仮面の青年は、水瓶を見つめてしばし戸惑っていると、
エルルゥはその仮面の青年に近かずいて、
「起きて直ぐに動くのは良くないですよ、傷も完全に塞がってはいないんですから」
エルルゥは仮面の青年に優しい声を言いながら、仮面の青年にエルルゥは自らの肩を貸して、仮面の青年が寝ていた布団の所まで、
ゆっくりと案内して敷布団に座らせると、
仮面の青年に今着ている服を脱いでもらい、背中に張ってあってる、薬草等を取り替えていた。
その頃真紅の髪の青年は、夢を見続けていた。
真紅の髪の青年は、周りの色が真紅で、何処をどのように走っても、
周りの色は変わらない所かより一層色が濃くなっていた。
その時、どこからとも無く真紅の髪の青年を呼ぶ声が聞こえてきた。
【・・・ほ・・・わ・・・れは・・・ここだ・・・】
青年はその声を唯一の手がかりと思い、
その声がする方にまた一歩確実に向かっていた。
真紅の髪の青年がどのくらい歩いたのだろ、
真紅の髪の青年がまた一歩踏み込んだ瞬間
今まで代わり映えしなかった周りの色が、
山は火を吹き、川の色は真っ赤になっていた。
そこへ頭上から真紅の青年を呼んだ声の主がゆっくり姿を現した。
体は真紅の色の鱗と顔には独特の角を左右に一本ずつ生えていた。
手と呼べる物は左右三本しかなく、爪は鋭く光っていた。
背中には翼と呼べる物が四枚生えており、真紅の青年はこの姿を見た時、『この空間の主』と思うほどだった。
青年はこの得たいの知れない生物に話しかける事にした。
「・・・お前はいったい、誰なんだ?」
真紅の青年の質問に、真紅の生物は・・・。
【フフフフハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ】
巨大な体を使い、大笑いしていた、その巨大な目も笑い涙を見せていた。
【主が我の存在を忘れているとは・・・面白いぞ・・・面白すぎるぞ】
この巨大な真紅の生物の言葉は真紅の青年には全然知らないことだった。
『????????????????????????』
「いったい何のことを言っているんだ、それにお前は?いったい何者なんだ、そしておれは誰なんだなぜこんな所にいる」
この言葉を聞いた巨大な物体は、再び巨大な口を大きく広げて笑い、
【フフフフ、なるほど・・・これは面白い、記憶を失い自らの使命すらも忘れているとはなんと面白い事か・・・】
真紅の巨大な生物はまるで此方の全てを知っている口ぶりで話していた。
そこで、真紅の髪の青年は疑問を問いただして見た。
「貴様は俺の事を知っているようだから聞くけど、俺はいったい何者なんだ 教えてくれ」
真紅の髪の青年の問いかけに、真紅の巨大の生物は、ゆっくりとその鋭い牙をもつ口が開き・・・話し出した。
【良いだろう・・・我を笑わした礼だ・・・名前は教えてやる、貴様の名前は『焔』だ】
「ほ・・・む・・・ら(焔)そうか・・・ありがとう 巨大な生物よ、所で話は変わるが主の名前はなんだ何時までも巨大な生物では
判らないだろ、忘れていた名前を教えてくれた恩人?が名前なしでは困る者だろう。」
焔と呼ばれた、青年は真紅の巨大な生物に問いかけると、その問いかけにその真紅の生物は
まるでそれすらも忘れているのか、と言う表情を作ったが。
【我は・・・主達の世界では竜族と呼ばれる唯一の生き残りだ・・・その名も竜族は体を表す事が多い、その為我の名は・・・・・・
赤き竜(レッド・ドラゴン)だ。】
「赤き竜・・・ありがとう、赤き竜よ・・・」
赤き竜は焔に礼を言われた事を無視する事なく話を続けた。
【だがそろそろ現実に戻る時間だ・・・焔よ・・・良いか忘れるな・・・お主はか・・・・・】
最後まで赤き竜の言葉を聞き取れないまま、焔はゆっくりと目を開けた。
頭が完全に覚醒するまで少しの時間がかかったが、
ゆっくりと焔が周りを見回すと自分がどこかの家の中にいる事は判った。
周りは既に朝日が家の中まで入ってきており、鳥のさえずりが村中に響き渡っていた。
そこへ隣で寝ていた、仮面を付けた青年が起きた。
焔は仮面を付けた青年を見ている一つの考えが頭の中を過ぎった。
『へんな仮面をつけた青年だな』
その仮面を付けた青年は直ぐに自らの両手でその仮面を何とか取り外そうと色々とあがいていた。
しまいには何かの呟きが聞こえてきた。
「なぜ外れない!! 何のために?? 」
そこへ2人の後ろから声が聞こえてきた。
「2人とも起きたようだね」
この声に仮面を付けた青年と焔は2人同時に声がした方に振り向いた。
そこには白い髪の老婆が近づいて来た。
「おや・・・恩人に挨拶はないのかね」
仮面を付けた青年と、焔はこの言葉を理解するのに少し時間がかかった。
それを屋根に登る梯子の途中から見えてしまったエルルゥは自らの祖母に声をかけた。
「もうおばぁちゃん、この人達は・・・」
「判っておる、・・・エルルゥは心配せずとも良い」
そうエルルゥに言い聞かせておばぁちゃんと呼ばれた老婆は仮面を付けた青年の手首を持ち目を閉じて
何かを調べていた。
その行為に仮面を付けた青年は何かを口走ったが。
「自分はいったい・・・」
「それはこっちが聞きたいぐらいじゃ」
老婆が答えると 仮面を付けた青年は再び
話し出した。
「・・・この仮面は・・・」
老婆もこの仮面の青年を見つめて、ため息をつくと。
「外れないなら、外れないなりに理由があるんじゃろうて」
そう言うとエルルゥと呼ばれた少女は両手に木で出来た何かを持ってこちらの方に歩いていた。
そして隣にも人がいる事が分かった、仮面を付けた青年は、真紅の髪の色をした青年の方を見て
『真紅の髪した青年か?』
と思っていた。
それを見た、老婆は今度は真紅の髪の青年の方に座りなおし
左手を青年のおでこに乗せて右手は青年の左手を持ち何かを調べるように目を閉じて
数秒たった。
すると老婆がおでこと右手から自らの手を何処して
「大層な怪我をなさっていたから心配はしていたが、どうやら峠は越えたようだね
それに火の神様もいないようだし後は傷が治るまで当分の間動かないとじゃ、今は体を直す事に専念するんじゃいいね」
その間もエルルゥは仮面の青年に木で出来た何かの器の一つを自らの座った隣に置き、
残った木の器らしき物から湯気が出ていた。
エルルゥは湯気が出ている食べ物を木のスプーンで一サジすくい取ると、
青年に話しかけた。
「これはお粥です」
仮面を付けた青年は・・・湯気が出ているモノが食べ物だとこの時初めて知った。
「・・・おかゆ・・・」
仮面を付けた青年がおかゆとエルルゥに言ってみると
エルルゥもこれに答えた。
「・・・ええ・・・モロロ粥です」
「モロロ?」
「少しでも栄養がつくモノを食べないと・・・」
エルルゥはこの時、このまま熱いまま食べさせるわけには行かないと思っていると。
仮面の青年はたどたどしくながらもエルルゥに礼を言った。
「・・・あっ・・・ありがとう」
エルルゥも仮面を付けた青年から礼を受けると、顔を少し赤くして。
「//////// いっいえ・・・わたし薬師の見習いですから 当然の事をしたまで、ですから」
そう誰かに言い訳したかのように、モロロ粥を木のスプーンでかき混ぜていた。
エルルゥがモロロ粥を混ぜていると湯気が段々となくなっているのが判り
「冷めてしまいますね・・・これをどうぞ」
そう言うとエルルゥはモロロ粥をすくい、仮面の青年に食べさそうとしたが。
予想以上に湯気が立っておりそれに気付いたエルルゥは
「まだ熱いですね・・・フッ・・・フッ・・・」
エルルゥはモロロ粥を息を当てて冷ましていると、
ガタッ
と 後ろの方から音が聞こえてきた。
仮面を付けた青年と真紅の髪の青年が後ろを振り返ると
「・・・・ハッ」
まるでエルルゥと呼ばれた少女似た顔のつくりを少女らしき人が直ぐに顔を隠して何処かへ行ってしまった。
エルルゥも仮面を付けた青年にさめる少し前のモロロ粥を食べさそうと
息を浮きかけていた。
真紅の青年は、その行為を見て・・・
『老婆に言われたこともあるし何より赤き竜に再び遭える事も
あるし』
そう思いながら 再び焔は目を閉じると睡魔に襲われて意識を手放した。
後書き〜
真紅の青年の名前と 少しですが 正体と呼べるほどのヒントを出してみました
この青年の力が後々必要になるイベントも出てきますので
今回は先に投稿した二つよりかはかなり長い分を書きましたが
その分といって良いか分かりませんが もしかすれば誤字・脱字があるかもしれません
こちらでも何十にもチェックしていますが