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▽レス始

「試験的単発OR連載 風の術者達 風の聖痕」

sara (2005-11-05 17:25/2005-11-05 18:17)

風の聖痕 異伝〜風の術者達〜


誰も考えてない話を探して行き着いてしまったのがこれだったりします、色々書いていてまた増やすのかとか突っ込まれそうですし、そもそも需要があるのがわかりませんので先ずはプロローグだけ、レスを見て続編は考えます。


この世に、人に害為す存在を滅する、退魔一族、神凪、炎を操ることに長け、己達を超越存在に選ばれた存在だと信じる者達、ただそれだけならば問題は無い。

ただそれだけならば、それだけならば、何も。

誰も知らない、誰も関わらない、この世の裏側の存在を刈り取る存在でいれば、その行為に対する代償を適切に享受していれば。

それだけでなかったから問題なのだろうが。

強い、自分達をそう信じ込む者達がどのような行動に出るなど、語るべきではない、愚劣きわまる、醜悪きわまるお話にしかならないのだから。

そもそも、何が”強い”のかも理解していない、そんな者達が、どんな行動に出るなど、判りきっている。


それなりに広い屋敷、東京都内においてこれほどの面積を保有できることはそれだけでこの屋敷にいる者達の特別さを表しているのかもしれないが。

人が住むならば百を超えて住めそうな広さ、だが今は夜の闇の中で寝静まっているのかただ静寂が流れるのみ、静寂なのが誰もが寝静まっているとは限らないのだが。

少なくとも音を立てず、気配を出さずそれなりの数の人間が動いている、それは百を超える数、もしかしたら二百を超える、そんな数、でもそれほどの人間が動いているのに当事者以外は何も起こっていることに気付かない、屋敷の人間も誰一人として起き出してこない、静寂さを保って大勢の人間が動いている。

手に僅かな荷物を持って、男は子供を抱え、女は老人を支え、散り散りに屋敷の外へと出て行く。

彼等は風牙衆、数百年の永きに渡り神凪に仕えてきた風を扱う一族。

彼等は今日この日、神凪の長、神凪重吾が交通事故に逢い、片足を失う騒動が始まり次期神凪の跡継ぎを決める戦い、宗家の人間の中で誰が最も宗主に相応しいかを決める試合が始まる数日前、跡継ぎ争いに出るはずであった神凪和麻を連れて一族総出で神凪を見限った、齢十七の少年を連れて、自分達を奴隷のように扱ってきた人間たちの血を色濃く引いた少年を連れて、全員が逃げ出した。


数刻前、神凪和麻私室、と言っても宗家の血筋を引く彼にしては粗末で狭い部屋だったが二人の男女が訪れていた、風巻兵衛、風巻刹那、風牙衆の長とその娘、普段ならば彼等はこの部屋にはやってこない、正確には彼等には誰かの許可なしには神凪が住む屋敷に上がることを許されていない。

四十代と思える風貌の男、兵衛が口を開く。

「和麻、我等は今日を持って神凪を離れる。・・・・・・・・・・お前は如何する」

それはとても簡潔で、一つの意味しか相手に与えない簡素なもの、勿論話し手が一つの意味しか持たせずに、受けては幾通りもの受け取り方があるだろうが。

「如何する?とは、義父上」

少年は皮肉を込めた笑みを形作る、その上で目の前の男に「義父上」と呼ぶ。

「それは私の思うとおりに受け取ってよいのか、神凪和麻」

男も皮肉を込め、但し二人とも互いに皮肉を込めるよりは他の何かに皮肉を吐いている、そんな印象がぬぐえない。

「私は風巻和麻のはずですが」

「では、義息子よ。付いて来るのだな」

「まぁ、付いてこなければ、簀巻きにしてでも連れて行くんでしょう。義父上は兎も角、義姉上は。それとも刹那は」

義姉上と呼ばれて、兵衛の隣に座って和麻を睨みつけていた、本人主観では見つめていたらしいのだが、整った顔立ちだが男前な雰囲気や服装から睨みつけられているようにしか回りに感じさせない女性の柳眉が上がり、刹那と呼ばれて眉目を下げる。

どうやら前者の呼び方で気分を損ねて、後者の呼び方で気分を治したらしい、なんともわかりやすい性格をしているのかもしれない。

因みに、義姉上と呼ばれたショートカットの背の高い女性は実際に和麻よりも三歳ばかり年上で今年で二十歳になっているのだが、ついでに和麻の年齢では苗字を変えるには彼女を義姉上と呼ぶような手段しかないのであるが、その辺はスルーの方向で。

気にしても仕方が無いし。

「まぁ、この家への執着など欠片も持ち合わせていないし今日は都合がいいのは理解出来ますが。もう少し前に俺に伝えておくことが出来なかったのですか。“あいつ”を連れて行くには時間が足りない。俺にはあいつを捨て置くことは出来ないのはご存知でしょう」

その誰かをさす言葉を和麻が口にする時、彼からは憎しみと悔恨が、兵衛からは不甲斐無さが滲み出す、互いに共通する嫌な事。

“あいつ”の単語が出たあたりでまた刹那の柳眉が上がるが、和麻も兵衛も我関せず、微妙に自分たちを睨みつける視線に怯えながら、因みに現時点でのこの場での最強は彼女だったりするのだが。

まぁ、彼女もその人物には同情的なのだが、心情的に現在は独占欲が優先されているらしい、どうやら彼女相手がどれだけ悲惨であろうと、哀れであろうと、自分の欲しいものを他人に譲れるような弱さは持ち合わせてはいないらしい、もしくはそれは弱さではなく強さなのかもしれないのだろうけど、それはどちらでも同じこと。

「既に手を打っておる。外にいるものに伝をつけ、今頃訳を説明しておる。来るのならば来るだろうし、来ぬのなら来ぬほうが為。正直これ以上関わらせるべきではない」

兵衛の言葉はその誰かを自分達から遠ざけようと口にしているのか、それともその誰かに選択を委ねようとしているのか、それとも目の前の若者を嗜めようとしているのか。

全てか?

「そう、ですか。でも、俺は」

「自惚れるな小僧。お前が思う考えなど押し付けにしかならん、此れからの事はは容易くは無い。関わらぬほうが、泣き寝入りでもしておったほうが遥かに楽。お前が出向いて一時の好いの腫れたの考えで選ばせることではない」

どうやら後者が一番比重は高そうだ、次は一つ目か。

そしてそれから言葉を数回重ねて決行まで互いは分かれた。


なお、その決行までの数時間、ゴタゴタで両親が家にいない和麻は記載されている零の数が八を超える通帳及び屋敷に蓄えられている装飾品(主に母親のもの)を盗み出し、慰謝料としていただいておきますという添え書きをつけていたりする、因みに気付いた時には全額引き出された後だったり、因み逃げ出した連中の手に持っていた荷物の殆どがこの火を扱う一族の連中が溜め込んだ美術品や工芸品の数々であったりする、時価総額百億に届くかもしれないほどの量と価値の、なお彼らは退職金と未払い給与領収いたしましたと置手紙兼領収書があったりする。

ちなみに先ほどからのあいつの名前だが、平井柚葉と呼ばれる霊媒体質者だったりする。


後書き。

つまりは真っ正直に風牙衆が神凪に喧嘩を売らせようという発案です。

妖魔の力を借りずに風術戦術知略で神凪と対する。

それがこのお話のコンセプト。

物語的に一巻の内容までを計画しています、勿論脱線して壊れ表記が付きそうな裏話が付くかもしれませんが。


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