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「魔導混乱デモンベイン あるシスターさんの焦り(デモンベイン)」

sara (2006-04-03 14:54)

魔導混乱デモンベイン

あるシスターさんの焦り


設定としては原作から数年後です。

確か九郎は二十歳過ぎのはずだからこのお話の中では二十の後半ぐらい。

精霊の外見年齢はまったく変わらないので犯罪の度合いが更にきつくなっております。


大黄金時代にて大暗黒時代にて大混乱時代。

富が、混乱が、悪が、蔓延り溢れ感染する町アーカム。

その裏の顔は魔術都市、表の顔は覇道が先頭となり発展する経済都市。

その割には最近平和で警察さんが大いに頑張っているので住むにもそれなりに快適な町へと変貌を遂げつつある、それが一過性のものか恒久的なものかを図るすべは無いが今この時は紛れも無く平和。

現在進行形で不幸を体感している青年の存在を無視すると。

勿論、不幸を体感しているのは我らが貧乏探偵大十字九郎、因みに舞台は教会、世間様では悩める子羊が懺悔に来るはずの場所。

勿論懺悔に来ているわけではないのだが。


「ねぇ。九郎ちゃん」

「なんだい。ライカさん」

妙に快活な微笑を浮かべてライカの手を握る大十字九郎、握られているライカさんも妙に晴れ晴れとした笑顔だ、九郎の脇に座っている精霊さんは引き攣った笑みを浮かべていたりする。

「結婚しましょう」

「なんだい。ライカさん」

「ほら。此処にサインして。後は役所に提出したら終わりだから」

「なんだい。ライカさん」

結婚の台詞で九郎の笑みが引き攣ったものに変わり、精霊の笑みに憤怒が混じる。

目の前に出された婚姻届けなる紙で冷や汗が滝のように、精霊さんは妙に焦った表情に。

多分結婚の単語の辺りで九郎ちゃんは現実逃避に走っているのかもしれないが、壊れたテープのごとく繰り返しているし。

「ねぇ。九郎ちゃん。サインをしなさい」

「なぁ、ライカさん。マジ」

現世回帰したようだ。

「マジですよー。九郎ちゃん。だからちゃちゃとサイン」

その言葉の応酬の合間に口を挟もうかどうかを苦悩する精霊、彼女の目の前に置かれたのは請求書、額面四万ドル、名義はアル・アジフ、大十字九郎の連名。

請求者ライカ、九郎一人の時から通算六年余りの二人がライカにたかった食費の総額だった。

因みに横には明細まで付いていた、日付とメニューと一人当たりの手数料の概算金額が併記されているのが何かの執念を思わせる。

執念を感じるのぉ、と思いつつも貧乏探偵をやっている自分達に金を返す能力など皆無。

精霊さんが悩んでも返せる金のめどなど付くはずも無い。

悩んでいる間にも九郎はライカさんに追い込まれていっているし。

「九郎ちゃん。何も言わないでサインをしちゃいなさい。それともライカさんを捨てるんですか。・・・・・・・・・・・・・・・ああっ、苦節何年も何年も九郎ちゃんという甲斐性なしにご飯を与え続けたのも九郎ちゃんのことが大好きだったお姉さんの愛情だったのに。それなのに九郎ちゃんったらロリペドに走っちゃうし。上司(姫さん)とは浮気しちゃうし。それで気が向いたらお姉さんのお家に来てはご飯を貪って・・・・・・・ライカもライカも何度も何度も貪ったのに。・・・・・・・・・・・・・鬼畜ですから九郎ちゃん。お姉さんの柔肌を堪能するだけ堪能したらもう用は無いんですから。神様、ここに人倫を踏み外す悪魔が居ます・・・・・・・・・・・・・・えっ、神の使いとしてライカに任すと。では。九郎ちゃんを眠らして拇印を取るのはオーケーですか?オーケーですね、神様」

と一人芝居のようなことを呟きつつ。

「はい、九郎ちゃん。神様も仰っております。とっととサインしろってーの。この甲斐性なし」

自己脳内で大義名分も補完されたらしい、甲斐性なしに結婚を迫るのもそれはそれで矛盾が大いに溢れているが。

と、此処で詰まれるのが普段の九郎なのかもしれないが、彼は彼とて我侭な精霊は背徳の聖職者や為政者の相手をして数年、ウィンさんや○○○○と酒を交わして女の愚痴を垂れること幾十回、主にウィンさんが聞き役、○○○○の魔人形教育談義。

○○○○の相談がかなりウザイらしい、不良に為ったとか、父親なんか嫌だとか。

ともあれ、ある程度は唐突な彼女達絡みのトラブルに対する耐性が出来つつある、出来ないと精神的に死亡していたかもしれないのだから。

幾らライカさんでも強引に押し通せないぐらいには。

「ライカさん。今回は何があった?」

その言葉にライカは微妙に肩を震わせるが表情は変化させずに。

「いつも大雑把な九郎ちゃんがそんな細かいこと考えずにサイン。挙式は近くのレストランを貸し切ってやりますから」

パンフレットを取り出して朗らかに微笑むライカ、準備がいいのかそれはウェディングコースのもの。

と、その様子を無視しつつ、正確には無視するよう努力しつつ傍らのアルの脇をつつき、小声で。

「ガキどもんところいって調査。オーケー」

悩んでいたアル、主に金策、この何年かで九郎の財布は完全にアルが管理していたが金が増えたりはしなかったりするのだが、突付かれ内容を理解して頷くアル。

つまりはこの突拍子も無いことを始めたライカの真意の調査。

その様子に、何を話しているかは聞こえないが冷や汗を垂らすライカ、どうやら強引に押し通せないと理解したのかもしれない。

そんな彼女の隣を抜けて教会のの居住スペースの方へ向かおうとするアル。

それを見送る汗を垂らしたライカ。

ライカの様子がおかしいと悟る貧乏探偵。

そしてアルがライカの隣を抜けようとすると、何故かアルがライカさんの腕の中で首を極められて抱きしめられていました。

妙に力が篭って。

口だけは朗らかに「九郎ちゃん。今あの子達仕事に行っているから。そんなことよりサイン」

確かに義務教育課程を修了したライカが面倒を見ている孤児達は午後はバイトに精を出しているが、それがアルを危険な感じに指を首に食い込ませている現状の言い訳にはなっていない。

男ではのど仏に当たる位置を指で押し込まれたら呼吸など、そういえば精霊は酸素が必要なのだろうか。

つーか、さっき神様の名を騙って胡散臭い演技をやっていた罰なのか世界は案外彼女の敵になりつつあるようだった。

「ライカ姉ちゃん。ただいまー」

ご都合主義的なタイミングでご帰宅されたのでした。

速攻で九郎に拉致られて、尋問されたが。

慌ててアルを放り出して止めようとしたライカは報復とばかりにアルに背中から押さえ込まれて床に寝ながら真相を暴露された。


曰く、孤児院の子どもの一人、正確には十六歳になるので子どもというのも語弊があるが、アリスンちゃん、五年の月日は彼女を成長させ立派なレディと変化を達成しました。

保護者がライカさんだというのに間違った性知識を獲得することなく。

で、そのアリスンちゃん。

先日リューガ君、ライカさんの弟、年齢的には二十代半ばと結婚するとライカさんに報告してきたのです、唐突に。

年齢の違いは約十歳、まぁ、微妙に犯罪的な年齢差がありそうだが、九郎と呼ばれる犯罪者に比べるとまともではないだろうか。

ライカさんとしては反対する理由も無く了承、弟と妹分がけコンスルの出不満は無いのだが。

後日彼女が気付いた恐ろしい事実。

ライカさんこのままじゃ一人身で三十に・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

其れも十以上も年下の妹分に先を越されて。

で、結論。

妹分より先に結婚しなければ、アイデンティティを守るためにも。


アリスンの結婚の事実を暴露され、その辺りからアル尋問され。

今現在ライカさんは椅子にしょんぼりと項垂れながらえぐえぐとべそを掻きつつ。

「間違ってます、間違ってもますよね。エロ担当とかお色気暴走キャラとか言われていますけどライカさん綺麗なお姉さんですよね。・・・・・・・・・・・九郎チャンとの付き合いが一番長いのライカさんです。・・・・・・・それなのにそれなのに一人身ですよ独身ですよ。確かにシスターさんですけど。ライカさんはインチキシスターさんですよ。だから結婚だってしたいんです。三十で一人身なんて嫌なんです。でも丁度いいのが九郎ちゃんしかいませんし。不良債権かもしれないけど九郎ちゃん入籍してライカと愛を育みましょう」

と、ぶっちゃけて、そして本当に愛があるのかと疑いたい台詞を撒き散らしつつ。

因みにアルは既に呆れて自分でお茶を入れて無視を決め込んでいる、どうやら自分が頭を悩ますのが馬鹿らしくなった模様。

九郎は困った表情で眺めている、下手に慰めると言質を取られてサインをさせられそうだから、こちらも無視を決め込んでいるのとそう態度は変わらない。

「聞いてるんですか。九郎ちゃん。お姉さんが嫁き遅れたのは九郎ちゃんのせいなんですよ。判ってるんですか。ライカさんがマリア様のような博愛の精神で不甲斐ない九郎ちゃんの世話ばっかりしていたから相手が見つからなかったんです。だからライカが調教した九郎ちゃん、飼い主の言うことを聞いてお姉さんを貰いなさい」

段々発言が不穏当になっていく。

確かに九郎はライカの食事に餌付けされているのかもしれないが調教?

不定期に夜に九郎と何事かしていることと関連があるのだろうか、調教の単語に九郎の顔中に汗が噴出しているが。

それもぶつぶつと「女装は嫌だ・・・・」とか呟いて。

何をされたのかは不明だが彼のトラウマに近い行為をライカにされた模様。

因みにアルは聞くのも面倒くさくなったのか雑誌を開いていたりする。

「誰が、飼い主?」

「ライカさんです。餌をあげているでしょう。文句があるようでしたら食費を出しなさい。払えないようでしたら犬っぽく飼い主のお願いくらい聞きなさい。九郎ちゃん」

と、きっぱりはっきり。

其れが先ほどの四万ドルだが返せるわけが無い、それにしても複数年に渡っているとはいえライカさん、日本円で五百万相当、それなりにお金持ちなのだろうか。

と、その台詞に頭痛そうに頭を振って。

「なぁ、ライカさん。俺のこと愛している」

とても愛しているとは思えない罵詈雑言っぽいライカの主張を聞きつつ反論する、反論になっているかは微妙どころか曖昧だが。

その言葉に対してライカはきょとんとしてから。

「何を言っているんですか九郎ちゃん。将来性皆無の何時までたってもヤクザな商売から足を洗おうともしない怠惰で社会不適合な九郎ちゃんですけど。ライカさんは九郎ちゃんのことが好きですよ。愛を感じない相手を伴侶としようとするほどライカさんは馬鹿ではありませんよ」

何を当たり前のこと言ってるんだとばかりに述べるライカ、ぼろ糞に貶す様な言葉を連発していても焦っているだけで結婚話を持ちかけたわけでもないらしい。

先ほどえぐえぐと泣いている様子から何かと追い詰められては居るようだが。

「愛しているのに犬」

「犬が嫌なら奴隷です。この甲斐性なし。ご主人様の危急の時には文句を言わずに普段の恩義を返しなさい」

愛しているのに口調は辛らつのまま。

なおアルはやっぱり興味がなさそうに茶菓子を食べながら雑誌のクロスワードを解いていた、どうやらライカが九郎に愛情を感じている辺りはどうでもいいらしい。

まぁ、何の感情も無ければご飯の世話も無かったから今更なのかもしれない。

勿論、今日のごたごたで結婚することはなかろうな、と目星をつけているから興味が無いのだが。

「と言っても。ライカさん。焦らないでもライカさん年をとっても綺麗・・・・・・・・・・・」

言葉の途中で止める九郎、ライカの目線により強制的に止められたのだが。

「九郎ちゃん。お姉さんは年をとっていませんよ」

どうやら自分が言うのはいいが他人が言うのはNGらしい。

「其れに九郎ちゃん。誤魔化そうとしても駄目ですよ。ライカの胸を散々貪って吸って挟んでお腹の中に白い液体を散々ぶちまけておいて、もう九郎ちゃんが私を頂くのは決定事項なのです、其れなのに九郎ちゃんが全然その手のお話をしないから追い詰められているのですよ。民事裁判を起されたくなかったらさっさとサインしなさい」


と、その日は九郎がのらりくらりとかわす、ライカが追い詰めるとの繰り返しで終わったのだが。

後日、アルの「汝。ライカをもらってやれ」と満面の笑みで言うアルの反逆を受けてライカの予定したアリスンの結婚前の挙式と相成ったりするのだが。

それが翌日から続いたライカの九郎邸通い妻状態から発せられるプレッシャーゆえか、それとも何か裏取引があったのか。

なんにせよ満面の笑みで指輪を眺める、九郎が姫さんに土下座して前借した金が元、ライカとアルが居たのは別の話。

その後教会でシスターさんを娶って愛人としてロリペドをこよなく愛する鬼畜が誕生するという事態になたのだが其れはまた別の話。


後書き。

なんか思いつきのライカと九郎のお話。

台詞だけをとったら本当に九郎のことを愛しているのか疑わしい、と言うか絶対に愛してなさそうな、まぁデフォルトで毒を吐くのがライカさんティスト。

もし続いたら今度はライカさんとの日常話。


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