経営しているからといって、流石にタダ飯を恵んでもらうのは少し気が引け……
「それじゃ横島さん、お会計の方を…」
「……え゛!?」
にこりと眩しい笑顔で伝票を差し出すめぐみ。
横島は暫く固まった後、乾いた笑い声を立てた。
「…は、はははは!驚かせないでくださいよー!魔鈴さんてば、冗談がうまいんだからもうっ!」
「? 冗談を言ったつもりはありませんけど…」
「…………………」
まじまじとめぐみの顔を見詰める。
…確かに、本気の目だ。年下の男の子をからかうお姉さんの目ではない。
横島は、ふとレストランを訪れた際の会話を思い出した。
「ちわーっす!魔鈴さん、メシ食べさせてもらってもいいっすかね?」
「ええ、どうぞ」
「うわ、マジでいいんすか!?魔鈴さんは優しいなぁー!」
「…? うふふ」
―――以上、回想終わり。
「……しまったぁぁぁ!誰も奢ってくれるなんて言ってねぇぇぇぇ!!」
頭を抱えてその場にうずくまる横島。
「よ、横島さん?どうかなされたんですか?」
「じ…実は………」
横島は、おっかなびっくり事情を話した。
「…なるほど。つまり、お金を持っていないのに、2980円のディナーコースを頼んでしまったわけですね?」
「は、はい…。スンマセン……」
横島にとっては幸いな事に、めぐみが怒り出すような事態にはならなかった。
どちらかと言うと、呆れているようだ。困ったように頬に手を当て、出来の悪い弟を見るような目で横島を眺めている。
「…困りましたね……。まさか、ないものねだりをするわけにもいかないし…」
「う、うぅぅ……そ、そうだ!このお代はボクの体でーーーーーーッッ!!」
その場の空気にいたたまれなくなり、捨て身のギャグ(ル○ンダイブ)をかます横島。
しかし、めぐみはそれに動じるでもなく、ぽんと掌を叩いた。
「そうですね。それでいきましょう」
「……ぅええっ!?」
相手はあのめぐみの事、あっさり受け流されるのは覚悟していたが……まさか、受け入れられるとは!
嬉しいとかそんな事を思う前に、ただ驚くだけの横島だった。
「…って、常識的に考えて、皿洗いとかフロアの掃除とかっすよね?
いやー、俺ってばイケナイ方向に勘違いしちゃったっすよーはははー!」
横島は下衆な勘繰りを恥じつつ、いそいそと脱いだ服を集め始める。
めぐみは、やんわりと制止した。
「いえ、そのままの格好でいいです。
とりあえず……そうですね、他のお客様もいない事だし、今日はこれで営業は終わりにします。
それじゃあ、後の話は私の家でしましょうか」
パンツ一丁の横島に背を向け、自宅がある異空間への扉を開けるめぐみ。
しばらく呆然としていた横島だったが、めぐみに急かされ、ぼんやりしたまま扉をくぐった。
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「あの……それで、俺は何を……?」
下着姿のまま、横島は問うた。
ここは魔女の自宅、その地下室。妖しげな器具類が所狭しと並べられている。
『俺、モルモットっすか!?』と戦々恐々な横島なのであった。
「そうですね……とりあえず、ペニスを勃起させてください」
「……はぁ!?」
この人、今なんて言ったんだ!?
確か、『チンポでかくしろ』的なことを言われた気がするが……
常日頃から抱いている妄想が、魔鈴さんの言葉をエライ方向に歪めたのかもしれない。てか多分そうだろう。
そう決めて、横島はもう一度問いただした。
「ま、魔鈴さん、今なんて言いました?テニスを発起させてください?」
「ペニスを勃起させてください、と。
分かりやすく言うなら、おちんちんを大きくしてください」
「誤解のしようがないように言いやがった!
つーかなんですか!?誘ってるんですか!?若いツバメがご所望ですかっ!?」
「いえ、精液が欲しいだけですから」
「せ、せーえきっすか!男汁マニア?略して汁マニ?
それならそうと早く言ってくれれば良かったのにッ!俺ってば、毎日牛乳ビン1本分は生搾ってましたよ!?
今なら伝説の精液風呂さえ作れそうっす!さあさ、思う存分俺汁パックでもなんでもカマーン!」
男に残された最後の砦、柄パンまで脱ぎ捨て、横島はギンギンになったウタマロを解放した!
パンツから脱ぐ際の反動でナニがビタン!と腹を叩く。その角度、実に90度。若い。
まあ…とめぐみは嬉しそうに微笑んだ。
「協力的で助かります。
それでは道具を出すので、少しの間待っててくださいね」
「き、器具プレイっすかぁ!なーんて高度なッ!
恥ずかしながら、俺ってばサクランボ出荷前なもんで……や、やさしくしてね?」
いやん!と身をよじる横島。正直キモイ。
めぐみは何らリアクションを返さず、器具を用意しながら説明を始めた。
「実は、今度の実験にどうしても精液は必要でして……
それも、出来るだけ霊力が高いもので、量も求められたものですから…
どうしようかと困っている所に、横島さんが。
本当に、助かります。最近、西条先輩の出が悪くなってきたものだから、どうしようかと…」
「さ、西条ッ!?ま、魔鈴さん、ヤツとねんごろな関係だったんすか!?
となると、ヤツと俺は穴兄弟!?……い、いやだーーーっ!!間接チンポはいやだーーーッッ!!」
「もう……変な勘ぐりしないで下さい!西条先輩は、単なる精子提供者です!」
「せ、精子バンクみたいな言い方っすねー…」
「実際に変わりないですよ。私が採取するわけではないですし」
「…え!?そ、それって……」
「はい、これでヌいてくださいね。出した精子はこの容器の中に…」
ぽん、と横島にえちぃ本(洋モノ無修正)とそれっぽいケースを手渡すめぐみ。
「……………」
どーせこんなこったろーと思ったよチクショー!
…といつものリアクションを返したい横島だったが……ここで、ある事に気がついた。
(魔鈴さん、俺の見て動じてないし……実は結構ヤリマンなのか?
俺、童貞だし……頼んだらヤらせてくれないかな……?)
じっとめぐみを観察する。
普段、体型の判りにくい魔女ルックなんて着ているが、改めて見るといいカラダをしている。
服の上から見ただけでもそうなのだ、実は脱ぐと結構凄いのかもしれない。
それに、自分の勃起ペニスを見ても顔を赤らめすらしない。
よほど見慣れているのか、或いは男の体に興味が無いのか……
(……よし。ダメモトで頼んでみっか)
横島は決意を固めた。
差し出されたエロ本をそっと床に置き、代わりにめぐみの手を取る。
「魔鈴さん……こんな味気ない本じゃなく、俺、魔鈴さんにヌいて欲しいんです!」
「え……」
先程までとは打って変わって真摯な瞳。
…全裸でそんなキラキラした目をしても、むしろ不気味なだけなのだが…
しかも、言ってる事が真摯とは程遠い。己の欲望丸出しだ。
「…困ったわね」
「お願いしますッ!是非とも!是非とも童貞小僧にご慈悲をーッ!!」
「うーん……」
「さ、先っぽ!先っぽだけでいいから!ねっ!?」
「それが一番信用できないんですけど…」
「そ、そいじゃあ手で!手コキで我慢しますからぁっ!」
「………まあ、それなら」
渋々承諾するめぐみ。
なんとなく信用できないような気もするが、このままでは話が延長線を辿ってしまいそうだった。
「ぃよっしゃぁぁぁぁぁぁ!!」
涙を流しながらガッツポーズする横島。相当嬉しかったらしい。
一通り喜び終えると、さっそく股間の暴れん棒をくいっと前に突き出した。
「んじゃ、頼んます!」
「……それじゃ、いきます」
そっ……とめぐみは横島のペニスを握った。
掌に灼熱を感じる。剛直は歓喜したようにめぐみの手の中で脈打っていた。
「うっ……!」
握られただけで快感を感じ、横島は思わず腰を引きそうになった。
…情けないが、仕方が無い。自分以外の人間、それも美女にナニを握られているのだ。
今までの寂しいマスターベーションとは比べようもなく気持ちが良かった。
「動かしますね」
しゅっしゅっ…とめぐみがペニスをしごく。
脳内に閃光が奔ったような快楽を覚え、横島は目を見開いた。
「うっ……うわ!うあぁ………あぁっ!?」
「きゃっ!?」
びゅくっびゅくっびゅくっびゅくっ……!
僅か三擦り半で横島は果ててしまった。
勢い良く飛び出したゲル状の精液がめぐみを汚す。
めぐみの服の前は横島の汁でベトベトになり、恐ろしい事に顔や被った帽子にまで液は付着している。
閉め切った地下室内が精液独特の生臭い香りに包まれる。めぐみは思わず咽返りそうになりながらも、飛び散った精液を懸命に集めた。
「もう、イく前にはそう言ってもらわないと困ります!こっちにだって、準備と言うものが…
…でも、それにしても横島さんの精液は素晴らしいですね。とても若くて……濃ゆい」
粘ついた精液を指に絡め、めぐみは艶っぽく微笑んだ。
普段知り合いの年上の女性が、自分の精液を手にとって嬉しそうに笑っている……その事実が横島を興奮させる。
「……あら、もう元気に……ふふ、本当に若いのね」
「あ…」
今さっき果てたばかりだと言うのに、横島のペニスは立派に天にそびえている。
煩悩少年の横島とて、ここまで早いリカバリーは未だかつて経験した事がなかった。
「これなら、もしかしたら必要な分、全部集められるかも……。お姉さん、頑張っちゃおうかな?うふふっ」
そう言って、めぐみは身につけたコルセットの胸の部分の紐を解き始めた。
誘うような目つきで横島を見やり、実にもどかしいスピードで紐を解いてゆく。
「……ごくっ」
横島の唾を飲み込む音がはっきりと聞こえる。
めぐみもこのシチュエーションに興奮してきたのか、若干頬が赤い。
…ほどなくして、ポロリとめぐみの双丘が外気に触れた。
きつく締め上げていたコルセットから解放された反動で、ぷるんと胸が揺れる。
めぐみの胸は横島が予想していたよりも大きく、小さい乳首はピンク色をしていた。
始めて間近で見る生の女性の胸に、横島の思考はバーストした。
「ま、魔鈴さんッ!んぐっ!むぐぐっ!」
「あ、ああんっ!?ちょ、そんな乱暴な……あふっ!」
無我夢中でめぐみの胸に飛び込み、片方の乳首に赤ん坊のようにむしゃぶりつきながら、もう片方は手で捏ねくり回す。
汗をかいていたのか、めぐみの乳首は少ししょっぱかった。女の体臭が横島の鼻をくすぐる。これには余計に興奮した。
初めて体験する女の乳は柔らかかった。横島の手の中で乳は自在に形を変え、常に横島の手に心地好い感触を伝える。
「あ、あん……いっ……ふあっ」
舌で乳輪の周りを焦らすように舐め回し、時折乳首に舌をやっては、舐めたり押し込んだり引っ張ったり。
時に乱暴に時に優しく乳全体を揉みながら、指は乳首を弄くったり弄くらなかったり弾いたり抓ったり捻ったり。
童貞のくせに、やけに堂に入ったテクニックだった。
これも普段のセクハラの賜物か、あるいは父親譲りの才能か。
何にせよ、感度が良いのか、めぐみもそれなりに感じているようだった。
「ん……」
めぐみも反撃しようとするが……生憎ながら、横島が前傾姿勢になっているため、ペニスに手が届かない。
どうしようかと悩んだ挙句……めぐみは、器用に編み上げブーツを足を使って脱ぎだした。
「……?」
自分の体の下でごそごそやられているのも気になるが、横島の進撃は止まらない。
乳への口撃はひとまず置いておいて、今度は首筋に顔をうずめる。
めぐみの細い首に何度も吸い付くようなキスをし、たまには耳たぶなんかも甘噛み。
耳から顎にかけてのラインを舌でなぞったりもする。
腰砕けになりそうなめぐみだったものの、何とかブーツを脱ぐ事に成功した。さあ、反撃はここからだ!
「………ひゃっ!?」
横島が進攻を止める。
己のペニスを、何か冷た暖かいものが包んでいるのだ。
恐る恐る局部を覗いてみると……なんと、めぐみが足の裏で横島のナニを挟み込んでいた。
「ふふ……横島さんのチンポ、足で触っても熱いですね……素敵」
「ま、魔鈴さ……ンなマニアックな……!」
「でも、好きなんでしょう?」
「……超好きっす。足コキ・ラブっす」
「素直でよろしい♪」
言って、ぐりぐりと横島を圧迫する。
その感触と、あの魔鈴さんが足コキをしてくれている…!と言う感動に、横島はあっという間に昇り詰めた。
もう我慢できなくなり、うっと呻いてめぐみの胸に顔をうずめる。
「ま……りん、さ………俺、も、ダメ………!」
「あら?横島さん、私の足でイっちゃうんですか?
足でもいいなんて……ふふ、見境なしのチンポですね。ちょっと見っともないですよ?」
「も、なんでもい……!あっく……あ、ぅぅあッ!!」
びゅびゅびゅびゅびゅっ!
横島の精液は、めぐみのスカートを盛大に汚した。
「あらあら、こんなに汚しちゃって……スカート、もう履けませんね」
…ストン。
めぐみは何の躊躇いもなく、スカートを脱ぎ捨てた。
いや、めぐみの着ている服は上下で一体となっているため、帽子を残して衣服を全て脱いだ事になる。
大きめの乳房は外気に晒され、下半身は、妖艶な黒のショーツとガーターベルト、同じく黒のストッキングだけがめぐみの柔肌を隠す。
しかしこの場合、健全な青少年から2キロほどブッちぎった煩悩を持つ横島にとって、逆効果に過ぎない。
黒ッすよ!しかも、ガーターベルト付きッすよ!うほほーい♪
…といった感じで、鼻の下が地面に届きそうな勢いで興奮している。勿論、先程果てたばかりのナニもギンギン、臨戦態勢だ。
「ま、魔鈴さん…!お、俺もー、辛抱タマランっすーーーっ!!」
がばあっ!とめぐみの肢体に飛びつく横島。
しかしめぐみは、軽くウィンクして押し止めた。
「焦っちゃダメ。過程を楽しまなくちゃ……ね?」
「んむ……っ!?」
艶やかに微笑み、横島にくちづける。
最初は軽く唇を合わせ、一度離し、また合わせての繰り返し。
「ま、魔鈴さ……むっ」
焦らさないで下さいよ、という言葉は、唇ごと塞がれた。
「んっ……」
そして、またキス。
今度は、一度唇を離した後、軽く唇を舐める。
「んむ……は……ぺちゃ……」
「んん……む……(すげ…舌がウネウネしてる…)」
めぐみのリードに応えようと、横島も舌を突き出す。
「「はむ……んちゅ……くちゅ……」」
中空で二人の舌が交わり、淫猥に絡み合う。
初めて味わう舌での交歓に、横島の頭は真っ白になった。めぐみの舌の感触以外、何も感じられない。
「横島さん………んっ」
「っ!?」
そして、めぐみは強引に唇を押し付けた。
直後、横島の口内に、柔らかく、自在に動く肉……めぐみの舌が侵入する。
「「ぺちゃ……」」
口腔に、淫らな水音が立つ。
横島は、そのまま、めぐみの口腔を蹂躙しようと舌を動かそうとして……固まった。
「あ……り………?」
「…はい、ここまでで結構です。必要な精液は全て採集しましたし……お疲れ様でした♪」
すっくとめぐみは立ち上がり、そこらの棚から着替えを取り出し、いそいそと身に付け始める。
そんな殺生な!と慌てて身を起こそうとする横島であったが……何故か、体に力が入らない。
「シビレ…るぅぅ……!?」
「あ、大丈夫ですよ?その痺れ薬、後遺症とかは残りませんから。
…それじゃ、私はこれから、横島さんから戴いた精液を使って実験しますので……さようなら♪」
「え……?」
ばったん、と扉を閉める音が地下室に響く。めぐみは出て行ってしまった。
どうやら先程のでぃーぷなキッスは、横島に痺れ薬を飲ませる為のものだったらしい。
俺、どうすれば…?と困惑している横島、『ぶぅん…』と、何やら怪しげな音が耳に入る。
「…な………んか、やぁ……なよ…かん……」
なんかヤな予感。
横島がそう口に出したのをきっかけに、床に描かれた魔法陣が発光した。
つまり、転移魔法陣が発動したのである。
「……………うそーん」
その言葉を最後に、横島は地下室から忽然と姿を消した。
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…どがしゃあっ!!
派手な音を立て、横島は顔面から着地した。
まだ痺れ薬の効果がバリバリ切れてないため、ロクにリアクションを取る事さえままならない。
「い……て………」
薬と痛みに朦朧とする横島。
なんとか辺りを見回すと……流石は魔女と言うべきか、きちんと横島の部屋に戻っていた。
股間丸出しどころか、現在進行中で勃起中&全裸なため、路上放置されなかっただけでも儲けモノだが…
(くそー………あと一歩でオトナの仲間入りだったのに……)
実に惜しい所だった。
今日だけで飛躍的に経験値を積めたが、肝心な所は目にする事さえ叶わなかった。
(今度こそ…!今度こそ、最後の最後までヤってやるっ!)
きりっ!と表情を正し、リベンジを誓う横島なのであった。
がちゃっ!
「あの、横島さん、小鳩です。ちょっと煮物を作りすぎたので、おすそ分け……を……」
「あ゛」