突然マッチョマン……もとい、突然デムパを受信しました。
マジで突然です。1時間ほどで書き上げました。
久し振りの投稿がこんなのでスイマセン…
それでは。
ある日の美神除霊事務所。
横島も交えた夕食の後、事務所の面々はそれぞれに寛いでいる。
横島が唐突に切り出したのは、そんな時だった。
「あ、そうだ美神さん。ちょっと俺、重大な発表があるんすけど」
「はあ?何よいきなり?」
『重大な発表』と自ら言って置きながらも、横島に深刻な様子は無い。
しかし、皆は何事かと横島の動向に注目した。
「実は俺………」
「「「「じ、実は……?」」」」
やけにもったいぶらせる。
ひょっとして、『いやー、ちょいと○○を孕ませちゃいましたーあははー』なんて言うんじゃ…と、よからぬ想像がめいめいの頭を巡る。
○○の部分にはお好きな名前を入れて下さい。
「実は俺………ウソツキ族だったんですっ!!」
「「「「な、なんだってーーーーーー!?」」」」
「って、ついつい某MMR調なリアクションしちゃったけど、そのウソツキ族ってなんなのよ?論理パズル?」
「や、エアーズアドベンチャーの方です。ウソですけど」
「えーと、ウソツキ族って、確か論理ぱずるとかによく登場する、ウソしか言えない人のことですよね?
えあーずあどべんちゃーというのは……まあ、平たく言うと『悲しめ!』な今は亡きSSのげえむのことです」
さりげなく(?)間に入るおキヌ。
何が起こっているのかまだ理解出来ていない。
「せ、せんせぇ、そんな難儀な生まれだったのでござるか!大変でござるなぁ…!」
すっかり信じきってるシロ。
対照的に、タマモは何言ってんだコイツ、的に鼻をフンと鳴らした。
「なに信じちゃってるのよ。そんなの、ウソに決まってるじゃない。まったく、これだからバカ犬は…」
「な、なにをぅっ!貴様クソ狐、先生がウソを言ってるとでも!?」
「本人が言ってるじゃない。ウソしか言えないって」
「あれ?確かに…。でも、それじゃ……あれ?いったい、どういうことでござるか…!?
えっと、せんせぇはウソしか言えなくて、でも、それを自分から言い出したって事はそれもウソで…
しかし、それではウソツキ族って言ったのがそもそものウソで……あ、あれぇっ!?」
目をぐるぐる回し、頭からぷすぷす煙を出してテンパるシロ。
タマモは、腹を抱えて大爆笑している。
「……アンタね、悪ふざけもいい加減にしなさい。殴るわよ?」
「ま、まあまあ美神さん、落ち着いて…!横島さんも、何か考えがあって言ったんでしょう?」
拳を固める美神を、どうどうとおキヌがなだめる。
横島は、異様なほどに落ち着いた表情で言った。
「実は俺、3週間ほど前から、美術の暮井センセとデキてます。ドッペルも一緒に、毎夜上へ下への大騒ぎっす」
「「「「……は、はあぁっっ!!?」」」」
突然の爆弾発言。
「ちょ、アンタ、一体、どういう……っ!?」
「う、ウソだと言ってください横島さん!こんなの、ウソだと決まってます!
だって横島さん言ってくれたじゃないですか!君のこと愛してるって!半年ぐらい前から、ずっと夢の中でっ!!
…ふ、ふふ、そうですよ。横島さんはわたしを愛してるんです!あんな一話限りのキャラに懸想するはずありませんっ!
さてはあなた……ニセモノですね!?わたしの横島さんをどこに隠したんです!?さあ、言いなさいっ!!」
「せ、せんせぇを殺して拙者も死ぬぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅっっ!!!」
「………………………」
神通棍を起動させる美神。
懐からシメサバ丸を抜くおキヌ。
今までにない高出力の霊波刀を構えるシロ。
ゼッ○ン顔負けの火球を創り出すタマモ。
ゼロコンマ2秒で死ねそうな大盤振る舞いだが、横島は何故か落ち着き払っていた。
「いや、ウソなんですけどね」
「「「「…………………」」」」
ふしゅるるる……と、一同のテンションは一気に萎えた。
美神は、出した神通棍で軽く横島の頭を叩いた。
「タチの悪いウソつくんじゃないわよっ!ったく……!」
思いッきり動揺してしまっていた自分を恥じる。
赤くなってしまった頬を隠すように、美神は横島に背を向ける。
どうやら、折檻はまたの機会に持ち越されたようだ。
「実は、デキてたのはタマモの方です。つっても、先日キスを済ませた程度ですけど」
「「「……ほわっつ!!?」」」
「な、ヨコシマ、なにを……!?」
またもヒートアップする一同。
タマモは、急な事態に、頬を赤らめてあたふたするしかなかった。
「あ、アンタってばロリーな人種だったのっ!?
……くッ!この胸が仇となったか……………ッ!!」
「う、ウソですっ!!あなた誰ですかっ!?
わたしは横島さんを愛してます!常に横島さんを(尾行とか監視カメラとかで)見守ってます!
ゴミの分別だって(勝手に)してるし、横島さんが使ったてぃっしゅとかも集めて愛でてます!
わたしは、わたしはこんなにも横島さんを愛してるんです!それなのに、横島さんがわたしを愛してくれないはずがありませんッ!
わたしたちは結ばれてるんです!精神的にッ!強い絆でッ!横島さんたら照れ屋だから、なかなか告白してくれませんけど!
それも時間の問題なんです!だって、わたしたちは約束された絆なんです!絶対運命黙示録ですッ!!
だから、ホンモノの横島さんがそんなこというわけがないです!!ぜったいぜったいニセモノですッ!!
……ふ、ふふウうふうふううフふううウフフふふフふふ……そうですよ……わたしたちは結ばれ……絶対…運命……前世……」
「………クケェェェェェェェェェェェェェェッッ!!!!」
うずくまり、真っ白に燃え尽きる美神。
この胸めっ!この胸めっ!と、泣きながら自分の胸にぐーぱんちしている。
おキヌはというと……完ッ全にテンパっていた。
そのまま外に出歩けば、まず間違いなく通報されるであろうというような目。
シメサバ丸で床をガッツンガッツン突き刺しては抉っている。怖い。
シロに至っては………自我を失い、野生に帰っている。
タマモは、ただ顔を真っ赤にして呆けていた。
そんな阿鼻叫喚な中で、横島はさらりと切り出した。
「まあ、それもウソな訳ですが」
「「「……………」」」
もはや無言でそれぞれのエモノを抱える。
その日、横島は10回死んだ。
ウソには気をつけようとか、そういう話。
「…ったく、なにが『ちゃんとみんなに言う』よ。全然言えてないじゃない」
「しょうがないだろよ。なんか、普通に殺されそうな勢いだったし」
「…こんなんじゃ、いつまでたっても公表できなさそうね」
「んー……事務所のみんなには知ってて欲しいけど……まあ、いいんじゃないか?
公に出来ない仲でも、俺がお前のことが好きなんだって事は確かなんだし……お前も、そうだろ?」
「ば……ばか。突然なに言うのよ……」
「……可愛いぞ。なあ、今夜こそ、キスの続きしないか?」
「え…っ?そ、んな急に……えと……その……」
「……ダメか?」
「………ばかね、そんなわけないじゃない…」
「…………タマモ」
「ヨコシマ…………」
「「ん………」」」
――――真実は、意外な所に隠されている。