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▽レス始

「PERSONA〜JACKAL JOKER's〜(ペルソナシリーズ+複数クロス)」

シューター99 (2007-02-24 14:58)

注!!:この作品は其々の作品における主要メンバーがあまり登場しません。代わりにMMM団やオリキャラ等が目立つことになると思います。
また、この作品はペルソナシリーズと複数作品のクロスです。ちなみに筆者は『ペルソナ2 罰 ETERNAL PUNISHMENT』で限界の上におてあげ侍だったため、ペルソナ3は公式資料集とペルソナ倶楽部からの知識しか持っていません。おまけにこの作品は筆者の妄想がつまっているので、原作の面影は殆どありません。
最後に、作品には表現上必要なためにキャラを批判するような言動等も含まれています。ヘイト作品ではないのですが。
以上のことを踏まえたうえで、この作品を講読してください。


      PERSONA〜JACKAL JOKER‘s〜


                        OP the WORLD


見開かれる 赤い瞳と金色の瞳

激しく流れていく雲を見上げる、ジャッカルの仮面を手に取った二人の少年。
二人の足元から伸びる、異形の神の影。影の手から手渡される、2枚のタロットカード。

赤い瞳の忠夫と金色の瞳の和樹が、背中合わせで都庁の鉄塔に立ち、ペルソナを発動させる。
シャドウたちが恐れおののき、赤い満月が空に輝く。

タイトルが映り、フェードアウト。

金色の蝶の片羽が、暗闇に舞い落ちる。
東京タワーの頂上から街を見下ろす忠夫。雑踏の中、ただ人々を見送りながら、和樹はタロットを弄ぶ。
和樹のすぐ隣を、黒い表紙のノートを持った誰かが歩いていく。

もう一枚の片羽が舞い落ち、半裸でシーツに横たわる二人の少女が映る。彼女たちの胸の谷間には、タロットが挟み込まれている。

フィレモンとイゴールが映り、東京が闇に包まれた瞬間、満月を背にした二人のJOKERが振り向く。

四人のタロットが光りを放ち、ペルソナが発動。襲い来る悪魔や天使、シャドウを次々に撃破していく。

影時間に支配された街を歩く二人の少女。その前に、光りを背にして手を差し出す忠夫と和樹が現われ、彼女たちは手を伸ばす。

闇の中、金色の蝶が舞い飛び、四人のタロットに光りを落とす。


JOKER―――悲しみを覆い隠す仮面に心を委ね、すべてを忘れて踊りおどける哀れな道化師
JOKER―――怒りに吹き荒ぶ心を仮面に委ね、すべてを背負って生きる喜劇役者
JOKER―――心安らげる乙女の胸に抱かれて、金色今宵、乙女のために踊り続ける戦いの調べ


もし、この戦いに仲間との繋がりを見出したいのなら、すぐにでも別のページか若しくは他の掲示板へ行くことをお勧めする。
この物語に、JOKERたちの背後にある人間は一切関係ないし寧ろ彼らを苦しめるだけにしか過ぎない存在なのだ。
したがって、彼らの『元』友人らがいかに優しい人間だったとしても、JOKERたちの立場には何の変化もないし邪魔なだけだ。
ただ、誤解しないで欲しいのは、彼らはJOKERたちを最初から傷つけたくてそうしたのではないということだ。結果的に繋がっていたはずの絆が断ち切られ、少し距離を置かなければならないようになってしまっただけなのだ。

『金色の蝶』が見出したのはJOKERたちであり、他の人物ではなかったというだけであって、彼らが何もかも悪いわけではないのだ。


一人目のJOKERは、常に微笑みを絶やさなかった。すこしぐらいひどい眼にあったとしても、風呂を覗いたり美女を見ればナンパしたりと普通の少年だった。

二人目のJOKERは、少しひどい目にあうことが多い性格だった。生まれもった力の所為でいろいろと大変なことにはなっていたが、でも、楽しいと思えるようになっていた。


だが、JOKERたちの本当の心はそうではなかった。
なぜ、いつも自分だけがこんなつらい立場にいなければならないのだろう?
なぜ、他の奴らだけがイイ目を見ているのに、自分がこんなに割を食うのだろう?
どうして、自分はいつも他の奴らの引き立て役のようなコトしかないのだろう?

―――憎い・・・・奴らが憎い・・・
―――何で、僕ばかりこんなことになるの?どうして僕は平和に暮らせないの?

「「「なら、力が欲しい」」」

これが、彼らに共通した本当の思いだった。
誰でも他人を憎み、羨みそして妬むものである。それは大抵の場合、他のことで憂さ晴らしをして楽しんだり、自分の得意分野で努力して他人に認められたりすることで解消されていく。
だが、JOKERたちの心は闇に染まり、結果としてそれは魔界に住む大悪魔たちの心とリンクすることとなるのだった。

―――それが、彼らの記憶に秘められた過去の扉を。罪に彩られた彼らの過去に繋がるとは、誰も気がつかずに、物語はスタートする。

さて、幕を開けるとしよう。JOKERと彼らに寄り添う女神たちの物語の幕を・・・・


序幕・機.▲魅咼垢篭任鉾世


ここは悪魔たちが生息する魔界政府王朝・パンデモニウム。ここでは日々魔界のことはもちろんのこと、人間界で起こる様々な事件を捜査し解決する激務に追われている悪魔たちがゴマンといる。
ここでは今までに人間界で起こったある事件を徹底討論していた。
JOKER事件である。
何らかの事故によりパワーバランスが大幅に崩れるたびに、魔界や神界に生息する低級天使や悪魔が人間界に大量に侵入し、それによってJOKERと呼ばれる謎の人物が事件を引き起こすのだ。

そして、何らかの要素を持った人間が現す力―――ペルソナ。

ペルソナとは本来、人間が心の奥底に持つ人格を指す。天使のように高潔で優しい人格や悪魔のように邪悪で残酷な人格。性格の他には、運動が得意な人格など様々な才能を持つ人格も存在することがわかっている。多重人格という特殊な病が現す有名な例では、ある婦女暴行事件で逮捕された犯人には、空手や殺人術の得意な人格が存在し、監房の便器を素手の拳で叩き壊したという記録が残っている。
しかし、このペルソナと呼ばれる能力は明らかに異質だった。本来、まったく関係のないはずの天使や悪魔たちの力の一部と人間の人格がリンクするなどあり得ないことなのだ。
この事態を重く見た各界の重鎮や首脳陣たちは、夫々博学な者達を集め事件の解決をすることにした。今日の議題もそれによるもので、天界一の賢人・大天使メタトロンの最終報告が終わったところだった。
だが、結果は―――

「な、なんたることだ!!賢人・メタトロン殿にもわからぬ謎があったというのか!?」

こちらも賢人・オーディンがマホガニー製の机を思いっきり叩いて叫んだ。
その声に議場は騒然となった。神々の賢人たちの中ではもっとも知己に富んだ大天使・メタトロン。その彼が解明できないとなると、いったいどういう理由でこの事件が起こったのか皆目見当がつかないことになる。一部の者たちは人間界への渡航許可を申請し自ら解明に乗り出そうとしたが、それは大きな混乱や魔力・神力の乱れを引き起こすということで却下された。

「では、今までの事件例に関する要素はまったくのバラバラだったということか?」

闘神・アシュラの言葉に、メタトロンは深く頷いた。
今までの要素。それは事件によってペルソナ使いとなった人間たちの因果関係による過去と、JOKERが発生する条件である。
過去の事件では、ペルソナ使いとなった者たちが何らかの関わりを持ち、それが記憶の奥底に眠る恐怖や衝動を引き起こしてペルソナが発動していた。ところが、今回起こった事件は珠領椹圈港区だったが、過去に関係のあった人物同士が出会いペルソナを発動させたわけではなかった。また、過去にペルソナを発動しJOKERと戦ったにも関わらずまったくの無反応だったのだ。何らかの暴走による平行世界の可能性もあったが、それだけの証拠が集められなかったため却下された。
さらに、今までのキーマンであったJOKERが存在しなかったということも大きな要因だった。JOKERはある種のカリスマ性を持ち、次々に人々に伝えられて具現化もしくは人間に宿る。その点から見れば、今回の事件にはそれに該当するような人物が多々存在していた。にもかかわらず、JOKER化する人間は現われなかったのだ。

「まことに申し訳ない。皆が私を信用して任せてくださったと言うのに、このような結果しか残せずに・・・」

「いや、そんなことはない。メタトロン様が答えを出せなかったとはいえ、何もかもが振り出しに戻ったわけではない。カオスストームのメカニズムの変調が、人間界に悪影響を及ぼすことは解明できたのだから。」

ミカエルは優しく肩を叩いた。彼の言うとおりだと皆が思い、惜しみない拍手が送られた。

カオス・ストーム。神や悪魔たちのエネルギーの坩堝とでも言うべき、いわば“混沌”の霊気磁場が集約した巨大な属性不明物体である。
かつて、神が世界や人間を生み出したとされる物質もここから生成されたものであり、全ての真理がここにあると言っても過言ではないだろう。
しかし、その内部構造はとても不安定なもので、未だに解明されない未知の領域がまだまだ存在している。メタトロンはそのエネルギーの反応データから、人間界で起こる大災害や虐殺などの大惨事と関係のある波長をこの混沌の内部構造が刻むパターンから解明した。その中に、過去に起きたペルソナ発動事件に関するパターンが見つかったのだ。
このことから、神族と魔族は其々のグループでカオス・ストームの解析と監視を行うことにした。
しかし、メタトロンが発見した以上のデータは見つからずここまで来てしまった。20世紀末のハルマゲドンは防ぐことが出来たが、ペルソナ発動に関してはどうやっても対策を立てることができないと言うこの現状に苛立ちと焦りを感じ始めていた。
メタトロン・オーディン・菅原道真という神魔界三賢者も、この問題には頭を抱えるばかりか両手を挙げて『お手上げ侍』とやるしかない。

と、そのとき議場にいた一人の悪魔が手を上げて発言を求めた。

「セト殿?いかがなされた」

「メタトロン殿、どうかこれから話すことにお気を悪くされないでいただきたい。もしや、あなた様は一つの結論に達せられているのではないですか?」

その言葉に、またも議場は騒然となった。賢人たるメタトロンが伝えなかった結論、嘘を言うはずない彼が自分たちを欺くはずはない。
しかし、セトもまた真実を求める聡明な悪魔として名高い存在。全員が――セトを嫌うイシスでさえも、次の言葉に聞き入った。
メタトロンが少し困った顔をして顔を伏せたのを見て、セトは少し表情を和らげた。

「メタトロン様、私はあなたを侮辱しようとこのようなことを言っているのではありません。あなた様の聡明な頭脳はよく知っているつもりですし、あなたが嘘をつく方でもないことを理解しています。ですが、このことに関しては仮定の一つとして、皆が知っておくべきと考えます」

「セト様、あなた様がたどり着かれた真実と言うのは?」

書記官・トトが尋ねると、セトは場を見渡して静かに話し出した。

「真実ではない、ただの仮定としての話だ。―――トトよ、お前はペルソナを扱う人間たちを見ていて何かしら気がついたことはないか?」

「はあ・・・・強いてあげるならば、どの神々とも少し似通った性格というか・・・ああ!!」

「気がついたか・・・・そう、ペルソナ使いと我ら神々は似通った性格をしている。しかし、関係のない人間が同じような性格を寸分の違いもなくしていることなどありえるだろうか?否!!断じて否である!!すなわち、ペルソナ使いの精神には我々が常に放出している霊圧が人間製造過程で部品の一部として組み込まれ、それが何らかの影響によって発動することでペルソナとして具現化されるのだ」

セトは議場の中央に進み出ると、羊皮紙で出来た大きなテキストを黒板に貼り付けそれをスクリーンの代わりにして一人の少年をそこに映し出した。
エメラルドグリーンの学ランに青い髪、ヘヴィメタルの歌手のような格好をした男子生徒。―――三科栄吉である。ちなみに使用していたペルソナはタルタロスの三判官が一人、ラダマンティスだ。セトはギターの練習をする栄吉を指して言った。

「この男は不良を束ねる厄介な輩として周囲からは認識されている。しかし、実際は優れた判断力と勇気に溢れた熱い心の持ち主だ。―――さて、ラダマンティス殿。あなたもその知己と勇気を認められて判官となられたお方だ。あなた様とこの少年、どこか似通ってはいないかな?」

ラダマンティスは少し首をかしげるようにしていたが、やがて小さく頷いた。どうやら肯定の意思表示をしたらしい。
全員がセトの言葉に肯定の姿勢を示す中、また一人、今度はギリシャの賢人・ヘルメスが手を上げた。

「おいおい、今回の事件にもそれが当てはまるとは考えにくいんじゃないか?俺の名を冠したペルソナ使いは、どうだって言うんだよ?」

ヘルメスの名を冠せしペルソナを使役していたのは、今回の事件に巻き込まれた一人、伊織順平である。ヘルメスは多くの知識や術式に長け、錬金術のルーツを創りあげた神としてなかなか名高い。が、彼の力の一部を借りているこの少年は、成績は下から数えた方が早いと言ったほうがいいほど勉学が得意ではない。
この言葉に、セトは少しニヤリとして答えた。セトは元来、力を敬う神でもあり不吉さや悪の象徴でもあるので、こんなふうに馬鹿な組み合わせを見つけたりして茶化すのが楽しくてたまらないのだ。
しかし、今回は真面目な話なのでそれは横においておくこととしよう。

「ふむ、性格が似ていないのならば、おそらくは別の要素にお前と似ている部分があったのだろう。それに、全てが似ている必要はないのだから、今までの事件におけるペルソナ使いにも着眼点を変えてみれば何かしらの要素が見つかるやもしれん」

「―――何となく貶された気がしないでもないんだが・・・?」

ヘルメス様、あなたは言ってはならないことを呟いてしまいました。
すぐ後ろで一人の戦女神が剣を抜こうとしていますよ?

チャキィィィィィィィィィィン!!

「貴様・・・・セト様を侮辱するのか?」

「イ、イヤダナァ・・・・ソンナコトアルワケガナイジャナイデスカ、ハハハハハハハハハ・・・・」

「片言の言葉で喋ってるのが些か気になるが、まあよかろう。アスタルテ、剣を収めろ」

セトの言葉で、アスタルテは磨き上げた剣を鞘に収めた。
それを機に、その日の議会はそのまま終了となった。


――――これが、神魔界を揺るがす大事件が起こる数時間前のことである。


エントランスでは多くの報道陣に囲まれながら、賢人たちや神王・魔王たちが質問攻めにあっていた。

「JOKERの発生とペルソナの関係は掴めたのですか?!」

「これが、人間界と神魔界の関係を悪化させる恐れはないのですか?!」

「ペルソナ使いとなった人間たちは、どのような処罰を下されるのですか?!」

カメラのフラッシュに追いかけられながら、矢継ぎ早に飛び出してくる質問を必死になって捌く姿を見ながら、セトは心底呆れ返っていた。
人間がどのような力を持っていようとも、それをどのように使おうとも自分たちには関係のない話だ。それが元で世界が破滅の危機に瀕しても、それは人間たちが招いたことであって自分たちが悲しんだり防いだりする必要はない。
昔、神々が人間の全てを管理し、自分たちの意のままに従わせようとした時期があった。ソドムとゴモラの街を滅ぼし、大洪水で多くの命を奪ってみたり、努力の結晶であるバベルの塔を一瞬にして無用の長物に変えてしまうなど、とにかく滅茶苦茶をやって自分たちの恐ろしさを知らしめようとした。
しかし、時が移ろうにつれて人間たちの心は成長し、ついには自分たちの支配など及ばなくなるほどにまで大きくなった。一部、自分たちの教えを守り強く信仰してくれている人間たちもいるが、それでも以前のように大規模な儀式や祭典は行われなくなっている。
神族過激派や魔族不満分子などと言うテロ組織が暗躍し、時に事件を起こして騒いでいるが、そんなものはただ単に自分たちが人間たちに忘れ去られることを恐れているだけの話だ。子供が大きな声で駄々をこねているのと、何ら遜色はない。
セトが興味をなくしてその場を去ろうとすると、アスタルテが声をかけてきた。

「セト様、このあと何かご予定は?」

「特にこれといってないな・・・・死神大王から『DEATH NOTE』が不正流出したという話があったが、それは明後日の相談だ。俺の家へ来るか?よければ、夕食をご馳走するが?」

「ぜひ!!ぜひ、ご一緒させていただきます!!」

と、セトはふと思い出したように考え込んだ。
アスタルテを我が家へ呼ぶのなら、あと二人を呼んでおかないと不公平だ。それを察知したのか、アスタルテは先に言い出した。

「では、アヌビスとアナトも呼ばないと・・・」

「うむ、二人ともまだ館内にいるはずだ。探してこよう」

アスタルテはセトの愛人である。というか、それは当時の話であって、今ではほとんど後妻といえる位置をきっちりキープしていた。詳しくは後述となるが、アナトは彼女の妹である。
宗教再編の波に飲まれ、一時は西洋悪魔・アシュタロスとして記憶の全てを書き換えられ、さらに性別まで変えられてしまったが、神魔間での平和調停が結ばれたことにより再び彼の傍らにいることができるようになったのだ。
そのおかげで、かつて日ノ本の国においてとある陰陽師を殺害し娘に裏切られたことは、キレイさっぱり記憶から完全消去されていた。やけくそで創造した宇宙の卵とコスモプロセッサは、それぞれゴミの日に分別して処分してもらった。
だって、幸せいっぱいの性活・・・もとい、愛ある生活を満喫してるんだもん!!


そして、物語はさらに過去へと遡る・・・・・


かつて古代エジプト神魔界において、彼らほど有名な兄弟があっただろうか?
太陽神・ラーが支配していた頃、地の神ゲブと天の女神ヌトという凄まじく仲のいい夫婦がいた。ところが、それに嫉妬した太陽神によって二人は別れなければならなかった。それが、エジプト神魔界における天地の始まりである。ところが、夫と別れてしまった時点でヌトはすでにゲブの子を身ごもっていた。
完全な幸せクラッシャーになっていた太陽神。今度はあろうことか『その子供はいずれ禍を呼ぶから、絶対に生むな』と根拠もへったくれもないことを言ってきた。
これをあまりにも不憫に思ったのが、トト神の前身ことヘジュ・ウルだ。何とか赤子を生ませてやりたいと考えた彼は、プロジェクトX的な超裏技を考え出した。当時のエジプト神魔界を支配していた太陽神は、一年を360日と定めていた。ならば、その一年以外の日に生ませればいいというわけである。
ココまで聞くと、『何言ってんだ?』と疑問に思われるだろう。しかし、彼は知恵者としてこの無理難題を片付ける作戦を実行した。時を支配していた月のところまで行って、

『じつは、カクカクしかじかで時の支配権が欲しいんだよ。つーわけで、俺が博打に勝ったらそれをよこせ』

『乗った!!』

で、見事に月を完膚なきまでに凹ませたヘジュ・ウルは早速一年に属さない5日間の閏日を作り、その間に5人の赤子を産み落とさせた。それがエジプト神魔界においてもっとも有名な兄弟の誕生だった。


セトは5人兄弟の中で、もっとも向上心の強い男だった。長男となって堂々と王になるために、母親の子宮を突き破ってフライング出産を試みるという某狩人ライセンス漫画に出てくる凶悪王子のようなことをやってのけた。それでも長子になることはできず、ついには兄であるオシリスを殺害し自ら王位を奪取した。
しかし、それもイシスの姦計に嵌まってすぐに奪い返され愛人であるアスタルテと共にエジプト神魔界の辺境へ追放されてしまった。
このときからアスタルテは、いつの日か必ず自分の手で愛する男を王の座に返り咲かせて見せると強く心に誓っていた。

しかし、時が経つにつれて元々セトを王に推していた神々の他に、ホルス推進派だった者たちや外界の神々までもが彼を後押ししてきていた。原因は、言わずもがなイシスとその息子ホルスだ。元々非情になれないホルスは王の器ではなかったし、それを背後から操って実権を握っていたのは、母親のイシスだったからだ。
さらに、セトの妹であり妻でもある兄弟の末娘、ネフティスとオシリスの間に生まれた息子であるアヌビスのことが世間にばれてしまったから大変だ。じつは、セトが真剣にオシリス暗殺を心に決めたのはこれが原因で、いくら親族殺人を重罰と定める神魔族であっても、これではセトがあまりにもかわいそうだと同情的になったのだ。
ちなみに、エジプト王族では近親婚が認められていた。だが、いくら双子の姉妹だとは言え、王たる者が酒に酔って実弟の妻と過ちを犯すなどあってはならないことだったし、ネフティスも他の男に自らを抱かせるなどという破廉恥きわまりない真似をしておいてよく平気でいられると陰口を叩かれるようになった。
もちろん、この話は死者の国の審判者たるアヌビスにまで波及し、エジプト神魔族のみならず外界にまで伝わった一大スキャンダルとなった。
親の七光りで王の座に就いたホルスには何の力もなく、逆に少し強引であっても『強いエジプト』を実現させてくれるであろうセトの方が実際は民衆や他の神々も安心して任せられたため、ここにきて一気にセトの王座復帰の呼び声が大きくなった。
しかし、すでに王座に興味をなくしたセトはこれを拒否、代わりにホルスの異母兄弟たるアヌビスと次男ハロエリス(大ホルス)を共に祀り上げ、二大巨頭での君主専制政治を提唱した。アヌビスは同じオシリスの息子でありながらカリスマ性が高く、次男ハロエリスも生まれる順番を間違えたのではないかと思うほど優れていたからだ。
だが、

『私は冥界の審判者。いかに私を推してくれようとも、表舞台に立って国を動かすつもりはありません。それに、これ以上、私のような者の所為でセト様にご迷惑はかけられません』
(アヌビス談)

『う〜ん・・・・僕が言うのもなんだけれど、ほとんど国に帰らなかった者が王になる資格はないよ。それに、ホルスはまだ王になって日が浅い。まだ、もう少しだけ皆でサポートしてあげられないかなぁ?』

(ハロエリス談)

と、このように二人とも拒否してしまった。話し合いらしいことはなにもされぬまま、結局、ホルスがお飾りのように王座を占めることとなった。
実を言えば、一部のホルス派が動いてセトとイシスの和解のための宴を画策していた。叩き上げで多くの経験をつんだセトならば、厳しくも若い王を導いていけると考えたためだ。もし、この和解が成立していたらどうなっていたかと思うが、あからさまに弟を敵視するイシスが常にホルスの傍にいたのではどうしようもないことだったため、結局立ち消えになった。
また、セトもこれ以上アホくさいことに巻き込まれないように、そして、二度と5人兄弟が勢ぞろいすることがないようにと妻・ネフティスに『懺悔も慰謝料もいらないから』と離婚届を突きつけ、イシスには自らの血を絞って認めた絶縁状を叩きつけてキッパリと兄弟の縁を切ってしまった。
これには、『のんびり屋』長男・オシリスや『風来坊』次男・ハロエリスも驚き『自分が一番』三男を説得しようとしたが、セトは一切話し合いには応じず、無二の兄弟たちの絆は絶たれてしまったのであった。
それでも、セトの助言や知恵を借りようとする神々は後を絶たず、政界を去った今でもこうして議場に足を運んでいる。

一方のアヌビスも大変だった。母親と王の一大スキャンダルが暴露されたおかげで、マスコミに追い回され週刊誌にはあらぬことをツラツラと書かれる日々。
望んだわけでもないのに、王の血を引くためにこんなにも苦労せねばならないのかと思うと、無性に腹が立ち、そしてあまりにもやるせない気分だった。報道は日に日にエスカレートし、部下や何も知らない連中までもが陰口をたたきだしたものだからたまらない。精神的にまいってしまったアヌビスは、ついに職務放棄をしてどこかへ行方不明になってしまったのだ。
自分という存在に関して深く考え、ときに憤り、嘆き悲しんだ。

そんな、鬱積した日々が、ある日、終焉を迎えた。

何日も魔界や神界を渡り歩き、放浪の旅をしていたとき、砂嵐吹きすさぶ魔界の辺境でたまたまセトに出くわしたのだ。
最初は何を言うでもなく、ただお互いに黙って見合っていたのだが、ふと、セトが尋ねてきた。

『おい、キサマ。こんな魔界の辺境で、いったい何をしている?』

『別に、あなたに関係ないでしょう・・・・』

『ふん、自分の両親のことを暴露されて不貞腐れ、挙句の果てには職務放棄か?くだらん』

『―――あなたに、あなたに僕の何がわかるって言うんだ!!望みもしないのに王の血を身体に流し、不義の子だと後ろ指を差される気持ちなんてわかるわけがない!!』

血を吐くようなアヌビスの言葉を、セトは黙って聞いていた。確かに、自分の元妻の不貞の所為で生まれたこの若き冥府判官は実に不遇な過去を背負っていると言える。
だが、だからと言ってここで不貞腐れていることが問題の解決になりはしない。セト自身、誰よりも力を求めそのための努力を惜しまなかった。結果的には認められず、王の座から引き摺り下ろされてしまったが、今の自分はそれにも増した幸せと言うものを手に入れることが出来た。それは、少なからずあの屈辱的な経験があったからに他ならない。
さて、彼の友人ならば優しい言葉の一つでもかけるのだろうが、生憎とセトはそういうことは甘やかしを増長させるだけと考えている。
セトは冷笑した。

『ふ・・・キサマもホルスと同じ虫けらだな』

『なんだとっ!!』

『そうではないというのか?イシスやネフティスが紹介した知人の優しさに甘え、自分から戦うことを放棄したのだぞ。もし、お前にその気があったのなら、そんなものに頼らずに自分で出生を明らかにし、その上で王族としての血筋から抜けることも出来た。それをしなかったのは、王族の血を宿すことを理由にすればいくらでも困ったときに誰もが助けてくれるからだ。それに気づかぬお前は、虫けらだと言っているのだ!!』

『う、ううう・・・・うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!』

アヌビスは頭が真っ白になっていくのを感じた。
そして、拳を固めるとセトに殴りかかった。
黙って殴られてやるほど、この暴虐の悪神は大人ではない。バックステップで軽く攻撃をかわすと、すかさず距離をつめボディに強烈な一撃を喰らわせる。
苦しげに怯むアヌビスを、セトはさらに冷笑して顔面を膝で力の限り蹴り飛ばした。

『ぐはぁ!!』

倒れこむアヌビスを見下ろして、セトは言った。

『その頭が空っぽでないのなら、頭を冷やしてよく考えるんだな。殴ったぐらいでキサマの性格が変わるとは思っていない。だが、キサマも男として生まれたのなら後悔のない生き方をしろ』

セトはそれだけ言うと、また砂嵐の中へ消えていった。
真夜中になり、嵐の止んだ辺境地帯にも静かな夜がやって来た。暗い夜空に瞬く星座の輝きを見つめながら、アヌビスはセトの言葉の意味を考え続けていた。
セトの言ったとおり、自分は今まで多くの人々の善意に守られて生きてきた。何か失態をしても、大抵は別の誰かがもみ消してくれたりしてくれた。そのおかげで、今の地位や権力を手に入れたようなもの。自分から必死になって奪いにいったことなど一度もない。
誰からも自分を否定されたことのなかったアヌビスにとって、セトの核心を突いた言葉はその心に大きな波紋となって広がり、強くその根底に刻まれた。

アヌビスが冥府に戻ってきたのは、それからまもなくしてのことだった。

アヌビスが戻ってきて一番にしたことは、まっすぐにオシリスとの面会だった。
オシリスは冥界を統治する王の一人。宮殿にて多くの死者の魂を導き、次の転生やその場所を決めている。それらの業務は、多くの神々から切り離された分身たちが手伝ってくれるゆえにできるのだ。
一週間ぶりに宮殿に顔を出した息子を、オシリスは何ら叱ったり邪険にするでもなく黙って迎え入れた。
暖かいお茶を飲みながら、オシリスはこれまでとは違った息子の顔を見て言った。

「しばらく旅に出ていたようだけれど、無駄ではなかったようだね?」

「はい、イロイロあって何となくですが答えが出たんです。―――悔しいけれど、僕は甘やかされすぎたんだなって・・・・今まで、たくさんの人たちにお世話になるばかりで何もしなかった。何か真剣に取り組んでみようと考えたこともなかった。他人から与えられたものだけを受け入れて、都合の悪いことや忠告から逃げて生きてきたんです」

アヌビスは少し間をおいてオシリスの様子を見たが、父親は穏やかに微笑むだけで何も言わず、眼で話を続けてと言っていた。
アヌビスは、再び話し出した。

「魔界である人に出会って、思いっきり殴られて漸く理解できたことなんです。逃げるだけじゃ始まらないことも、戦わなければ本当の意味で自分の物にしたことにはならないんだということを。―――それで、まことに勝手な言い分ですが、冥府判官の地位を辞させていただきたいのです。そして、さらに多くのことを学び力を手に入れたいのです!!」

「ふむ・・・そうなると誰か代わりに人を立てなければならないが」

考えるオシリスの後ろから、一人の冥府君主が声をかけてきた。

「それならば、私がやろう」

「あ、あなた様は・・」

「おお、ハーデスじゃないか。ずいぶんと久しぶりだが、いいのか?君も忙しい身だというのに」

「ふ、私のところには信頼する判官が3人もいる。皆、力を持ちそれぞれに一生懸命働いてくれているからな。それに、君主などと言う地位にいると身体がなまって仕方がないのだ」

と、ハーデスはアヌビスに向き直った。

「アヌビスよ、なかなか良い経験をしてここへ戻ってきたようだな。だが、学ぶことと強くなると言うことは果てしのないマラソンに似たようなもの。三賢人たちでさえ、あれだけ多くの知識と教養を持っていてもわからぬことが数多く存在する。最強の竜神・ヴリトラや闘神・アシュラのような強さを持ってしても、越えられぬ壁のような猛者がゴマンといる。それに、我らがここで了承したとてまだ多くの輩を説き伏せねば成るまい?」

ハーデスの言うとおりだった。自分が辞すると決意すれば、間違いなく母や多くの友人らが反対するだろう。特に、母やイシスのことをうまく説得できるかどうかが一番大きな問題だ。あの二人は双子だからというわけではないが、自分やホルスがやろうとすることにやたらと口出ししてくる。ようするに、過保護なのだ。

もちろん、それをどうにかする方法はある。
あとは、『やるべきか、やらざるべきか?』ということだけだ。もっとも、考えてもこれ以上の方法などありはしないのだから選びようがないのだが。

さて、その翌日のこと。パンデモニウム記者会見場では、アヌビスの『絶縁』に報道陣が殺到しカメラのフラッシュがけたたましく焚かれていた。当事者席に座るアヌビスの横で、トト神は友人のあまりの落ち着きっぷりに何も言えないでいる。

「アヌビス様、判官の地位を辞した上に王族の家系を捨てられるということは、母君と縁を切るということですか?!」

「そのとおりです、私は今まで多くを王族の血縁という優位な事実に甘えてきました。それでは真の成長にはならないと思い、ここに絶縁することを決めたのです」

「セト様に懐柔されたという噂も・・・・」

その言葉にアヌビスは強い殺気を放った。アヌビスにとってセトは多くを知る高みの人物であり、尊敬できる存在だ。それをバカにされるようなことを言われて黙っているほど、彼は大人ではない。
その冷たい氷のような視線と殺気に当てられた記者は、その場で白目をむいて泡を吐き出しながら失神してしまった。

「今の発言に関してですが、私はセト様に懐柔されたわけでも騙されているわけでもありません。自分の意思で、自分が生きる目的を見つけただけのこと。邪推はやめていただきたい!!」

堂々としたアヌビスの口調を聞いて、記者たちも神々も納得した。
アヌビスは確かに自分の意思で立ち、ようやく前へ進もうとしている。一役買った奴が誰であろうとも、そいつの生き方になにか大きな影響を与えたのだとしたら、アヌビスは間違いなく大きく成長することになる。手を差し伸べて助けることは簡単だが、やり方だけ教えて後は本人を見守るというのはとても難しい。もっとも、セトはそんなことは苦にもしないだろうが。

と、その時である。報道陣の後ろのドアがけたたましい音を立てて開け放され、ネフティスが走るように入り込んできた。

「アヌビス、考え直しなさい!!あなたはまだ子供なのよ、セトに騙されているだけなのよ!!」

『『『どっちが子供ですか?!』』』

全員あきれ返ってものも言えなくなった。今、仮にも自分の息子が決意を固めているというのに、それをぶち壊すような真似をどうして平気で出来るのだろう?
アヌビスは母の動揺する顔とその言葉に悲しくなって何も言えなくなっていた。いくらセトがたくらみの神であり、王家を追放されたと言ってもそれは彼女が原因の一端を担っている。彼女の言い分は明らかに自分のことを棚上げし、すべてをセトに擦り付けて悲劇のヒロインを気取っているだけなのだ。

―――母上・・・いや、ネフティス。あなたには、がっかりです・・・・・

と、アヌビスは静かに立ち上がると右手を銃のように構え、母親の額に指先を当てた。

「さようなら・・・・」

「よせっ!!アヌビス!!」

何かを察したトトが慌てて止めようとしたが遅すぎた。
指先から魔力が放たれ、ネフティスはその場に仰向けに倒れてしまった。
その光景に、関係者たちは目を疑った。神魔界に住む地位ある者たちにとって、親兄弟を傷つけることは重罪。例え真似をしただけであっても、それは許されることではない。
ネフティスは気絶しただけだったが、アヌビスは反逆者として『漆黒のウジャト』と呼ばれる刺青を左腕に施され、セトと同じく永久追放の身となったのだった。

この事件は『暁に叛きし者』と呼ばれ、後々まで語り継がれることとなる。

騒がしい余韻を残して、会見はそのまま終了した。アヌビスはパンデモニウムの外に出ると、初めて自分が多くの柵から解き放たれたことを実感した。同時に絆を失ったことが悲しくなって、少しだけ涙した。
やがて、アヌビスは乾いた道を自分で歩き出した。

「おい、そこの黒犬頭の元判官。止まれ!!」

「自分だって黒犬じゃないですか!!」

振り向けばそこには、レザーロングコートシングルとレザーブーツカットパンツに身を包み、額に赤いバンダナを巻いたマフィアを思わせるような銀髪の目つきの鋭い青年が立っていた。
青年は銜えたマルメンを放し、口から白い煙を吐き出すと改めてアヌビスに向き直った。

「ふん、ネフティスに一発かまして来たそうだが気にするな。しばらくピーチクパーチクと騒ぐだろうが、一週間もすれば静かになる。―――それより、お前これから一人でどうするつもりだ?旅したといっても、ほんの少ししかこの魔界や神界を知らんだろーが?」

「―――はい・・・」

「そんなこったろーと思った―――ふん、ついて来い!!今日から、俺がキサマを鍛えてやる!!」

「は、はい!!よろしくお願いします!!」

こうして、二匹のジャッカルは心を通わせ互いに認め合いながら歩み始めることになった。
だが、カオス・ストームがある空の向こうは、やがてやって来る崩壊の時を暗示するかのように暗い雲を立ち込めさせていた。


そして、現世でも二人の少年の運命が動き出していた。
一人は雇い主にキツイことを言われながらも頑張っている、『赤いバンダナ』の少年。
もう一人は、自分の身に宿る『血』という名の遺伝子に翻弄されながらも頑張っている少年。

彼らが『絆』を断ち切り、再び結ぶまでのスタートは、すぐそこまで近づいてきていた。

SEE YOU NEXT・・・・

               次回予告
CV:横島忠夫

現世は混迷と終末思想に覆われ、人間たちは突如現われた救世主を歓迎する。
スクランブル交差点で、二人の少年は互いを認識し記憶の鍵を開けようとしていた。

神魔界を揺るがす、カオス・ストームの脅威。
死地に臨む、『四柱の英雄』。彼らの命が燃え尽きた瞬間、新たなるペルソナが少年に宿り、メドーサの真の目的が明かされる!!

次回、『力偉大なる者』

「俺が・・・・俺こそが最強だぁぁぁぁぁぁ!!」 (横島)


後書き・1

「ペルソナのクロス・・・・なんと無謀な?!」

それが友人の第一声でした・・・・こんちくしょう!!大変だけど、やりたいんだい!!
というわけで、さっそくソフトからやり直そうとするもさっそく断念。第一作目から始めたのは、確かに無謀でした。
始めまして、皆さんが書くSSを読んで初投稿しようとやって来ました、シューター99と申します。
ペルソナは第一作目からのファンで、初めてプレイしたときは『やったぜ、アトラス!!』と大喜びしました。2の後編でギブアップしてしまいましたが、それでもやりこんで燃え尽きました・・・・ハハハ(汗)
ペルソナのクロスを書こうと思ったのは、単に興味があり大学で心理学を専攻しているということもありましたが、それとのクロス作品があまりないのです。
自分が今までに読んだことがあるのは、『ペルエヴァ』のみだけで他には何も読んだことがありません。
どなたか他のクロス作品がありましたらば、ぜひ教えてください。SS初心者なのでたくさんの人の意見や感想があると励みになります。
月イチ連載と完結を目標に掲げ、これから頑張っていきますので応援よろしくお願いします!!


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