「あんたなんか生まれなければよかった。」
「お前みたいなのは俺たちの子供じゃない。」
「こんなのが兄なんて最低。早く死ねばいいのに。」
それは少年が生まれてからずっと言われてきた言葉。
少年は普通の人とは少し、いやかなり変わっていた。髪の色は銀、眼は蒼、何より少年は不思議な力を持っていた。
空間を操る能力。それを持っていたがために少年は家族からも周りの人からも「化け物。」と言われ、蔑まれてきた。
それゆえに少年はいつしか感情というものを捨てた。そう、少年は欠落した人間<ジャンク>だった。
そして少年が十三歳となった日。家族は少年を残しいなくなっていた。
幸い家にお金が残っていたため少年は知恵を振り絞り懸賞や株などに手を出し生活していた。
これは少年が一人で暮らし始めて一年がたったときの物語。
「何だろうこの手紙。」
少年はポストの中に入ってた手紙を見ていた。あて先は『深澄 蒼』だった。
「僕宛?」
蒼がその手紙の内容を見ると
『まきますか? まきませんか?
どちらかに丸をつけてください。
なおこの手紙は後ほど人工精霊メイメイが回収します』
と書かれていた。
「・・・空間の歪みだ。冗談の類じゃない。」
そう言うと蒼はまきますか?方に丸をつけた。
そしてその手紙をテーブルの上に置いたまま寝室へと行こうとすると後ろから“ゴトン”と何かが落ちる音がした。
「空間転移・・・やっぱり本物か。」
さっきまで手紙のあったところには綺麗な薔薇の装飾がされたトランクがあった。
「中身は・・・人形?これにも空間の歪みがある。」
蒼はトランクの中にあった黒い羽根のついた銀髪の人形を手に取った。
「・・・これのネジを巻けってことなのかな?」
トランクの中からゼンマイを取り出すと躊躇することなく蒼はネジを巻いた。
「あなたが私のネジを巻いたのぉ?」
「あぁ、そうだよ。」
急に動き出した人形に驚くことなく蒼は言った。
「ふぅん驚かないんだぁ。人間、気に入ったわ。私はローゼンメイデン第一ドール水銀燈。あなた、私の奴隷になりなさい。」
それは、心が欠落した人間と体が欠落した人形の初めての出会い
愛されることのない人間と愛されることを望む人形
そう、これは似ているようで似ていない一人の人間<ジャンク>と
一体の人形<ジャンク>の物語
後書き
はじめまして氷上の堕天使です。
あぁ、短い;;
なんか久しぶりにTV版ローゼンメイデンを見てたら急に書きたくなってしまったので書いてしまった作品です。
トロイメントのほうは未定(一応書くつもり)
更新は一応頑張って週一でするつもりですけどなにぶん学校が忙しいため不定期になりがちになるかもしれません
次からはもう少し長めにするつもりです。
それではここまで読んでくださりありがとうございました。
今回の一言w
カプリチオは狂想曲の意味です。
追記:主人公の設定は書いたほうがいいですか?