▽レス始▼レス末
!警告!バイオレンス有り
「パパが来た。(GS)」トンプソン (2004.09.26 21:56)
その子供の面影を我々は知っている。
夕暮れ時の山中で逃げるようにして戦っている。
だが、着衣がおかしい。あきらかに大きすぎるシャツを羽織っている。
全身が隠れるほどの。
靴は履いてないようだ。
大きな鳥が羽ばたいた音にびっくりしたその子供。
運動で出た汗を手で拭った。子供が一息と、木の陰に隠れた。
「くっ!バイパーが生き残っていただなんて」
だが。
その身を任せた木の梢から。
『丸見えだキー!バンパイアの坊や!』
うわっと驚きの声をあげて再度失踪を始めた。
その上ではバイパーの手先たる鼠がケタケタ笑っている。

美神令子の仕事を手伝う形で参加している唐巣神父とピートであった。
最初はどんな悪鬼が跋扈しているかはわからなかった。
この場所で最近見慣れない子供が発見された。
同時期大人が消えていくという
怪事件を調べているさなかであった。
事務所に使っているさるホテルの一室にはイライラした神父の姿。
「落ちついたらどうなの?神父」
「僕は落ち着いて・・いやそうだな。少しイライラしているよ」
何度もやっている眼鏡のかけはずしを一旦止めて近くの椅子に座った。
「大丈夫よ、ピートはバンパイアハーフだし」
そう言いながらベッドルームを見やると。
人間の赤ん坊が二人、狼と狐の赤ちゃんとが一匹いる。
男の子は狼の赤ちゃんの尻尾をなでていれば、
女の子は狐の赤ちゃんのお腹でお昼寝している。
「あーなってなかったしね」
ため息を付いた美神である。
「僕らのミスですね。彼らの勉強になるかと思ったのですが」
「いまさら言ってもしょうがないわよ、神父」
そうですね、といいながら眼鏡のガラスを拭き始めた。

「どうしよう、道に迷っちゃったし、敵はまだいっぱいいるし」
今度は川べりではぁはぁと呼吸をしているピートである。
当然子供状態でだ。
幸い彼が吸血鬼の一族なのでそこいらの花で食料は得ている。
季節も寒いとまではいえないので、その辺は大丈夫。
「・・鼠さんまた来た」
敵を察知する能力も動物並みだ。
泣いていてもしょうがないと近くの石を手にとって精神を集中する。
「そこあっ!あそこにいる!」
渾身の力を入れて投げるが。
『無駄だチュ〜♪』
簡単に草陰に隠れていた鼠は尻尾ではじき返した。
「あうぅ」
二投目と石を掴む子供ピート。
『だから無駄だといってるでチュ〜♪力がぜーんぜん足りないでチュ〜♪』
それにスピードも子供並みだとケタケタ笑って。
げっ歯類独特の走法でピートに近づいてくる。
「く、来るなぁ!」
なんとか石を当てようと投げつけるが、俊敏によけて。
『いただきまチュ〜♪』
ピートの耳に食らえ付いてきた。
「いっ、痛いよぉ!」
鋭い歯ががっちりと顔の横にあり、両手で剥ぎ取ろうとするが。
『チューチュー♪』
人肉と共に血まで吸われ始めているようだ。
「と、取れないよぉ、痛いよぉ!」
その激痛に耐えかねて転がりまわり始めた。
これが幸いした。旨い具合に大きな石に頭を打ちつける形にあったとき。
『ち、チギー!』
鼠は背中から攻撃されたと等しい状態で、
うっすらと血がにじみ出たかと思ったら、小さな血の噴水状態になっている。
内臓まで衝撃が達したのか、口から気持ちの割る臓物が吐き出された。
「や、やったぁ・・」
だが、噛み付かれた耳は決して小さくない穴があいている。
流血もとまらないで、顔の横から首にまで赤い流れを作っている。
「と、止めなくちゃ」
シャツの一部を破いて耳に当てた。
とにかく里に下りなくては、そう思って立ち上がったのだが。
『どこに行くの?私の子供を殺しておいて!ケーケケ』
突然現れた敵の首領、バイパーが姿を現した。
その姿は初めてでない。
だからこそだ。かつて辛酸を舐めた相手で、今回は更に不利だ。
しりもちをついたピートが蒼い顔であとづさりを始めた。
それを見たバイパーがにやりと笑い、
浮いている足を使っておもいきり顔面に蹴りを見せた。
子供のピートはかなりの勢いで川の一番深いところに飛ばされていった。
月が浮かび始めていた。


「行きましょう、神父、ピートを探しに」
痺れを切らして美神令子が立ち上がった。
「・・・。今は駄目です、令子君」
「何故ですか?神父」
一応笑顔を作っているつもりであろうが、
「そんな怖い顔をしてどうしようというのです?」
「な?」
「今の令子君は子供にされ我を忘れてる」
「どうしてそんなことが言えるの?」
「・・・。足元、どうしたらハイヒールとスリッパで探索するのですか?」
恐る恐る足元を見ると。
片足は無理して爪先立ちであった。
「冷静でない我々が言っても、付けいれられるだけだ。落ち着いてから行きましょう」
それは論理的にあっている。だがこれが、美神令子も女だ。
「そういうことじゃないでしょ!神父、あなたピートがどうなってもいいの?」
だが、そこは冷静を重んじる唐巣神父。
「もう一度言おう、まだ時間じゃない」
すっと立ち上がり令子の目の前で静かにいった。
「わ、判った」
大人しく美神令子が近くのベットに腰をかけた。
静かではあったが、迫力があったようだ。
その時、部屋の電話が鳴る。
電話をとった唐巣神父。
最初はホテルの人間が出て話を聞く。
そして接続の時間が少し出来ている。
「誰からの電話ですか?」
「イタリアからだそうです、令子君」
間違いかと美神令子は思ったが。
数分話し込んで神父は電話を終えた。
「令子君。現場付近に人間を入れるなだそうです」
「へ?」
目が点になっていた。


このままだと水に濡れちゃうな、なんとかしないと。
痛みで意識の飛びそうな子供のピートが力を出そうとするが、無駄な試みのようだ。
霧にもなれなさそうだし、蝙蝠の翼も出せない。
あきらめたその時、体全体が何者かに包み込まれた感触。
「あ・・あれ?」
どこか懐かしい感触。
「久しぶりに見るが小さくなってないか?ピート」
自分を空中で捕まえた存在をピートは知っている。
『だ?誰なの?アンタ?』
突然の闖入者に驚いたはバイパーである。
その疑問を無視するかのように、ゆっくりと降下して地面に足を付けた。
「お、親父どうしてここにいるの?」
息子の驚きも当然である。
その親父は奇妙な笑顔を見せて、息子を柔らかそうな草の上に置いた。
「途中で見つけたが、これはお前のズボンとパンツか?」
腕をマントからだして、息子の洋服を見せる。
「あ、あうぅう」
混乱もあって、恥じらいもあって、答えに困るピートである。
「安心しろ、ピート、今お前をどうこうしようとする積りはない、
  だが、とっととあのはげを片付ける。そしたらすぐ元の大きさになるからな。
   子供なら可愛いゾウさんも丸出しにしとくわけにゃいかないだろ?」
相変わらずの奇妙な笑顔を崩さず言ってのけ、
軽くウインクまでみせた。
思わず股間をかくすピートである。思わず真っ赤になってしまった。
無視された形のバイパーもこちらは怒りで真っ赤になる。
一度持っている笛を吹いてから口を開いた。
『・・『あのはげ』とは失礼ね!ってかアンタはだれだっつーの?』
マントを翻してバイパーに振り向いたピートの親父。
「教えてやろう、我は闇の伯爵が一人ブラトー、純粋なる吸血鬼一族が一人ブラトー」
いやみたらしくお辞儀までして見せた。
『で、その伯爵様がどーしてオイラの邪魔するのよ、まっいいわ、あんたも』
バイパーがさっと手をあげると、何百匹という鼠が現れた。
そして、子供にするという魔笛を口に当てながら。
『アンタも子供になるといいわ!』
息を吹き込むと同時に鼠が一丸となってブラトーにむかってやってくる。
鳴り響くは悪魔の音階。
鼠も大量であればその破壊力はすさまじい。
まるで灰色の毛皮を纏ったようなブラトー。
眼前の光景に驚いたピートが恐怖交じりで叫んだ。
「親父・・ぱ、パパ!パパ!」
『ハハハ!おばかな伯爵様ねぇ!私の攻撃はしってるでしょうに』
吹き終えて、高らかに笑ったバイパーであったが。
「何がしたかったのだね?」
鼠塚ともいえる物体の奥から声が聞こえたかと思ったら。
ボタボタっと、撒きついていたのが剥がれ落ちていく。
中にはぺらぺらに水分を全部抜かれた鼠までいた。
『ば、馬鹿な!小さくなってないじゃないのっ!』
音律を間違えたのかと、慌てて魔笛を口に含み音を奏でる。
ピートは聞くまいとばかりに耳を塞いだ。
あまりに力をこめた故、穴の開いた耳の方から出血してしまった。
「何を吹いている?夜の王たる我らを称える為の韻律か?」
まるでその霊力は意に介さぬとばかりにゆっくりと歩み寄るブラトー。
『う、嘘!悪い夢でも見てるの?アタイ』
ピートだけでなく、人狼のシロや九尾のタマモをも子供化に成功している、魔技が、
ブラトーには一向に効く気配がない。
「無駄だ、無駄だよ。小ざかしい子悪魔め、よくも」
ブラトーの目が光った、ようにバイパーは見えた。
そして吸血鬼族独特の犬歯を相手に見せた。
「息子を容赦なく嬲ってくれたな」
小声ながら闇であれば何処にいても聞こえるのではないか、そんな声が響く。
大量の汗がパイパーの額に現れた。
『じょ、冗談じゃないわよ!』
闇夜に紛れて逃げようと、姿を隠してみたが。
「無駄だと言ってる。我は闇の支配者ぞ、無駄だ、無駄」
逃げた方向にぬらりと現れたブラトー。
『ひっ。ひええぇえええ!』
もう一度方向を変えて何処ぞに隠れようと、洞穴に入り込んだが。
「む・だ・と・言っている」
なんとやはり目の前にいる。
そしてバイパー独特の頭を手で掴んだ。
『お、お助けください、伯爵様のしもべにでも、奴隷にでも!』
その握力はいかなる物か。
物の本には軽々と宝石を砕けるとある。
「奴隷だとぉ?貴様に労働させようとは思わぬ。顔をも見たくないわ」
腐ったりんごが如く頭が潰れた。
だが、バイパーの本体は大鼠である。
ピエロ姿は思念に過ぎない。
『・・に、逃げないと、でチウ』
こそこそっと、今いる場所をばれないように現場から離れようとしたのだが。
「むーーだーー、だ」
何の気配も見せず本体を見つけられてしまった。
一瞬ふわりと浮かんだかと思ったら、大きさを変えているブラトーの手の中にいる。
じたばたとからだを揺らすが、離す訳もなく。
『オイラをどうするんでチウ?』
「永遠の炎を経験させるもいいな、いや意識を持ったままの氷付けも悪くない・・」
『じょ、冗談でチウ?』
恐ろしさから動物らしく可愛さでもアピールしようとしたのか、腹を見せたが。
「そうか、魂を現世に残したまま、感覚を奪うのとしよう、死神!」
ブラトー一族は死神をも有る程度令を発することが出来るのか。
『や・・』
バイパーはやめて、とでも言おうとしたのだろう。
大鼠の顔面をつめで潰していた。
そして、何の感覚もない状態でさまようことになる。
ただし意識だけははっきりしている。
「ようこそ、くそ鼠、『侵闇の檻』へだ!!」
その後に見せた笑顔は人間が見るものではなかった。

「・・・・親父」
川原に戻ってピートを見つけたブラトー。
「ほぅ、いつぞや見た大きさに戻ったな、ピエトロ」
喜んでいるようにも見えるが。
「僕を助けに来たのですか?」
「そうだ。俺の一族に近いものがピエトロ、お前のピンチだと教えてくれたからな」
どうやら、人間に成りすまして旅行を楽しむ夫婦連れが伝えたと言うことだ。
「何時復活を?」
「そりゃな、天地創造時代の存在が現世で活動をしていた所為だろうな」
なるほどである。
だが、このブラトー、頭が中世で止まっているので目が覚めた上は。
「親父、よもや世界征服を始めるのであれば・・」
ピートの話を半分で折って。
「あ、どうやら今の世界を征服したろころで、以前よりも責任があって面倒だから、いいわ」
それに、今のままなら勝手に自滅するだろうと、まで笑って言った。
「そうですね。もっと人間は強くならないと、でもそんなことよりも」
「ん?」
「ありがとう、親父、いやパパッ」
照れてしまったのか、鼻を爪で掻きながら。
「まぁな、これが親を持つ者の気持ちだろう。だがなぁ」
「・・だが?何ですかパパ」
「ピエトロは小さい方が可愛かったなぁ」
ずるっと、滑ったピート。あは、あはと、ごまかしの笑いをしていた。
「大きいと俺にそっくりだが、小さいお前には母親似だったからな」
もう、何百年も前に無くなった母親の面影を見出したという。
「・・闇も終るな、俺は帰るぞ」
そうマントを翻したときには、どういう魔術か、既に近くにはいなかった。
遠くから。
「・・・向こうにぴーと殿の匂いがするで御座る!」
元に戻ったシロが匂いを辿って来たようだ。


FIN


△記事頭
  1.  おぉ・・・・あのバカ親父がマトモになってる・・・・やっぱり初期起動にバグが出ただけだったんだ・・・・・
     あと女の子と男の子って・・・・横島とおキヌちゃん?
     やばいぞ!!!!早く逃げないとショタ悪魔が襲来するぞぉぉぉぉぉぉぉ!!!!
    D,(2004.09.26 22:25)】
  2. つ、つええ!こんなに強かったんかあいつ!しかもこええ!
    そういやプロセッサが壊れたあと体が崩壊していくメンバーは全員が描かれてたわけじゃないから、残ってるやつがいても不思議じゃないんだよなあ。特にブラドーなんて最初から死んでないよ。あの時出てきたのは召喚された感じだったと考えるできだな。
    九尾(2004.09.27 00:54)】
  3. おお、ブラドーが強くてカッコイイ・・そして容赦無し!!でも親父と息子のやり取りは何だかほのぼのしましたv
    柳野雫(2004.09.27 03:29)】
  4. 一点だけ
    「バイパー」(BAIPA)じゃなくて「パイパー」(PAIPA)です。
    (上記の英文字はローマ字読みで、英語読みでの綴りなんて知りません(オイ))

    ところで、なんでパパさんには笛が効かなかったんでしょうね?
    さすがは腐っても純潔のヴァンパイアと言うことでしょうか…
    矢沢(2004.09.28 16:58)】
  5. 簡素ですがコメント返しを。
    Dさん>ショタ悪魔が来る前にブラトー君が到着した模様です(笑
    九尾さん>あのドラキュラの親戚筋ですから、強いです。
    柳野雫さん>そりゃ欧州最強の魔物ですから。ブラトー君は。
    矢沢さん>ご指摘ありがとう御座いました!
    トンプソン(2004.09.28 23:05)】

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