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▽レス始

!警告!壊れキャラ有り

「くだらない大魔法(まぶらほ)」

HEY2 (2006-11-18 23:08)

「……はぁ」
 神城凜はひとり、特大のため息をついた。
 その原因は『あの男』の事ではない。とは言え、間接的には関係はあるがそれはまた別の話。
 眼前に繰り広げられる惨状は、原作ファンにはある意味お馴染みとなった光景、
 中に漂う、なぜかピンク色の煙を、今月に入って3台目になる換気扇が、息絶え絶えに吸い込んでいる。
 ご近所も今では「あら、今日の凜ちゃんイリュージョンはピンク色なのね」と慣れたものの、同居当時はしばしば通報され消防車が出動すること都合17度、夕菜が暴走した時(通称『キシャー様降臨祭』)ですら来なかったパトカーも4回ほど来た事がある。
 そしてガスレンジの上に鎮座益します『半分溶けた鍋』の中身は、30分ほど前までは…

 生でも食べられるほどの上質な肉
 少なくとも名前は判別していた魚
 みずみずしかった野菜・フルーツ
 料理の基本『さしすせそ』(ちなみに『せ』は洗剤『そ』はソニックブーム)
 隠しきれない隠し味
 まな板の千切り

…であったシロモノ、今となっては人はそれを『ある意味生物兵器』と呼ぶであろう

 /

 ある日級友が「えーと…死神の釜?」と言ったのは衝撃だった

「私が料理が駄目だと言う事はいい加減解ってはいるが…」

 その後私は『釜』の実物を見たが(ゆうれいの巻・なか参照)

「鍋が溶ける、と言うのは異常ではないのだろうか」

 …アレ以上だった

「まさか、呪いや魔法にでも掛かっているのではないのだろうな…」


 そんな、お話(こえ:森本○オ)たーんたーんたったーん、たん♪


  『くだらない大魔法』(壊れ)


 遡る事数年前、九州某所にある平屋の武家屋敷、
 ぶっちゃけ言えば神城邸の中にある、サッカー位ならできそうな大広間にて、
『第30回 神城家新人当主選択会議(通称どらふと会議)』が開催されていた。
 ちなみに、プロ野球とかで似たような名前のものがあるが、こちら側の方が先らしい、その起源は『会議・集会大全』(民明書房刊)にも記されているので各自参照のこと。


「時期当主には静岡の凜を推薦したい」

 現当主・佐平の一言で始まった、ヅラの故・広報部長風に言うと

「第一回選択希望当主、神城 凜、5歳、内野手、掛川西幼稚園」(違います)

 その他にも対抗馬、つまり『第二回選択希望当主』以降の擁立があるにはあったのだが、扱い的には『リザーブ』でしかない。
 凜が分家の女性、しかも小学校にも入っていない段階であるにも拘らず、だ。それだけ凜の魔法回数および能力が高いと言うことに他ならない。


 そんな訳で時期当主についてはあっさりと決定したものの、ここで新たな問題が発生している。
 ある程度歴史のある家ならば、かなりの確率で有ると思われる『しきたり』
 況してや、こんな家業である神城家にそれが無い訳も無く、
 また家が旧いほどそれも古臭いモノであろう事は想像に難くない。

 要約すると…
『・女性を当主とする場合、男に現を抜かさぬ為に、男を遠ざける様な魔法を掛けねばならない』
『・ただし、将来は婿を採らねばならないので、完全に拒絶する様な魔法は厳禁』
『・また、男嫌いにする、等の精神を操る魔法も、魔に囚われ易くなるため厳禁』
『・その魔法は、極力縁無く高位な魔術師に依頼すべし』
 と言ったところだ

 最後の一文に関しては、最高の魔力を持つ次期当主に恒常的な魔法を掛けるのであるから、その術者は遥かに高位であるのは必須、そして親類縁者にそれができる者が居てはおかしい。
 それであっても、それほどの魔力を身内に行使するのは、何とも勿体無い話だし…
 もし縁者がそれを行った際には、後に当主権限で魔法の解除等を強制される危険性もあるからである。

 と言うわけで、都に住む大魔導士を呼んで来ることになりました。


「では駿司、くれぐれも頼むぞ」
「はっ」
「八ツ橋では在り来たりだからのう」
「頼む、って土産の話ですか?」
「お前の足なら片道2日くらいで済むだろうから、日持ちも計算して買って来るんだぞ」
「と、徒歩ですか!?」

 /
 3日後、神城家〜京都駅ホットライン

「どうした、駿司」
『当主、例の魔導師は東京に住んでいるそうです』
「そうか、では向かってくれ」
『あっさり言わないで下さい、せめてここ(京都)からの新幹線代くらいは何とかして下さら…』
「雷おこし、はダメじゃぞ」

 がちゃん

「当主! 何故そこで急いで切るんですか!!」
『ぷー、ぷー、ぷー……』
「あぁ、しかも100円玉を入れてしまった…」

※ココでケータイ世代の皆に作者からの解説だ!
 公衆電話には、10円玉と100円玉が投入できるのだ!
 駿司は遠距離なので100円玉を入れていたのだが、あっさり切られてしまって、そして当然おつりは出ないのだ!
 普段電話なんてしない駿司は、テレホンカードなど持っていないのだ!
 平時は念話で済ませるのだが、『山陽道スパルタスロン』で疲弊しきった体調ではそれもムリなのだ!

「はぁ……東京、か」

 /
 さらに5日後、東京駅『銀の鈴』前

 日本では絶滅したと伝えられていた人狼の目撃情報が、都内各地で相次いでいた、
 最終情報はこの場所、なんかいろいろと尽き果てた人狼がしばらく佇んだ後に去ってゆくのが目撃された。

「…さて、帰るか、しかしいったいこの暗号は何なのだろう」

 日本では絶滅したと伝えられていた人狼は、手にした『魔導師へのコンタクトの取り方を説明した紙』を眺めてつぶやいた。
 若干煤けた感のある人狼の背後には

X・Y・Z 神城佐平 09XX−XX−XXXX』

 と書き込んである伝言板。

※ココでケータイ世(略)
 電話番号はもちろん『090』では無いのだ!
 九州地方の市外局番なので『09』までしか特定できなかったのだ!
 作者は『超解まぶらほ』を持っていないので、神城家が九州の何処なのかは解らないのだ!
 本編に説明があったら只の晒し者なのだ!

 /
 さらに8日後、神城本家

「……た、ただいま戻りました」
「うむ、ご苦労、で、土産は?」
 駿司はアンタそればっかりかい、とは口には出さず、盛大な溜息と共に箱を差し出す。
 日持ちを考えた土産を選んできたチョイス、にもかかわらず、
「雷おこしはイカンと言ったであろう、せめて『ひよ子』でも買って来ないか」
 と言われては、さすがの駿司も黙ってはいられない。
「……当主、ひよ子はもともとは九州銘菓なんですが」
 疲れているせいか、突っ込みというかトリビアもポイントが激しくずれていた。

 駿司の帰還を見計らったかの様に電話が鳴り出す、
 人狼としての本能が『取るな!』と声高に叫んではいたが、一番近くに居る自分が電話機を睨むばかりで取らないのは不自然でしかない。
 受話器にできるだけゆっくりと手を伸ばす、その間に切れてくれないかな、などと言う淡い期待はあっさり裏切られる。

「もしもし神城ですが」
『駿司さん……ですね』
「な、何で解るんでしょうか?」
『さあ、何ででしょうね♪』
「もしかして今近くに居ますか?」
『いいえ、東京に居ますよ、この度はご苦労様でしたね』

 全てが見透かされているようで、軽く戦慄を覚える。

「てっきり京都に居ると思ったんですが」
『日本の都は御東幸以来東京なんですから、東京に住むのは道理でしょう』
「ごとうこう……ですか?」
『懐かしいですわね』
「何が?」

 アンタ幾つだよ、とは訊いて良いモノなのか、触れてはいけないモノなのか。


「ところで、あの暗号は何だったんですか?」
『アニメ化記念、と言う事でどうでしょう♪』
「……は?」
『本来なら新宿駅にしたかったんですけど、彼まだ現役の様なので』
「……佐平殿に代わりますから…」

 これ以上付き合いたくなかった駿司、

『代らなくても結構ですわ、用件を伺いましょう』

 と言う声を聞こえなかったフリをして、佐平に受話器を渡すと電話をスピーカーモードにする。替わった佐平が大体の経緯を説明する。
 凜を呼ぶ必要があるので、翌週の日曜日に来て貰う事は決まったものの、変な条件を突きつけられてしまった。

『ひとつ、条件がございます』
「ほう、如何様な条件でしょうか」
『その子に掛ける魔法、どんな魔法にするかはそちらで決めてください、あと………
 ……面白い魔法にしてくださいね♪』

「お、おもしろい魔法、ですか?」
『はい、期待していますわ』

 /
 日曜日

「ようこそいらっしゃいました」
「では、堅苦しい挨拶は抜きにして早速参りましょうか。実は今日もう一件、人に会う予定を入れていますので」
「そうですか、では駿司、凜を連れて来てくれ」

「さて、では佐平殿、彼女にかける魔法、決めてありますか?」
「ええ、それでは…」

 /
 同日・もう一件の家

妄想ポエムが止まらなくなる魔法、ですか?」


 /あとがきにかえて
 こちらでは初めまして。
 なぜか完成品は駿司苦労伝になってしまいました、なんでだろう。
 ラストをサッパリさせ過ぎてしまいました、もう一件と魔導師の説明は要りませんよね。


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