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▽レス始

「月の下、魔術師は何を思う(Fate+色々)」

機零 (2006-05-25 21:47)

月の下、魔術師は何を思う。

第一幕 参加者


――宴を始めよう――
――十四の月が巡る宴、血と肉で彩られた催し、狂気の祭り――
――六人七騎、十三の役者達――

十二月十日、日本――三咲――
上辺だけは何の変哲も無い町に相応しく、その夜も、静かに町に帳が落ちていた。
異彩を放つのは、空に浮かぶ月、何の穢れも無い白き三日月。
月を見上げていたのは琥珀、七夜琥珀、七夜志貴の妻、琥珀。
「ねぇ、志貴さん。今夜はこんなにも月が綺麗ですよ」
ガラス越しに見える月を眺め琥珀は杖をついて呟く。
「前にも見ましたね、こんな月を。一緒に」
その声は静かなのに、とても、とても、重く、張り詰めた感情が。
「もう一度、もう一度。見たいですねぇ。翡翠ちゃんと秋葉様。それに志貴さんと一緒に。見たいですねぇ。綺麗な月を」
ふふっと、琥珀は笑う。
とても綺麗な、月に負けない微笑。
だが虚ろで。
「ずっと、一緒にいてくれるって言ったじゃないですか」
琥珀は首を上げ天井を見る。
「私は執念深いんですよ。一度傷つけられたら、翡翠ちゃんを泣かしたら許さないですよ」
体が震え。
「許さないって言ったじゃないですか」
声が震え。
「絶対に許さないって言ったじゃないですか!!」
静寂の中に響く声、叫び。
体は震え、声は震え、上を向いた目からは頬を伝う雫。
「だから、怒ってあげます。もう一度怒ってあげます」
絶対に許さないんですから、涙のせいか篭った声で。
琥珀はもう一度杖をつく。
そして口から流れ出す呪。
滔々と、
歌うように、
祈るように、
言葉を紡ぐ。
言葉は終わり、
光が、
琥珀を包む。
光の中で「ねぇ。もう一度会いましょう、志貴さん」琥珀は呟く「もう一度一緒にあの時から、御伽噺のような都合のよさですが、やり直しましょう」
光が晴れる。
一人、
琥珀の前に、
立っていた。
「聞くけど。あんたが私のマスター」
その問いに、
「はい、私がマスターですよ、青崎橙子さん。キャスターでよろしいですか」


十二月十二日、日本――京都――
「成程――成程。そう、家族だからね。そう、家族は大事だね。マスター」
「黙って下さい、アサシン」
「お兄ちゃんか、お兄ちゃん、私は長男だから兄なんて居ないんだけどね。私は実は妹が欲しかったんだよ。最後の最後に出来たんだけどね。―――うふふ、愛してあげられなかったよ。あの青二才に任せてしまった」
闇口崩子とアサシン、黒い少女と、針金細工のような青年。
「それにしても闇口が魔術。驚くべき話ではないのかもしれないのだけど。驚くに値しないのかもしれないけど。魔術か、正しく呪い名の領分だと思わないかい。殺し名のマスター」
「黙らないんですね、アサシン」


十二月十三日、日本――冬木――
暗い闇、冷たい空気、虫の囀り、風の音。
「フェイカーでも呼び出すつもりですか。マスター」
「其れも一興でしょうね。ギルガメッシュ」
無色の修道女と金色の少年が魔方陣の前に立つ。
「へぇー。違うんですか。此処で呼び出そうとするのに」
少年の声は愉快そうで邪気が無い。
「さぁ。ただこの場の霊脈の都合がいいだけです」
「まぁ、そういうことにしておきましょうか。それにしても。弱くなっちゃいましたね、マスター。偽善者なんて嫌いじゃなかったんですか」
「ええ、駄犬に懸想など致しておりません」
「僕、誰だって言いましたっけ。マスター」
少年は笑い、修道女は少年を睨みつける。
「そうですね」
修道女はため息を一つついて。
「弱くなりました…弱くなりましたよ、私は」
まるで、独白のように。
少年に語りかけるのではなく。
空に投げかけるように。
「だから、あの正義の味方を騙る偽善者に絶望を教えてあげたい。自分の正義がどれほどの絶望を生み出すのか。どうしたのですギルガメッシュ」
「少し、意外です。マスターがそんなことを言うなんて」
少年は修道女を見て。
「あの子のせいで考えが変わったんですか。作り物の人形であっても」
「さぁ」
そして修道女は言葉を紡ぐ。

「サーヴァント・セイバー。契約に従い参上した。貴女がマスターか」

現れたのは剣の騎士、和装に日本刀、茶色の髪を腰まで伸ばした妙齢の女。

「貴女が英霊になる世界もあるのですね。…ええ、そうです私がマスターです。英霊フジムラ」


数週間前

「聖杯――ホーリー・グレイル。其れを手に入れろだなんて。無茶を言うのね。お姉さんは困ってしまうのよ、其れでこそ熱く悶えられるものかもしれないけれど」

一週間前。

「これでお姉さんのダンスの相手の予約チケットなのかしらん。素敵で恐ろしいパートナー、お姉さんは今から湿ってしまいそうよ」

十二月十四日イギリス――ロンドン――

「さぁ、日本に向かいましょう。ライダー、可愛らしい貴女とお姉さんの熱いダンスパーティーよ」
金髪の女性に呼ばれたのは銀髪の少女。
黒い、黒い、黒い、少女、赤い、赤い、赤い反英霊。
「了解したマスター」


同日、アメリカ――アーカム――

金色のシスターが、後ろに控える青年に言葉を紡ぐ。
「ねぇ、九朗ちゃん」
「何だ。マスター」
「ライカさんです」
「マスターはマスターだ。本名で呼び合うべきじゃない」
「令呪を使っても名前で呼んでもらいます、九朗ちゃん」
「……何だ。ライカ」
「何で死んじゃったんですか」
「覚えていない」
「言いなさい、九朗ちゃん」
「覚えていない。ライカにとっては先日のことだろうと俺にとっては既に磨耗した記憶だ」
「ライカのせいですか」
「覚えていない」
「ライカのせいなんですね」
「覚えていない」
「ライカのせいですね!!」
「知らない」
女性の叫びに青年は淡々と答える。
「強情ですね」
「覚えていないものは知らない」
「ねぇ、九朗ちゃん。九朗ちゃんはね嘘をついているときほど。相手の為に嘘をついているときほど目を逸らさないんです。知っていましたか、ライカが怒っても怒鳴っても目を逸らさなくなるんですよ。それなのに言葉にする時唇が違うことを喋ろうとするんです、だからいっつも一言目よりもちょっと前に唇が動いちゃう」
ライカは振り返って。
「だからライカのせいなんですね。九朗ちゃん」
「違う」

「じゃあ行きますか九朗ちゃん」
「本当に行くのか」
「行きますよ」
「そうか」
「あっと」
ライカは、
「御免なさい九朗ちゃん。殺して、御免なさい」
一言そう言って教会を出た。
金色のシスターと純白のアーチャー。


十二月十六日、日本――学園都市――
機械に囲まれ、科学に囲まれた世界の二十年先を行く都市。
学術の最果て、超能力者のバビロン。
深夜の警戒網を突破しようとする二組。
銀色のシスターと女性。
女性が目を向けるだけで最新の防犯、侵入者対策が沈黙する。
まるで機械達が己の姫君に道を譲るかのように。
目を向けるだけで扉が開き、異常を発令しない。
金色のシスターはこの世すべての外道を有する禁書目録。
女性は仮初の槍を携えたランサーのサーヴァント。


十二月十七日、日本――某所――
「さぁ、くっだんねぇ前祝。お祭りの前夜祭。集うは六人六騎、荘厳なる馬鹿野郎。そして七騎目の吾」

「吾はアヴェンジャー、復讐騎のサーヴァント」

「吾の名の下に次の月が頂点に掛かる時、第六次聖杯戦争の開催を宣言する」


後書き

第五次参加者がギルガメッシュのみという第六次聖杯戦争

今の所は影の主役がアベンジャー(こいつがオリに近いです、一応はアンリ=マユ)

六人のマスターとも望むは聖杯、殆どが死者の復活を望む。

よって同盟はありません、最後の一騎まで戦い抜く。

それが例え黒い聖杯だとて。

追記

色々な所からキャラを引っ張ってきていますがライダーコンビは判る人いないと思います。

特にサーヴァントの方はヒントがロンドンぐらいしかありませんし。


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