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▽レス始

「Fate stay night−Destiny−第3話(Fate+GS)」

一見 (2007-02-17 14:49)

 2月2日 SIDE 衛宮士郎

 悔しい思いを抱えて俺は、深山町へ、我が家へと走る。
セイバーが先頭に走り、俺、遠坂、アーチャーの順にその後ろに続く。
バーサーカーはアサシンが上手く抑えているのか、遠坂とアーチャーの足音以外に後方から聞こえてくる物音は無い。
『ならば、俺が戻るまで桜ちゃんの事を頼む。』
苦笑とともにアサシンが俺に言った言葉。それはつまり、足手纏いだから、離れていてくれという事だ。
 「凛、私は、そこから戦況の確認と、バーサーカーの狙撃を行なってくる。」
後ろでアーチャーが遠坂に話しかける。俺が後ろを見ると、アーチャーは右側のビルの壁面を駆け上っていく。
セイバーはアーチャーがビルに駆け上がるに応じて、足を緩め、遠坂の後ろにつく。
『クソ、俺は、こんな時の為に魔術の修行を続けてきたんじゃないのか!!』
俺には、ただ足手まといにならない様にするしかないのか。
そうは思うしかない俺はビルに登って行ったアーチャーを見る事無く、我が家に急ぐしかやれる事は無い……


ど――ん

突如、背後から響く爆音に思わず足が止まりそうになるが、立ち止まっている場合じゃない。ともかく今は桜の元へ走らないと……。


 スタッ!

爆音がしてから幾らも走らないうちに、後ろから着地音がした。後ろを振り向くとアーチャーが遠坂の前に飛び降りていた。
「アーチャー、状況はどうだったの。」
遠坂は、立ち止まり、アーチャーに状況を確認する。
俺も足を止め、アーチャーの返答を待つ。
「―――ふむ、バーサーカーは俺の攻撃に耐えた。そして、バーサーカーのマスターは此方を追うつもりは無いようだ。
 あのバーサーカーは凄まじいと言うしかないな。あの攻撃に耐えるのだからな。
いや、一度死んだが、蘇生したというのが正しいか。」
アーチャーは、淡々と遠坂の質問に答える。
それじゃ、あの爆音はアーチャーの攻撃か!
『一度死んだが、蘇生した』というのはどういう事だ。いやそれよりも、
「おい、アサシンは大丈夫なのか?」
あの爆音轟く攻撃をアサシンと連携する事無く放ったんだ。
アサシンが無事なのかを、俺はアーチャーにたずねる。
 それに対してアーチャーはこちらに顔を向け、唇の右端を曲げる事で返答とした。
『おい、アーチャー!。その人の悪い笑みは何だ!!。』
「ここに居るさ。」
アーチャーに食って掛かろうとしたタイミングで、アーチャーの後ろから声が掛かった。
あわてて来た道を確認すると、アーチャーの陰にアサシンの姿を発見した。
ちょうどアサシンが追いついてくるところだった。


「それでアーチャー、状況はどうなってる。」
アサシンは俺達に追いつくと、第一声でアーチャーに問い掛けた。
「いや、バーサーカーの相手をしてたのは、アンタじゃないか。」
思いもよらぬアサシンの台詞に、俺はおもわずつっこみを入れる。
「俺は足止めを仕込んだらすぐ退却したからな。
それで、どうなった。アーチャー」
アサシンは、俺のつっこみに答えを返すと、再びアーチャーに問い掛けた。
「ふん、バーサーカーは俺の攻撃で一度殺したが、復活した。そして、バーサーカーのマスターはこちらを追うつもりは無いようだ。」
アーチャーは不満ありげに、アサシンに答えを返す。
「そうか、なら取敢えずの役目は果たせたな。
それなら桜ちゃんが待っていることだし、衛宮邸に急ぐとしよう。」
アサシンは、他に聞く事は無いと言わんばかりに深山町へと歩き出す。
そうだな。桜を一人っきりにしておけないからな。
 俺もアサシンに続いて、深山町へと歩き出す。セイバーや遠坂も俺達に付いて来てくれる。
「ふむ、そんな事よりも、どのようにしてバーサーカーを足止めしたか聞いても良いかね。」
それに対してアーチャーは歩き出す事をせず、アサシンに質問をぶつける。
「アーチャー。そんな事は桜と合流してからで良いでしょ。」
遠坂に促されて、アーチャーはやっと歩き出す。


 俺は聖杯戦争に参加することを決めた。なぜならば、衛宮士郎はこういう時のために魔術を鍛えてきたのだから。

 俺が親父に拾われる原因となった第七百二十六聖杯戦争。
俺はこんな殺し合いが起きようとしているなんて気づきもしなかった。
 深山町は、平和そのもので、新都の方ではガス漏れ事件が起こっていたが、バイト先のコペンハーゲンで、ネコさんの「ガス漏れ事件が収まったら、今度はのぞき魔が出没しだした」なんていう話を聞いて平和な日常が続いていると信じてた。
でも、その予兆というべきものが有ったんじゃないか。
 たとえばコペンハーゲンの帰りに見たビルの上に佇む遠坂や、通りすがりに「早く呼び出さないと、死んじゃうよ。お兄ちゃん」なんて声を掛けてくるイリヤスフィール・フォン・アインツベルンなんてのは、予兆そのものなのじゃなかったのか。
 そういったものを疎かにするから、ランサーに殺されて、誰かに命を助けられても、再びランサーに命を狙われたら、セイバーに助けられるしかなく、アサシンに戦いの場から離れるよう言われるんじゃないのか。
 いや、自分を欺くな。たとえ、殺し合いが起こっていると知っていたとしても、俺はランサーから逃げる事も、戦う事もバーサーカーとの戦いに手伝いをする事さえも出来なかった。
 なら俺は如何したら良かったのだろう。そして、俺はこれから如何すればしていけばいいのか。

 俺の脳裏に、教会から出ようとした時に言峰に言われたことを頭の中によみがえる。
「明確な悪がいなければ君の望みは叶わない。たとえそれが君にとって容認しえないモノだろうと、正義の味方には、倒すべき悪が必要なのだから」
 すなわち、崇高なる(何かを守ろうという)願いは、醜悪なる望み(何かを犯そうとするモノを望む事)と同意であると。

 ようやく、俺の家に着いた。家の前にはアサシンが言った通り、桜が待っていた。
『家の鍵を渡しているんだから、上がって待っていればいいのにな。』
 桜は俯き、考え事をしているらしく、俺達が帰ってきたのに気づいていない。
「ただいま、桜」
俺が桜に声をかけると桜は吃驚して、慌てて顔を上げた。
「おかえりなさい、先輩。……遠坂先輩。
………」
玄関の鍵を開ける俺に桜はつらそうな顔で何かを言おうとするが、
「桜、話は後よ。まずは家へと入りましょう。」
遠坂は、桜に取りなす様にそう言うと、相変わらず我が家に帰ってきたかの如く、俺の家に入っていく。そしてそれにアーチャーも続く。
『なあ、遠坂。他人の家に上がる時は、家主に一言くらい言ってから上がらないか?』
改めて、優等生遠坂のイメージが壊れていく。
「はい、遠坂先輩……。
 横島さん、お疲れさまでした。
 ……おじゃまします。先輩。」
桜は、遠坂に返事をすると、アサシンの労をねぎらい。俺に一声かけて家に上がる。

 ん?、横島って、アサシンの事か? 遠坂もその部分を聞いた時、一瞬立ち止まったが、振り返ることなくそのまま奥に向かって歩き出す。
「それじゃ、お邪魔するよ。」
「それでは、私も。」
アサシンとセイバーも俺に一声かけて家にあがる。
俺も、玄関に鍵をかけて、居間に行く。


居間につくと全員が、テーブルに着いていた。俺も空いている場所に腰を下ろす。
「さて、それじゃ話を聞かせてもらいましょうか。桜、アサシン」
俺が席に着くのを待って、遠坂が、そう話を切り出した。
「話の前に、外人さんをセイバーと呼んだり、白髪黒肌の奴をアーチャーと呼ぶのはともかく、日本人にしか見えない奴を、アサシンと呼んだら怪しまれるからな。俺の名前は横島忠夫だ。まあ、横島とでも呼んでくれ。」
それに対して、アサシンがみんなに向かってまず自分の呼び名について口にする。
確かに、日本人じゃない人間が、セイバーやアーチャーと呼ばれることはあっても、日本人がアサシンと呼ばれることはまずないだろう。
「それでは、横島サン。一応確認しますが、その横島忠夫という名前は真名ではないですよね。」
遠坂は顔を顰めながら、横島にそう問い質す。
…んだけど、真名ってのはなんなんだ?
「いや、横島忠夫は俺の真名だが、それがどうかしたかい?」
つまり、アサシンの生前の名前と言うことか。
遠坂はサーヴァントとは過去の英雄って言ってたけれど、横島忠夫なんて名前聞いた事無いな。

 ん、するとアサシンってのは何なんだ。
セイバーというのは剣士って事だよな。
つまりセイバーは剣に長けていたからセイバーになった。
となると横島は、暗殺者だから、アサシンになったって事なのか。
「あんた、そんな簡単に真名を明かしてどうするのよ!」
遠坂は、強いを通り越して、怒気さえ感じさせる口調で横島に文句を付ける。
なんだって、自分の名前を明かした位でそんなに怒るんだ?
「心配はいらないさ、この世界に横島忠夫の名を知る者はいないからな。」
それに対して、横島は、平然とした口調で、遠坂に返答を返す。
そうか! 生前の名前を知れば、その戦術や弱点が判る。そうすればどんな大英雄だろうと、対処法を編み出すことが出来るだろう。
しかし、『この世界に名前を知る者がいない』
そう断言する根拠はなんだろう。

「それは、おまえが未来の英霊であるという事か」
アーチャーが、横島に尋ねる。
 なるほど、時代を越えて聖杯から呼ばれる英霊。それは過去や現在だけでなく未来からもやってくるという事か。
「いや、俺は異世界というべき平行世界から来た英霊だ。」
へ?、………??
「異世界って、どういう事よ。」
遠坂が、完全に予想外の事をであったらしく、拍子抜けしたような口調で横島に問いかける。
俺も全く同意見だ。
「歴史の流れは大きく変わる事は無い。しかし、日々、神秘が世間を賑わす世界。
それは異世界というべき平行世界という事だな。」
この世界では、神秘は隠匿され、世間に知られることはない。
それが本当なら、確かにその世界は、異世界としか言いようがないと思う。
「そんな世界から、どうやたらこの世界に来られるのよ。」
確かに、どうやったら異世界というべき平行世界の壁を越えられるのだろうか。
「歴史の流れは大きく変わることはないと言っただろう。つまり、あちらの世界にあるものと似たものがこちらの世界にもあるって事だな。」
あちらの世界にあるもの?
こちらの世界にある似たようななもの?
どういう意味だ。
「つまり、あなたは桜の召還の触媒に似たものを持っていたからこの世界に召還されたって事なの。」
召還の触媒、なるほど。つまりコンパスとマーカーという意味か。
「まあ、俺をこちらの世界に召還したものが俺と関わり深いものと似ていたから召還されたんだが。
……そんなところだ。」
つまり、英霊を召還するためには、その英霊と関わりが深いものが必要と言うことか。
ん!、となるとセイバーはどうして俺の所に現れたんだ?
「なるほど、そこはまあいいわ。じゃあ次の質問なんだけど、
横島さん。あなたのクラスはアサシンという事は、あなたのスタイルはマスター殺しなのかしら?」
遠坂は、次の質問を横島に問いかける。
マスター殺しとはつまり言峰が言っていた、サーヴァントと戦う事無くマスターを殺す事によりサーヴァントを排除する戦術の事なのか?
「アサシンってのは、ただのクラス名でね。生前はゴーストスイーパーをしていた。
だから、マスター殺しは専門外だな。」
ゴーストスイーパー、直訳すると幽霊退治屋って事か。
なるほど、横島はマスターを殺していくつもりじゃないんだな。
「ゴーストスイーパーというのは幽霊退治屋って事かしら。」
遠坂が、俺の考えた事を確認する。
「ああ、妖怪や、悪霊退治屋の事だ。」
横島の発言は、遠坂の確認と少し違っていた。
妖怪とは……、つまり幻想種の事か。
「なんで妖怪や、悪霊退治屋さんが、アサシンになるのかしら?」
今度は遠坂が、横島に質問をする。
「悪霊なんて言葉で言い替えたところで、つまりは人の魂という事だからな。金を貰って人の魂を極楽に送っているんだから、アサシンと変わらないという事だろう。」
そうなのだろうか?、俺はそうだとは思えない。アサシンと呼ばれるには、概念が不足しているのではないだろうか?
 それにしても、極楽とは変わった表現をするな。ふつうは冥土とか、あの世とか表現すると思うんだが。
「へ〜、つまりあなたの武器は、霊体を攻撃する概念武装なのかしら。
一体、どんな物なのか興味あるわ。もし良かったら、教えてくれないかしら。」
おい、おい、遠坂そんな事、まともに教えてくれると思っているのか?
「ああ、いいぜ。俺の能力の一つめが、これだ。」
そういって横島は右手を差し出した。
その掌の上には淡い光を放つ六角形の板が浮いていた。

 え!!……
まさか、横島があっさり教えてくれるとは思わなかった。
桜を見ると、真剣な顔で、正面をただ見ている。
「サイキックソーサー、霊気を固めた造った盾で、投擲武器にもなる。」
そう言うと横島は、サイキックソーサーを左手に移す。
 遠坂もまさか本当に教えて貰えるとは思えなかったのか、呆然と横島を眺めている。
「そしてこれが二つめの能力だ。」
そんなこちらに構う事無く横島は、右手が鈎爪の形の光に包まれる。
「ハンズオブグローリー、霊気を集めて造った鈎爪で、まあ強いとは言えないがその形は変幻自在に変えることが出来る。」
光の鈎爪、ハンズオブグローリーは、横島の言葉通り篭手付きの鈎爪に変わり、元に戻ると、今度は鈎爪の部分が発射されたかの様に伸び、そして伸びた部分が剣へと変幻自在にその形を変えた。
「そして三つ目の能力がこれだ。」
そう言うと横島は、左手のサイキックソーサーと、右手のハンズオブグローリーを消し、右掌にバーサーカーに投げた珠を作り出す。
俺は、横島の右手を唖然と見ているセイバーが視線の端に映っている。
「文珠、霊気を凝縮した珠で、キーワードとして漢字を一字込める事で、文珠の霊力を開放する事が出来る。」
なるほど、つまり文珠に込めた字を見る事で何をするかを見極めることが出来るわけだ。
「桜、あなた体は大丈夫なの。横島はその文珠とやらを6,7個一度に使ったわ。」
遠坂は、横島の説明を聞いて慌てて桜に確認を取った。
「え、そうなのですか?」
桜は、少し驚いた顔をして横島に確認を取る。
「心配はいらないさ。これは普段余っている霊力を集めて造っているからな。一度に何個使っても桜ちゃんの魔力を一機に消費するという事はないからな。」
横島は、桜に軽く頷くと、遠坂に向かって説明を続ける。
「ちなみに、これは俺以外の人間でも使うことが出来る。」
そして文珠を乗せた右手を差し出し、言外に『使うか?』と訊いてくる。
「ヨコシマ、あなたはそれを離れた所から使用する事が出来ますね。
 そうであるなら、そんなものをマスターに持たせるサーヴァントがいないという事は判っているのでしょう。」
それに対して、セイバーはアサシンにやんわりと断わりを入れる。
「ああ、30歩位離れた所から文字を込めたり、発動したりすることも出来る。」
そう言いながら、横島は右手を引っ込める。そして手が元の位置に戻った時、掌にあった文珠は、消え去っていた。
「その三つが、あなたの宝具て事なのかしら、ずいぶん癖がある武装のようだけど。」
確かに、
 投擲武器として使えるが、小さな盾。
 様々な形に変わるが、強くない武器。
 どんな事でも出来るが、余った魔力で生成しているという言うからには数が限られる宝珠。
確かにクセが有り過ぎるといわざるえない。
「いや、宝具は別にある。俺の宝具は、最後の切り札ってな物だからな。」
「宝具は全て最後の切り札だと思うんだけれど。つまり、宝具は秘密って事ね。」
遠坂はこの質問はここで打ち切ると言外に言った。
「いや、最後の切り札というのは、強力な分、使用回数が限られるという意味さ。これが俺の宝具、陰陽文珠だ。」
しかし横島は、そう言うと今度は右手をジージャンのポケットに突っ込み、文殊より少し大きなその名前の通り、黒と白を陰陽図の様に塗り分けられた珠を取り出す。
「強力って、一体どのくらいの事が出来るのかしら。」
「込める文字によって違うから一概にいう事が出来ないが、時間移動を使うことも出来たな。」
時間移動て、魔法じゃないか。
「魔法って……」
遠坂も絶句している。
「陰陽文珠も文珠という名が付いているという事は、使用時に桜の魔力を使わないのか。」
アーチャーは、動揺を欠片も見せる事無く横島に質問をする。
「ああ、その通りだ」
それに対しての横島の返答に、セイバーが驚きの表情を見せる。

「ねえ、一ついいかしら。なんであなたは自分の能力や、あげく宝具の事まで、私達に教えてくれるのかしら?」
あの遠坂さん、あなたから尋ねた事でしょう。一体何を怒っていらっしゃるんでしょう。
「その答えは簡単だな。桜ちゃんの望みは、君達二人と争わない事、君達二人が傷つかない事。ならば俺の能力を君達に教えることにどんな問題がある。」
なるほど、なんとも桜らしい望みだと思う。
「そ、それであなたはいいの。
あなたに叶えたい望みはないの?
あなただって、何か望みがあるから聖杯の召還に応じたんでしょう。」
おい、おい、遠坂。さっきまでの怒りは如何したんだ。
「聖杯に叶えたい望みか………。
そりゃあ、男としては叶えたい望みなんて、ハーレムしかないだろう!」
横島の発言は、その口調と表情から冗談だとはっきりと分かる。
しかし横島、冗談だとしてもその発言はどうかと思うぞ。
ほら、遠坂はおろか、桜やセイバーまで白い眼で見ているし。
「あのね。冗談はおいといて、
私は真面目に聞いているんだけど!」
遠坂が、冷たい口調で真面目な回答を求める。
「まあ、真面目に答えると、俺は可愛い子ちゃんの涙を止める為にこっちに来たんだ。だから俺はそれでいい。
まあ、後は可愛い子ちゃん達が泣かないよう頑張るだけだな。」
横島は、表情を改め真面目な口調で返答を返した。しかし、その内容は先程の冗談と同じく女好きの発言そのものだった。
「それならば、ヨコシマ。
あなたは、私達3人以外のサーヴァントを倒したら、自ら契約を絶つというのか?」
セイバーが、横島に質問をする。
しかし、その質問は、横島が提案した共闘を根底から覆しかねない質問だぞ。
「ああ、その通り、俺は此処の聖杯に叶えたい願いはないからな。だから、俺ら3人以外のサーヴァントを排除して、聖杯の確保の目処が立ったら、後は君達二組で聖杯の所有権を巡って戦えばいい。
まあ、出来ればサーヴァント同士だけで決闘というのが望ましいと思うんだがな。
 他に何か訊きたい事は無いかな。」
それに対する横島の返答は共闘関係を崩さぬ最適な返答だと思う。

「なら、桜ちゃんと共闘をしてくれるかどうかの答えは明日辺りで良いかな。」
しばらく、こちらの反応を待って、横島が今晩の話し合いの打ち切りを提案してきた。
「明日って、今すぐでなくていいの。」
遠坂が、驚いたような顔で横島に確認をとる。
「マスターとサーヴァントの意見のすり合わせだってあるだろうから、今すぐって訳には行かないんじゃないか。」
「それは、……そうね。」
遠坂なら、相手に不利な点を気付かせない様にすぐに返答を求めてような気がする。しかし、横島は共闘における利点・欠点などを考える時間を与えて、その上での返答を求めている。
 それは、そうするのが共闘する上で必要という判断だろうか?それとも、共闘できる事に絶対の自信があるからだろうか?
「ところで士郎君にお願いがあるんだが、桜ちゃんをとりあえず、今晩ここに泊めてもらえないかな。」
話し合いが終わりと思ったところで、横島は意外な提案をしてきた。
「横島さん?!」
桜が驚きの声をあげる。
どうやら、桜にもこんな提案をしてくるとは思ってなかったようだ。
「桜ちゃん、明日も部活があるんだろう。ここで家に帰ったら寝る暇が無いぜ。
心配するな。荷物なら俺が持ってきてやるよ。」
ああ、なるほど。そういえば、俺は明日は休日だけど、桜は、弓道部があるしな。
寝不足で、弓を引いたところで無意味もいいところだ。
「ヨコシマ、まだ共闘を約束していないのに、他のサーヴァントの下に己のマスターを預けていいのですか。」
セイバーが横島に少し挑発的に問い掛ける。
「士郎君は、桜ちゃんの事を妹みたいなものと言っていたからな。士郎君が桜ちゃんに危害を加える事を許すとは思っていないよ。」
横島は、冷静にセイバーに答えを返す。
無論、俺もセイバーに、そんな事をさせる積もりも、許す積もりも無い。
俺がセイバーの方に目を向けるとセイバーモノ俺の気持ちを理解してくれて、頷いてくれる。
「………妹ですか。」

えっ、今桜は何か言っただろうか?
「分かりました。それじゃ離れに桜の部屋を用意します。横島さんもその隣に部屋を用意しますので、戻られたらそこで休んでください。
セイバーも離れに部屋を用意するからそこで休んでくれ。」
そうと決まれば、部屋の準備をしなければ。
俺は、部屋の準備をする為に腰を上げる。
「何を言っているのですか、シロウ。
私はシロウのサーヴァントです。シロウの部屋で待機します。」
なっ!!、そんなこと
「そんなのダメ――!!」
俺が、セイバーの提案を否定する前に、桜の大声が響く。


それから、セイバーの寝床について紛糾し寝るのは更に遅くなった。セイバーの寝床は、俺の部屋の隣になったことを申し添えておく。


 後書き

 遅くなって、申し訳有りません。一見です。
なかなか第3話を出さない内に、第2話がログに成ってしまいました。
一度データがロストしました。しかしそれは言い訳にしかなりません。
文章が、なかなか繋がりませんでした。難産でしたし、あまり上手く書けてないと思います。
第4話は、第3話がログに成るまでに出したいと思います。


今回も突っ込まれる前に書きます。
 ・A++で魔法を使うことは出来ません。
  これは、このSSにおける最大の伏線になる予定なので、もしこの内容に気づいた方が居られましたら、どうぞ内容をばらさないでください。
 ・このSSは、原作・このSSの双方において、キャラクターの発言・思考は、事実誤認・他人の思考を誘導する為の嘘・間違った推論・伝え聞く定説の誤り等で、すべてが絶対の真実・真理ではないというスタンスで書いていますので、SS内の発言・思考は、原作の設定と違ったり、前後の状況からおかしい部分があります。
 ・文珠・陰陽文珠の使用にマスターの魔力を使用しないサーヴァント“横島”が強すぎだ。という意見に有ると思います。しかし、サーヴァント“横島”には、召喚の触媒が手に入れることが出来るかという欠点以外に2つ大きな欠点があり(桜は1つの欠点の影響しか受けていません。)それにて釣り合いが取れているという設定にしています。
 ・あらためて陰陽文珠の設定を見直してみると、異常な宝具に成ってしまいました。よって、陰陽文珠の宝具ランクをA++に変更します。
 陰陽文殊の追加解説
 陰陽文珠は、世界が魔法を言う神秘を獲得させるのを嫌う反面、人間が足元にも及ばない存在であるアシュタロスを相対する為に生まれた為、魔法ギリギリ一歩手前の出力を誇ります。
横島生前の陰陽文珠は、魔人アシュタロスを倒すまで、魔法ギリギリ一歩手前の力を霊力を消費する事無く無限に使う事ができるという宝具ランクEXの(GS世界に英霊ギルガメッシュがいたとしてもギルガメッシュが所持していない)原典の宝具です。
 陰陽文珠の制御は、技術系魔族の残存思念が担当しており、横島専用の宝具です。
 横島が英霊となってからの使用回数は、現界してから座に戻るまで(魔神アシュタロスを倒した時に使用した回数である)4回である。(つまり、仮に前回現界した時、一度も陰陽文珠を使用する事無く座に戻ろうと次に現界した時に使用回数が増えるわけではない)という設定です。


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