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▽レス始

「ランスとひよこや(鬼畜王ランス×ひよこや☆商店)」

TO (2005-12-14 12:55)

君に飽きたと奴は言った。

崩壊する大陸、蹂躙される空、そして、砕けてゆく自分の体を‥‥血を吐き出す。

久しぶりに感じた、自分の血の味に苦笑と同時に怒りがフツフツと湧いて来る。

「くそくそくそっ、クソクジラぁあああああああっっ!俺様を……嵌めやがったなッ!」

過去に失った一人の少女のために身を魔に貶め、かつての仲間を殺し、全てを破壊してきた。

”奴”の出した交換条件……自分を100年楽しませてくれたら、あの少女を……シィルを生き返らせると。

『あはははははははははっ、楽しかったよ、沢山の人間がプチプチ死んで行くのは‥でも、この世界はもう飽きちゃった』

死に行く仲間を己の中に還元しながら、耐える‥‥黒い感情に支配される…俺様が、俺様が死ぬだと…今まであの下らない奴隷のために。

仕方なく、仕方なくやりたくもない魔王なんてものをして……やりたくもない、面倒なだけの戦争をして、人間の世界を混乱に貶めて。

その結果がコレだ、自分の信念を、したいようにしなかった結果がコレだ、くそっ。

『じゃあね、ランス、新しい世界も、君みたいな子が産まれると良いなぁ、きゃははははははははははははははははは』

くそっ。



少女は歩いていた、仕事の終わりに、久しぶりに一人で散歩してみたいと兄に頼んだのだ。

心配はない、ここら辺には危ない動物はいないと仕事先の人が言ってたし。

「陸〜〜〜〜〜、あまり遠くに行ってはいけないよ」

お兄ちゃんの心配そうな声、だいじょうぶだよ、少し荒い呼吸でそれだけを答える。

ザッ、ザッ、ザッ、パチッ、音がする、何だろうと思い、足を速めてみる。

木々に覆われた狭い空間に、大きな、くろい、くろい穴のようなものが浮いている、見たことがない。

双葉ちゃんの言ってたここ最近開発されている『異界』と『ヤマト』を繋ぐ門のようなものだと、そう感じた。

そして、その下に、頭を抱えるようにしながら、一人の男性が倒れているのが分かる、気づいたときには走り出していた。

心が少しの恐怖と、ときめきに支配されていた。

「ッ…………はぁ、はぁ……………」

端正な顔をゆがめて、男の人が苦しんでいる……茶色の髪と金色の瞳、体中に血が…淡い煙を上げながら蒸発している。

少し怖い人だと、そう感じてしまう……見た目で人を判断してはいけないだろうけど、何だか『兄弟』にはいないタイプ。

三笠ちゃんが近いかもしれないけど……もっと、危ない感じがする。

「あ、あの」

よっぽど苦しいのか、ボクが近寄ってきたのにも気づかなかった見たい、ビクッと震えると…恐る恐るこちらを見る。

「テメェ………誰だっ、くっ……それ以前にここは何処だ?」

煩わしそうに、黒い鎧のようなものを脱ぎ散らかし、右肩に開いた傷口を見つめながら、こちらを睨みつける。

皮肉そうな口元の独特の吊り上げ方と、冷たい感情を有した金色の瞳に自然と声が高くなる。

「こ、ここは……ゲンロク……の中心のヤマトの町外れです……あ、あの、あなたは」

「ヤマト?ゲンロク?………聞いたこと無いな、ッ、あのクソクジラ……絶対加護を外しやがったな……」

眼が虚ろになるその人、はぁはぁと息が荒くなる……もしかしたら、物凄く危険な状態なのかも?

立ち上がって、壱也お兄ちゃんを呼んでこようと…ぎゅっ、腕を掴まれる…物凄い力。

「……ガキ、てめぇの血を寄越せ」

言葉の意味が理解できずに、腕をはなして……そう言う前に、強い力で引かれて、彼の血まみれの腕の中に納まる。

頬に付いた赤い血にヒッと声をあげてしまう、怖くなって、お兄ちゃんと叫ぼうとしても恐怖で声が出ない。

「まあ、本当ならウハウハの美女がいいんだが……この際、贅沢は言ってらんねぇしな………」

犬歯がズルズルと、この世界にもそういった人間はいるのだけれど…この人のは違うのだとすぐに理解できる。

爛々と光る金色の瞳は目の前の血への欲求に震えており、口元から僅かに涎がこぼれ落ちる。

ザシュッ、首元に刺さるその感触に身が震える………カタカタと、何かが吸われてゆく感覚‥…冷たくなる体。

リィイィイィィィィィイイイイイイイイン、左眼が震える……『ツナギ』としての能力が…勝手に彼の”心情風景”を流し込んでくる。

失った、失った、失った、喪失感、絶望感、孤独感、罪悪感………大罪、それは罪の証、人ならざる魔王へと身を貶め、それでも。

求めた、ピンク色の少女を、いつでも隣にいたはずの少女を必死で求めた…そして暗転。

「ッぁ………………や、やめてください………」

コクコクと血が吸われる感触と大きな悲しみの渦のようなものに、気分が悪くなる……吐き気のようなものまで。

でも、言葉ではそう言いながらも、体が否定をしない………悲しみの感情を読み取ると同時に、何処か愛しさのようなものが芽生えてくる。

自然と彼の頭を抱きしめるように、それは、何でだろう?

「ッぷはぁ………妙に魔力が強いな……魔法使いか何かか?……吸い過ぎてしまったけど、まさか死んでないだろうな?」

「はぁはぁ」

返事を返せずに呼吸だけ、目の前の男の人はおもしろそうに瞳を覗き込んだ後に『おおー、女だったのか……』と今更ながらに驚いている。

少しムッとなって睨みつけると気まずそうに瞳を合わせる。

「……血から大体の情報は読み込めたが……ふむ……異世界とはな、流石の俺様も初めて来る…おい、貴様……暫く貴様の家に厄介になるぞ」

「えっ、と………」

こんな出会いがあるのだろうか……不思議な出会い、しかも何故か目の前の人が、血を吸われてから…魅力的に見えるのは何でだろう。

だめだ、頭がフラフラする。

「陸?」

壱也お兄ちゃんの声が聞こえた。


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