小さな英雄〜Littele Braver〜 GSinFate
プロローグ
――――神界某所―――――
「・・・・これは・・」
今まで書類整理をしていた、頭に棘をつけ翼を持つ男が一枚の紙を見て呟いた。
「どういたしました?キーやん様?」
傍らでこちらも書類を整理していた翼を持つ男が顔を上げ上司らしき男に声をかける。
「緊急事態です。今すぐに横島忠夫をここに呼びなさい」
「っ!!!!!!!はっ!!了解しました!!」
出てきた名前はよほど大物だったのだろう。男は驚きながらも直ぐに姿を消した。
――十分後――
コンコン
ドアが叩かれる音がし、開けると、目的の人物達が現れた。
「何ですか〜〜? 人がヒャクメと一緒に覗・・・・ゲフンゲフン書類整理していたときに」
呼び出されたのはジージャンにジーパン、腕に赤いバンダナを巻いた男。
キーやんと呼ばれた男は、自分が働いている間、遊んでいた事に対し軽く殺意を覚えるが、目先の問題を放っとけないので、そのことはひとまず忘れることにした。
「ここらでふざけるのはやめましょう。もう判るでしょうが、この事件はかなり危険です」
キーやんの言葉に今までのふざけた気配は鳴りを潜め、一瞬にして殺伐とした雰囲気になった。見れば2人の顔は険しいものになっている。
「・・・・いいですか? 先日冬木市でとてつもない邪悪な波動の反応がありました。」
この言葉を聞いてジージャンにジーパン、腕に赤いバンダナを巻いた男(以下横島)が怪訝な顔をする。
「そんなもん俺何も感じてませんよ?」
「当たり前です。出たのは一瞬ですし、私の部下が偶々人間界を見ていたからですし」
キーやんの言葉に横島は納得した。一瞬で消えた悪の波動などよほど注意深く人間界を見ていなきゃわからないからだ。
「そこで気になった私は冬木市のことについていろいろ調べてみました。すると驚くべきことが判りました」
そこから聞いた話は驚くべきものだった。
何十年に一度行われる聖杯戦争のこと。
あの時感じられた波動が【この世の全ての悪】アンリ・マユだったこと。
サーヴァントのこと、マスターのこと。
そして聖杯のこと。
横島はしばらく考え込んでいたが、しばらくして口に出した。
「・・・・つまりそれは1回だけ勝者の望みを、どんな望みでも叶える物なんだな?」
「はい。因果そのものを逆転させるので、あらゆることが可能です。それこそ時間逆行したり、人を殺したり、或いは・・・・・人を黄泉帰りしたり」
その言葉に横島が微かに反応する。当たり前だろう。誰だって何でも望みが叶うものがあるなら手に入れたくなるのは必然だ。
特に愛すべき者を失った人ほど・・・・
「・・・わかった。つまり俺にその聖杯をぶっ壊せといってるわけか・・・・」
「はい。できれば持ち帰ってくれるのがいいのですが・・・」
「何故だ?」
「【この世の全ての悪】アンリ・マユが一箇所で解放されたら・・・どうなるかわかるでしょう?」
「悪に取り付かれ犯罪が多発する・・・・・だな」
「そのとうり。だからこそです。・・・・受けてくれますか?この依頼」
「・・・・・・いいでしょう。この依頼、受けましょう」
「ありがとうございます。人間界に行く時の制約は
・無闇に人を殺さない
・魔族化、封印はとかない。これだけです」
「・・・・・わかった。 いやっほ〜〜い!!久々に人間界に帰れるぞ〜〜!!」
今までの空気はどこ吹く風やら、いまでは軽い空気が漂っている。
「じゃ、そこの魔方陣の上にのってください」
「あいよ」
そう言うと指差された部屋の隅の魔方陣の上にのる。
「ではいきます」
言い放つとなにやら難しい呪文を唱え始める。それに呼応し、魔方陣も光りだした。
パシュ!!
軽やかな音がし、横島の体が消える。
こうして聖杯戦争は幕を開けた。
あとがき
はじめまして。一昨日電波を受信し、初めて筆を執った、PGLLと申します。本当に拙い文章ですが、読んでいただけたら幸いです。
要望、指摘、批判などがありましたら、ぜひ書き込んでいってください。それではまた。