インデックスに戻る(フレーム有り無し

▽レス始

!警告!ダーク、壊れキャラ有り

「萌えバレス(鬼畜王ランス)」

ぺぺ (2006-03-24 00:34)

リーザス黒の将、バレス=プロヴァンスの本日最初の仕事は、先日の
盗賊団との戦闘報告の決済をすることであった。
被害報告−戦死131名、重傷375名−に、まあこんなものかと思う。
彼は、戦死者リストに見知った部下の名前があるのを見ても、何の感傷も
抱かなくなった自分を自覚していた。

統一王ランスが失踪して10年。
世界は戦乱と混沌に覆われている。


現在ではリーザス領となっている、かつての自由都市国家地域。
ランス王によって根絶やしにされた筈のDXの会を母体に、地下諸勢力を
糾合した一大シンジケートが成立していた。
当初は小規模な盗賊団が辺境の村を襲う程度であったが、現在では旧自由
都市国家地域の全土に勢力を広め、既に幾つかの都市国家はリーザスの
統治が及ばなくなっている程である。

ヘルマンでは、魔人領との抗争が激化している。
魔王を継いだ、元魔王ガイの娘ホーネット。かつて人魔共存を唱えた
彼女は、魔王襲名後に豹変、幾人かの魔人を率いてヘルマン領を犯した。
ラ姉妹やメガラスなどによって、既にヘルマン領の奥深くまでが、その
襲撃の対象となっているようだ。

ランス王失踪後にゼス王に復位したガンジーは、リーザス占領下にあって
廃止されていた奴隷制の復活を宣言。
既に自由を知った2級市民がこれを受け入れる筈もなく、またかつての
ガンジー王を信奉していた魔法将軍たちの一部が2級市民側に付いたため、
現在では泥沼の内戦状態となっている。


バレスは思う。
ランス王の旗の下に戦った、あの世界統一戦争とは何だったのだろうか。
数多くの犠牲を払い、無秩序に世界を滅ぼさんとするケイブリス一党を
討伐して、それで得られたのは何だったのか。
世界が滅びない程度に制御された、秩序ある混沌だけとは。

ランス王が失踪したあの日。
創造神の前に辿り着き、この世界の真実を知らされた運命の日の夜。
世界を主催する人々 −ランス王、マリス宰相、ハンティ殿、ガンジー殿、
魔人ホーネット殿、そしてこの自分− は、共犯者となった。
ただ神に娯楽を提供するために、世界を混沌に戻す共犯者に。


ふと気が付くと、目の前に宛名のない封書が置かれている。
次に戦闘が起きる日時、場所、双方の戦死予定人数が記されている。
おそらくはランス王の下にいる、見当かなみによって届けられた指示書。
さて、次は誰を戦死させたものか。


それにしても、ああ、自分はいつまでこんな事を続けるのだろうか。
世界が再び乱れて既に10年。
無秩序に死を拡大させないため、まだまだ戦争を演出しなければならない。

リック、コルドバ、エクスなどの将星は既にない。
ハウレーンやメナドなど年若い将軍たちは順調に育ってきている。
あの頃の真っ直ぐな心を保ったままで。
彼女たちに、この呪われた天下の秘事を託すことはできない。

あの男が、キンケード将軍がリーザスに居てくれれば、と思う。
彼ならば、眉一つ動かすことなく、淡々と任務をこなしてくれただろう。
しかし、彼はランス王とともに消えた。
ランス王の下で、既に自分と同じ任務を果たし続けている。

いつか、私は自分にかわる人材を得られるのだろうか。


黒の将、バレス=プロヴァンス。
リーザスにおいて天才軍師と賞賛される彼は、しかし今日も孤独である。


(あとがき)

はろー、ぺぺちんです。
萌えキンケードのプチ連載を長らく放置プレーしてましたが、
ふと萌えバレスを書いてみたくなりました。
舞台は「神の奴隷」エンド後、バレスは報われないのが萌えですよね?

電波元は、とある都市伝説。
ゴミ処理施設の映像をバックに、明日亡くなる予定の人の名簿が延々と
読み上げられる深夜番組が云々、というやつです。

ハッピーエンドの物語が好きなのに、自分が物語を作る側になると
救いのないものばかり妄想してしまうのは何故だらう(苦笑)


△記事頭

▲記事頭

PCpylg}Wz O~yz Yahoo yV NTT-X Store

z[y[W NWbgJ[h COiq [ COsI COze