いつもお世話になっております。王金田です。
Night Talkerの開設、おめでとうございます〜(^^
さらにこの度は、不肖わたくしめもお誘いいただき、お部屋まで作っていただいて恐縮至極でございます。
取りあえず手土産にと、昔書いたSSSをばアップさせていただきます。
いかんせんずいぶん前のものなので今出すのはいささか恥ずかしいですが……(汗
元になったのが某エロゲーという時点でも、それがお分かりいただけるかと(笑)
それはさておき、これからもなにとぞ、よろしくお願いします。
それでは、少しでもお楽しみいただけたら、幸いです。
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「……お兄ちゃん、あたしって……そんなに魅力無いの……? お兄ちゃんから見て、女としての魅力、全然感じない……?」
薄暗い、マンションの一室。
月明かりだけが照らすその室内で、少女はぶかぶかの男物のワイシャツ一枚という姿で彼の前に立っていた。
切なそうなその表情に、わずかに涙を浮かべて。
「ひのめちゃん……」
パジャマ代わりのシャツの下には、まだまだ未発達ではあるものの姉同様に母親譲りであろう、将来を充分期待させる見事なボディラインがうっすらと浮かんでいる。
少女、美神ひのめは、かつて彼がバイトをしていた除霊事務所の所長の妹だ。
彼、世界屈指のゴーストスイーパーである横島忠夫は、目の前ではかなげにたたずむ少女をただ呆然と見詰めていた。
「あたしね、あの頃からずっとお兄ちゃんの事が好きだった。でも、お兄ちゃんはお姉ちゃんが好きなんだって分かってたから、あたしは見てる事しか出来なくて……」
いつも除霊や買い物にまで、何かといってはくっついてきていた少女の事を思い出す。
「覚えてない? あの頃、お兄ちゃんがお姉ちゃんの事務所に来ると、必ずあたしが一番に出迎えてたでしょ? せめて最初に顔を見たかったの……」
そう。横島がまだ事務所に所属していた頃、まだ小学生だったひのめはいつも事務所に入り浸っていて、端から見ていて微笑ましいほど横島になついていたのだ。
きっとあれは、少女にとって精一杯の愛情表現だったのかもしれない。
「でも、あの時お兄ちゃんがいなくなって、あたしすっごく寂しかった。お姉ちゃんは放っとけって……お兄ちゃんの事を忘れろって言ってたけど、そんな事絶対に出来なかった」
横島が些細ないざこざから恋人でもあった美神令子の元を去ってから、すでに4年もの月日が流れていた。
美神除霊事務所を去ってから、彼は世界中を転々と渡り歩きながら、修行の旅を続けていたが、その間ただの一度も事務所に連絡を入れた事は無い。
仕事をする関係上、小竜姫やヒャクメ、それにワルキューレとは連絡をとってはいたものの、彼女らには美神に自分の居場所を知らせないように、と強く言ってあったのだ。
そして、かなりの実力を着けて日本に戻ってきた横島に最初に声をかけてきたのは、何故か六道女学院の理事長、つまりは冥子の母であった。
日本に帰っては来たものの美神の所に戻る気はさらさら無かった横島に、理事長は自分の学校の講師をやらないかと持ちかけてきた。
何でも最近教師が辞めてしまい、急遽人員を募集していたのだという。
それで無くとも、有能なゴーストスイーパーは希少な存在である。一人でも多く確保したいというのが彼女の本音でもあるだろう。
横島は、自分がこの学院にいる事を美神に教えないという条件で、それを了承した。
そして、就任当日。
朝礼で杓子定規な挨拶をした横島は、それが終わった後に、一人の生徒に声をかけられた。
その生徒こそ、ひのめだったのだ。
昔の面影こそ色濃く残しているものの、すっかり見違えるほどに成長したひのめに横島は目を疑った。
何しろ彼にとっては、ひのめはまだ小学生の女の子、妹みたいな娘でしかなかったのだから。
ひのめも、大好きだった「お兄ちゃん」に会えたのが嬉しくて、まるで小犬のようにまとわりついてくる。
そうしてしばらく二人で他愛も無い話に華を咲かせ、すっかり打ち解けたひのめは「お姉ちゃんに言っちゃうぞ」という殺し文句を盾に彼の家へ遊びに訪れた。
といっても、当然昔のぼろアパートではなく、六道理事長が社宅にと用意してくれた立派なマンションであった。
そこでかいがいしく手料理を作るひのめに、横島もすっかり心を和ませていた。
この数年、世界各地で生き馬の目を抜くような激しい抗争を繰り広げてきた彼にとって、ひのめの明るい笑顔はすっかり翳っていた自分の心に射した一筋の光のように感じられたのだった。
そして、夜。
泊まっていくと言って聞かないひのめに、横島は仕方なく自分のワイシャツを貸してやった。
それを着て無邪気に喜ぶひのめを見て、横島はやはり妹を見るような気持ちになっていた。
そう、ついさっきまでは。
今、彼女はシャツ一枚という姿で自分の前に立っている。
その表情は、「妹」から間違い無く「女」のそれになっていた。
「でも、こうして再会できたのはきっと神様が私の願いを叶えてくれたんだって、神様があたしにチャンスをくれたんだって思う」
そう言うとひのめは、感極まったように横島に抱き付いてきた。
「お兄ちゃん、好き……大好き。だから……」
「……いいんだね」
必死にすがりついてくるひのめを、横島は優しく抱き締めてやったのだった。
「……あのひのめちゃんが、なあ……」
今、自分の腕を枕にして、安らかな表情で寝息を立てている少女の顔を眺め、横島はポツリといった。
彼女の目元にある涙の残滓が、先ほどまでの行為が彼女にとってどれだけつらかったのかを物語っている。
しかしそれでも、泣き事ひとつ言わずに自分に身を任せてきたひのめを、横島は心からいとおしく感じていた。
「……寝るか…………明日から、忙しくなりそうだしな」
横島はそう独りごちると、そっとひのめにシーツを被せて、自分もその中に潜り込んだ。
一方その頃、隣室では。
「ぐふふ、横島さんってば、やっぱり手が早いのねー」
「生徒に手を出してしまった以上、学校側としてもしかるべき措置を取らなければなりませんねえ。ふふふ、責任はキチンと取ってもらわないと」
「やっぱり、あの素直じゃないバカムスメよりあの娘でいって正解だったわね。これで横島くんは私の義理の息子……ふふふ」
「よ、横島さん……やっぱり、若くておっぱいの大きい娘のほうがいいんですね……」
「ふむ。やっぱり、仮想兄妹プレイはヨコシマにとってツボだったか。また今度もそれでいくとしよう」
と、五つの怪しい影がひそひそとささやき合っていたのだった。