「あの……そんなに見ないで下さい……」
小鳩は消え入りそうな声でそう言った。
「何をいってるんだい、小鳩」
横島は普段は絶対にしないような表情、仕草、声をしている。
いつもの横島を陽とするのであれば、今は陰、いや黒といってもいいかもしれない。
「俺に見せるために着てくれたんだろう?」
「は、はい……」
「じゃあ、よく見せてくれないとな。そこに立ってごらん」
「……はい」
おずおずと小鳩は直立した。
バニーガールのようなボディースーツに近い衣装。
しかし、それは腰まで切れ上がったハイレグにヘソの部分だけ窓が空いている。
だが、それだけではない。首には襟がなく、チョーカーと大き目の鈴。
そして、耳も草食系動物のそれではあるが、ずっと短い。
そう、まとめていうならば、カウガールというべきだろう。それも、男を欲情させるための、牛娘だ。
「さあ、その手もどけるんだ」
「で、でも……」
恥ずかしがって胸を隠している手を離そうとしない。
横島は目を細めて厳しい視線を浴びせる。
「俺の言ったことがきけないのか?」
「い、いえ、違います」
慌てて小鳩は手を降ろす。
「うん。いい子だ」
一転、横島は優しい笑顔を見せる。
「あ、ありがとうございます!」
その表情を向けられただけで、小鳩は上気してしまう。
「よし、じゃあ、よく見せてもらおう」
横島は舐めまわすような視線で小鳩の肢体を鑑賞する。
やはり特筆すべきはその巨乳だろう。スーツから半ばはみ出しているそれは、辛うじてその頂点を覆っているにすぎなかった。
「よくにあってるよ、小鳩」
「は、はい……ありがとう……ございます」
顔を真っ赤にした小鳩は、何か震えるようにして耐えている。
「おや。慣れないハイヒールで足が疲れたのかな?」
とぼけた調子で横島が聞く。
「あ、ち、ちが……」
そんなことは横島は百も承知だ。
内股をこすりつけるように身をよじり、スーツの上からでも乳首が勃っているのがわかるのだから。
小鳩は横島に命令され、見られるだけで発情しているのだ。
「じゃあ、どうしたんだい?」
「あ……ご主人様、小鳩を……小鳩を、かわいがってくださいませ……」
小鳩は我慢できないとばかりに口を開いた。
その事に横島は満足そうに“黒い”笑いをする。
「くっくっくっくっ……。わかってるさ。さあ、こっちにきな」
「は、はいっ!」
喜色を浮かべた小鳩が一歩を踏み出す。
「何をしている!」
だが、すかさず横島の叱責が飛ぶ。
「え、あ、その……」
こいといったのは横島なのに。
わけもわからずに小鳩はうろたえる。もはや小鳩にとって横島は全てなのだ。
「今日の小鳩は牛なんだろう? じゃあ、それらしくしないとな」
「え?」
「牛らしくしろってことだ」
ようやく横島が何を言っているかがわかった。
「はい。ご主人様……」
小鳩は一端、座るようにした後、四つんばいになって歩みなおした。
大きく左右にゆれざるをえないから、首つけられた鈴が、まるで本物の家畜であるかのような音をたてる。
「そうだ。それでいい」
ようやく近くまで――足元まできた小鳩の頭をペットにそうするように撫でる。
そうすると、なんともいえない安堵の表情を小鳩が浮かべた。
「ありがとうございます」
「いい返事だ」
横島は足を小鳩の顔の前に投げ出した。
それだけで何を求められているかわかる。
小鳩は一度深々と頭を下げると、素足の横島の足に口を近づけていった。
「ご奉仕させていただきます」
横島の足の指を口に含む。
ぴちゃ、くちゃ、ぴちょ……
湿った音が響く。
爪の先から指の間まで、あますところなく何度も舐め上げると、次の指にうつる。それを親指から小指まで続けたかと思うと、また、親指へと戻っていく。何往復かしたところで、横島はもう片方の足を上げた。
小鳩はすぐに奉仕する足を変え、再び親指から丹念に舐め上げていく。
うんふ……はふっ……
決して口が塞がれているからだけでない鼻にかかった吐息が漏れている。
もちろん、恍惚とした表情を見ていれば、理由は明白だ。
「どうしたんだい。そんな動きをしろといったか?」
足をすりあわせるようにして腰が動いている。
「あっ!」
小鳩の嬌声があがった。
横島がさっきまで奉仕されていた足先を小鳩の股間にもぐらせたのだ。
思わず小鳩の口が横島の足から離れる。
「あくぅ……くう……」
小鳩の身体から力が抜け、横島の足にすがりつくような格好になる。
「随分と気分を出してるじゃないか」
横島は意地の悪い声で言う。
すでに横島は足を動かしていない。小鳩が自ら腰を擦り付けるようしている。
「だが、やめろといった覚えはないぞ」
「あ、も、申し訳ありません」
慌てて横島の足を含もうとする。
しかし、横島はついとその足を遠ざけた。
「もう気分がそがれた」
横島は腰を浮かすと、その場から立ち去ろうとする。
「ま、待ってください。小鳩が悪かったです」
その足に、小鳩は文字通りすがりついた。
「悪かった、か……」
「言われたおり何でもします。ですから、見捨てない下さい!」
横島は自らの調教の成果が――彼なりの愛のカタチが成就していることに満足感を覚えた。
「ほう。じゃあ、俺の命令にきちんと従ってもらおうか」
「は、はい!」
横島は小鳩を改めて四つん這いにさせる。
「牛だからなぁ。一つ足りないな」
そういうと横島は、どこから取り出したのか、金属のリングを手に取って小鳩の鼻にひっかけた。
「くうっ!」
もちろん、ピアスなどではなく挟むタイプのものだが、それなりにテンションがかかっているから痛みはある。
「どうした?」
「い、いえ。ありがとうございます」
「ん? おかしいなぁ? 牛が人間の言葉をしゃべってるな」
「……」
「牛はなんてなくのかな?」
「……もー」
「うん、いい返事だ」
「もー、もー」
横島は愛しそうに小鳩の頭をなでる。
小鳩も目を細めてそれに喜びをあらわす。
「さーて、牛といえばやんなきゃいけないことがるよな」
横島は小鳩の真横に腰をおとす。
「さあて……」
横島は小鳩の胸の根元をわしづかみにした。
そして、力を入れたまま先端までを搾り上げていく。
小鳩はその刺激に一瞬、喘いでみせた。
「ふーん、やっぱりおっきな胸だな。こりゃ両手使わないと駄目か」
今度は両手で根元からしごきあげる。
それは搾乳を真似たものである。
容赦なしに力を加えて扱きあげるのだから、かなりの痛みがある筈だ。
実際、小鳩は耐えるように身体を震わしている。
だが、横島は気付いていた。
彼の“搾乳”により、はだけ、あらわになった胸の先端にある乳首がはっきりと立っていることを。
「んー、なかなか乳はでないねぇ」
妊娠もしていないのに、でるわけがない。
そんなことは横島も承知の上だが、いかにも小鳩が悪いという口ぶりで、彼女を責めているのだ。
「そうだ。先っぽで詰まってるんだな」
言うや、横島は両の乳首を強く摘み上げた。
「あ、あぐぅっ!!」
小鳩は声にならない叫びと同時に、身体を弓なりにそらす。
そして、次の瞬間には上半身を床に突っ伏してしまった。
いってしまった身体に力が入らないのだ。
「どうした?」
「…も、もー」
全てがわかっいるのに、そう言う横島に、小鳩はそれでも律儀に鳴き声でこたえる。
ただ、目で訴えた。
「ふふ。しょうがないなぁ、おねだりかい」
横島の表情は慈愛に満ちていた。
それが自分に向けられているのを見ると、小鳩は横島に何もかもを捧げていることをこの上もない幸福だと感じられる。
「よし!」
横島は小鳩の背後にまわった。
上半身はつっぷしたままだから、お尻を突き上げている格好だ。
横島が観察するには丁度よい。
「ほぉ。ミルクがでないと思ってたけど、こっちからは何か出ているようじゃないか」
スーツの股間ははっきりとわかるほど湿り気を帯びて、そこだけ色が変わっている。それどころか布に吸収しきれない分が内腿を伝わって光の筋をつくっていた。
横島は人差し指を、軽く、しかし、小鳩の急所にピンポイントで触れる。
「も、あ、ひゃうっっ!」
それだけで、小鳩は軽い絶頂に達した。
「おいおい、まだ早いよ」
だが、小鳩の準備が万全すぎるほどであることはわかった。
横島はハイレグに切れ上がったスーツを横にずらし、小鳩のそこを露出させる。
そして、一気に小鳩を辛いた。
「あああっっ!!」
すでに十分に濡れていたとはいえ、横島の巨大なものを一気に奥まで撃ちこまれては、その衝撃は想像にあまりある。だが、それすら小鳩の身体は快感として捉えられるようになっていた。
「なんだ、一突きでいっちゃったのか。それじゃあ、もたないぞ」
言いながら横島は、腰を何度も打ち付けていく。
「ああっ! きひぃ! あぐうっ!!」
そのワンストークごとに快感の頂点に達し、そして、ワンストロークごとに頂点が高くなっていく。
「うぐわうっ! がはっ! うぐうっ!」
まるで苦痛の叫びと見まがうばかりの喘ぎ声をあげる小鳩は、いわゆるいきっぱなしの状態だ。
それゆえに間断なく、きつく締め付けてくる。
横島もついには根をあげざるをえなくなった。
「くっ、中に出すぞ!」
「あ、あひっぃ、下さい、中に下さいぃぃぃ!」
一段の締め付けに、横島はその精を放つ。
「ああ、でてる、出されてるうぅっっ」
それを膣の内壁に感じて、小鳩は最後の、しかし、最高の絶頂に達した。
「くっくっくっ。いい具合だったよ」
横島はすっかり力が抜け、支えられているだけの小鳩からモノを引き抜く。
収まりきらない大量の精液が、愛液とともに流れ出る。
「あっ……」
抜かれることを感じた小鳩は身を震わす。
しかし、朦朧とした意識ながら、すぐに、なけなしの力を使って態勢を変え、横島のモノに口をつけた。
行為が終わったら、口で綺麗にする。横島から教育されたことだ。
一生懸命にそれを守っている小鳩に、横島は優しく声をかける。
「小鳩、愛してるよ。人とは違うやり方かもしれないけど……」
「わかっています。私、愛されていることを知ってます。どこまでも、ついていきます」
愛のカタチは千差万別。
それは世間から異常といわれたりするものかもしれない。
だが、当人達は、確かに互いの温もりを感じ、幸福を感じている。
まぎれもない愛がそこにはあった。