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「風の谷のルシオラ 第1話 ユパ様は誰!?(ジブリ+GS)」

鱧天 (2005-11-01 00:11/2005-11-01 01:28)

 風の谷のルシオラ
           第1話 ユパ様は誰!?


 瘴気の立ち込め、廃屋が立ち並ぶかつて町だったそこには毒を持つ胞子を振りまく死津藻姫(腐海)の植物に埋め尽くされていた。
 そんな中を瘴気マスクをした駝鳥を引きながら歩く1人の男がいた。瘴気マスクの為顔が確認出来ない。

 「・・・・・・また1つ町が死津藻姫に呑み込まれたか」

 廃屋で見つけた小さな人形を手に持つとボロリと崩れ落ちた。

 「行こう」

 男はヤク達の手綱を引き元は町だった所を後にした。


 ここは深い死津藻姫の森の奥。瘴気マスクを着け、黒と赤を基調とした服を着た少女がグライダーのようなモノに乗って悠然と空を飛んでいた。このグライダーのような乗り物はメーヴェと言うらしい。どうやらこの少女が作ったようだ。
 少女は死津藻姫の森と砂漠の間にメーヴェを着地させると死津藻姫の森の奥へと足を踏み入れていった。
 少女は死津藻姫の森の中、植物の胞子を試験官に集めていた。

 「フフ♪」

 毒を持つという死津藻姫の植物の胞子を試験管に入れ「フフ♪」と笑う少女。何処(いずこ)で殺人事件でも起こそう言うのか!? それとも誰か気に入らないヤツに一服盛ろうとでも言うのだろうか?

 少女は死津藻姫の森の中を更に奥へ奥へと進んでいく。すると大きな木々をなぎ倒し、何か巨大なモノが突き進んだ後を発見した。まさかティラノサウルスでも居るのだろうか?跡を辿って進んで行くとそこには大きな昆虫(どう見ても幼虫)の抜け殻があった。

 「王蟲(おうむ)の抜け殻!!?」

 少女は更に王蟲の抜け殻に近づいていく。そしてその抜け殻をよじ登っていった。

 「わぁ♪ こんな完璧なままの抜け殻見るなんて初めて♪」

 そう言いながら抜け殻の眼と思われる場所に手持ちのバクダンを解して火薬を周りにばらまいた。近くにもう一つバクダンを置き、コードを伸ばして手持ちのスイッチを

 「ポチっとな♪」

 どっがあぁぁ〜んん!!!!!!

 眼の周りを脆くしたし、後は剣で刳り抜けば・・・・・・・・・あっ、粉々・・・・・・・・・(汗)
 と、ともかく眼の部分は奇跡的に無事だったので持ち上げる少女。

 「わぁ♪ なんて軽いんだろう♪」

 少女は笑顔(実際は瘴気マスクを着けているので表情が見えません)でくるくると回りだした。周りに焼けこげた残骸が無ければさぞや美しい光景だっただろう。
 回り続け目が回ったのか、少女はその場に座り込みただボーっと空を眺めていた。
 どの位経ったのか、頭上からたくさんの胞子が少女に降り注いできた。

 「死津藻姫が午後の胞子を飛ばしている・・・・・・・・・綺麗、瘴気マスクがなければ5分で肺が腐ってしまう魔の森なのに・・・・・・・・・」

 ドガ〜ン!!

 「!!!!?」

 突然の大きな音にハッとして即座に立ち上がる少女。

 「これは霊波!? 誰かが蟲(むし)に襲われてる!?」

 少女は王蟲の殻(眼だけ)を持って駆けだした。途中滑り落ちたり、蟲を踏んづけたりしたけど気にしない気にしない♪
 王蟲の殻を地べたに投げ捨てると少女は何処か洞窟のような場所を駆け上がり、高台で外が見える場所にやってきた。そこは巨大な骸の眼だった。つくづく眼に縁のある娘だ。
 少女が望遠鏡で爆発音があった方を見ると大きな黒煙が立ち上っていた。

 「凄い瘴気の煙」

 少女がボソッと口を開いた。その時

 ドカ〜ン!!

 凄まじい爆発音とともに王蟲の姿が現れた。

 「王蟲!!? ダメだわ、あっちに行っては行けない! こっちに呼ばなきゃ!!」

 少女は片手を突き出し掌に霊気を集める。それを球状にすると強く発光するようにして撃ち出した。所謂霊波の照明弾である。

 「お願い! 気付いて!!」

 少女はもう一発撃とうと霊気を掌の込めていく。すると彼方前方より同じような閃光霊波弾が打ち上げられた。

 「答えた!! こっちに来る!」

 そう言うと少女は駆け上がってきた洞窟を滑り降り王蟲の殻を拾ってメーヴェが止めてある場所まで走って行った。王蟲の殻をメーヴェの横に投げ捨てると(投げ捨ててばっかり・・・・・・・・・物は大切にしましょうね?)メーヴェに乗り空中へと舞い上がって行った。
 森の外輪を閃光霊波弾が上がった方に進んでいくと少女は森の中から駝鳥に乗って飛び出して来る1人の男を発見した。

 「あの人は!!」

 驚きの表情を隠せない少女はそのまま男の方へ飛んでいく。その時

 ドカ〜ン!!

 森の木々を破壊する音と共に巨大な王蟲が姿を見せた。その眼は赤く輝いていた。王蟲は男に向かって突き進んでくる。

 「風上へ!!」
 「わりぃ!!」

 少女は男に近づくと風上へ逃げるように指示をし、王蟲の方へ近寄って行った。

 「なんて立派な王蟲、きっとあの抜け殻の主だわ。 ごめんなさい、あの殻壊しちゃった(てへ♪)」

 王蟲の目が更に紅々(こうこう)と輝きだした。

 「王蟲! 森へお帰り、ここはあなたの世界じゃないのよ」

 王蟲には少女の声が届かないのか、突き進むことを止めない。

 「ダメだわ、怒りで我を忘れてる。 静めなきゃ!!」

 少女は掌に霊気を集めると閃光霊波砲を十数発王蟲の足下へと打ち込んだ。打ち込まれた閃光霊波砲は着弾と同時に更に大きな閃光となって辺りを一瞬白い世界に変えた。少女が閃光霊波砲を打つ瞬間、男は風上にある砂漠の山の陰に駝鳥と共に身を隠していた。
 光が収まると王蟲は目を回したのか、眼に光はなくピクリとも動かない。

 「閃光霊波砲で王蟲が目を回した・・・・・・・・・」

 男は王蟲の様子を見ると説明的な台詞を言った。

 ヒュ〜、ホンホ〜

 男は何か音のする方に顔を向けると少女が何やら筒のような物を翳し、微妙な前後運動で音の変化を付けて鳴らしていた。

 「蟲笛・・・・・・・・・」


 「王蟲、目を覚まして」

 少女は蟲笛を鳴らしながら王蟲へと語りかけていた。次第に王蟲の目に青い光が戻り森へと引き返していった。

 「なんてこった、閃光霊波砲と蟲笛だけで王蟲を静めちまった」

 男は少女の行動に脱帽するのだった。


 男が小さな風車の見える高台に登ってくると先程の少女が王蟲の殻(眼だけ)をメーヴェに乗せ、自分はぶら下がるようにして高台まで飛んできた。少女は高台に着地するとメーヴェを手放しもうダッシュで男の方へと走ってきた。

 「ヨコシマー!!!」

 瘴気マスクを取りながら男に駆け寄る少女。この王蟲から逃げ戸惑っていた男こそ横島忠夫その人だった。

 「ルシオラー!!!」

 少女のことをルシオラと呼び見事なルパンダイブで少女に飛びかかる横島。この空飛ぶ少女こそ横島が愛するたった1人の女性ルシオラその人であった。

 ドゴス!!!!

 あっ、正拳突きが見事に顔面にめり込んだ・・・・・・・・・

 「ちょっと! そこ台詞違うじゃない!」
 「くそー!! おあずけくってる男がそんなの構ってられるか!」

 いつの間にか服を着ながら抗議する横島。それより顔面は大丈夫か?

 「それより、ちょっと女らしくなったんじゃねぇか? 胸もちょっと大きくなってないか?」

 ルシオラの肩を抱きながら言う横島。

 「ううん、アシュ様はまだまだだって

 額に井桁マークを作りながら笑顔で答えるルシオラ。眼が笑ってない。その時ルシオラは横島の背中のリュックがゴソゴソと動いているのを発見した。

 「あら?」
 「ん? あぁ、コイツのことすっかり忘れたぜ」

 そう言いながらリュックのチャックを開けると、

 「わぁ♪ 金毛白面九尾!! 私初めて♪」
 「コイツが蟲に襲われてるのを人間の子と間違ってな、ついつい“爆”の文珠使っちまったんだ」

 サラッと凄いことを言う横島。実は死津藻姫の森、壊滅寸前じゃないのか?

 「どうやら気絶してて瘴気を吸わなかったらしいんだが・・・・・・・・・いやいや、手は出さない方が良いぞ? まだ小さすぎて変身も出来ないけど結構凶暴だぞ?」

 金毛白面九尾にそっと手を差し伸べるルシオラに注意を述べる横島。しかしルシオラは止めようとはしない。

 「おいで」

 ルシオラの言葉に横島のリュックから飛び出す金毛白面九尾、ルシオラの腕の上でルシオラの顔を見ながら唸り声を上げている。そんな金毛白面九尾にそっと手を差し伸べるルシオラ。

 「怖くない、怖くない」

 ガブ!!

 差し出されたルシオラの指を力強く噛み付く金毛白面九尾。初めは痛そうな顔をしたルシオラは顔を背け、微動だにしない。

 「ほら、怖くない、怖くない・・・・・・・・・痛くない、痛くない」

 更に力を強くする金毛白面九尾、ルシオラの顔が段々と赤くなっていく。

 「痛い〜〜!!!!」

 とうとう我慢しきれなくなったルシオラはブンブンと手を大きく振った。しかし、金毛白面九尾が離れる様子はない。

 「そんな、いきなり宮崎アニメの主人公になろうったって無理だろ!! こんな時はこの油揚げを食べさせれば大人しく!」

 横島は何処から取り出したのか、油揚げをルシオラに手渡した。油揚げを見た金毛白面九尾はルシオラの指から口を離し、油揚げを食べた。油揚げを食べきると、金毛白面九尾はルシオラの頬を優しく舐めた。その愛らしさに心惹かれたルシオラは

 「ヨコシマこの仔私にちょうだい!」
 「え? か、構わねぇけど・・・・・・・・・」
 「やったー♪」

 横島の言葉に腕を広げてクルクルと回り出すルシオラと金毛白面九尾。しかしその心の中は

 (この愛玩動物(モルモット)といつも一緒♪)
 (この女と一緒にいれば油揚げ食べ放題♪)

だった。それより、指からドバドバと血が出てますがルシオラさん大丈夫?

 「カイにクイ! 私のこと覚えてる!?」

 今度は横島の連れてきた駝鳥に駆け寄るルシオラ。どうやら昔馴染みのようだ。しかし見事に頭を突かれている。

 「ところで、アシュタロスは元気か?」

 横島の言葉に突然動きを止め、表情を暗くするルシオラ。

 「どうした?」
 「アシュ様はもう立てないわ」
 「森の毒がもうそこまで・・・・・・・・・」
 「えぇ、死津藻姫の森の畔に住む者の定めだって・・・・・・・・・」
 「もう少し早く来れば良かったな」
 「・・・・・・・・・」

 ひとつ深呼吸をして表情を笑顔に戻し、横島の方へむき直すルシオラ。

 「後でヨコシマに見てもらいたい物があるの! 私の秘密の研究所♪」
 「え゛!?」

 今度は横島の表情が暗転。

 「みんなには内緒♪ 怖がるといけないから」
 「お、俺も怖いけど・・・・・・・・・」
 「何か言った? 

 笑顔で返すルシオラ。でも目が笑ってない。
 ルシオラはメーヴェの近くまで行き帰る準備を始めていた。目的地が一緒なのだから先に帰ってお迎えをしようと言うのだ。

 「ヨコシマーこれ運んでくれない? 気流が乱れて上手く飛べないの〜!」

 そう言って王蟲の殻(目だけ)を置き、メーヴェを持って駆け出すルシオラ。勢いを着け大空へと舞い上がっていった。

 「それにしてもよく風を読むなぁ」

 横島もルシオラの置いていった王蟲の殻(目だけ)を拾い上げ、ルシオラの住む“風の谷”へと向かって行った。


つづく


 あとがき
 こんにちは鱧天です!
 この作品は自サイト「鱧天油切りバット」の一周年記念企画で『もしあの名作が○○のキャラでやったら』というモノをコンセプトに書いた作品です。是非ともたくさんの方々に読んで頂きたいと此方に投稿させて頂きました。


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