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「来訪者、横島忠夫 第7話(鬼畜王ランス+GS)」

真空ワカメ (2007-03-05 07:43)

間が空きすぎてるんで過去ログの来訪者を見てから続きを見たほうがよろしいと思います。


来訪者、横島忠夫 第7話


「ふむ……見たところどうやらここは戦場のようじゃな」


リーザス軍の死体で埋まっている周りを見渡して織姫はそう判断する。
突如現れた織姫は一瞬にしてその場の空気を支配していた。


「なんだあのバケモノは、魔人の援軍か?」

「しかしあちらの天使を倒していましたしそうとは言えないのでは?」


しばしの間固まっていたランスとリックはようやく立ち直り織姫を見定めようとしていた。
ランスにしてもリックにしても正体不明の織姫に対してどう対応すればいいのかわからず
簡単に身動きが取れない状況になっていた。
腕の一振りで偽エンジェルナイトを消滅させる、それこそ魔人のような力を持つ織姫
を迂闊な対応で敵に回すのは不味いと無意識の内に判断したからである。


「人間対魔族、といった所かのう。わらわとしてはどうでもいいが……」


織姫の目は凛々と輝いていた。例えるなら獲物を見つけた肉食獣。
その視線は───────────ランスとリックに向けられていた。


「あれほど良い男を見殺しにするのはわらわの趣味では無いのう」


そう言って舌なめずりをする。
リックの顔は兜によって完全に隠れているのだがそこは圧倒的な力を持つ天上神。
何故かはわからないがリックが美形であると見抜いていた。


(それに確かこの世界のキーになる者達だったはず。この者達の側につけばいずれダーリンにも会えるはずじゃ)


一応自分がここに来た理由を忘れてはいなかったようだ。ちなみにダーリンとは横島のことである。
以前横島が七夕の日に「いい女と運命の出会いがしたい」と短冊一杯に書いた願いを受けて
舞い降りた事がありそこで横島とラブラブな関係になっていたのである(本人主観)
最後は恋人である彦星に対してもう浮気はしないと誓った織姫であったがそこはそれ。
別世界だからいいや等と自己弁護をしている。

得体の知れぬ恐怖に狩られているランスとリックを尻目にサイゼルは一人怒り狂っていた。


「よくもあたしの部下達を……食らえ氷雪吹雪!!」


サイゼルの魔法が織姫に向かって放たれる。
不意打ち気味に放たれた魔法が織姫に直撃するが食らっている本人は平然としたまま


「ふんっ!!」


怒声とも言えるぐらいの大声と共に出した気合で魔法を消し飛ばす。


「な、なんですって!あたしの魔法があんなにも簡単に……」

「その程度の攻撃でわらわに傷をつけることなどできぬわ」


言うと同時に織姫の体がサイゼルのいる上空へと飛び跳ねる。
軽やかに弾むその体は肉団子の如し。
ゴムマリのように飛び跳ね一瞬でサイゼルの背後に回るとそのまま首をホールドした。


「とりあえずお主は今回は引け。わらわとしても無益な殺生は避けたいのじゃ」


完全に上から見下したその発言はサイゼルのプライドを面白いぐらいに刺激していた。


「な、な、な……人間の分際で舐めた口を聞くな!!く…このっ…外れない…」


魔人の力をフルに使い首に巻きついている腕を外そうとするがビクともしない。
それ所か更に力を込められ首がどんどんと絞まっていってしまう。


「ぐ……かはぁ……な、なんで……人間のくせにあたしが……」


自分より格下の筈の人間相手に苦しめられサイゼルは完全にパニックに陥っていた。
今まで味わった事の無い苦しさを味わい徐々に意識が薄れていく。


「こら、そこの筋肉ダルマ!カワイイ子を虐める奴は俺様が許さん!」

「………え?」


しばし無視されていたランスが織姫の方に向かって罵声を浴びせていた。


「この者はそなた達に危害を加えているように見えたが違ったのか?」

「うるさい!例え1分前まで敵だったとしても俺様はカワイイ女の子の味方なのだ!」


ランスから見れば織姫は女の子を虐めているむさい人間にすぎない。
自軍のピンチを救ったとか魔人を追い詰めている等様々あるつっこみ所を全て無視している。


「むう……自分の信念に従う一本筋の通った男よのう。あい分かった、この者を解放しよう」


サイゼルをあっさりと解放した織姫であるが
視線はランスの方を向いておりあまつさえ頬を赤らめているではないか。
ある意味男らしいランスの姿はしっかりと一人の男女(おとめ)乙女の心を掴んでいた。


「げほっ!げほっ!……くっ、覚えてなさい!」


咳き込んでいたサイゼルも息が整うと同時のその場から飛び去った。
慣れない痛みで混乱してしまい、サイゼルの頭には既に戦いを続けるという選択肢はなかったのだ。

サイゼルが飛び去った方を見ていた織姫だったがフッと鼻で笑いゆっくりとランス達の方へと向きを変えた。
その余裕たっぷりな仕草はダンディズムに満ち溢れているがそれには誰も触れなかった。


「くそ!貴様ら、あれはバケモンだぞ、気合入れろ!」


ランス達は残った兵達の体制を整え対織姫の布陣を引いていた。


「待つのじゃ、わらわはお主達と戦う気は……」


「バイラウェイ!」


衝撃で音とともに砂煙が大きく舞い上がる。
織姫の背後に回っていたリックが己の必殺技であるバイラウェイを放っていた。
己の騎士道から外れている卑怯とも言える不意打ちではあったが
リック自身織姫に脅威(いろんな意味で)を感じていた為殲滅を優先したのである


「……少し、痛かったぞよ」


砂煙が晴れていくとそこには赤く光る魔法剣、バイ・ロードを素手で掴んでいる織姫の姿があった。


「何!……うわぁ!」


織姫は手に持った剣をそのまま引き寄せリックを自分の胸元に引き寄せた。
リックの顔が織姫の胸に当たったがむにゅっとかパフッ等の柔らかそうな擬音は全く発生しなかった。


「むふふふ……やはりそちはいい男よのう」

「く……なんという力。全く……外れん!」

「しかしそちの顔を隠すこの兜は……少々邪魔じゃのう」

「え………あっ!」


リックのつぶやきは既に織姫の手によって兜を引っぺがされてからだった。


「うわああああああぁああああ!!た、助けて!怖いよう!!誰か、誰かあああ!」

「おっとと、どうしたのじゃ急に」

「離して!離してええ!!怖いよおおお!」


リックは兜の下に隠れていた端整な顔を見るも無残な泣き顔に変えて悲鳴を上げ続ける。
その姿を遠目から見ていたランスが焦りだした。


「まずい!リックの兜が取れやがった!」

「ランス王!」


リックに変わりにランスの隣にいた青の軍の将軍コルドバがたまらず声をかける。
赤の将軍リックが兜を外すとモンスター達に対して極度に怯えてしまうことを知っていた為だ。
織姫が当然の様にモンスターと同類扱いになっているのは気にしてはいけない。


「コルドバか。見ての通りリックはもう役立たずだ。俺様の軍とお前の軍で総攻撃をかけるぞ!」

「承知しました!全軍突撃!」


コルドバの号令と共に兵士達が一斉に織姫に襲い掛かった。
が、かなりの距離があった為織姫にたどりつくまで多少の時間がかかってしまう。
織姫は兵士達が自分に向かって襲い掛かってきているのを全く気にせず
泣き続けているリックをあやしていた(本人主観)


「お〜ほれほれ泣くでない。わらわがついておる。何も恐れることはないぞよ?」

「うわあ〜ん!離してよ〜〜!!」

「……ごくりっ……泣き顔が非常にこう……そそるのう……」

「ひぃぃ!!」


生唾を飲み真っ赤な顔でハァハァしている織姫にリックの恐怖心が更に煽られる。
織姫としてもこのようなチャンスを逃す気は毛頭なく理性等という物はとっくの昔に切れていた。


「やはりまずは……せ、接吻からじゃな……」

「いやぁぁぁぁ!!!やめて!お願い!許して!」

「ん〜〜〜〜」


目を閉じて唇を突き出しゆっくりと、しかし確実にリックの唇へと進軍を進める織姫。
いやいやと首を振り必死に逃れようとしていたリックだったが
片手で首を固定されてしまい、いよいよ抵抗も出来なくなってしまった。


「リーーーーック!!」


ぶっちゅううううう


ランスの悲痛な叫びはあまりにも大きな接吻の音でかき消されてしまった。
どこからともなくズキュウウゥンと効果音が聞こえたような気がしたが今はそれ所ではない。


「んふ、んふ………べちゃ、ぴちゃ…」

「…………………………」

「うわぁ…………」


誰が言っただろうか、あるいは誰もが言ったのか。
目の前で繰り広げられている接吻はむしろ捕食と言った方が近い光景であった。
始めの内は手足をバタつかして抵抗していたリックも今では力なくされるがままであった。
誰もが動けなかった。あまりにも無慈悲なその光景を見ていることしかできなかった。
ランスでさえも完全に固まっていた。


「…………ぷはぁ〜!……ふふ、中々よかったぞよ」


どれほどの時間が立ったかはわからないがようやく満足した織姫はリックから口を離した。
膝から崩れ落ちぴくりとも動かないリックは金髪も白くなっておりもう駄目そうだった。


「………あ、リ、リック!!大丈夫か!」


もちろん大丈夫ではないリックは主君であるランスの問いかけにも反応しなかった。


「リック将軍の敵討ちだ!全軍突撃!!」


コルドバは恐怖を振り払うかのごとく叫んだ。
それに従い兵士達も必死の形相で織姫に襲い掛かった。ほぼ皆半泣きである。


「む、少々遊びが過ぎたようじゃな」


あくまでも慌てない織姫。兵士には目もくれずランスへと熱視線を送る。


「わらわに策あり、じゃな。ここは一旦引くが……待ってってねマイダーリン(はーと)」


視線が合ってしまい硬直していたランスにウインクを決め織姫はその場から飛び立ち離脱していった。
この場合のダーリンとは横島ではなくランスである。


「ぐわぁぁぁぁ!!筋肉ダルマにウインクされた!鳥肌があぁ!」

「ランス王、落ち着いて下され!」

「うわぁあぁぁ、気持ちわりぃぃぃ!」

「いた、いた、ランス王暴れんで下さい」

のた打ち回るランスをコルドバが必死に抑えようとするが効果は泣く時間だけが過ぎていった。

一般兵士 多数死亡

リック   多分死亡

ランス   鳥肌多数

コルドバ 軽症


リーザス軍の今回の対魔物戦は深刻な被害をもたらしてしまい今後の軍事活動にも大きな影響を及ぼすのであった。


後書き

気がつけば一年以上ほったらかしでしたね。お久しぶりです真空ワカメです。
shuttleさんがランスとGSのクロスを書いてるのに最近気づいて嬉しくなって続きを書き始めた次第です。
短いですけどね。
内容を忘れてる人は読み直してくれると有難いです。
1,2話はGS小ネタの方のログにありますんで。


18禁指定にした方がよかっただろうか。


△記事頭

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