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「猫ノ妹(13〜16再録)(GS)」桜華 (2004.09.23 02:01)




 コタツは人類の発明した至高の暖房器具だと、タマモは常々思っている。この、足元から暖められるというのがたまらない。
 コタツで丸くなって眠ってしまうのも、だから仕方ないといえる。
 隣で眠るケイを見て、タマモはくすりと笑った。
 数時間前、突然来訪した自分を見たときの彼女の驚きようといったらない。本当に、思いもよらなかったようだ。
 その後、横島と一緒に3人で晩御飯を食べ、二人で片付け、二人で入浴。湯上りのコタツの元、睡魔に負けてしまったというわけだ。

「なんだ、寝ちまったのか?」

 リビングに入ってきた横島が言った。ケイと揃いのパジャマだ。タマモは少しうらやましかった。

「この通りよ。よい子はもう眠る時間みたい」
「じゃ、お前は悪ガキってことか?」

 濡れた髪をバスタオルでくしゃくしゃにしながら歩く横島。
 自分の髪に対して無頓着な彼に苦笑する。事務所の面子は全員、シロすらも髪には気を使っている。
 なのに、この男ときたら。ドライヤーもあてないとは、男とはそういうものなのだろうか? 彼以外にそういうシーンを見たことのないタマモには、判別がつかない。

「まぁ、いい子はこんな時間に男の家に来たりしないわよ」

 時計は既に10時を回っている。たしかに、年頃の娘が一人歩くには不向きな時間帯だ。

「遅くなる前に帰れよ」
「ん〜? 今日は泊まる」
「明日学校だろ?」
「制服は持ってきてるもん。ねぇ、いいでしょ?」
「それは全然構わないけど……美神さんに言ったのか?」
「うん。ちゃんと言っといたよ」

 最も、横島の家に行くと言っただけで、泊まるとは言ってないのだが。いつものことなので、別に心配はされないだろう。

「ならいいけど。あ、お前の部屋、今はケイが使ってるんだった……」

 しまったという表情で呟く横島。対して、タマモはあっけらかんとしている。

「そりゃそうでしょ。あそこしか空きがなかったんだから。まさか一緒に寝てるわけじゃないでしょ?」
「まさか」

 コタツで眠るケイの姿を見る。だらしなく開いた口から涎が垂れている。二人して苦笑。

「しょうがねぇなぁ、もう」

 ティッシュをとり、涎を拭いてやる横島。少しうめいたが、ケイは目覚めないままだった。
 そんな様子を見て、タマモが感心した風に言う。

「警戒されてないわね」
「最初の頃は飛び起きてたけどな。今はご覧の通り、全然平気だよ」
「最初って、3ヶ月くらい前?」
「そうだけど?」

 思い出す。その頃、横島が左手に包帯を巻いていたことがあった。傷は深く、骨にまで達していたはずだ。幸い完全回復したが、一時期は荷物持ちとかにかなり苦労していた。
 それが、おそらくはこの少女による傷なのだろう。
 あれほどに拒まれていた妖怪を、わずか3ヶ月でこれほどまでに信頼させるとは。
 おかしな男だと、タマモは再び苦笑した。

「まぁ、だから私も惚れたわけだけど」
「なんか言ったか?」
「なんでもない」

 頬を染めて答える。小声で言っていてよかった。もし聞かれていたら、恥ずかしすぎてベランダから飛び出しかねない。

「でもさ、横島。なんで今まで話してくれなかったの、ケイのこと?」

 下手に突っ込まれてはたまらないので、タマモは話題の転換を図った。

「美神もおキヌちゃんも、ちょっと不満がってたよ。あんたが話してくれなくて」
「ちょっと待て。美神さんたちはケイのこと知ってんのか?」
「ウィ。クリスマス・イヴの晩に横島尾けて判明した新事実! 年端も行かない少女と同棲していた! って、きちんと報告しといたから」

 タマモの言葉に真っ青になる横島。百面相に、タマモが腹を抱えて笑う。

「冗談よ、冗談。確かに話したけど、ま、なんとか私とシロが説得したわ。一応、こっちは静観ってことで一致してる」
「脅かすなよ。寿命が縮んだぜ……」
「あはは。ごっめ〜ん。
 で、どうして話してくれないの? 別に隠す必要もないと思うんだけど」

 笑いで溢れた涙を拭いながら、タマモは改めて尋ねた。
 はぐれの妖怪の対応などは、美神のほうがはるかに優れている。知識、経験ともに。隠す必要はないはずだ。
 タマモは、そう考えている。

「ん〜。実は、ちょっと事情があってな」

 ケイの髪を撫でながら、横島は言う。

「事情?」
「ああ。以前、事務所で受けた依頼で敵対してな」

 敵対した。つまりは殺しあったということだ。
 タマモは、横島の言外の言葉を理解した。

「だから、自分を殺そうとした相手とは会わせたくないと?」
「ああ、そう」
「でも、なんであんたには懐いてんの?」
「俺はそのとき、こいつの側だったから」

 驚きに目を見開き、次の瞬間に当然と思う。
 驚いたのは、彼が美神と敵対したと言われたからだ。彼にそんな根性があったとは。
 当然と思うのは、彼の優しさを知っているからだ。そうしないほうがおかしい。

「でも、このままってわけにはいかないでしょ?」
「ああ。まぁ、ちょっと考えがあってさ」
「考え?」
「ああ。西条の返答待ちだけどね」
「ふぅん。ま、無理はしないでよ? 怪我や倒れたりなんかしたら、私が大泣きしてやるんだからね」
「肝に銘じとくよ」

 苦笑して頷き、横島はケイを抱き上げた。そのまま、部屋に連れていく。
 しかし、これがなかなか戻ってこない。不審に思ったタマモは、部屋を覗きに行って――

「……なにしてんのよ、あんたは?」
「いや、なにと聞かれても、どうお答えすればよろしいやら……」

 ケイに抱き枕にされている横島に、呆れ果てた。
 深く、深く嘆息する。

「あんたねぇ――って、そうだ!」

 思いついたら即実行。
 タマモは部屋を出た。特急で歯磨きとトイレと肌の手入れをすませる。
 鏡を見ること5秒。OK、いつも通りの美少女だ。喜ばれこそすれ、まさか嫌がられはしまい。
 洗面所から寝室へと新幹線。横島は未だにケイの腕を振り切れないでいる。セーフ。

「よっこしま〜!」

 叫び、タマモは布団に潜り込んだ。ケイの反対側、横島の隣だ。ちょうど横島を中心に、一つのベッドで川の字になる。

「ちょ! タマモ、なにやってんだ、離れろ!」
「やぁよ。いいじゃない。たまには一緒に寝たって」
「一緒って、お前、年頃の娘がだなぁ」
「あ、今の、オヤジくさ。
 いいじゃない、別に。私は実年齢3歳だし、問題ないわよ。
 それともなに? 恥ずかしい? 私の胸とかがぴったりくっついて興奮する? リビドー感じる? それはそれで私としては望むところだけどね〜」
「からかうんじゃない!」
「真剣よ」

 タマモの声色が一転した。冗談めかした口調から、その色が消える。後にあるのは、言葉の通り、真剣な瞳。
 タマモはそっと、横島の胸に腕を回す

「冗談じゃないわ。からかってもない。私は本気で、横島と一緒に寝たいもの。横島の隣で寝たいもの。
 不公平じゃない。ケイはずっと横島と一緒なのよ? 横島を起こして、横島にご飯つくって、横島と一緒に食べて、横島におはようって言って、いってらっしゃいって言って、おかえりって言って、横島におやすみなさいって言えるの。
 すっごく羨ましい。すっごく悔しい。
 いいじゃない。たまに来た時くらいさ。いつも出来ないんだからさ」

 ケイに抱きつかれているため、タマモには横島の背しか見えない。
 両腕で彼の胸をまさぐり、精一杯に抱きつき、肩に顔を埋める。

「たまにはさ。私にも、甘えさせてよ」

 しばしの沈黙。
 拒否されたらどうしよう。タマモは怖い。心臓の音がバクバクうるさい。聞こえてやしないか心配だ。時計の音がカチコチ耳障り。なんてうるさい。もっと音の小さい時計はなかったのか。
 永遠とも思えるわずかな時間が過ぎ去ったあと。

「―― 一つのベッドに3人なんだからな。当然、狭いぞ?」

 横島の呟きに、タマモの顔が喜色満面になる。

「大丈夫。それだけ近くで寝れるじゃない」
「落ちてもしらねぇぞ」
「入りなおすわよ」
「風邪引くかも」
「横島が看病してくれるでしょ?」

 ぎゅっと、タマモは横島に抱きついた。きつく、きつく。
 横島の心臓の音が聞こえる。なによりも、安心できる音。誰よりも心地よい存在。自分が全幅の信頼を置くヒト。
 そんな彼の隣で眠れるのだから、これ以上の幸せはない。
 喜びに頬を染め、タマモは目を閉じる。

「おやすみなさい、横島」
「おやすみ、タマモ」

 睡魔はすぐに訪れた。



――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――







 RRRRRR、RRRRRR

 電話が鳴っている。ベランダで洗濯物を干しながら、ケイはそれに気づいた。
 どこの電話? もちろん、自宅だ。

 RRRRRR、RRRRRR

「は〜い、はいはいはい!
 もしもし? あ、西条さん?」

 部屋に入ってとった受話器から届いた声が自分の知っているものだったことに、警戒を解く。最近はセールスの電話が多いのだ。

「どうしたんです? 兄ちゃんなら大学ですけど――え? ボクに用事? 明日ですか? ええ、特に予定はありませんが……はい。はい、Gメン? 超常犯罪課? はぁ。
 えっと、とにかく、そこに行けばいいんですね。わかりました。いつ頃――11時。はい、わかりました。はい、それじゃあ、明日」

 電話を切り、ケイは首をかしげる。

「ボクに用事って――一体なんなんだろ?」

 いつもと違う明日が、訪れようとしていた。

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  ・
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  ・

「ここが――ICPO超常犯罪課。通称、オカルトGメン……」

 翌朝。日も若干高くなった頃、ケイの姿がそこにあった。
 桃色のフード付Tシャツに赤いチェックのフレアスカート。膝上ニーソックスは紺色で、とてもかわいらしく仕上がっている。
 これで汗まみれだったり髪が乱れていたりしなければ文句なしなのだが。
 現在、11時15分。遅刻の原因は――

「や、やっと着いた。迷ったときにはどうしようかと思ったよ〜」

 ということらしい。
 安堵に涙ぐみながら、ケイはビル内に入った。
 受け付けの窓口へと足を運ぶ。

「あの、すいません。西条さんいますか?」

 かわいらしい少女の言葉に、受付嬢はいつもと同じ笑顔を作って尋ねる。

「アポイントメントはお持ちですか?」
「あぽい……何?」

 聞きなれぬ単語が出てきて戸惑う。持ってきたハンドバックの中には、そんな代物は入っていないので、

「ええと……持ってません」

 わからないながらも答える。受付嬢の笑顔は変わらない。

「でしたらお会いできません。申し訳ありませんが、お引き取りください」
「え!? で、でも、今日の11時に来てくれって言われたんです!」

 慌てて話すケイ。その背で小刻みにゆれている尻尾を見て、しかし受付嬢は眉ひとつ動かさず、笑顔を保ったまま尋ねる。

「失礼ですが、お名前は?」
「え? あ、ケイです」
「そうですか、あなたが。――少々お待ちください」

 受話器を取り、どこかへと連絡をとる受付嬢。
 数十秒が過ぎた後、受付嬢は再びケイに笑顔を向けた。

「申し訳ありません、西条はただいま留守にしております」
「そんな――」
「ですが、西条の上司が応対いたします。お手数ですが、最上階の署長室までお行き下さい」
「しょちょう室、ですか?」
「はい、署長室です」
「わかりました、ありがとうございます」

 お辞儀をした後、ケイは最上階へと向かった。――階段で。

「あらあら、パワフルねぇ」

 そんな少女を見て、受付嬢は、変わらぬ笑顔で呟いた。

  ・
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  ・
  ・

 最上階へと上り詰めたケイは、署長室の扉の前で困惑していた。

「……しょちょう室って、どこ?」

 目の前だ。

「ええと……」

 気付かず、きょろきょろとあたりを見回すケイ。
 その視線が、向かいの会議室で止まる。ドアに掛けられたプレートを見て、

「会、なんとか、室。……違う、よねぇ?」

 ……どうやら、漢字が読めないらしい。
 目の前の部屋に気付かぬまま、ケイは通り過ぎていく。

「しょちょう室……しょちょう室……小腸室?」

 迷うこと10分。通りすがりの職員に尋ねて、ようやく署長室へとたどり着いた。

「失礼します」

 ノックをして、扉をあける。

「いらっしゃい。連絡を受けてからずいぶん遅かったけど、なにか―――どうしたの?」

 出迎えたのは美神美智江。西条輝彦の師事した人物であり、Gメンの最高幹部だった。
 そんな彼女を見て、ケイは目を見開き――

「みぎゃあぁあぁあぁぁぁぁあぁあぁ!!」

 叫んだ。

「ど、どうしたの!?」
「来ないで! 来ないでぇ!」

 近づく美知恵に対し、ケイは距離を取る。化け猫特有のバネを活かし、部屋の中を縦横無尽に逃げ回った。

「殺される! 殺される〜〜〜〜〜〜!」
「ちょっと! 誰もそんなこと言ってないでしょ!」
「いや! いや〜〜〜〜〜! 兄ちゃん! にいちゃ〜〜〜〜〜〜ん!!」
「人の話を聞きなさいって!」

 美知恵は知らなかったが、ケイがそこまで怯え、逃げたのは、美知恵の容姿に理由がある。
 ……別に、妖怪も逃げ出すほど美智江の顔がひどかったわけではない。美知恵の顔が、美神令子に似ているからだ。
 3年前。自分と母を殺しにきた女と瓜二つの容姿を持つ人物。
 美神令子本人と勘違いしても、おかしくはない。
 殺されたくないから、ケイは逃げた。パニックに陥って部屋の外に出ることは思いつかなかったが、署長室内を疾風怒濤に掛けまわった。

「ああ! マホガニーの机が!
 ああ! 伊万里焼のつぼが!
 ああ! お気に入りのクマちゃんのマグカップが〜〜〜〜〜〜!!」

 その惨状に悲鳴を上げる美知恵。
 彼女が抱き着いてケイを落ち着かせた頃には、部屋は見るも無残な様相を呈していた。

「ぜい、ぜい、ぜい……」
「はぁ、はぁ、はぁ……お、落ち着いた……?」

 ぼろぼろになったソファの上。ケイを抱きしめ、疲れてはいたが、努めて優しく、美知恵は言う。

「う、うん」
「そう、よかった。怖がることはないわ。私はあなたに何も危害を加えたりしない。危険はないの。恐れることなんか、どこにもないのよ」

 にこりと、笑う。
 その笑みと温もりに、ケイが警戒心を緩め――

「……署長」

 背後から、声が響いた。
 振り向く美知恵。入り口のところに、ケイの応対をした受付嬢が、変わらぬ笑顔で立っていた。

「あら、姫坂さん。どうしたの?」
「騒がしいので何事かと思い、様子を見に来たんですが……お邪魔だったようですね、どうも」

 言われ、美知恵は考える。ぼろぼろになった室内で抱き合う自分と少女。逃亡劇を繰り広げていたため、衣服も呼吸も乱れに乱れて――――

「ち、違うの! これは違う! 著しい誤解よ、姫坂さん!」
「何が誤解かは知りませんが、お気になさらずに。私、個人の趣味に口を出すほど度量の狭い人間ではありませんから」
「だから違うって! それはあなたの勘違い!!」
「大丈夫です、署長。安心なさってください。私は口が堅いですから」
「なにを安心しろって言うの!」

 変わらぬ笑顔の受付嬢に、頭を抱えて叫ぶ美智江。

「それじゃ、私は失礼しますので、お気のすむまでヤっちゃってください。ですが、お相手の娘はまだ小さいのですし、体力面も考慮して、あまり激しいプレイは控えるよう進言させていただきますね」
「激しいプレイって何!?」
「いやだ、みなまで言わせないでください。あ、人払いもしときますね。集中したいでしょうから。それじゃ、失礼します。存分にお楽しみください」
「ちょっと! 姫坂さん!? ちょっとー――――――――――――――――!!!」

 変わらぬ笑顔で、受付嬢は去っていった。
 後に残るのは、灰化した美智江と、なんだかよくわからない顔のケイ。
 美知恵が復活したのは、30分後のことだった。
  
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「ケイ。性別、女性。種族、化け猫。現在は民間ゴーストスイーパー横島忠夫の保護下にて、人間と一緒に生活している。間違いないかしら?」

 ぼろぼろのマホガニーの机に座り、美知恵が言う。その背が煤けていたり、声に力がこもっていないのは、いろいろと人生を悟ってしまったからかもしれない。

「物事って思ったとおりに進まないものよねだから人生は面白いのよってかどうしてあの騒動でやってきたのが受付嬢ただ一人なの? 只者じゃないわね、あの娘。ああそうだ、言っとくけど姫坂っていっても人魔とは別に関係ないから気にしないでね」
「あの……もしもし?」

 ないやらぶつぶつ呟く美知恵。本能は関わるなといっているが、そういうわけにもいかないので、ケイは恐る恐る声をかけた。

「あ? ああ、ごめんなさい。ちょっと考え事をね」

 考え事の内容を問う勇気は、ケイにはなかった。

「で、どうかしら? 何か違ったところはない?」
「いえ。それで合ってます」
「そう。じゃ、これはよし、と」

 判子を押し、脇にのけ、美知恵は腕を組んでケイと向き合う。

「単刀直入に言うわ。ケイさん、あなた、横島君の妹にならない?」
「…………………………………………………………………………………………………………は?」

 そのあまりの突飛な質問に、ケイはそう言うのがやっとだった。

「さっきの書類ね、あなたが正式に横島君の保護下に入るためのものなの。
 あなたは現在、我々人間に危害を及ぶような行動をとっていない。加えて特定のGSと交流がある。よって、あなたに対して、我々オカルトGメンは関与する必要はない。私たちの仕事は、現在の害を排除することだからね。
 よって、あなたは自由。書類上、横島君に保護観察されているということになるけどね。対外的な立場は、横島君の義理の妹よ。悪くはないでしょう?」
「あ……別に、兄ちゃんと一緒にいられるなら――――」

 答えるケイに、美知恵は微笑む。

(かわいいこと言うじゃない。令子もこれくらい素直ならねぇ)

 そして自分の娘を思い出し、嘆息。

「じゃ、ここに名前を書いて。そう。苗字は『横島』でいいわ」

 差し出された書類に、受け取ったペンで書く。

 よこしまケイ

「……へへ」

 なんだか嬉しくて、ケイは笑った。

「これで、兄ちゃんが兄ちゃんになったの?」
「手続きに三日ほどかかるけど。そうとってくれて構わないわ」

 ガッツポーズ。その顔は喜びに満ちている。

「さて、と。意外と早く片付いちゃったわね。
 ケイちゃんだったわね。暇ならお茶にしないかしら? おばさん、おいしいところ知ってるのよ」

 美知恵の誘いに、ケイは二つ返事で承諾した。
 廊下を歩きながら、ケイは考える。
 帰ったらご馳走を作ろう。とびっきりおいしい、最高の料理だ。
 そうだ。今日を記念日にしよう。
 自分が、兄の、妹になれたことの。
 誕生日よりも嬉しい日。何よりもめでたい日。忘れるはずもないけど、忘れないよう、毎年盛大に祝おう。
 この、大切な――妹記念日を……




――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――





 ケイ施行の妹記念日から三日。
 届いた仕事の書類を一通り眺めてテーブルに投げ置いた後、兄・横島は問うた。

「ケイ。明日暇か?」

 ケイは頷く。そもそも仕事も何もないのだから、やることといえば、家事か、近所の人付き合いならぬ猫付き合いのみだ。

「だったら、ちょっと付き合ってくれないか? 見せたいものがあるんだよ」

 そして、兄の要望は優先順位ぶっちぎりの第1位であるからして、

「いいかな?」

 その言葉に、ケイが頷かないはずがなかった。


 ・
 ・
 ・


 ということで翌日。
 横島が連れていった先は、美神除霊事務所だった。
 事務所前には、横島とケイに加え、美智恵と西条の姿。

「隊長まで来なくてもよかったのに」
「まぁ、ケイちゃんとは先日お茶した仲だからね。気になるのよ」
「そっすか」
「それに、娘のとばっちりを受けた身としては、ちょ〜っと腹に据えかねてるしね」
「? なにか言いました?」
「いいえぇ。なんでも」

 そんな会話をしながら玄関をくぐり、四人は階段を上っていく。

「兄ちゃん、ここは?」
「俺の職場。タマモとシロの居候先でもあるな」
「タマモ姉ちゃんたちがいるの!?」
「ああ――って、ケイ!?」

 嬉しさに尻尾を振りながら階段を駆けあがるケイ。化け猫だから、匂いをたどるのはお手の物だ。すぐにタマモとシロの居場所を突き止め、その部屋に通じるドアをがちゃりと、

「あれ? ケイじゃない。どうしたのよ、一体?」

 そこにいたのは、自分の姉ともいえる一人と、

「おお。いつぞやの。久しぶりでござるなぁ」

 もう一人、荷物を持ってくれたお姉さん。

「なに、アンタ? 見たことないけど、うちになにか用?」
「あら、知り合いなの? シロちゃん、タマモちゃん」

 自分を殺そうとした、金髪の女と黒髪の幽霊――と同じ容姿をした人物。

「…………!!?」

 ケイの尾がピンと逆立ち、毛が震えた。

「ケイ?」
「ケイ君?」
「私の受けた苦労の半分でも味わうといいわ、令子」

 その様に、横島と西条は訝り、美智恵は黒い笑みを浮かべた。
 そして―――




「みぎゃああぁぁぁあぁああああぁあぁあああぁぁぁぁぁぁああぁああぁあ!!!!!」




 惨劇。


 ・
 ・
 ・


「……ふぅん。事情は大体わかったわ」

 惨々たる応接間にて。
 ガムテープで足を止めたテーブルと椅子。
 ひび割れたティーカップに入った紅茶をひとつ啜り、美神令子は言った。

「ま、正式に認められたってんなら、私にとやかく言う権利はないわ。今日連れてきたのも、報告のためでしょう?」
「ええ。後は顔見せというか、そんな感じでして」

 横島は現在、美神除霊事務所の従業員だ。たとえ個人的に受け持った保護とはいえ、なにかあれば責任が美神に及ぶ可能性は高い。

「言っとくけど、あんたの不始末を拭うつもりはないからね。やるならきちっとやりなさいよ」
「わかってます。美神さんに迷惑はかけません」

 きりりと、まじめな顔して、横島が言う。
 めったに見せないまじめな顔に幾名かが頬を染めるが、横島は気付かない。

「ま、まぁ、私も少しは協力したげるから。なにかあったら言いなさいな」
「じゃ、早速ひとつ。いいでしょうか?」
「なに?」

 ひとつ、深呼吸。もうひとつ。
 腹の底から空気をためて。瞳はそらさず、まっすぐに対象を見据え。
 言う。

「給料上げ「却下」

 にべもない。

「そ、そこをなんとか〜。今の給料で二人暮しはなにかときついっすよ。あそこ家賃高いし〜」
「うるさい。黙れ。ふざけろ。従業員の家庭事情で給料上げてちゃ経営なんざできるわけないでしょうが!」

 極論だ。

「だ、大丈夫だよ、兄ちゃん。僕、節約料理得意だし」
「うう。苦労かけるねぇ、ケイ〜」

 妹の気遣いに涙する横島。思わず抱き寄せ、かいぐりかいぐりしてしまう。

「に、兄ちゃん」

 そんな兄妹をみた事務所の面々はといえば、

美神(……ま、まぁ、私は構わないけど? 風紀が乱れるから、仕事中は遠慮してほしいわね……)
キヌ(いいなぁ、ケイちゃん。横島さんに甘えられて。私もあんな――ってキャー! キャー! 私ったら……!)
シロ(せ、拙者も妹になりたい!)
タマモ(妹ねぇ。それはそれでいいけど、恋人にはなれないからなぁ。いや、家でも傍に居れるならそっちのほうがいいかしら? 別に恋人にこだわる必要ないし。妹から愛人にランクアップするって手も……)

 各人様々であった。
 そんな中、拍手が響く。
 手をたたいた美智恵のほうに、全員の注目が集まった。

「はい、注目。令子と横島君の交渉は無事終了したようなので」

 この場合の『無事』とは、『横島が無傷で生き残っている』ことを指す。
 土台、娘は給料UPなど絶対にしないだろうと、美智恵は確信していたのだ。

「横島君もそんな落ち込まないで。また今度アルバイトあげるから。
 ところで、物は相談なんだけどね、ケイちゃん」

 そして、彼女にとっての本題を、美智恵はケイに言う。

「あなた―――学校行く気ないかしら?」




――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――





 朝。
 いつもより早くに目覚め、一通りの家事を終えたケイは、自室にて着替えていた。
 エプロンとトレーナーを脱ぎ、膝下までのズボンを下ろす。
 下着は白のパンツのみ。ブラジャーは着けていない。それなりに胸は膨らんでいるが、彼女はまだ、ブラジャーという存在を知らなかったりする。
 下着姿になったケイは、クローゼットをあけ、衣装を取り出す。
 まず、薄手の半袖Tシャツを着る。この前、直にブラウスを着たら胸がちくちく痛かったので、その予防だ。暑いが、仕方がない。
 その後にブラウスを身に着ける。前のボタンは、一番上をのぞいて上から順に。一番上は、苦しいので止めない。袖のボタンを、かなり苦労して止める。
 ようやく止め終え、ちらりと時計を見る。7時20分。まだずいぶんと余裕がある。
 次は靴下だ。靴下というよりもニーソックス。紺色の、腿の中ほどまで覆うやつだ。
 それを履いて、一度鏡を見る。ブラウス。皺、なし。ボタンの掛け違え、なし。ニーソックス。ちゃんと左右、同じ高さまで履けている。


『あなたくらいの年頃だと、やっぱり学校に通っとくのがいいと思うの。補導されかねないし』


 にぱっと笑い、ケイはスカートを手に取った。
 紺色のフレアスカート。先には小さくフリルもあしらわれていて、彼女は結構気に入っている。
 腰まで上げ、横のジッパーを閉める。尻尾を出す穴は、特注で開けてもらった。
 そしてリボン。ブラウスの襟を立て、鏡を見ながら結ぶ。


『どこへ通うんですか? 六道? じゃ、私の後輩になるんですね』


 リボンの端をぎゅっと引き、うえっと舌を出す。
 絞めすぎた。
 一回ほどき、やり直し。


『学校はいい所でござるよ〜、ケイ』


 結ぶ。鏡の自分が身に着けたリボンは、左右の長さが極端に違っていた。
 やり直し。


『まぁ、いいことばかりじゃないし、シロの意見には全面的賛成はしかねるけど。
 良くも悪くも、経験にはなるわ』



 時計を見ると、7時50分。
 余裕がなくなってきた。昨日のリハーサルのときもそうだったが、この過程にやたらと時間を食ってしまう。


『ケイだっけ? アンタの年齢だと、中学1年からが適当かしら。学力的な不安もあるし、シロやタマモと同じく高校ってのは無理があるでしょう?』


 何度目かの結び終え。鏡を見る。今度は左右も均等、絞めすぎてもない。
 よし、完了。時間もまだある。


『お金は、Gメンからある程度は出せるし、なんなら、民間GSへの仕事依頼の危険手当という形もとれるからね。横島君も、そこまで心配する必要はないよ』


 最後にブレザー。スカートと同じく紺色で、肩はパッドが入っており、校章が刻まれている。袖は肘周りで一度しぼられ、手首へとゆったりと広がるタイプ。口には、白のラインがひとつ。襟は逆に、白地に紫のラインだ。
 羽織り、前を止める。ボタンは、胸元、腹、腰の三つ。
 止めた後、リボンを外に出す。
 着替えの全過程を修了し、鏡を見る。
 完璧だ。どこにもおかしいところはない。ミッションコンプリート。


『ケイが行きたいってんなら、俺は止めるつもりなんかねぇぞ』


 じっと鏡を見つめていたケイは、右足に力をこめた。
 床を蹴る。左は爪先立ちになり、くるりとその場で一回転。
 ふわりと、スカートがひるがえる。
 鏡の正面、同じ位置に戻って、止まる。少し遅れて、制服の揺れがおさまった。
 もう一度、今度は逆回転。左足で蹴り、右足で回る。
 ふわりと、制服がなびいた。
 止まる。ずしりと来る服の重み。新品特有の匂いが鼻につく。

 みんなに推され、結局、ケイは学校に行くことになった。
 シロたちの話に興味をそそられたし、心配していたお金も、まぁ大丈夫とのこと。
 そしてなにより、


『ケイの制服姿、かわいいだろうなぁ』


 それがとどめだった。その瞬間、ケイは学校を決意したのだ。
 鏡の前で、もう一度ひるがえる。

「……へへ」

 なんだか気恥ずかしくなって、鏡の自分に照れ笑い。

「へへへ……」

 今日は入学式。手続きで一度行ったが、制服姿では初めての登校。
 うまくいけるだろうか。
 新生活に覚える、漠然とした期待と不安。
 それらを打ち破るように、コンコンと、部屋の扉がノックされる。

「ケイー。準備できたかー?」

 兄だ。
 馬鹿みたいに鏡の前で笑っていたのを見られた錯覚に、どきりと尻尾を立たせる。
 緊張。果たして兄は、この姿をかわいいといってくれるだろうか。

「う、うん。今行くー!」

 返事をして、もう一度鏡。動いて乱れたところを直す。
 リボンの位置を直したところで、ふと、鏡の自分に気付き、くすりと微笑。
 ケイは思う。
 これからきっと、いろんなことがあるだろう。山奥に居たままでは決してありえなかったはずのことが、たくさん。それこそ、星の数ほどの出来事が待っているに違いない。
 楽しいことばかりじゃない。悲しいことも、つらいことも、きっとあるはずだ。苦しいこともあるはずだ。泣いてしまうことだってあるはずだ。
 だけど、大丈夫。
 なにがあったって、大丈夫。
 そばに兄が居るなら、きっと、なんだってできる。なんだって耐えられる。
 なにがあったって、笑って受け入れられる。
 ……うん。もう、大丈夫。

「ケイー!」
「ちょっと待ってー!」

 鏡から離れ、カバンを持つ。
 振り返る。鏡にはまだ、自分の姿が入っている。
 改めて、彼女は自分に向きなおり、

「―――行ってきます。母ちゃん」

 さぁ、行こう!
 さぁ、始めよう!
 新しい生活。なにもかもが新鮮で、不安で楽しい。つらくて面白い。苦しくて嬉しい。
 それらすべてを笑って過ごそう。
 出来るはずだ。
 自分はやさしい母に育てられ、そして、目の前には、優しい兄が居るんだから。







「お待たせー、兄ちゃん」
「おう。やっぱり思った通りかわいいなー、ケイ」
「えへへー。兄ちゃんのほうは……なんか変だね、スーツ姿」
「うぐぅ。自分でも似合わないって思ってるよ」
「そうだね。兄ちゃんは普段がカッコイイから」
「嬉しいこと言ってくれるじゃねぇか、コイツ〜」
「あ、いた。ちょっと、ぐりぐりはやめてよ、服が乱れちゃう!」
「おらおらおら!」
「やめてったらぁ!」






 大丈夫。
 彼女の前には、大好きな兄が居て。
 そして、彼女の中には、大好きな母が居るのだから。















『行ってらっしゃい、ケイ』
















 陽気に包まれた春。雲一つない空。小鳥囀る朝。
 彼女の世界は明るく、希望に彩られている。
 世界の主役は、満面の笑顔で兄と手をつなぐ。
 横島ケイの、新しい生活が始まっていく。







 猫ノ妹 ――― 了





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 こんばんは。お久しぶりです、初めまして。桜華です。
 この度、夜華のほうで好評だった「猫ノ妹」をこちらに再録しました。あちらでは1と2が流れてしまい、「読めない」「どこかにUPしてくれ」という要望も多く、ようやくそれに応えることができてほっとしております。
 蛇ノ妹のほうですが、現在執筆中です。近日UP予定ですので、今しばらくお待ちください。
 それでは。


△記事頭
  1. いやっほうぅいぇあ!!
    待ってました待ってました待ってました〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!

    もう、ここのケイが、萌え萌えでかわいくて(^o^)
    本当にもう一度読みたかったんでうれしいです。
    まさのりん(2004.09.23 02:17)】
  2. >いいじゃない、別に。私は実年齢3歳だし、問題ないわよ
    そのと〜〜〜〜り!!!シロなんて普通に10歳くらいだ!タマモはまだ別問題だけど、あいつは体がでかくなっただけで本当に幼いんだぞ!ケイと大差ないはず!なんでシロが高校でケイが中学やね〜ん!
    ま、かわいいからいっか♪
    蛇の妹も続きが近いようで楽しみです。・・いや、楽しみというか、『あれ』の続きからとなると、まだまだシリアスなんですけどね。しかも今までの全然条件が違うからなあ。
    だってケイは終わったことだしタマモは最初から助ける側だった。でも、あの子メドーサですよ?普通に敵だよ。きついよつらいよかんべんしてよ(泣)。妹シリーズ最大の試練ですよね。
    ここが正念場だぞ横島。人間じゃないものも見捨てれないってんなら超えてみせろ。
    九尾(2004.09.23 02:22)】
  3. ほんわか和み、じんわり感動し、ケイの可愛さに萌え狂い(笑)…
    最初から最後まで、まとめて読むとまた違った新鮮さが有ります。
    ホント面白い…
    『蛇の〜』以下妹シリーズ続編の方も期待大で待っております。
    偽バルタン(2004.09.23 02:27)】
  4. 一話〜♪
    しかもこんなにたっぷり見られるなんて〜(滝涙
    読みながら感動しつつも顔がほころんでしまいました♪
    (あとがきも思い出し…ちょと身震いが(怯

    家事が得意ながらも文明の利器に振りまわされるケイがとっても好ぶ…もとい、大好きです。
    (思わずパンツマンの絵が頭をよぎってしまった(爆笑

    蛇〜お待ちしております♪

    きっと感想は凄いことになるんだろうなぁ
    零紫迅悟(2004.09.23 03:23)】
  5. 小ネタ掲示板だけではなく、後日で結構ですので、
    正規投稿を切望します。
    たかす画伯の挿絵付きだとなお、すばらしいと思います。
    t2(2004.09.23 07:18)】
  6.  懐かしいです。はっかい。さんとたかすさんのイラスト競演もあって、豪華でしたよね。蛇の妹もお待ちしております。
    武者丸(2004.09.23 13:27)】
  7. ども、レスは初めてのほんだら参世です。

    おおおおお、ね、『猫ノ妹』だよ、旦那!
    最初が読めなかったけど、好きだった作品だから、最初から読める事になってめっさ嬉しいっす!!

    蛇の方もめっさ楽しみっす!
    続きを滅茶苦茶見たかったんで、滝涙を流しながらお待ちしてます♪
    ほんだら参世 (2004.09.23 14:00)】
  8. 再録お疲れ様です。
    いやあ、やはりこのシリーズはいいですねえ。
    高沢誠一(2004.09.23 18:36)】
  9. やさしく見守ってくれる人たちに囲まれて
    新たなる一歩を踏み出したんですね
    頑張って ケイちゃん

    で次は『蛇ノ妹』ですか 楽しみにしてますよ
    明鴉(2004.09.23 21:11)】
  10. 何回読んでもこのシリーズ、クリスマスのローソクのエピソードはもう・・・もう・・・(あかん涙腺緩みっぱなし

    またこのシリーズが読めると思うと嬉しいです。なんとしても六女にケイが入る日まで、できればケイのお嫁入りで横島が「お前なんぞにケイはやら〜ん」というくらいまで続きを・・・(まてやこら
    カラカッタの村(2004.09.23 22:34)】
  11. おお、名作、猫ノ妹が!
    投稿いただきまして、ありがとうございます>桜華さん
    うーん、やっぱり、何度読んでもいい作品だぁ〜
    米田鷹雄(2004.09.24 09:05)】
  12. 猫ノ妹の再録お疲れ様でした。
    以前は途中からしか読んでなかったので、最初から読めることに感無量です。

    カラカッタの村様もおっしゃっていたクリスマスエピソードがもう泣けて泣けて・・・・

    続けて、蛇ノ妹の方も執筆がんばってください!!
    Dan(2004.09.25 17:30)】

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