祐巳様と双子の怪獣がどうやって姉妹になったか、考えていたらこうなりました(汗)。
ああ、学園祭が終わる…。様々な騒動とともに。
しかし、そんな感慨ともまったく無縁な者が二人、リリアン女学園高等部の裏庭で相対していた。すでに双方幾度かの斬撃、突撃で制服が乱れている。腕や肩、腹など刃物が掠ったように切り裂けている。怪我がないのは奇跡だろう。
大陸渡りの直剣のような穂先を持つ槍を両手で構える、背が高く長い髪をワンレングスに流している乙女は細川可南子さんと言う。
1年椿組に所属し、つい先日まで「紅薔薇のつぼみ(ロサ・キネンシス・アン・ブトゥン)」福沢祐巳様を熱烈的に崇拝し、ストーカーをしていたというかなり異色の経歴の持ち主だ。
片や同じく1年椿組に属しながら細川可南子さんとは水と油、相性は最悪という、象徴的な縦巻きツインロールな髪型(通称ドリル♪)を誇る松平瞳子さん。
こちらも得物として全長2mを越える両手持ちの西洋剣フランベルジュを構え正面から可南子さんを見据えている。
動きにくかったのか、スカートはそれぞれ切れ目を入れ、腰のあたりまで引き裂いている。シスターが見たら懺悔室呼び出しの上、楽しいお説教を仲良く受けることになるだろう。「紅薔薇様(ロサ・キネンシス)」小笠原祥子様に見つかったらカミナリどころでは済まない…特にドリルの方は。
「さすがですわ、可南子さん!瞳子はこれまで3度、『因果』を放ちましたのに、すべてをお避けになるなんて…。」
「そう言う瞳子さんこそ、私の『地雷閃(じらいせん)』を3度も避けるなんて…さすがですわ。」
言葉を交わしながらも得物を下げるような隙は作らない。隙を見せた瞬間、己を再起不能にするような渾身の斬撃が襲うことはわかりきっている。
決してお互いを甘く見ていたわけではない。甘く見ていたわけではないが、現在は膠着状態であった。勝負を急がなければならない…急がないと「紅薔薇のつぼみ」であり、敬愛する祐巳様が気づいて止めに来てしまう。
裏庭の惨状…斬撃による衝撃破などでボロボロの状況。
あ、銀杏の木が3本倒れている…「白薔薇様(ロサ・ギガンティア)」藤堂志摩子様にバレたら二人は白薔薇系に伝わるという48の殺人技で消されるかもしれない(大汗)。
「まったく…祐巳様のご迷惑を考えない、ストーカーのジャンボは…(嘆息)。付きまとうだけでなく、厚かましくも妹(プティ・スール)でも狙っているのかしら?」
「そのお言葉はそちらへお返ししますわ♪常に祐巳様の動向を探っている祐巳様依存症のチンクシャのドリルさん?大きいのはおっぱいだけなのかしら?(ニッコリ)」
ピシッ!
ブッ!!(ドリルの額に浮かぶ無数の青筋!)
動けないため、舌戦になっているが、お互いの行動、身体的特徴までネタにしているため、当然のことながら沸点は(メチャクチャ)低い(汗)。
両者の額に無数の青筋が浮かぶ!その様子は幼稚舎の子供たちが見たなら、確実に泣く、いや泣かざるを得ない(キッパリ)。
「き、貴様のその言葉、宣戦布告と判断する!!」
「なにを今更…瞳子さんってばニブ過ぎるんじゃなくて?(クスクス)」
すでに交戦中であるのに、常に挑発し合う…。もはや互いしか見えないことは疑いもない。瞳子さんは幼少の頃より身につけた零式防衛術、『因果』を放つべく、後の先を狙い構える。可南子さんは修得したアバン流槍術より現在使える最速の必殺技の『海鳴閃(かいめいせん)』を放つべく槍を上段に構えた。
するとそこに…。
「わ〜〜〜〜〜っ、マテマテマテマテ!瞳子ちゃんも可南子ちゃんも落ち着け!」
今年の学園祭にゲストとして招かれた花寺学院高等部生徒会長にして、彼女たちの敬愛する祐巳様の弟・福沢祐麒さんが、おそらくは姉に頼まれたのだろう、止めには入る。どうやら二人のクラスメイト「白薔薇のつぼみ(ロサ・ギガンティア・アン・ブトゥン)」二条乃梨子さんと一緒に探していたらしく、やや遅れて乃梨子さんも走ってくる。
「ハァハァハァ、と、瞳子も可南子さんも、い、いい加減に、しなよ…ゼェゼェ」
どうやら走り出した祐麒さん(ちなみに後で聞いたら最高速のときは100m6秒フラットらしい←ってコブラかよ!)に追いつこうとしてちょっとっていうかかなり無理をしたらしい。息切れがひどい。
「「乃梨子さんも祐麒さんも黙っててください!!これは私たちの問題です!!」」
「いや、止めないと祐巳に怒られるんだけどね、オレが(汗)。」
あ、ヤベェ。こいつらマジでブチキレちゃってるYo!(汗)。乃梨子さんはとりあえず一匹ずつでも確実に仕止めよう(←待ちやがれ、おかっぱ!)と懐から愛用の独鈷杵(どっこしょ)を取り出し、『心の一方(不動金縛りの術)』をかける準備をしようとしたが、そのとき祐麒さんは明らかに二人の間合いの真ん中に入ろうとしていた…それもかなり無防備に。
「ゆ、祐麒さん、ま、マジで危険が危ないです!!」
乃梨子さんのその声を合図に瞳子さんと可南子さんは反射的に技を放ってしまった!
「零式防衛術 因果!!」
「アバン流槍術 海鳴閃!!」
ヤヴェ、祐麒さんが大怪我!?=祐巳様にバレる!?←マテ、巻き込まれる被害者を心配しやがれ、双子の怪獣w
己に向かって衝撃破が迫ってきても祐麒さんはもンのすごくマイペースだった…そりゃもう普段の祐巳様ぐらいに。
「「「ゆ、祐麒さん、避けてぇ〜〜〜〜!!(絶叫)」」」←だったらやめろよ、双子の怪獣(汗)
「ったく、祐巳のヤツ…。自分で止めろよ、これぐらい…。」
ズキュゥゥゥゥゥゥゥゥゥン!!
三人が悲鳴を上げた瞬間!
パシッ!
パシッ!!
『ソレ』が瞳子さんの剣と可南子さんの槍を受け止め、発生した衝撃を逃すと武器を取り上げ、二人の襟を掴んだまま振り返る。
それはまさに漆黒の巨人、『花寺学院の聖帝』、『拳王』の名をほしいままにする、生徒会長・福沢祐麒のスタンド(幽波紋)『ランページ・タイクーン(怒れる大君)』。猫のように二人をぶら下げたまま、祐麒さんはやっと追いついてきた姉の祐巳様の前に二人を差し出した。
「「ゆ、祐巳様…」」
「もう、二人とも!危ないじゃない!!仲良くしないとダメよ!(プンプン)」
いや、祐巳様既にそう言う状況ぢゃないです、多分…。銀杏の木倒れてるし、こいつら志摩子さんに殺されます、マジで。と乃梨子さんが思っていると祐巳様は。
軽く目を瞑ると、両手を胸の前で組んで何かに祈るような…。
祐巳様のお身体から真紅の修道衣(全く関係ないが超ミニ♪)を纏った影が現れる。祐巳様の持つ超級スタンド「クリムゾン・マリア(真紅の聖母)」だ。弟である祐麒さんの「ランページ・タイクーン」とともに、伝説のスタンド、スター・プラチナに匹敵する、世界最強の姉弟がそこにいた。祐巳様は両手を胸の前で組むと大きく深呼吸して歌い始めた。
♪マリアさまのこころ それは青空 わたしたちを包み込む大きな青空♪
祐巳様の歌に合わせ、周りの惨状が修復されていく。「クリムゾン・マリア」の能力、すべてのモノを癒やし修復する『聖母の癒やし』だ。倒れていた銀杏の木も元通りになる。それに一番安堵しているのは間違いなく乃梨子さんだろう。
皆、始めてみる福沢姉弟の強大な力に息を飲んでいた。
そりゃ、2年生でも天下取れるよな…と乃梨子さんは考えていたり。
あっけにとられている瞳子さんと可南子さんは気が付くと祐巳様に抱きつかれていた。そりゃもう、「ぎゅっ!」って感じで。
「「ゆ、ゆゆ、祐巳様っ!?(真っ赤)」」
「瞳子ちゃんも…可南子ちゃんも…怪我しちゃうよ。女の子なんだからネ?暴れたりしちゃダメだよ。」
そう言うと祐巳様はポケットからすごく長い鎖をつけたロザリオを二人にかけた。どうやら二人のために鎖をかけ変えたらしい。
これが、この時が、後に「双子の怪獣」と呼ばれることになる双子の「紅薔薇のつぼみの妹」松平瞳子さんと細川可南子さん、その姉で後に「薔薇の中の薔薇」「薔薇の天使」と呼ばれリリアン女学園で永遠に慕われることになる、「紅薔薇のつぼみ」福沢祐巳様の最初の一歩だった。
終わり♪
P.S.
「あぁ〜〜〜〜〜〜〜、祐巳さん、ありがとう〜〜〜〜〜(号泣)」
裏庭の銀杏の木に抱きついて頬擦りする「白薔薇様」藤堂志摩子様は、同級生で今回の騒ぎを収めてくれた親友「紅薔薇のつぼみ」福沢祐巳様にメッサ感謝していた。
そう、ここは「志摩子様の狩り場」と呼ばれる、大切な秋の収穫の場所なのである。
妹である乃梨子さんに昨日の騒ぎを聞いた瞬間、祐巳さんの双子の妹たちの抹殺計画を瞬時に48通り(48の殺人技!?)ほど作ったりしたのだが、乃梨子さんの必死の取りなしと祐巳さんの「ゴメンね(てへっ)」という一言で鎮静化した…。志摩子さん、アンタって(汗)。
志摩子さんはお礼に、祐巳さんの「双子の妹」が学校側に承認されるように工作を行ったのだ…そりゃもう念入りに(大汗)。火曜日(月曜日は学園祭の振替休日らしい)になぜかいらっしゃらず、自習になった先生が何人かいたけど、気にしたら負けだ!!(滝汗)
福沢祐麒(ふくざわ ゆうき)
(花寺学院高等部2年、生徒会長、福沢家長男)
「「あ〜〜れ〜〜、助けて〜〜、祐巳様が〜祐巳様が〜〜、悪い男たちに誘拐(さらわれ)る〜〜(棒読み)」」←つぼみの妹(剣と槍)
ズドドドドドドドドドドドドドッ!
「ランニング・ネックブリ〜〜カ〜〜・ドロ〜〜〜ップ!!(ものすごい勢いで(100mを6秒フラットってコブラかよ!)祐巳をナンパしようとしていた男二人の首を刈り、そのまま海に消えていく…)」
「「ユ、ユキチ、はえぇ〜〜〜〜っ!一瞬で見えなくなったぜ、今!!(汗)」」←花寺の友人一同
祐巳の1歳年下だが同学年の弟。花寺内部では細身で女顔な外見に似合わない、武闘派で知られる。ニックネームはユキチ。全く関係ないが超のつくシスコン(笑)。
実姉である祐巳が学園祭への協力で花寺を訪れたとき、ファンクラブが出来てしまい、対処に困っているのはお姉ちゃんにも内緒の秘密である(大爆)。
姉である祐巳がらみの時は、冗談抜きで空を斬り裂き、地を割り砕く神の領域をかいま見せる漢である。
結婚すると祐巳と義理とは言え本物の姉妹になれるため、小笠原祥子を筆頭とする紅薔薇系(松平瞳子、細川可南子)に虎視眈々と狙われていることを本人は幸運なことに気づいていない(合掌)。
柏木優(かしわぎ すぐる)
(花寺学院大学1年、前花寺学院高等部生徒会長)
一言で言うとホモ(爆)。詳しく言うと小笠原祥子様の従兄で元婚約者、山百合会の中では銀杏王子の称号を持つ世話焼きなナルシストのホモ(大爆)。
元・現薔薇様たちとの相性はとことん悪いが、なぜか祐巳にだけは親切なため、山百合会の中で密かに祐巳の貞操を心配した一部有志(ほぼ全員入っているかもしれないが…)が「紅薔薇のつぼみを守る会(会長:小笠原祥子様)」を結成し、警戒に当たっている(会のモットーは「見敵必殺(サーチ&デストロイ)」であるらしい…怖っ)。